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俺の閣下  作者: テディ
本編
68/186

第67話 一手

 ソフィアに見透かされたように微笑まれたクアドロは

内心では喜んでいた。ソフィアは政治がきちんとできる。

それは私欲ではなく、全ては民のためなのだということが

相手によく伝わる相手なのだ。

長年、王子として様々な人に会い続けているクアドロには

そういったものを嗅ぎ分ける、勘のような感性が身についていた。

そして、それは外れないという自負もあった。


こういった気持ちの良い相手は、たくさんいそうに見えて、

あまりいないものだ。

背負っている責任が重すぎて話せなかったり、

はなから相手を信用していなかったり、私欲だけ満たせれば良かったり、

難しいものなのだ。


脇でヴェルデが肩を揺らして笑っていた。

さすがに咳き込むふりをして、下を向いている。

クアドロは、ヴェルデが話していた希望には

自分が少し遅かったのだと認めざるを得なかった。

少し苦笑して、ヴェルデをいさめる。

「ヴェルデ、お前の小言は後で聞く」

「殿下、小言などと人聞きの悪い……。

忠告と申し上げたでしょう?」


そんな2人を見て、ソフィアは首を傾げていた。


「ああ、ソフィア殿。申し訳ない、ちょっと内輪の話しで……。

なぜ我らに隠している情報があるとお思いになったのですか?」


今度はソフィアが笑いだす番だった。

「なぜってクアドロ殿……。貴方は何事も全力であたられる。

部下も功績が高く、国王陛下もご健勝で精力的でいらっしゃる。

こういう国は、しっかりとした情報を持っているものです。

国には得意不得意があります。それが国の長所にも

弱点にもなる。もちろん我が国にもある。

と、いうことは貴方の国も我が国にはない長所があるということだ」


クアドロは、いつも笑顔に戻ってソフィアを見た。

「ソフィア殿、私は宝を取り損ねたようだ。

ああ、誤解なさらぬように。もとより

隠すつもりでいたわけではないのです。

宝とは私の私的な希望のことですから、ご安心を」

そう言って、ジョシュアを見た。


ジョシュアは、やっぱりか……と言う表情を隠すことができなかった。

そのジョシュアに、クアドロは微笑んだ。

「ジョシュア殿、ご安心を。後ほどご説明しましょう」


そう言うと、再びソフィアを見た。

「ソフィア殿。我が国から、友好国であるグリフィス王国に

お話ししましょう。貴方は、どうやったら操りの魔法を

掘り起こせるかご存知か?」


ソフィアは、おもしろそうに目を輝かせた。

「いいえ、知らない。貴方はご存知なのですか?」

「実際に操りの魔法を掘り起こしたところを確認はできていません。

ただ、情報としていくつか上がってきているものがあるのです」

「それは?」

「ガザンが、禁忌の魔法書を一冊だけ残しておいたと」


それを聞くと、ソフィアは冷徹に言い放った。

「まったく、愚かな…… !!」


クアドロはおもしろそうに聞いた。

「貴方がそう言うとは、少し意外でした」

「何故です?」

「貴方なら、その魔法書を手に入れたいとおっしゃるのかと思っていました」


ソフィアは、不適に笑った。

「クアドロ殿、それはそれは……。私もまだまだだな、ルーク、ジョシュ」

ルークは苦笑いした。

「閣下が、普段から破天荒すぎるのですよ……」


ソフィアは、静かに話し出した。

「クアドロ殿。なぜ禁忌の魔法が存在すると思いますか?」

「皆が不幸になるからだと思っていますよ」

「その通り」


そう答えたソフィアは、クアドロを真っ直ぐに見つめた。

「私にとっての魔法とは、幸せを運ぶものでなければならないのです。

皆、勘違いしている。確かに私は、寝食を忘れるほど魔法が好きです。

でも魔法を実生活に合うように、管理する職種についているのです。

探究心のあまり禁忌の魔法を試すなど、私腹を肥やすものと変わらない。

それは、私にとって恥ずべき行為だ。こう言ったら分かっていただけるかな?」


クアドロは、静かにうなずいた。

「皆、これで問題はないな?なぜソフィア殿が大臣なのか

よく分かったであろう?」

ツァドロやヴェルデは、答えた。

「はい、殿下」

「殿下、やはり青龍殿がグリフィス王国を訪ねられたのには

理由がありましたね」


すっきりしたような笑顔でクアドロは話を続けた。

「ソフィア殿、それからもう1つ。

その禁忌の魔法を試せるだけの魔力を持つものがガザンにはおりません」

「と、いうことは何か工夫を編み出していると?」


クアドロは察しのいいソフィアに笑い出した。

「さすが、ソフィア殿。ただ確証がないので貴方のお知恵を

伺いたいのです」


そういうと、クアドロは爽やかに話し始めたのだった。

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