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俺の閣下  作者: テディ
本編
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第62話 鍛錬

 ソフィアは、その場にいるメンバーに

いつでも聖動物と会う覚悟を持つように話した。


「いいか、聖動物と話せる者がその場にいないときに

このメンバーが、その代わりを求められる可能性がある。

危険があれば、聖動物は姿を表さない。

攻撃してくるのであれば、こちらに止まる余裕などない。

だから、必ず分かる。自分に会いに来たのだと必ず分かるはずだ。

その時は、ただ平静に何も考えずとも良い。

己の思いつくままに行動するのだ。

別に、それが間違っていたと後から分かっても

なんの問題もない。責任は全て、私が取る。

1番やってはいけないのは、闘争心、敵対心を見せない。

この1点のみだ。分かるな?」


全員が、神妙な顔でうなずいていた。


「大丈夫だ、心配するな。青龍殿には全員が会えたではないか。

彼はイヤがっていなかったぞ?」


そう言って、ソフィアは励ました。

テオドアが、それに呼応するかのように明るく答えた。

「そうですね、姉上。他国の聖動物に会えるなんて

幸運の塊のようなものです。喜ばなければなりません」


その清々しい笑顔に、皆の気持ちがほころんだ。


「そうだな、テオドア。お前の言う通りだ。

皆、楽しんでくれ。まだ事は起きておらん。

それに、事が起きる前に止めるチャンスもやってきた。

なかなか面白い状況だぞ。なあ、ルーク?」


ルークは苦笑いして答えた。

「そうだね、ソフィ。悪い点ばかり見ていても

何にもならない」

「父上は、こうなってもまだ我ら世代に事をまかすと

おっしゃっているのか?」

「そうなんだ。陛下に進言申し上げて見たのだけど、

僕らのやり方で、納めよとおっしゃっている。

重鎮からも反対は出ていないらしいんだ」


ソフィアは、笑い出した。

「なるほど……爺やどもも、我らの発想に感心したのかもしれん。

では遠慮なく、軽い身で動くぞ。爺や達には頭脳を補ってもらおう」


ソフィアは、楽しそうに言った。

「ジョシュ、腹が減った。昼飯はいつだ?」


ジョシュアも笑い出した。

「ソフィ、ちょうど昼だ。お前、陛下達にお会いしなければ。

テオドア殿下も、お戻りにならなければならんし……」


ソフィアは、首をひねった。

「せっかく皆が集まったのに、つまらんな……」

「そう言うな。皆にこれからの準備をしてもらって

昼飯の後に、集まった方が効率的だろう?」


ソフィアは、テオドアと顔を見合わせた。

テオドアは、にこやかに言った。

「姉上、とても魅力的なお誘いの予感がしますが、

ここはジョシュア殿の意見が適切かと思います」

「……うん、……そうだな……」

「ダメですよ、姉上。さあ、まいりましょう?」

「分かった。では、昼食後、この部屋で集まることにする」


ソフィアは、しぶしぶ立ち上がった。


ソフィアとテオドアを送り出した後、ルークがため息をついた。

「午後から忙しくなると思うよ。

今のうちに、しっかり腹ごしらえすることにしようか」


オーリーが、豪快に笑った。

「そうだな、俺の部下をねぎらってやってくれ。

いきなり嵐の中に放り込まれたようなもんだ」

ルークも、少し気の毒そうにしている。

「護衛は他につけるから、なるべくソフィの思う通りに

動いて欲しい。君達は魔力がとても高く、冷静という評価で

選抜されている。頼んだよ」


その言葉に、皆は穏やかに笑いながら答えた。

「承知しました」


オーリーは、いつものように豪快に動いた。

「さ、飯だ、飯!!」



王宮の中にも、働く者のために食堂がある。

もちろん身分に関係なく、誰でもが使えるようになっている。

夜中の12時から朝の5時まではしまっているが、

夜勤の者もいるので、長く開いている食堂だ。


オーリーはもちろん、騎士や近衛のトレイは

さすがの量が乗っていた。主に肉だ。

朝は訓練があったので、昼はいつも、このくらいは食べるらしい。


ルークとジョシュアは、魚料理を選んでいた。


気楽に話せるように、ジョシュアはすぐに結界を張った。

ルークが、笑いながら話し出した。


「ジョシュがいると便利で、自分もできるのではと

試したくなってしまうから困るよ」

「お前ならできるだろう?」

「3回くらいまでならできるけど、非常時の魔力が残せないな。

そこが問題なんだ」


オーリーも、笑っている。

「そうなんだよな、できるからって真似していると

午後に痛い目にあったりするから、用心した方がいい」


近衛の1人も、実は……と話し出した。

「非番の日に、どのくらいできるか試してみたのです。

1回だけ成功しましたが、あとはできませんでした。

午後は寝て過ごす羽目になりましたよ」


騎士も話し出した。

「私もやって見ました。2回成功しましたが、

そのあとは立てませんでした。強度も、今ひとつだった気がします」


オーリーは、まだ笑っていた。

「なんだ、皆で試してたんじゃねぇか。

ルーク、俺の部下は優秀だろう?」

「オーリー、勤勉だね。皆、1度は試したくなるんだよ」

ルークはクスクスと笑っていた。


オーリーの優秀な部下達は、チャンスだとばかりに

質問をあげていた。

「ジョシュア様、魔力を上げる方法はないのですか?」

「基本魔力が、だいたい決まっているからな。

その上限を超えてと言う事はないが、訓練で多少上がることがある。

それと同時に制御の質を上げるといい」

「訓練とは?」

「自分の得意な魔法で試すんだ。水、火、風、

それの威力をコントロールできるようにする。

その後、最大の魔力を注ぐんだ。それを繰り返す。

ただ、場所は気を付けろよ?」

「やって見ます。防御や後方支援で使えるかもしれません」


「ルーク様、今回の情報戦は、他国とどのくらいの差が?」

「いい所を突いてくるね。たぶん、どの国も

そんなに大差ないと思うよ。我が国が1番早く動き出しているしね」


「間者は、どのくらい動いているのですか?

連携した方がいいでしょうか?」

「間者は、どの国も動かしている。常にだ。

特別意識しなくていいよ。彼らは君達をフォローするために動いている。

だから君達は、目の前で起きることに全力を注いで欲しい」



そんな話をしているうちに、全員のトレイはすっかり綺麗になっていた。


ジョシュアが結界を解く。

そして、不適に笑った。

「さ、仕事だ。戻るぞ」


全員、静かに立ち上がるのだった。

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