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俺の閣下  作者: テディ
本編
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第48話 熟慮

 ジョシュアはソフィアの部屋で、

書類を確認しながら、色々と考えていた。


思いがけない形で、婚約することになった。

たぶんソフィアが運命として自分を選んだのなら、

魂ごと愛してくれるのだろう。人として……。


ソフィアの思う形の愛だ。それは公平で、慈しみも優しさも入っている。


でもジョシュアは、ここから男性としてもソフィアに求められたい。

もちろん自分だけを……。


……さて、どうすれば伝わるかな……。


そんな事を考えていると、書類をめくる手が止まっていたらしい。


ソフィアは床に座りながら、心配そうにジョシュアを見ていた。


「ジョシュ?疲れたのか?無理しなくても明日でいいのではないのか?」


ソフィアは、ここぞとばかりに魔具を広げて、いじり回していた。

その様子を見て、ジョシュアは考えるのをやめて微笑んだ。


周りに侍女達がおり、片付けを手伝っていたが、別にいいだろう。

隣の部屋には侍女長がいるはずだから、大丈夫だ。


ジョシュアは魔法で魔具を全て机に乗せ、ソフィアを抱き抱えた。

「ソフィ、床に座ってはいけないのだぞ。前も言っただろう?」


ソフィアをソファに座らせ、隣に腰かける。

「でもジョシュ、魔具も本も床で広げてみたほうが

みやすいのだ」


ジョシュアは、ソフィアの額にキスを落とした。

「そうか、では俺の前だけにしておけ。他の時は

机で見るようにしような」


ソフィアは、ジョシュアからされるキスに慣れてきていた。

朝の寝ぼけまなこか、夜の眠りにつく前にしてもらうので、

正直な所、考える余裕がなかったのだ。

いつも思うのは、暖かくて気持ちいいな……と言うことだけだ。


……そういえば……えらくたくさんキスされている気がする……。

いつも眠いからな……、夢か……?


ジョシュアは、ソフィアを自分の膝の上に横抱きにした。


「ジョシュ?!」

「お前を甘やかしたい気分だ。婚約したからいいだろう?

婚約したら皆、こうするものなんだぞ?」

「そっ……そうなのか??」

「あぁ、そうだ」


侍女達は皆、分かっていた。

確かに陛下の許可は降りた。

でも公示がまだだ……。


周りの侍女達は、侍女長に厳しく注意され、

でも歓喜の声を上げなかったのは褒められ、

だんだん耐性ができてきていた。


要は、表面に出さなければいいのだ。

後から、どんなに悶えようとも……。


ただ、今回のジョシュアの持って行き方は、

別の意味で侍女達は密かに悶えさせていた。


ーージョシュア様……、その攻め方で行くのですね……!!


そして、いそいそと片付けながら、果たして自分たちは

この場にいてもいいのか、激しく悩んだ。


そして侍女の1人が決断……いや、助けを求めた。

「はぁ、これで大丈夫かしら?侍女長様に伺ってきます」

そう可愛らしく言って、隣の部屋へ避難した。


ジョシュアは面白そうに見ていた。


侍女達は次々に隣の部屋へ行く。いつも間にか2人っきりだ。

問題があれば、侍女長がくるだろう。


しばらく待ったが、侍女長が来なかった。


なるほど、2人の時間は大切にせよと言うことだな……。


ジョシュアは、自分に都合よく解釈し、進めることにした。

お小言があるなら、あとで聞けば良い。


ソフィアは、次々と侍女長にお伺いを立てに行く侍女達を見て、

侍女長は、皆から慕われていて尊敬もされているのだな

と、相変わらずの外れた方に進んでいた。


「ジョシュ?」

「何だ?」

ジョシュアは、ソフィアを腕の中に納め、抱きしめていた。


「婚約者って、どうするんだ?何か決まりはあるのか?」


ジョシュアは笑い出した。

これだからソフィアには敵わない。


「そうだな、色々な方法があるらしいぞ?

お前、知っているか?」

「いいや、さっぱり分からない」


正直に答えたソフィアに、ジョシュアは単刀直入に尋ねた。


「ソフィ、お前は閨の授業は受けたことがあるのか?」

「あるぞ。でも……、まあ、なんだ……、その……」


急にうろたえ出したソフィアに、ジョシュアは笑い出した。


「お前、聞いてなかったんだろう?」


ソフィアは恐る恐る顔をあげた。


「うん……、その時、新製品の魔具を手に入れてな……。

あと、私には必要のない授業だと思ったんだ……」

「さて、ソフィ。必要になったな。

あぁ、心配するな。結婚したら、俺が教えてやる。

婚約時代は、あまり必要ないんだ。必要になるのは

結婚して夫婦になってからだ」

「そうか、じゃあ大丈夫だな」


ホッとするソフィアに、ジョシュアはクスクス笑っている。


「ジョシュ?私は何かおかしい事を言ったのか?」


ジョシュアは、ソフィアの額に口づけしながら答えた。


「いいや、おかしくはない。ソフィ、やっぱりそのままのお前が良い」

「そうか……?お前、やっぱり変わってるな」


「ソフィ?お前、俺に触られるのは嫌じゃないか?」

「ん?嫌じゃないぞ。さわられると心地いい」


「そうか。では結婚してから驚かないように、

少しずつ俺にさわられるのに慣れてくれ」

「分かった。授業の第一歩だな」


ニコニコと話しているソフィアに、ジョシュアは微笑んだ。


ソフィアはジョシュアが笑うので、つい嬉しくなって話した。


「あのな、ジョシュ」

「何だ?」

「そのうちリリー達に聞いてみようと思っていたのだが……。

婚約したからお前に聞いてもいいよな?」


ジョシュアは、少し驚いて尋ねた。

「どうした、ソフィ?」

「以前からな、お前以外の異性と握手すると

ザワザワと鳥肌が立つのだ。夜会があるだろう?

どうしても友好のために握手しなければならん。

それが、どうにも気持ち悪くてな。どう思う?

私は、……おかしいのか?」


ジョシュアは、自分の胸元からソフィアをおこし

目を丸くしていた。


何だ……、そうか……。ソフィはもう俺のことを受け入れているんだ……。


ジョシュアの中に、じわじわと歓喜と自信が湧き上がってきた。


……遠慮なく、甘やかすからな。


そんなジョシュアの様子を見て、ソフィアは心配になってきた。


やっぱりおかしいのだろうか……?侍医に見せたら治るか……?


そう考えていたら、また急にジョシュアに抱きしめられた。

頭の上から優しい声が降ってくる。


「ソフィ、おかしくない。大丈夫だ。

お前が俺の運命で、俺がお前の運命という証拠だ。

気にするな」

「そうか、良かった!!」


ソフィアは、ジョシュアに大丈夫だと言ってもらえて嬉しかった。


こうしてジョシュアは確実にソフィアの心に近づくのだった。

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