第45話 思案
父王に報告するために、父の執務室に着いたソフィア達は
すぐに部屋に通された。
ソフィア、ジョシュア、オーリーとも帰還の報告をする。
父は無事戻ったことを喜んでくれた。
村の様子、グリフォンの様子、グリフォンの王から
3人に伝えられたこと、全てを報告する。
王は、何やら顎に手をあて真剣に考え込んでいた。
「ソフィア、内容は分かった。やはりお前は
ガザンに行かねばなるまい」
「はい、父上。不本意ではありますが、いたしかなない。
グリフォンの忠告でもありますので……」
「実はな、他の国からお前との面会を求める国も出てきている」
「私と……?父上ではなくてですか?」
「まあ、腹の探りあいであろう。皆、聖動物を相手にしておるから
第一王子から、聖動物と意思を交わせる王族まで、様々だ」
ソフィアは、しばらく考えた。
「父上、面会した方がよろしいですか?グリフォンの王は
私の思うままにせよと言っています。ただ怒りは隠すようにと。
ただ、面会は国同士の話です。私の一存では……」
「ふむ、お前の心配も分かるが……さて、どうしたものか……」
「ルークは何か言っておりましたか?」
「どの国も用心深く、ガザン以外の情報はなかなか入りにくと
言っておった。まあ、そうなるであろう」
「父上……、これは1つの提案なのですが……」
「良い、言ってみよ」
「視察を終えたが、過去にさかのぼって調べなければいけないことが
できたと。面会するまでには、もっと時間が必要と言って
放って置くのはいかがでしょう?
自信のない国ほど、情報が出てくるのでは?」
「……異変があったと思われ、面倒ではないか?」
「実際、異変はあったのだから気にせずとも良いと思います。
ただ、ちょっとした変化に思えるとでも言うのです。
きちんと聖動物に感謝している国であれば、
察するはずです。グリフォンがそうだったように、
他の国にも、その国にあった聖動物が増えているでしょう」
「そうだな、ソフィアの言う通りになっているであろう。
よし、分かった。お前の提案で進めよう。
ルークとも相談せねばならん」
「承知しました、父上」
やってみるしかない。
ジョシュアもオーリーも、そう思っていた。
グリフォンの忠告があるのだ、国の信念を貫けば良い。
ソフィアは、仕事の話が終わったとばかりに急に微笑んだ。
「そういえば、父上。ジョシュアと婚約することにしました」
ジョシュアは、一瞬放心状態になり、オーリーはグッと何やら詰まった。
ジョシュアは、さすがにソフィアを止める。
「閣下、そこはお許しをいただく所では……?」
「ん??あ、そうか。父上、ジョシュアと婚約したいのですが
よろしいでしょうか?」
父はもっと驚いていた。目を丸くし、これ以上ないくらい開いている。
「父上?……ルークも驚いていたので、やはり驚くことなのですね。
グリフォンの王に、運命を知らされたのです。
だから婚約することにしました」
あまりにも、脈絡のない説明に、ジョシュアとオーリーは
思わず天井を見た。
オーリーはジョシュアを見て、目で訴えた。
ーーお前が話せ!!
ジョシュアは、ソフィアの代わりに話し始めた。
「陛下、恐れながら閣下よりお返事をいただきました。
それは私がグリフォンの王と話し終えた時でした。
私がグリフォンの王と話せた理由は分かりません。
ただ、先ほどご説明申し上げた通り、聖動物への誓いと
もう一つ、誓いを立てました」
ようやく父王は動き出した。
「ジョシュア、もう一つ約束があったのか?」
「はい。それは閣下を生涯お守りすると言う約束です。
それを私はグリフォンの王に誓ったのです」
父王は、ゆっくりとジョシュアとソフィアを見た。
ソフィアは、父に自分がどうやって気がついたのか
説明した。グリフォンの王に大笑いされたことも含めて……。
父は、額に手をやって首を振っていた。
「ソフィア、お前、思いつくのが兄弟では……。
大笑いされるはずだ……」
「だって、父上。初めは、それしか本当に思いつかなかったのです」
ソフィアは、子供の顔を覗かせ、少しふくれていた。
父は笑い出した。
「まあ、それがソフィアだ。しかたあるまい。
ジョシュア、ロマンスに程遠い気がするが
お前はそれで良いのか?まあ、娶ってやらんと言われると
そっちの方が大ごとなのだがな」
父は珍しく、まだ笑っていた。
「陛下、僭越ながら、このままの閣下をお慕いしているのです。
ですから、許されるものならば婚約させていただきたいと
思っております」
ジョシュアがそう答えると、父はオーリーにも笑った。
「オーリー、近くで見ていたお前が1番面白かったであろう。
私もその場に居てみたかったぞ」
「陛下、それが……とても美しい儀式のようだったのです。
嘘偽りのない証拠かと思っております」
そう聞かされて国王は、驚くとともに満足そうにうなずいた。
「ソフィア、良い。婚約を進めよう。
ジョシュアもそれで良いな?」
ジョシュアは、優雅に王族への礼をとった。
「陛下、ありがたき幸せ。どうぞよろしくお願いします」
こうして、ソフィアはジョシュアと正式に婚約することになった。




