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俺の閣下  作者: テディ
本編
44/186

第43話 対話

 ひときわ体格の大きいグリフォンの王。

翼は黒く、夕日の代わりに出てきた月明かりに照らされ、

輝いて見えた。後ろ足は、丸太のように太く

尾は優雅に垂れている。金色の瞳は力を持っていた。



……これがグリフォンの王……。


ひざまづいているジョシュアとオーリーは、

圧倒的な存在感に、敬意を表した。



 それはとても不思議な会談だった。

ソフィアは立ち上がると、王の元へ近づいて行った。


いつもと同じように、ソフィアの独り言だけで

話が進んでいく。


「王よ、久しいですな。ええ、少し大人になったでしょう?

はい、家族は息災にしております」


ソフィアは、王を見上げて笑っていた。


「ええ、初めてこのような群れを見た。

群れで怪我をしているものはいないのか?

……あぁ、良かった」


ソフィアは、しばらくの間、ずっと王の瞳を見つめていた。


大きなため息をつき、下を向いて首を振っている。


「王よ、その愚か者に私は会う予定なのだ。

あなたにお会いできたので、断ろうと思っている」


ソフィアは顔を上げ、少し怒っているようだった。

「しかし……、……分かった。隣国へは参ろう。

私が思う通りに動いて良いのだな?

大丈夫か?……分かった。なるべく怒りを隠そう」


ソフィアは、納得いかないものの王の意思だからと

己を納得させたように見える。


またしばらくの間、ソフィアは王の瞳を見ていたが、

驚いた様子をしていた。


「ジョシュを……?……はい」


ソフィアは、後ろで跪いていたジョシュアに声をかけた。

「ジョシュ、こちらへ来い。王がお前に話があると

言っている」


ジョシュアは目を丸くさせたが、かろうじて冷静さを保ち、

ソフィアの隣へ歩いた。

王の眼前で、再び跪こうとした時、ソフィアがいらぬと言う。


「ジョシュ、良いのだ。王は礼はもう要らぬと。

私の真似をするように。王の瞳を見つめるのだ」


ジョシュアは、無意識にソフィアを背後に隠した。

一歩前へ進み出て、王の瞳を見つめる。


その様子を見て、ソフィアは不思議に思っていた。

自分の見聞きした話が確かなら、王族以外で

グリフォンと話せる者は、居ないはず。

まして目通りが叶ったり、話すために呼ばれる者がいるなど

聞いたこともなかった。

非常事態だからか……?


その時、ふとあることに思い当たった。


ーーあぁ、母上がいた。そうだ、母上だけできる……。



ソフィアの母は、王族の出生ではなかった。

伯爵家の出身ではあったが、王族とは別の血筋で、

ものすごく魔力の高い女性であった。

本人は、このまま学者として暮らしていくと思っていたらしい。

父が母を見染め、口説き落としたのだと聞いている。


しかし、母の血筋とジョシュアの血筋は違ったところからきている。

同じなのは魔力が、とてつもなく高いと言う点だけだ。


どうも良くわからんな……。

例外がいると言うことか……?

母上はグリフォンに王族として認められたのだと父が言っていた。


……??ジョシュが王族として認められると言うことか?

……兄弟になるのか……??

いや、ジョシュの家は養子には出さんだろう……。

いったい、どうゆうことだ??


ソフィアが考えを巡らせていると、突然ジョシュアがひざまずいた。


「王よ、お約束しましょう。何があっても、王との約束も、

ソフィア・ラ・グリフィスも守ります。この身に変えてでも」


ジョシュアが王を見る瞳は、やはり漆黒で綺麗な光がひと筋

あるように見える。



……まるで伝説の漆黒の魔石のようだな……。

ソフィアは、そう思っていた。


すると突然、ソフィアの頭に王は語りかけてきた。

いつものように映像が浮かび、王が大笑いしている。

グリフォンの大笑い……?


しばらく考えたソフィアは、素直に尋ねた。



「王よ、私は何か思い違いを?

……ああ、王族の解釈?もっと考えよと言うのだな……?」




「母上とジョシュ……。共通点は魔力で……。

方向が違う??うーーん……。……母上と父上……?」




ソフィアは、しばらくブツブツと考えを羅列していたが、

ふと固まった。かなり長い時間、固まっていたかと思うと

突然、顔を上げた。



そしてゆっくりとジョシュアを見る。




ジョシュアは、立ち上がって獅子の王のように微笑んでいた。



……あぁ、そう言うことか……。決まっていたのだ、運命が……。




ソフィアは、グリフォンの王を見つめた。

そしてジョシュアを見る。




「王よ、ようやく分かった」

ソフィアがそう言うと、王は微笑んだように見えた。



ソフィアは、しっかりとジョシュアを見た。



「ジョシュ、帰ったら婚約するぞ」



ジョシュアは、ソフィアの前にひざまづいた。

そして、いつものように答えた。



「ソフィ、お前の想うままに」

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