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俺の閣下  作者: テディ
本編
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第39話 思考

 この村にも広場があった。

さすがに噴水があるわけではないが、大きな円になっている花壇があり

植物が好きな者がチームとなり、交代で世話をしている。

おかげで、春から秋までは、その時々の花が見られる。


花壇を中心に、ベンチが置かれ、その後ろには芝生も広がり

年齢問わず、ここを楽しめるようになっていた。


ベンチで座る村人と、和やかな挨拶をした後、

ジョシュアは芝生を選んだ。360度見渡せる方が

護衛にちょうどいいのだ。

念のため例の見えない結界も張っておいた。


オーリーは、お前達が先に食べろといい、

座りながら護衛することにした。



ソフィアはフライステーキサンドを受け取り、何やらうっとりとしていた。

「ソースの甘い香りがする……。もう食べてもいいか?」

「いいぞ。こぼすなよ」


そう言ったそばからジョシュアは、

ナプキンをソフィアの胸元と足の上にかけていた。


ソフィアは、ニマニマしながら大きな口を開ける。

そしてガブリと真ん中へかぶりついた。


口の中にソース、野菜のシャキシャキした音、肉汁の旨味が

いっぺんに広がった。

ジュワンと音を立てそうなほど、それはジューシーだった。

後から、パンの香ばしい香りもついてくる。


「ジョシュ、美味い!!すごく美味い!!」


ジョシュアは微笑みながら、ソフィアの口元をぬぐった。


「ほら、気を付けろ。両手でしっかり持ってろよ」


その様子を見ていたオーリーは苦笑いした。

自分は、まるで邪魔者みたいだ。

おまけに大口開けるソフィアに、一応注意するべきか悩んだ。

あれでも我が国の姫なのだ。


まあ、いいか……。

オーリーは、やっぱり注意するのをやめた。

注意したところで直らないし、それなら食事を楽しんだ方が良い。


それにしてもジョシュアは手際が良かった。

特別なことでもないように、次々とソフィアの先回りをし

汚れるのを防いでいる。


「ソフィ、熱いから気を付けろ」

あげくにスープを渡すときには、両手で持たせてやっている。


これは……??もはや母親のような……??

……ソフィは、尻尾をブンブン振っている子犬に見える……。

そんなオーリーを見て、ジョシュアは不適に笑った。


「オーリー、うらやましくなったか?」

「バカ言え。俺の甘やかし方とは違う」

「なんだ、オーリー。腹が減って我慢できなくなったのか?」


相変わらず ズレているソフィアの見解に、オーリーは笑い出したのだった。



 ジョシュアと交代で、オーリーが食べ終えた頃、

それまで空をただ眺めていたソフィアが、ポツポツと

話し出した。


「ジョシュ、オーリー、グリフォンは増えていくと思う」


2人は顔を見合わせた。オーリーはソフィアに尋ねた。

「ソフィ、どうゆうことだ?」


「そのままだ。……さっきの赤ん坊グリフォンがいっていたのだ。

もっと友達が増えていくから楽しいとな」


ジョシュアは疑問に思っていたことを聞くことにした。

「ソフィ、お前グリフォンと話せるのか?」

「話せる……とはちょっと違うな……。自分の意思とは関係なく

映像が浮かぶのだ。何枚も。何となく、過去か、現在か、未来かが

分かるのだ。その映像の表情で、感情も分かる。

今まで解釈が間違っていたことはないな」


「ソフィ、グリフォンが増えると問題が起きそうか?」

「人が近づかなければ問題はない。ここの村人は

グリフォンの意に任せることが最善と知っている。

だから村人は問題がないが……」

「ないが……?」

「個体数が多ければ、目撃が増えるかもしれん。

ウワサを聞きつけてやって来る者を、食い止めた方が

良いだろうな」


オーリーが、穏便にすますには……と考えていた。

「何か、波を立てずに守る方法が必要だな。

間者を複数入り込ませるしかないか……?」

「それで済めば良いがな……」


その様子にジョシュアは、首をひねった。

「ソフィ、お前グリフォンと未来を見たな?」

「……ジョシュはごまかせんな。その通りだ」

ソフィアは笑った。


「未来も外れたことがないのか?」

「未来が見えたと言っても、ほんの何日か先くらいまでだ」

「それで、未来は何と?」

「たぶん、曇りの日、我々はグリフォンの王に

呼ばれるだろう」


「グリフォンの王……」

オーリーは、つぶやいた。

何という事だ、初めてグリフォンに(しかも ものすごく可愛い)

会えたというのに、次は王……。


ソフィアは苦笑いした。

「今まではグリフォンの意思を読み違えたことがないというのが

私の密かな自慢だったのだ。でも……今回は外れても良いな」

大きく伸びをして、敷物に寝っ転がった。


ジョシュアは止めることもなく、ブランケットをかけてやる。


「少し、休め。いつもより色々考えているだろう?

魔法以外で、お前がそんなことをするのは普通じゃないからな」

「……うん」


ジョシュアは優しく頬を撫でてやった。

少しすると、ソフィアは本当に眠り込んでしまったのだ。


オーリーが、さすがに呆れている。

ソフィアは一回眠ると、なかなか起きないので

遠慮なくジョシュアに話し出した。


「おい、ジョシュ」

「何だ?」

「……お前、……まだ返事はもらってないんだよな……?」

「ああ、もらっていない」

「……これは、返事をもらったと一緒じゃねぇのか……?」


そう言われてジョシュアはクスクス笑っていた。

「どうなんだろうな。そう思う時もあるし、

はっきり言葉にするまではと思う時もある」

「お前が待つつもりなら、口は出せんが……」

「いろいろな意味で、俺の忍耐力を褒めてくれ」

「まあな、そうなんだけどな。と言うか、

ソフィは王族だから、そんな忍耐は折り込み済みだろ?」

「おいっ、王族じゃなかったら我慢しないのか?」

「ああー、人によるんじゃねぇのか?少なくとも

俺たちの仲間内はガマンすると思うぜ、結婚するまではな」


その答えを聞いて、ジョシュアは笑った。

「意外に皆、真面目だよな。じゃあ俺の気持ちがわかるだろ?

この忍耐力を、褒めちぎってくれ」


その答えを聞いて、今度はオーリーが笑い出すのだった。

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