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俺の閣下  作者: テディ
本編
27/186

第26話 経過

 面倒なことが持ち上がり、対応をしていたら

アッと言う間に週末になった。


今回は、ソフィアはリリー達と、ジョシュアはカイ達と

約束を入れていた。


ジョシュアは、機嫌の悪いソフィアに手を焼いていた。

隣国、ガザンの報告が入るたびに機嫌が悪くなる。

父である国王は、珍しくソフィアに我慢するように

厳しく言ってきた。異例だ。


ソフィアは破天荒であっても、両親思いだ。

自分の仕事で両親が困ることのないように、

熱心に取り組んできた。夜会も王族に必要な仕事と

しぶしぶではあるが、それなりに友好を深めている。

弟思いでもあり、良く助けている。

だからソフィアの家族は、ソフィアの愛情を嬉しく思い、

ソフィアを自由にさせるのだ。


ジョシュアは、リリー、マイア、モリンに

少し難しい案件が入っていると伝え、

何か気晴らしはできないだろうかと相談した。


3人は、驚愕した。こちらがソフィアの相談を持ちかけることはあっても

ジョシュアがソフィアについて相談してくることなど、ほとんどないからだ。


モリンはしばらく考えて、実験に見えて中身が重要でない遊びをしましょうと

微笑んだ。コーヒー豆の焙煎のきき比べをさせると言う。

その中で、ソフィアが話すことを望んだら聞いておくと言うことになった。


マイアは、いつもの通り快活にウィンクした。

「ジョシュ、任せなさい。あなたも気晴らしが必要よ。

カイ達が、あなたを連れ出すって言ってたわ。

少しいつもと違うことをなさい」


こういう時、ジョシュアは敵わないなと思うのだ。

普段であれば、自分のほうがよっぽどしっかりしている。

でもジョシュアが足を止めた時には、必ず彼女達の方が

物事を良く判断し、次の扉を開いてくれるのだ。

それが例え休息にしかすぎなくても。


ジョシュアは、彼女達に甘えることにした。

そしてカイに誘われるまま、街中で飲むことにしたのだ。


オーリーは、騒がしい店、静かな店、どこでも楽しめたが、

ルークとジョシュアは、騒がしいところは苦手だった。

カイは皆を良く見ている。

今回は、上品なゆったりとした空間の店を選んでいた。

ただ飲むだけの店だったから、女性客はおらず

男達だけで、ゆっくりするには上等の店だ。

そして、ジョシュアが人に見えない結界が張ることが出来る。

4人は、自分たちが思っているよりも重要なポストについており

人付き合いや、話の内容に気をつけなければいけない状態になっていた。


ゆったりとした1人がけのソファが人数分、丸いテーブルを囲んでいた。

テーブルには、フルーツが綺麗に盛り付けられていた。


ジョシュアは、ぼんやりとソフィアの好きなフルーツだなと考えていた。

そんなジョシュアにカイが笑い出した。

「やだな、ジョシュ。今、ソフィのこと考えたでしょ?」

クスクス笑っているカイに、ジョシュアは開き直った。

「悪いか?もう気持ちを止める必要がなくなったんでな」

「まだ返事もらっていないでしょ?今からこれじゃあ、

返事もらったら甘やかしすぎになるんじゃない?」

「カイ、甘いな。ソフィが仕事モードにならない日はない。

おまけに甘い空気は察しない。だから甘やかしすぎにはならんさ」


そう言ったジョシュアに、カイはキョトンとして笑い出した。

「確かにその通りだ。……でもそれって……結局

君は甘やかして、周りの人だけが当てられ続けるってことだよね……」

カイは嫌そうな顔をした。

「うわあ、それは嫌だな。当てられ続けるなんてごめんだよ」


「俺も真平ごめんだぞ、ジョシュ」

「オーリー!!ルーク!!そうだよね。ジョシュに言ってやってよ」

そう言って笑うオーリー達に、ジョシュアが静かに答えた。

「2人とも気配を消して、近づかなくてもいいだろう?

俺は隠し事はしない。どちらかと言うと聞きたければ

全部話してやる」

「お前……開き直って、のろける気が全開になったな……」


全員が注文したものが揃うと、乾杯になった。

「ジョシュ、ひとまず告白おめでとう」

ルークの声がけで、グラスがいい音をたてた。


「さて、ジョシュ。結界を張ってくれ」

「早いな、もうか?」

そう答えたよジョシュアに、オーリーはニヤリとした。

「そうだ」


しょうがないな、そう言いながらジョシュアは

スッと瞳に力を込めた。

ルークがクスクス笑っている。

「本当にジョシュときたら……。瞳だけで

誰にも分からない結界をはるなんて……」

カイも笑っていた。

「ソフィが違う部署なら、間違いなくジョシュが

特例で大臣閣下だったろうにね」

「俺はトップには向かない。補佐で充分だ」

ジョシュアは片手でグラスの氷を回していた。


オーリーも、強い酒を手にしていた。明日は非番なのだ。

酔っても誰にも何も言われない。

「ジョシュ、お前何やら色気が出たと評判だぞ?」

「……色気?なんだそれ」


ルークは静かに飲んでいた手を止め、説明し出した。

「告白したのがきっかけだったんだろう。確かに

色気がダダ漏れになっているよ」

「ルークまで……。まあ、俺にはどっちでもいい。

色気が出ててもソフィには効かないからな」


カイはクスクスと笑っていた。

「まあねぇ、今のところは効き目なしだよね。

でもソフィが気がついたら、大変なことになると思うから

今のうちに覚悟しておいた方がいいかもよ?」

「気がつかんだろ。しかも覚悟ってなんだよ?」

「ジョシュは、変な所だけ気が付きにくいんだよね。

ソフィが照れて、大変になるかもよって事。

お姉さま達が言ってたよ。ジョシュの告白を

考えもせずに断ったりしないって叫んでたって」

「そうなのか?」


ジョシュアは目を丸くした。


「正確には、リリーが隣国の縁談みたく

一刀両断で断るのかって聞いたら、ジョシュにそんなことはしないって

強く話してたらしいよ」


ジョシュアは、しばらく考えた後、ホッと息をついた。

「そうか」


オーリーが、ガハガハ笑いながらジョシュアを見る。

「良かったな、ジョシュ。さらにお前の想いが届く

可能性が上がったわけだ。まあ、ソフィらしく

ものすごく遅いスピードだけどな」


ルークは、ジッとジョシュアを見ていた。

皆の可愛い弟。いつの間にか恋をして、

いつの間にか大切の者を守るために、強くなった。

それもべらぼうに。

僕もリリーみたいだ……。

ルークは、自分に苦笑しながらジョシュアに尋ねた。


「ジョシュ、この際だから強気で持って行ってみたらどうかな?」

「強引に?あのソフィに?効き目ないだろう?

ソフィは頑固だ。自分の心が決まらないうちは

絶対に動かないぞ?」

「いや、ソフィの気持ちを強引に開かせるんじゃなくて、

ジョシュの気持ちを強く伝え続けるんだ。

ソフィは、考え始めている。自分の感情と向き合い始めてると思うんだ。

だから溺愛してみるのさ。今まで、やったことのない方法だろう?」

「それはそうだが……。溺愛されてるって気がつくか?」


カイもオーリーも笑っていた。

ジョシュアの言うことも一理ある。気がつかない可能性の方が大きい。


ルークは続けた。

「それは分かっているよ。でも変化が起き始めたんだ。

試してダメなら、他の方法を試せばいい。損はないだろ?」

オーリーはルークに加勢し出した。

「それもそうだな。ジョシュ、やってみろよ。

お前のダダ漏れ色気も、役に立つかもしれないぞ」


「ダダ漏れ色気って……。失礼な、もっと言いようがあるだろう?」

「そのままだ。語弊なく伝わるだろ?」


カイは良いことを思いついたと言わんばかりに

目を輝かせた。

「ジョシュ、スキンシップをもっと増やせば?

幸い?ソフィは考え事を常にしているから、

フォローし放題だろう?ソフィに触れたくないの?

僕は好きな子ができると、触れたくなるよ?」


ジョシュアは、カイを見た。

「お前……、手が早そうだな……」

「失礼な!!好きな子にしかしないよ!!」


憤慨するカイに、皆が笑い出した。

ルークは、ジョシュアに優しく言った。

「ジョシュ、もう気持ちを止めなくて良いんだよ。

自分でもそう言っていただろう?

返事を待っているだけで、ソフィは拒絶していない。

もっとグイグイいけば?」


「……分かった。やってみるさ」


ジョシュアは、本当に効き目あるのか?と

首を傾げながらも、友人達の案に乗ることにしたのだった。

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