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俺の閣下  作者: テディ
本編
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第23話 心の内

 次にソフィアが目を覚ましたのは、もう夜中に近い時間だった。

目が覚めたときに、ジョシュアがベッドの脇の椅子に座って

本を読んでいた、


「……ジョジュ……?」


ジョシュアは、優しく静かな声で答えた。


「ソフィ……?目が覚めたのか?熱はどうだ?

……ああ、長い時間寝たから下がってきたぞ。

良かったな、ソフィ」


ジョシュアは自身の額を、ソフィアの額につけて確かめた。


「ジョシュ?今は何時だ?」

「もう夜中だ。何か食べるか?アイスは?

少し水分を取って、また寝ても良い。

侍医の話しだと、寝れば寝るほど良いようだ」


そう言ったジョシュアを、ソフィアは不思議な気分で見ていた。


いつもの見慣れた自分の寝室。

家具はジョシュアと女性の友人に選んでもらっている。

この家具を選んだときのソフィアの希望はシンプルだった。


ーー友人が選ぶこと、

そして落ち着ける部屋であればそれで良いーー


ただそれだけだった。


ソフィアはソフィアなりに、審美眼は持っていた。

ただ、どうしても珍しい物、変わっているものを好むので

実用性や全体的なバランスが整わなくなるのだ。

自分でも、あれっ??っと首をひねることになる。


自身の給金で賄っているとはいえ、無駄遣いに思えて

それなら選んでもらってしまえとなったのだ。


こういったときは、モリンが力を発揮する。

彼女は、さりげなくソフィアの好みを入れながら

最終的に部屋の中がどうなるのか、コーディネートできるのだ。


ベッドサイドにあるランプは、ジョシュアが選んだものだった。

魔法以外に、ソフィアが唯一興味を引く植物をモチーフにしたものを

ジョシュアが選んできた。


それは、ガラスに色をつけた加工がしてあり、

魔法でともす灯りは、暖かな色になる。


ソフィアも、このランプが好きだった。


「ジョシュ、アイスが食べたい」


ブレないソフィアに、ジョシュアはクスクス笑った。

「分かった。そう言うと思っていた」


ジョシュアは、侍女長に声をかけ、厨房に向かった。


侍女長は、ソフィアにそっと声をかける。

「ソフィア様、少し汗をかかれたようですわ。

ジョシュア様が戻られる前に、お体を拭いてしまいましょう」


そう言うと、いつの間にか用意してあったお湯で

タオルを硬く絞って、ソフィアを清めていった。

顔までさっぱりし、着替えをすましたところに

ジョシュアが戻ってきた。


「ソフィ、起き上がって大丈夫なのか?」

「ジョシュ、大丈夫だ。侍女長が体を清めてくれたのだ。

だいぶさっぱりした」


その答えを聞いてジョシュアは微笑んだ。

「そうか、でもベッドに入れ。

体が冷えるとまた熱が出るかもしれん」

「分かった。ジョシュ、アイスは?」


ジョシュアは笑いながら、手に持っているものを見せた。

「大丈夫だ。料理長が、俺の手間にならないように

盛り付けて冷凍庫に入れておいてくれた」



ジョシュアは、ベッドに入ったソフィアの背に

たくさんの枕を入れて、体を起こしておけるように

してくれた。


「ほら、アイスだ」

ジョシュアはソフィアの口にアイスを運んだ。

ソフィアは一口食べて、ニマーっと喜んだ。


「ジョシュ、ベリーのアイスだ。私の好きなアイス」

「料理長が、お前が好きなものを考えたのだろう」


ソフィアは口に運ばれてくるアイスを、美味しそうに堪能した。

「ジョシュ、うまいぞ。お前の分はないのか?」

「これは料理長が、お前のために作ったのだ。

暑い季節がくれば、皆が楽しめるようになる。

心配するな、大丈夫だ」


ジョシュは笑いながら、ゆっくりとソフィアにアイスを食べさせた後、

口直しにコーヒーを持ってきてやった。

ソフィアはカップを手に、ニコニコとしていた。


「ジョシュ、うまかった。実は昼に食べたものは

あまり味を感じなかったんだ」

「熱が高かったからな」

「コーヒーも、ちゃんと味わえる。もう大丈夫だ」


そう言ったソフィアの額に、ジョシュアは手を当てた。

「そうだな。熱は下がったようだ。ただこの後きちんと寝ないと

また上がるぞ」


ジョシュアは、ソフィアからカップを受け取り、

ソフィアの体をベッドに横たえた。


「……ジョシュ……?」

「なんだ?」

「お前……なんで私が良いんだ?」


ジョシュアは、ソフィアから質問が来たことに驚きつつも

優しく答えた。

「お前だからだ。お前には尊敬できるところも、

手のかかるところも沢山ある。だから良いんだ」


それを聞いてソフィアは、目をパチクリさせていた。

「手のかかるところも良いのか?」

「そうだ。だから良いんだ」


「……お前……、やっぱり変わっているんだな」


ジョシュアはクスクス笑っていた。

「そうだな。変わっているのかもな」


「ジョシュ、お前、いつから私が良いと思っていたんだ?」

「……いつから……?気になるのか?」

「ああ、気になる」

「そうだな、いつからだったんだろうな。

お前が俺が側にいることが当たり前だったと言っただろう?

俺も同じだ。俺もお前の側にいることが当たり前だったんだ」


ソフィアは、急に目を丸くしてジョシュアを見た。

そんなソフィアに、ジョシュアは優しく話し続けた。


「驚いたか?でも俺にとっても、それは当たり前のことだったんだ。

意識したのは、お前が学校を卒業した時。

その時、はっきりと自分の気持ちを確信した」

「……そんなに前なのか?」

「そうだな。ひょっとしたら子供の頃から。

こんな気持ちを持っていた俺はキライか?」


ジョシュアは、以前より少しずつ自信を持ち始めていた。

以前は、ソフィアに自分を好きか嫌いかなどど

尋ねるなんて、恐ろしくてできなかった。

でもソフィアは自分を嫌がらない。

それが少しずつジョシュアに自信を持たせていった。


「嫌いじゃない」

ソフィアは、即答した。

「なんでだろうな?ジョシュだったらイヤじゃない」


それを聞いて、ジョシュアの胸には、またあの暖かな

愛おしさがこみ上げてきた。

ソフィアの頬を、そっと撫でながら笑った。


「そうか。良かった。さあ、ソフィ。

もう寝るんだ。朝になったら治っているぞ」


ソフィアは、頬を撫でられながら考えていた。

ジョシュであれば、イヤじゃない。

頬を撫でられるのは、とても気持ちが良い。

不思議だな……。


そう思いながら、心地よさの中、眠りに落ちていった。

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