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俺の閣下  作者: テディ
本編
20/186

第19話 衝撃

  ソフィアは1人取り残された部屋で、

やってきた侍女に世話をされるがままになっていた。


ようやく着替えが済んだ頃、ハッと我に帰った。

ウロウロと部屋の中を歩き回り、外を見たり、

天井を見たり、本を手にとったり……。


……ダメだ!!何も頭に入ってこん!!


パニックになったソフィアは、急いで友人に来てもらえないか、

知らせを頼むと侍女に言った。



ダメだ……リリー達に頼るしかない…!!


そんなソフィアを見ても、侍女も近衛兵も少しも変に思わなかった。


普段から考え事があると、ウロウロしたり、

ブツブツ言うのがソフィアだったからだ。


両親に晩餐を失礼する事も、

友人が晩餐を一緒にすることも侍女に伝えて手配する。

それでもまだ落ち着かず、1時間程、

部屋をグルグルと歩き回っていると、やっとリリー達が到着した。


お茶を用意してもらい、

部屋にソフィアとリリー、マイア、モリンだけになった時、

ソフィアはたまらず話し出した。


「大変だ!!ジョシュが変なんだ!!」


リリーはさすがに驚いて、カップを置いた。

「ソフィ、落ち着いて。ジョシュが変って……、

一体なにがあったの?具合が悪いの?」


「そうだな、たぶん具合が悪いんだ!!だって…だって……!!」


ソフィアは両手を上に上げ、天井を見上げた。

「だって!!ジョシュが私を愛してるって言ったんだ!!どうしよう!?

私に付き合わせ過ぎて、疲れが出たんだと思う!!」



ソフィア以外の3人は、あまりの展開にお互い顔を見合わせた。

そして、ついにジョシュアが動いたのだと理解した。


マイアは楽しそうに笑い出した。


「マイア、笑い事じゃないんだぞ!!」

「ソフィ、私 嬉しくて笑っているのよ。

やっとジョシュが打ち明けたのね」



そう言われて、今度はソフィアが固まる番だった。

「なっ……何?!」


そんなソフィアをよそに、友人達はにこやかに

思い思いの事を話していた。


「まあまあ、ジョシュはついに告白したのね。

ああ、これでひと安心。良かったわぁ」

「本当ね、モリン。お節介したかいがあったと言うものだわ」

「リリー、あなたがお節介なんて本当にビックリしたわ。

でも皆がジリジリしてたから良かった」


まだ固まっているソフィアに、リリーが振り向いた。


「そう言えばソフィア、あなたよく告白だったって分かったわね」

「そっ……そりゃあ何度も確かめたんだ。

だって……相手はこの私だと言うのだぞ!!確かめねばならんだろ!!」



それを聞いてマイアが微笑んだ。

「そこでヘコミも、うろたえもしなかったのね。

なかなかやるじゃない、ジョシュってば」

モリンもコロコロと笑っている。

「さすがジョシュね。1回決めたら、絶対やり遂げるもの」


「……っっ、何だ?!何の話だ?!なぜ皆は慌てない?!」

せっかく綺麗にしてもらった髪をぐしゃぐしゃと手でかきまわしながら、

ソフィアは、何のことだかさっぱり理解できていなかった。

「皆、ジョシュが心配じゃないのか?!どう考えても疲れだろう?!」


リリーは立ち上がり、ソフィの手を取ってかきむしるのを辞めさせた。

「まあ、ソフィ。ダメよ、髪が痛んでしまうわ」

そう言うと、ブラシを持ってきて、ソフィアの髪をとかしだした。


「落ち着いて、ソフィ。大丈夫、ジョシュは変になってはいないわ」

「なぜわかる?!」

「私たち、皆 ジョシュの気持ちが、あなたにあるのを知っていたから」


「??!!!」

ソフィアは口も聞けないほど、驚いた。

そして静かになった。

しばらくリリーに髪をとかしてもらい、少し落ち着いた頃、

ようやくソフィアは口を開いた。


「ジョシュは、変ではないのだな?」

「ええ」

3人揃って答える。


「ジョシュは、私をからかっているのではないのだな?」

それを聞いてマイアが笑い出した。

「あの真面目一辺倒のジョシュがからかう?ないわよ」


「ジョシュは、冗談で行っているのではないのだな?」

モリンは、クスクス笑いながら答えた。

「ソフィ、ジョシュは真剣だと思うわ」


それを聞いて、ソフィアはグッタリと

ソファの背もたれに寄り掛かり、目を覆った。

大きなため息までついている。


リリーは優しくソフィアを諭した。

「ソフィ、驚いたのはわかるわ。でもあなた、話していたじゃない?

自分の理想が現れたら、婚約しようって。ジョシュはあなたに

男性の自分本意な理想に近づくように求める人なの?

「……いいや……むしろ変わらないでくれと言っていた……」


それを聞いてマイアの横槍が入る。

「あら、ジョシュってば手抜かりなしね。きちんとそこまで伝えてるなんて」


リリーは優しく続けた。

「ソフィ、あなたの理想通り、ありのままのあなたを受け入れる

男性が現れたわよ」


ソフィアは疲れ切ったように、ゆっくりと話し出した。

「待ってくれ、そうだけど……、まさかジョシュが……?

本当に冗談ではないんだな?」

「ええ、冗談ではないわ」


にっこりと微笑む友人達に、ソフィアはこれがウソでも夢でもないと

認めざるを得なかった。

ただ、自分の中の驚きが強すぎて、どうしていいか分からない。

晴天の霹靂だった。


混乱するソフィアに、リリーは優しく話す。

「ソフィ、あなた隣国からの縁談は迷いなく断っていたわよね。

ジョシュも同じようにするの?」


ソフィアは、皆にわかるほど動揺した。

「そんなことしない!!……ジョシュにそんなことはしない!!」



「ではソフィ、ジョシュについて考えなさい」

放心するソフィアに、リリーは やはり気高く諭すのだった。

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