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俺の閣下  作者: テディ
本編
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第17話 決壊

 無事にソフィアを王宮に送り届けたジョシュアは、

女王陛下に、そのままお茶に誘われた。

ソフィアも一緒に休憩し、庭師とも打ち合わせする事になった。


「母上、ただいま戻りました。今日は新しい事づくめでしたよ」

そう満足そうに話すソフィアに、母は嬉しそうにしていた。

「おかえり、ソフィア。ジョシュアも、いつもありがとう。

今日もあなたのおかげで、無事にソフィアが戻ってきたわ」


そう言われたジョシュアは、優雅な仕草で敬意を表した。

「いいえ、陛下。こちらこそもったいないお言葉、

ありがとうございます」


「さあさあ、こちらへいらっしゃい。

今日は珍しくテオドアとジュードもいるのよ。

ジョシュア、あなたジュードに会うのは久しぶりなのではなくて?」

「はい、ジュードは学生ですし私は下宿におりますので……」

「では良かったわ。皆、あなた達の話を聞きたくて待っていたのよ」


案内された部屋は、この季節によく使われる大きな窓のあるサロンだった。

庭の花を、たくさん愛でられるようになっており、

母はこの部屋をとても大切にしていた。


中にはテオドア達も、もう来ていてソフィアを見ると立ち上がった。


「姉上、お帰りなさい。その様子では満喫なさったようですね。

ちょうどお茶の時間で良かった。ジュードと学校の課題をしていたのです」

「そうだったのか。久しいな、ジュード。元気か?」


ジョシュアに似ているジュードは、兄とは違い表情豊かだ。

にこやかにお辞儀をし、答えた。

「大臣閣下、お久しぶりでございます。

ありがとうございます、元気にしておりました。お帰りなさいませ」


そう言ったジュードは、次に兄を見た。

「兄様、お久しぶりです。お元気でしたか?

母上が、月に何回かは顔を見せるようにとおっしゃっていましたよ」

そう言われて、ジョシュは顔をしかめた。

「母上が縁談の話をしないなら帰ると伝えてくれ」


それを見て、ソフィアの母はコロコロと笑い出した。

「まあまあ、どこの家庭も同じね。さあ、座ってちょうだい」


母が座ると、皆で席についた。

ソフィアは眉を寄せて、ジョシュアに尋ねた。

「ジョシュ、お前縁談が来ていたのか?」

「閣下、全て断りました」

それを聞いて、ソフィアはあからさまに喜んだ。

「そうか、私と一緒だな!!」


それを見て、母が扇子に隠れて笑っていた。

「母上?何か面白いことでもあったのですか?」

相変わらずの姉の質問に、テオドアとジュードも目を丸くしている。


ジュードは、この様子で兄の恋はかなうのだろうかと

首を傾げていた。


「いいえ、ソフィア。なんともなくてよ。

さあ、あなたが買ってきてくれた花を生けてもらったのよ」


その花は、侍従によって運ばれてきた。

「陛下、こちらでございます」


母は子供のように喜んで、その花を眺めていた。

「まあ!!なんて不思議な形なのかしら!!見てごらんなさいテオドア、

ああ、でも良い香りがするわ。それにしても不思議な……」


ソフィアの母や弟、自分の弟が心底喜んでいる表情を見て、

ソフィアは充実感あふれる笑顔をした。それは穏やかで優しく

暖かい笑顔だった。

そしてソフィアはジョシュアを見て、同じ笑顔で言ったのだ。


「ジョシュ、行って良かった。ありがとう」


それの笑顔を見たジョシュアの胸の中で、突然何かが弾け飛んだ。

……なんだ……?

何かがこぼれそうなほど、暖かなものが湧き上がってくる。

……ああ、愛おしいと言うのは、これのことか……。


ジョシュアは、側にいられなくなるとしても

もう自分の気持ちは抑えられない事を悟った。


そんなジョシュアにジュードが気がついた。


「兄様……?」


ジョシュアは精悍な顔で答えた。

「どうした、ジュード。なんでもない。大丈夫だ」


ジュードは、今まで見たことがない兄の表情に戸惑っていた。

これは……??


まるで伴侶を守る、獅子の王のようだ。


そんなジュードに、ジョシュアはフッと笑った。


何やら男前度が上がっている気がする……。

無邪気に喜んでいる、テオドアを横目にジュードは

何が起こっても、うろたえないようにしようと覚悟したのだった。


母達を喜ばせたソフィアは、大満足だった。自分の好奇心が

皆を喜ばせる。そうすると自分の心も喜ぶことが気持ち良かった。


庭師との話も終え、

自室に下がり、ジョシュアに礼を言うと

ジョシュアは少し話せないかと言った。


「ん?良いぞ。今日は、もう何もしない。心配せずとも大丈夫だぞ?」

そう言うとジョシュアは笑って、小言ではないと言う。

「分かった」


ジョシュアは首を傾げるソフィアを、ソファに座らせ

その前にひざまずいた。

そして、ソフィアの手を取った。


「ジョシュ?何かあったのか?」

ジョシュアは笑いながら、答えた。

「何かあった」

「どうした?!大丈夫か?!何だ?!私で助けられるのか?!」


慌てるソフィアの瞳を見つめて、ジョシュアは打ち明けた。

「お前しか俺を助けられない。ソフィ、愛してるんだ。

もうごまかせない。お前だけだ。お前だけ。

どうか俺を一生、お前のそばに置いてくれ」


そう言って、ジョシュアはソフィアの手に口づけを落としたのだった。

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