↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の閣下  作者: テディ
本編
105/186

第104話 得意

 翌日、ソフィアは訓練場で、いくつかの魔具を披露していた。


前回の訓練で、工夫が必要と思ったソフィアは、

連日ジョシュアを側におき、ああでもない、こうでもないと

魔具の改良に励んでいたのだ。


普通、魔具の改良を行うのは魔力の高い職人だ。

新しい魔具を開発するのも職人。

その人々は魔具師と呼ばれ、市井に役立つ物を開発する。

まれに王宮の依頼で、魔具を開発することもあった。


一般的には師弟制度で職人になっていく。

学校を卒業すると、師匠を決め門下に入るのだ。


王宮で依頼される仕事は、当然ながら制約が多い。

機密事項もたくさんあるからだ。


ソフィアは、自分で持っている魔具を改良することは

半ば趣味のようなものだから、何の苦痛もなく

制約もない。出来上がったら、議会に了承を貰えばいいだけだ。


今日も嬉々として、ジョシュアのコントヌールから魔具を出させ、

意気揚々と説明し出していた。


ヘイネシア王国の魔法の訓練場は、王宮内にあるが

屋外で二列に連なった木に囲まれていた。

その内側に結界をはり、攻撃魔法が外に飛ばないようにするらしい。


シモーヌは、ソフィアの様子を見てコロコロと笑い出した。

「ソフィア閣下、相変わらず楽しそうですね」


その言葉にソフィアは、ハッとして少し照れた。

「申し訳ない……、つい夢中になって……。

改良がうまくいったので、皆さんに見ていただきたかったのです」


魔具を説明するソフィアを、真剣に見ていたツァイト、

そしてウィラス王国の魔法副大臣、クロノスは

次々に質問をしだした。


ツァイトは、いつも静かで遠くから物事を眺めているような印象がある。

一方、クロノスは豪快で陽気だった。オーリーとウマがあい、

夜会のあとは2人で酒を酌み交わすことも多い。


そのクロノスは、興奮していた。

「ソフィア閣下、僭越ながら質問してもよろしいでしょうか?」


「もちろんだ」

自分と同じ趣味を持っていそうなクロノスに、ソフィアは笑って答えた。


「改良と言うことは、魔石を取り変えたのですか?」

「取り換えるとは少し違うな。

結局、今回の案件は魔力あってこそです。

なのでランク3の魔具の中に仕込まれている魔石の

魔力回復ができないか試したのです。

何個も持ち歩いては不便ですからな」


「魔石を増やしたのですか?」

ツァイトは、穏やかに尋ねた。


「そうなんだ。元々ある魔石の魔力を回復するだけなら

もっとランクの低い魔石で大丈夫です。

だからランク4の魔石を仕込みました。

魔石に魔力がなくなると、ランク4の魔石が

魔力回復を自動で行うように細工した。

これならランク2と3を二つ持つだけで3回分の

魔力補強ができる。まあ保険ですな。

ついでに外側も小型化した。

目立たない方が良いであろうと思いましてな」


ソフィアはニマニマしながら、嬉しそうに説明していた。


シモーヌは、いつものようにおっとりと尋ねた。

「ソフィア閣下、ルーク殿?とても素晴らしい案ですけど

惜しげもなく披露してしまってよろしいの?」


ソフィアは、笑い出した。

「シモーヌ妃、だってゆくゆくは医療団で使用するでしょう?

先行投資です。それに今回は、聖動物に国に関係なく人が

嫌われるかどうかの瀬戸際ですからね。

ああ、でも実はルークから小言が……。このアイディアは

この案件が終了次第、医療団で使用すると契約していただければ

惜しみなく工夫をお教えすると……。ルークは手堅いのです」


当のルークは黙礼していた。


クアドロも笑い出した。

「それはそうでしょうな。いくら何でも大盤振る舞いだ」


ソフィアは顎に手をあて、首を捻っていた。

「そうですか?大したアイディアではありませんよ。

趣味から発生していますし……」


シモーヌは、クスクスと笑い出した。

「ソフィア閣下、趣味でできてしまうのは貴方だけですよ?」


「そうですか?……ふむ、ルーク、お前の言う通りだった」


ルークは黙礼しながら答えた。

「閣下、ご理解いただけて安堵しました」


「さ、では始めますか?我が国は改良した魔具を使用します。

皆さんも良かったらどうぞ」


ソフィアの改良した魔具は、他国を唸らせるほどの物なのに、

デザートをどうぞと言うような軽さで提案され、

クアドロは笑い出した。


「ツァイト、お言葉に甘えるか?」

「もちろんです、殿下。そうさせていただきたい」


「まあまあ、クロノス。落ち着きなさい。

お前も試させていただきますか?」

「はい、妃殿下!!どうか、そうさせてください!!」


やる気に満ち溢れ、前のめりなクロノスに

皆の笑い声が響いたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。