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第7話 休日①ー2

 休日――

 俺は最悪な形で清水りんと再開した。 


 散策途中で老人を助け、家まで荷物を運ぶ。

 その家が――清水りんの家とも知らず。

 

(さて……どうしよう)


 俺は、清水の方を見た。


「よ…よう」


 そう挨拶した。


「何であんたがここに居るの?」


 警戒度がMAXになった。


(やべぇやべぇ!)


 まさか助けた老人が清水の祖母!?

 こんな偶然ありか?!

 頭の中でパニック状態になる。


「りんちゃん、知り合いなのかい?」


 そう考えているうちに清水の祖母が口を開く。


「お友達?」

「……同級生よ」


 清水は友人とは言わないが、別に気にしない。


(清水にとっては警戒対象だしな)


 それは俺にとっても同様である。だから――


(さっさと帰りたい!)

「この人にね。助けてもらったのよ」


 それとは裏腹に清水とその祖母は話を進める。


「そう……」

「だからね。お礼にお茶でも入れようかなって思っていたの」

「ふーん」

(いや、いらねー!)


 こちらとしてはこの場を去りたい一心なんだよ!


(よし、ここは断って去ろう)

「あのーすいませ――」

「じゃあ入っていきなさいよ」

「……え」

(えーーーーー!!!)

 

 そのありえない言葉に俺の思考は――停止した。




~清水宅にて~

 現在、俺は居間に案内され、お茶を飲んでいる。


(あー。この緑茶うまい……)


 おいしそうな和菓子もついて、親切はするもんだなー。


(いや!そうじゃねーだろー!!)


 思考停止になり、現実逃避していた頭を無理やり起こす。


(今、俺緊急事態!エマージェンシー!!SOS!!!)


 まだパニックっているが、落ち着け俺。

 とりあえず、この菓子食ったら帰ればいいんだ。


「あなた……」


 清水の婆さんが口を開く。


「はい?」

「身体、大きいわねー」


 世間話が始まった。


「成長期が早かったもので――」


 ここは無難な答えを出す。


「りんちゃんは、学校ではどう?」

「ちょっとお婆さま!!」

「だってあなたに聞いても「大丈夫」しか返ってこないじゃない」


 清水の年相応を見つつも、俺は考える。


(清水についての無難な答えは――)

「えーと、清水いえ、りんさんはクラスが違うので詳しくは知りません」

「そう……」

「ですが、同じクラスでご友人の花園桜さんから色々聞いてます。」

「どんなこと?」

「頼れる友人であり、大事な友達と」

 

 それを聞いて、清水の婆さんは笑みを浮かべる。


「自分から見てもしっかりして頼りがいがあるのはわかります」


 聞いていた清水は、恥ずかしさから顔を赤くしていた。


「そう。頼りにされているのね」


 嬉しそうに笑みを浮かべるばあさんに、乗り切ったことを実感した。


「嬉しいわー。そんなに信頼されていて」

(まぁ。俺は別だけどな)

「ちょっと外すわね」


 婆さんがどこか行く。

 二人きりになってしまった。

 気まずい雰囲気の中、俺は茶を飲む。

 

「……驚いたわ」

 

 そんな中、清水が口を開く。


「なにがだ?」


 俺は清水に質問する。


「あなた、私の事嫌いだと思ってたの」

「別に嫌ってはいないぞ」


 清水は驚いているが、これは本当である。


「お前が俺を警戒するのは当然のことだ」

(こんな顔だしな)

「それに嫌いになったって貶めたりなんてしねぇよ」


 俺は別に他人に興味がないわけじゃない。

 貶めたり、いじめたりするのが嫌なだけだ。


「……そう」


 清水は俺の答えに納得したのか、そう言った。


「それに――」


 それにだ。


「桜がお人好し過ぎるから忘れがちだけど――」


 本当にそうだ。


「お前の態度の方が普通だからな」


 これだけは言っとかなきゃダメだ――そう思った。


「ふふふ」


 そう言ったら、清水は笑った

 こんな顔もできるのかと、少し驚いた。


「ごめんなさい。私も少し席を外すわ」


 清水は笑顔のまま行く。


(ちょっとは警戒を解けたってことかな)


 とはいえ、一人になっちまった。

 ばあさんか、清水が来るまで待つかと考えていたが――

 ガラ――

 障子が開き、爺さんが現れた。

 道場で着るような服で身を包んでいる。


(ただもんじゃねぇな)


 纏う空気にそう感じた。


「……誰じゃ?」

「えーと、自分は――王守大牙と申します」


 爺さんに誰と聞かれて名乗る。


「……そうか」


 そう言って、沈黙し、間が開く。


「……えーと何か?」


 沈黙に耐えきれなくなり、質問をする。


「……ふむ。ついて来なさい」

「えっ?…あの」


 どうするか悩んだが、ついて行くことにした。

 清水の屋敷の奥の方に歩く。


(どこに行くんだ?)


 言われるがまま、ついて来た。

 しばらくして止まり、雰囲気が違う場所につく。


(なんだ?ここ……)


 爺さんが戸を開け、中は――道場だった。

 爺さんの服からあると思っていたが――。


(なぜここに?)


 そう考えていたが、爺さんが何かを投げる――


(木刀だよな?)


 投げられた木刀に困惑する。


「……構えい」

「え?」


 そう言われたが、何が何だかわからない状況――


「どうした?構えい」


 再度言われた。


「……」


 言われた通りに構える。

 とはいえ爺さんの構えの真似だがな

 

「ふむ…」

 

 爺さんは何か確認するように見る。


(攻めた方が良いのか?)

「どうした来んのか?」


 爺さんは攻めて来いと言われた。


「じゃあ、遠慮なく!」


 本気出してケガさせたらやばい。

 一気に近づき、木刀を振る。

 爺さんはそれを木刀で流した。

 流したあとに木刀を上にあげ、振り下ろす。

 俺はそれをで躱そうして、肩に命中してしまう。

 肩に衝撃は来たが大したことはない。


(……この爺、本当にただもんじゃねえな)

「一本じゃねえよな?」

 

 爺さんにそれを確認した。


「……ふむ、そうじゃな」


 ニヤッと笑みを浮かべる爺さん。


「と言ってもワシ、剣道ルールでやるとは言っとらんがな」


 ――そういやそうだ。


「で?続けるのか?」

「いや、ええよもう」

「何がしたかったんだ?」


 目的も分からず、やってたが――。


「いや、ただ――」

「あーー!ここにいた!」


 俺の後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。


「清水――」

「あんた、居間じゃなく何でここにいるの!?」

(――こっちが知りたい)


 訳もわからず、爺さんに連れて来られたしな。


「そこの爺さんに聞いてくれ」


 爺さんの方に聞いてくれと、顔を向ける。


「お爺さま?」

「おう。りん」


 なんとなくわかっていたが、やっぱり――清水の祖父だったか。


「お爺さまが彼をここに?」

「まあな」

「なぜ?」

「んーちょっとな」


 爺さんはまた笑って言う。


「りんのボーイフレンドが――」

 

 一瞬、思考が止まる。


「どんなものか見たかったんじゃよ」


 その発言に――清水も俺も


「「はぁ!!?」」


――何言ってんだこの爺は?




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