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第6話 休日①

~拠点~

 定期報告のため、奥の部屋に行く。

 ――ブォン

 画面のスイッチを入れる。


「どうも、ウルフマン」


 デスピエロの顔を見て、俺は安心した。


「お前の顔見て安心するとは、俺もだいぶ疲れているみたいだ」

「……確かに疲れているようですね」


 デスピエロも認めるほどだ。


「そんな時にすいませんね」

「構わん、これが俺の仕事だ」

「そうですね。では報告を――」


 デスピエロに数日に起きたことを報告。


「……予想以上に大変ですね」

「まぁな。お前と考えた作戦も微妙な結果になった」

「それは仕方ないですよ。読みが浅かったということでしょう」

「そうだな」


 失敗を慰められるのは、情けなくもあり、有難い気持ちになる。


「しかし、清水りんという少女は厄介ですね」

「それは俺も同意だ」

「彼女の警戒を解かないと今後の計画に支障が――」

「ああ、そうだな」

「ただ、今は不可能に近いですね」


 確かに、不可能だ。俺を警戒していることもあるが――

 俺に違和感を持つほど「勘の良さ」だ。

 下手をすると墓穴を掘ることになる。


「……となると、こちらの邑楽めぐみは崩しやすそうですね」

「そうか?俺から見ても厄介だぞ?」


 邑楽めぐみは、のほほんとしているが、その実よく観察ている

 まだ、俺を危険と判断してはいないといえ――

 いつ牙をむくか、わかったもんじゃない


「確かに、彼女も厄介ではあります。ただ――」


 言い含めるデスピエロ。


「どうした?」

「あなたの報告を聞く限り、彼女は快楽主義な部分があるかもしれません」

「快楽主義?」

「ええ、もちろん犯罪の方ではなく――」


 デスピエロは確信を持った雰囲気で。


「まるで「おもちゃ」で遊んでいる感じなんですよね」

「どういうことだ?」

「私と同類ということですよ」


 デスピエロと同類。

 そう聞いた俺は、ある意味納得した。

 「おもちゃ」とは「人」のことである。

 こいつは遊ぶだけ遊んで、最後に壊すのである。


「お前と同類ってことは、余計に厄介としか言えなくないか?」

「ああいえ…彼女と私では根本が違います」


 否定するデスピエロに俺は頭を傾げる。


「彼女は「おもちゃ」を大切にするタイプです」


 待て、その言い分だと――

「――つまり、俺は「おもちゃ」だと?」

「はい。確実に」

(否定しろよ)

「といってもまだ「準おもちゃ」って感じですけどね」

「準?」

「ええ。友人にとっての危険分子であることは変わりありませんから」

(なるほど)


 つまり、めぐみの「おもちゃ」になれと言っているのだ。

 そう考えるとなんか複雑だが――


「――確実と言う訳か」

「ええ」

「その件はまた考えるとして、これからの計画を話そう。」

「ふむ。そうですね」


 結果、今のところ「変更なし」である。

 当分地道に調査することに決定した。

 あと、清水りんと、邑楽めぐみの件の解決。


「ウルフマン、確か明日は……」

「ああ、学園は休みだな」


 明日は、学園に転校して初の休日である。


「いい機会ですから休んでください」

「いやそう言う訳にも……」

「や・す・ん・で・く・だ・さ・い」

「は…はい」


 二言は許さない勢いで、デスピエロに押されてしまった。


「あなたは真面目過ぎますからね」

(こいつもある意味厄介だ)


 忘れていたが、こいつも怒らせると大変だったな。


「まぁ、任務の延長と考え、この辺りの散策でもどうです?」

(――任務の延長か)


 さして趣味もない俺にとってはいい経験かもな。


「わかった。そうしてみよう」

「それでは二日休んでくださいね」

「ああ、って、え」

「それではまた今度」


 ブォン

 画面が消え、俺は二日休むことになった。

(二日も散策しろってか)



 

~休日一日目~

 とりあえず、言われた通りに散策する。

 ここに来たばっかりだから、知らないことが多い。


「さて、どこまで行くか」。


 適当に道を選び、進む。

 右へ左へと進む。

 たどり着いたのが、商店街だ。

 「満開」と書いてある。

 この商店街の名前らしい。

 「満開商店街」


(……こういう場所は、嫌いじゃない)


 商店街というから色々ある。八百屋やレストラン、肉に魚、総菜屋もある。

 

(今日の飯、総菜屋で買うのも悪くない)


 そんなことを考えていると、人にぶつかってしまう。


「あらあら……」


 倒れたのは和服を着ている老人だ。


「すいません。お怪我は?」


 謝罪し、怪我の有無を聞く。


「あらあら、大丈夫ですよ」

(俺を見ても怖がらない?)


 それどころか笑顔を向けてくる。

 驚いたが、俺はその老人の荷物を拾う。


「ありがとね。坊や」

「いえいえ、こちらの不注意のせいなので」


 荷物を拾ったが、結構な量だ。

 老人一人に持たせるにはあまりにも多い。

 

(放っておくのも後味が悪いな)


「あの、もしよろしければ、家まで運びますよ?」

 

 老人は驚いていた。

 

(こんな強面に親切にされたら驚くよな)

「ありがとう。でも、良いんですよ?」


 断られてはいるが、さすがに荷物が多すぎる


(ほっとけというには多すぎる)

「いえいえ、どうせ暇なので」


 老人は、それを聞いて笑顔になる。


「なら、お言葉に甘えましょう」


 そうして俺は老人の家に行く。

 商店街からの距離は結構あった。


(よくこれで大丈夫って言えるよ)


 老人に呆れている俺は家を見る。

 いや、家っていうか――屋敷だな。

 和式だが、それくらいでかい門、でかい家だ。

 標識には――


「――ん?!」


 そこに書いてあったものを見て、俺は思わず二度見した。

 そこには「清水」と書いてある。


 (嫌な予感)

 

 とっと置いて帰ろう。そう決めた。

 

「こっちよ」

 

 老人は小さな扉を開き、入る。

 そこを通ると、丁寧に整理された大きな庭がある。

 そこを進み、家の戸を開ける。


「ただいま」


 そう言うと、和服を着た女の人が出てくる。


「お義母さん、買い物なら私が…って誰?」


 老人に何か言いそうだったが、近くにいた俺の方を向く


「この人、荷物をここまで持ってきてくれたのよ」

「そうなの!まぁまぁ、ありがとうございます!」


 女の人にお礼を言われてしまう。


「いえ、どうせ暇だったので、それでは……」


 荷物を渡し、帰ろうとする。


「どうぞ。上がってください」


 引き止められる。


「いえいえお構いなく」

「まぁまぁ。すぐに帰らなくてもいいのでしょ?」


 老人にも引き止められる。


「なら、上がっていきなさいな」

「いえいえ本当にお構いなく!」


(……やめてくれ。この流れは、絶対ろくなことにならない)


「お祖母ちゃん、帰ってきたの?」


 後ろから聞き覚えのある声がする。

 見てみると予想通り、そいつはいた。


 清水りん――。





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