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第5話

 屋上と校舎裏の件が終わり、俺の生活は――、状況は――

 はっきり言って、最悪だった。


「……んー」

「大丈夫?大牙くん?」

「あー大丈夫だ」


 あれから数日たったが、清水とめぐみに見られ――

 疲れ気味な日々が続く。

 授業中はまだ良い。休み時間や昼飯、放課後などで見られてる。


(情報収集もあんまりできてない)


 作戦失敗がここまで来るとはな。


「大牙くん」

「ん?どうした?」


 そんな俺に桜は俺に話しかける。


「今日ってヒマ?」

「特に用事はないが……」

「じゃあ!ウチの部活の手伝いしてくれる?」

「え?」


 急に言われてしまい、俺は思考停止になる。


「なんで?」

「今、ウチの部、力仕事で人手が欲しいの!」

「清水やめぐみは?」

「二人とも部活や用事で来れないの!」

(なるほど、だから俺に)

「お願い手伝って!」


 必死にお願いする桜に、俺は考える。


(これはチャンスじゃないか?)


 桜の性格上、部活の人間には信頼されてるはず――

 ならば、俺が行っても一応は信頼するはずだ。

 今まで滞っていた情報収集もできる!

 あと、協力者を得るって作戦も遂行できる!


(一石二鳥だ!)


「……いいぞ」

「ほんと!?」

「ああ、いいぞ」

「やったーー!」


 桜の喜びようは本当に人手欲しかったとわかる。


「じゃあ!放課後にね!」

「ああ」


 桜と放課後に約束を取り付ける。

 


~昼食~

 俺はいつも通り購買のパンで済ませる。

 近くには――清水とめぐみがいる。

 最近は近くにいることが多い。


(こいつらストーカ並みだな)


 話しかけるのは無駄だし、無視して食事を済ませよう。


「……あんた」


 そんなことを思っていると清水が目の前にいる。


「放課後に桜の部活を手伝いするらしいわね」

「!?」


 俺は驚き、食ったパンがつっかえかけた。


「……なんで知ってんだよ」

「桜さんに聞きましたのー」


 いつの間にかめぐみも近くに。


 (あんのアホ―!!)


 コイツらに言ったら確実に止められるでしょうが!

 しかし、今さらどうしようもない。


「それで止めに来たのか?」

「本当はそうしたいけど……」

「今のところ大丈夫そうなのでー何もしませんー」


 そう言われて、また驚く。


(マジか……)

「桜の部活が今大変なのも知っているし……」

「それに他に人もいるんでー安全と判断しましたー」


 これは本当に好機到来かもしれない。

 コイツらがいないなら情報収集もできる。


「……そうかい」

「けど――」


 安心しかけた俺に清水は――。


「私は監視てるからね」


 警告しに来やがった。


「あと、私はあんたのストーカーじゃないわよ」

(え……?)


 口に出てたか!?


「安心してください。出てませんよー」


 表情でめぐみに悟られた。


 (本当に勘がいいな……)


 改めて、清水の厄介さを知った。


「では、御機嫌ようー」

 こうして二人は去っていった。



~放課後~

 体操着に着替え、園芸部の場所に移動する。


「おー!君が大牙くんか?」


 そこにいたのはガタイの良い女だった。


「えーと?」

「おっと!済まない!」


 ガタイの良い女は堂々とした態度で挨拶をする。


「私は園芸部部長「土宮つちみや かえで」だ!」

(ここの部長か)

「初めまして、一年の王守大牙です。」


 俺は部長に挨拶する。


「おー!顔に似合わず丁寧な挨拶!」

(やかましいわ)

「土宮部長!失礼ですよ!」

「ははは!すまん!すまん!」


 笑いながら、謝る部長。


(豪快だな)

「君のことは桜から聞いていたから!ようやく会えて嬉しくてな!」

「ちょっと!部長!」

(なるほど)

「あはは!すまん!すまん!」

「そうですか」


 俺はその発言に冷静に返す。


「ごめんね!大牙くん!」

「いいよ別に……」


 桜は謝っているが、別に気にしていない。


「さて!そろそろ始めるぞ!」


 そうこうしているうちに始まるらしい。


「大牙くんは、とりあえずそこの土袋をあそこまで運んでくれ!」


 土袋の量と距離は結構あるが、平気な距離だ。


「わかった」


 俺は土袋の場所に行く。


「ふん!」


 俺は十袋の土を持ちあげると、周囲は静まり返った。


「すごいな君は……」


 周りの連中は驚いている。


「別に大したことでは……」


 怪人の状態ならこの四、五倍は持てるからな


「いやいや!私でも五つまでしか無理だ!」


 どうやらやりすぎたらしい。


(次は気を付けなければ……)

「この調子で頼むぞ!」


 部長に言われ、信頼できるといった表情だった。

 俺は黙々と働いた。

 土以外にも石や砂利、花壇などを運び、花を植えることもした。

 雑草取りや花植え、種植えなんかもした。


(なかなか、大変な作業だ)


 力仕事以外もするので、意外に大変だ。だが――。

 この花が咲くことを思うと、なぜか笑みが出る。

「ふふ」

 隣にいる桜はなぜか笑っていた。


「どうした?」

「え!あ!ごめん!」

 慌てて謝る桜。


「いや何に?」

 そう質問する俺に桜は――


「大牙くんが楽しそうで良かったなーって」


(楽しそう?)


「楽しそう……か」

 笑っていたのは事実だが――


「最近、難しい顔ばっかりしてたから……」

 

 そう言われ、この数日間、気を張っていたことを思い出す


「そうかもな……」


 そうして笑う俺に桜も笑顔になる。


 (ん?もしかして……)

 「お前……このために俺を呼んだのか?」


 そう言うと桜は。


「あ…ばれた?」


 桜の事だから、もしかしてと思ったが――


(まさかその通りとはな)


 相変わらずのお人好しに俺は少し苦笑する。


「もちろん!人手が欲しいってのも本当だけどね!」


 満面の笑みでそう言う桜に俺は何にも言えなくなった。


(桜は桜だな)


 桜のお人好しにまた助けられたらしい。

 作業は終わり、俺は達成感で満たされた。


「ふーー」

「お疲れ様!大牙くん!これはお礼だ!」

「ありがとうございます」


 土宮部長に労いの言葉とお茶をもらう。


「いやー助かったよ!」

「お役に立てて何より」

「大牙くん凄かったよね!」


 土宮部長と桜にもそう言われ、敵ではあるが素直に喜んだ。


「どうだい大牙くん?ウチに入らないか?」


 そう言われたが、俺は――


「すいません。家庭の事情で無理です」

 即答した。


(俺の任務は魔法少女の調査だからな)


 自分の任務の再認識をし、断った。


「そっかー残念……」

 残念そうにする部長。


 (まぁ。でも――)

 「――また忙しいときは手伝いますよ」

 「おーー!ありがとう!」


 手伝って、情報が得られるなら、こちらとしても好都合だ。

 俺の園芸部の手伝いは終わった。




~帰り~

 俺と桜は一緒に帰っている。


「今日はありがとう!」

「別に構わない」


 桜はお礼言い、嬉しそうな笑み。

「今日でいつもよりだいぶ早く進んだよ!」

「そうか」


 俺は桜と二人で帰っている――情報収集の好機。

「なぁ。桜」

 俺は桜に質問する。


「どうしたの?」

「ここら辺って「怪人」ってのが多いって聞いたんだけどよ……」

「あー確かに多いね」

「その怪人を倒してる「魔法少女」って知ってるか?」


 これで動揺すれば、こいつの可能性も大幅に上がる。 


「うーん……」


 少し考える桜――

「テレビで見たことあるけど、知らないなー……」


 そう申し訳そうなの笑みで言われた。


 「……そうか」


 桜の性格上、嘘は付けないはず――ならば。


(本当に知らないか――)


 嘘をついてない素振りも見せてない。

 白とは断定できないが、関係ないのこもしれないと考えた。


「すまないな。変なことを聞いて」

「いいよ!役に立てずにごめんね!」


 桜は謝ったが、俺は桜が白に近づいて――。

 なぜか――胸の中に張り付いていた緊張感が、少しほどけた。


「じゃあね!大牙くん!」

「おう、また明日」


 そうして俺は桜と別れる。



 

 ~桜サイド~

 大牙と別れた桜は――


(――ごめんね、大牙くん)


 ――心の中でそう考え、少し罪悪感を覚えている。


(よかった。りんちゃんたちと練習したのが役に立った)

 

 嘘をつけない性格の自分。

 ――他人を巻き込まないために嘘の練習をする。

 それを悲しいとは思わない。

 自分には仲間たちがいる。守るべき人がいる。

 その思いを胸に彼女は戦うのだ。

 平和のために。大切な人たちのために。なにより――

 自分のために。

 

 魔法少女の「ブロッサム」として――。





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