第69話 恋人と恋愛と――『黄色』
~めぐみの屋敷~
「――…ん?」
(…ここは?)
目を覚ました万奈美は、まだ頭がボーっとしている。
「…おはようございます…部長」
聞き覚えのある声――
「…九朗君?」
隣には、九朗がいた。その瞬間――
「~~~~~!!」
ここに来た理由や、自分が気絶していたことなどを全部思い出す。
「えっと……」
九朗は何かを言おうとする。
「これから…よろしくお願いします――万奈美さん」
「!!?」
万奈美は、その九朗の言葉に――
「それはいったい…」
わかっているはず…わかっているはずだが…聞いてしまう。
「――その……」
「付き合ってください」
九朗は顔を少し顔を赤くしながら言った。
「~~~~~!!!」
言われた――!
「付き合って」と言われた!!
万奈美の顔が赤くなる。
恋愛経験が皆無なのもあって、万奈美はまた――
プシューーー……
「え?」
……バタン
「ええーーー!?」
――また気絶した…。
「ちょ、万奈美さん!?」
~めぐみサイド~
『ちょ、万奈美さん!?』
「あらら…万奈美さんが持ちませんでしたか~」
九朗と万奈美を二人きりにして、その様子を見ていためぐみ――。
「――人の情事を見るなんて悪趣味だぞ」
――と、それを注意する大牙。
「失敬な~心配しているだけですよ~」
大牙に注意され、頬を膨らませるめぐみ。
「…結構、怒っていたな…お前…」
「そりゃそうですよ~」
ニコやかではあるが、まだ少し怒りを覚えているらしい。
「女の子の気持ちを蔑ろにしたらどうなるか…」
「わかってもらわないと…」
大牙は、めぐみのその笑顔に背中がゾクっと寒気を覚える。
――と同時に…。
「――…俺は、お前に答えているか?」
いつも彼女たちからもらっているから、自分はそんな彼女たちに答えることができてるか、不安が出てくる。
「…何、言ってるんですか?」
「!?」
めぐみは近づき、俺に抱き着く。
「あなたはそれ以上のことを、私たちに答えてくれてますよ」
ギュっと強く抱きしめられる。コレが彼女の返事なのだろう。
「…ありがとう」
そんなありふれた感謝の言葉を言い、俺もめぐみを抱きしめる。
(――しかし…)
俺もブラックも…めぐみの説得(脅し)で付き合う羽目になるとは…。
今回もめぐみの策略に嵌っていたが――
俺の時は違い…感情的になっていた面があるな。
「……」
大牙は、めぐみを抱きしめながら天井を見つめる。
(――怪人の俺たちが一人の女に手も足も出ないとは…)
さすがドンに認められただけはあると言うべきか…。
俺たちが情けないと思うべきか…
「――両方…かもな」
そう口から出てくる。
「大牙さん?」
「ああ、すまん…考え事をな」
「…そうですか」
めぐみは、何か思うところがあったが、ほっといてくれたみたいだ。
(――さて…これからあいつは大丈夫だろうか?)
~ブラックサイド~
「――では九朗さん、ごきげんよ~」
その後――
部長が気絶したまま車に乗せられ、僕は拠点(家)の近くまで送ってもらい――。
この後、部長が家まで送られる。
「送ってくれてありがとうございます。めぐみさん…それと――」
「――また会いましょう…大牙さん」
「ああ、またな」
めぐみさんと隊長に挨拶をして、車は行ってしまう。
「――ハァ~~~~~~…」
車が見えなくなった後――
僕は、深いため息を出す
(――あれが報告書にあった「邑楽めぐみ」…)
(確かに……あれはとんでもないね…)
ドンに認められたから、ただ者じゃないってわかっていたけど…
何も言い返せず終わるとは…。
部長…いや――
万奈美さんも…あんな厄介な相手を友人がいるとは…
「ん~~…」
――問題が増えた。
人付き合いは苦手のはずなんだけど…。
彼女が三人もできちゃったよ…。
「――…どうしよう」
女性との付き合い――
あの三人とは、「友人」として過ごしてきたけど…。
(……「恋人」となるとな~)
いくつか本を読んで付き合いの勉強……。
いや、できれば実戦経験が豊富な人の意見も聞きたい。
「――と…なると…」
僕の知り合いで、女性経験があるのは二人――
一人は、隊長のウルフマン…。
もう一人は――
――プルル…プルルル…
(――出てくれるかな?)
僕はスマホを取り、電話をかける。
相手は――
『もしもし~?だれかな~?』
「……久しぶり、兄さん……ブラックだよ」
『ワオ!マイブラザーブラァーーック!!』
このハイテンションで話すのは――
『ドゥウしたの~~?』
僕ら姉弟の次男であり――
ナンパ師&チャラ男である――
――『イエローリザード』である。




