第67話 魔法少女の会議
ここは――『ユグドラシル』……の枝でできた家である。
最近できた魔法少女たちの拠点である。
そこに集まっているのは、6人の魔法少女…。
「トリニティ・ブーケ」の三人と「プリズム・ジュエル」の三人である。
今回は――
万奈美が、相談があったので、「会議」と言う形ですることになった。
ここならば、魔法少女たちがいつもいる世界の時間より、隔絶されているからゆっくり相談ができるのである。
「皆さん…先輩方…本日は私事で恐縮なのですが、集まっていただきありがとうございます」
丁寧に感謝を言う万奈美。
「いいよいいよ!私たち仲間なんだから困った時は当たり前だよ!」
笑顔でそう言う「ブロッサム・ハート」こと「花園桜」。
「そうですよ~。同じ魔法少女として当たり前です~」
気品のある笑顔で言うのは「グレイス・ルミナ」こと「邑楽めぐみ」。
「それで、相談したいことって、何?」
りんとした顔で話をするのは「アクア・セレナ」こと「清水りん」。
「その―…」
相談した本人である万奈美は、言い辛そうにしている。
「部長、最近キスしましたー」
橙が、それを無視して本題を話す。
「ちょっ!?」
「えー!」
「へぇ~」
「そうなの…」
それを聞き――
桜は驚き、めぐみは楽しそうな顔をし、りんは平静な顔をしているが、少し耳が赤くなっている。
「どうしてそうなったのか聞いても良いですか~」
楽しそ~…に、めぐみは万奈美に聞く。
「それは、その…不可抗力というか…緊急事態と言うか…」
万奈美は焦り過ぎて、話が整理できずにいる。
「私が説明します…」
「楓ちゃん!」
そんな万奈美を見かねて、楓が説明する。
「――先日、私たちは部活動で山に行くことになり…」
「部活って?」
「オカルト部です」
部活の名前を聞くと、トリニティ・ブーケの三人は驚いていた。
「――その後、私たちはある件に関わって、目的のものを捕まえることができました」
「ある件とは?」
「詳しくは言えません…ですが、私たちと目的のものは一緒でした」
「目的のもの?」
「私たち…ツチノコを探してたんです…」
「ツチノコ…」
そう聞いて、りんは何かを考えこむ。
「もしかして…琥珀山の?」
「はい、そうです」
「りんちゃん、良く知ってたね!」
りんが、ツチノコのことを知っていたことに驚く桜。
「お爺ちゃんが見てたのよ。琥珀山にツチノコが見つかったっていうニュースを」
「そうなんだ!」
「そういえば、そんなニュースやってましたね」
三人は、その話で盛り上がる。
「――あのー……話を戻していいですか?」
そんな三人に楓は、話を戻して良いかを聞く。
「ごめんごめん!続き話して!」
桜は謝罪し、話は戻る。
「そのツチノコを捕まえる時、部長はツチノコの毒にやられました」
「え!大丈夫だったの!?万奈美ちゃん!?」
万奈美が危険な状態になっていたと話すと――
桜は万奈美の方を見て、心配そうな顔をする。
「落ち着きなさい桜」
「そうですよ。彼女がここに居ると言うことは、大丈夫だったと言うことです」
「あっ!そっか!」
りんとめぐみの言葉で、桜は落ち着きを取り戻す。
「それで…どうなったの?」
「毒にやられてしまった部長が倒れてしまうんですが…幸いなことに解毒薬がありました…」
「しかし…薬は口から摂取しなければいけなかったんです…」
「その時に…部員の一人と…」
そこまで聞いて――
この時、薬を飲ませるためキスをしたのだと、三人は理解した。
「――それで、両方とも気まずくなっているのですか?」
めぐみは、今回の相談の理由が、そこにあると推理してそう言った。
「いえ…その…」
「?」
めぐみの推理は半分正解で、半分間違いだった。
なぜなら――
「いやー、その相手は全くその気はないんっすよね~」
「ちょっ!?オレちゃん!!」
そう…気まずくなっているのは間違いないのだが――
――それは万奈美だけなのである。
「いや、だって…九朗君、動揺はしてたけど、キスに対しての申し訳なさの方が強かったじゃないっすか」
それを聞いて三人は、アチャー…と言う感じになる。
「それは…確かに…」
「嫌ですわね~」
自分だけが動揺して…相手は動揺してたのは最初の方だけ…。
「彼は…私を助けるためにしてくれたので…」
「キスされたこと自体は…もう大丈夫なんです…」
そう…彼は助けるためにキスをしたのだ。そこに他意などはない――
――しかし…それでも…
「モヤモヤするんです…」
彼女の胸中はモヤモヤでいっぱいだった……。
「――それじゃあ…」
「責任取らせましょうか?」
めぐみは、そう…笑顔で――
しかし、その笑顔には、何か恐ろしいものを五人は感じ取った。
「――あの…めぐみ…さん?」
恐る恐る話しかける万奈美…。
「乙女の初めてを奪っておきながら、何の責任も取らないなんて…」
しかし、万奈美の声は聞こえておらず――
「ありえませんわよね~?」
ただ、怒りが湧いていることが…わかった。
「「「「「ヒッ…!?」」」」」
――五人は思わず、めぐみの迫力に当てられ……
――ビビって、その言葉が出てしまう。
「めぐみさんって、怒ったらあんな感じなんっすか?」
橙は、ビビりながらも桜とりんに聞く。
「ええ…あの子を怒らせたら最後…」
「…骨も残らないし、絶対償いはさせられるね」
めぐみを良く知る二人だからこそ――
その恐ろしさは…嫌と言うほど知っている…。
((九朗君…頑張って…))
二人はそう思い、会ったことのない九朗に応援と無事を祈る。
「大丈夫ですよ~万奈美さん…」
「え?」
「私が必ず責任取らせますから~」
「いや…あの…」
めぐみの圧に押され――
万奈美は、九朗に責任を取らせることになるのであった。
「――へっ……くし!」
九朗は、そのことを知らず――
「何だろう?」
そう呑気に構えているのであった。




