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第66話 『青い』長男

「――みなさん、ありがとうございました」


 電車で町に着いた後、部長を家まで送る


「――部長、お大事にっす!」

「お大事に…」


 楓さんとおれんじは、部長の体調に気遣う言葉を送り――


「――部長…」

「!……く…九朗君…」


 電車の中でもそうだったけど…ここまで距離ができるとは…。

 顔がどうやって振る舞ったものか…と部長が顔を少し赤くし、困惑している。


「お元気で…」


 僕も気まずくはあるけど…


「――元気になって…また学校の部室で会いましょう」


 これくらいは言える。


「……はい」


 …部長は、まだ無理か


「それじゃ…僕はコレで…」


 これ以上は、部長にも悪いと思い、帰ることにする。


「あ……はい…また…」


 部長も僕の少し時間を空ける必要がある。


「楓さんと、橙も…また…」

「お疲れさまでしたっす!」

「また…ね」


 そうして、僕たちオカルト部は解散した。




――プルル…プルル…


「ん?」


 部長たちと離れてから、スマホから音が鳴る。


(誰からだろう?)


「――もしもし?」


 通話に出たのは…


「ブラック…私だ」

「!……ブルー兄さん…」


『ブルー・リザード』――


 僕らの姉弟の長男で、姉さんの右腕…。

 普段は忙しくて(主に姉さんのフォロー&仕事)、中々会えていなかった。

 そんなブルー兄さんが連絡して来たのには……正直驚いた。


「…どうしたの?」


 その兄さんに、何の用かと質問する。


「いや…今回は世話になったようだから、礼を…な」


 どうやらピンク兄さんや、パープル兄さんの件で、礼を言いに来てくれたらしい。


「…たまたまだけどね」

「それでも良くやってくれた」


 ブルー兄さんに褒められることは稀だ。

 忙しくていないのもあるけど、姉弟の中で一番のしっかりものだ。

 だから姉のフォローや、クセのある兄弟たちをまとめるために冷静に、慎重にやっているから、あまり褒められない…いや、褒めることが少なくなっていると言うべきか。


「レクス姉さんは?今回の件、姉さんが来てもおかしくなさそうだけど?」


 あの人なら自分のケツは自分で拭きそうなのに…。


「ああ…それは……ドンに止められた」


(兄さん……疲れてるな…)


 おそらく…姉さんが行くといったけど、ドンに止められたってところか…。


「ドンは…」


『お前が行ったら、余計面倒になるわ!!』


「…と姉さんに叱りつけていた」

「ああ……」


(確かに……そうなりそう…)


「それで今は、ドンに罰としてだされた大量の書類仕事で押さえつけている状態だ」

「うわぁ……」


(姉さん……ご愁傷様…)


 暴れることは好きでも、机に座って書類仕事とは――


 あの人にとっては地獄だろうな…。


「…どうなってる?」

「最近、執務室に行ったときは……痩せていたよ」

「あらら……」


 そこまでなのね…。


「じゃあ、兄さんも大変だね。そろそろ…」


 通話を切ろうとした時…。


「…ブラック」

「?」

「学校は楽しいか?」

「え…あ…」


 僕に学校のことを聞かれ、驚いてしまう。


「――色々大変なことはあるけど…」


(主に部活動と、その仲間で…)


「楽しくは…やっているかな?」

「そうか…」


 兄さんは満足そうな声でそう言った。


「――今日みたいに姉さんの尻ぬぐいに協力することがあるかもしれないから…覚悟していてくれ」

「…わかった」


 それを最後に…ブルー兄さんとの通話が終わる。






~ブルーサイド~


「――少し…らしくなかったか…」


 ピンクに言われてしまい……学校が楽しいかと聞いてしまった。

 ブラックも少し戸惑っていた。


 無理もない、基本は姉さんの傍にいることが多いから、ブラックのことを気にかけてやれなかった。

 姉さんが四天王になってからは特に…だ。

 その分、ピンクに頼りっきりになっていたからな。




――…ヴィーー…ヴィーー…


 通話装置の音が鳴り、ブルーは即座に切り替える。


「――私だ」


「お忙しいところすいません。兄さん」


 優しい口調の言葉……。


「……『ホワイト』か。どうした?」


 俺がいない間…共に姉さんの書類仕事をしている『八男』だ。


「兄さんに確認して欲しい書類があって…あと…」


「姉さんが…」

「またか…了解した。すぐにそちらに向かう」

「ありがとうございます」


 姉さんには困ったものだが…

 姉や、弟たちのためにも何とかしなくては…。


 姉や、弟たちのことを考えながら、今日も彼は仕事に打ち込む。



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