第63話 キャンプと――
『ツチノコ捕獲作戦』が終了して――
その時、部長が毒にやられたので――
今日はここでキャンプすることになった。
「姐さん!テント立て終わりました!」
「わかったわ。こっちももうすぐできるから待ってなさい」
「了解っす!」
橙が、桃五兄さんにテントを建て終わったことを料理中の兄さんに報告。
いつの間にか、『姐さん』呼びになってるけど……。
部長は、立てたテントに寝かせてる。
解毒剤を飲んだとはいえ、疲れは残ってしまう。
「部長の様子は?」
僕は部長の様子を見に、テントに来ていた。
「大丈夫…ぐっすり眠ってる」
看病は楓さんに任せている。
「そう…よかった」
UMAを探しに来たら、こんなことになるとは部長も思いもしなかっただろう。
(まぁ…僕もだけど…)
まさか、兄さんたちに会うとは、思わなかったし…。
「…散々だったね…楓さんも」
「確かに…今回は初めてのことばかりだったね……でも…」
「…楽しかったよ」
そうニコッと優しく笑う楓さん。
「あ…」
何かを思い出したかのような顔をする楓さん。
「どうしたの?」
「…部長にした‘‘アレ‘‘……どうする?」
「………そこは…僕から言うよ」
「そう…」
薬を飲ませる時にした‘‘アレ‘‘…どう言ったものかな…。
「――九朗、楓ちゃーん!」
兄さんが、僕らを呼ぶ声が聞こえる。
「どうしたの?兄さん?」
「料理できたわよー」
どうやら料理ができたらしい。
「姐さん、料理のメニューは何っすか!?」
橙が「待ってました」と言う勢いで、料理を聞いてくる。
「カレーよ」
「わーい!カレーだー!」
キャンプの定番メニューが出てきて、橙は嬉しそうだ。
「――みんなに行き渡ったわね?」
「は~い!」
「じゃあ…」
「いただきます」
「いただきま~す!」
「…いただきます」
「いただきます…」
カレーを貰い、各々食前の挨拶をして――
カレーを頬張る。
「うまいっす!姐さん!」
「ふふ、よかったわ」
橙の素直な明るさに、兄さんも明るくなってる。
この二人、相性良いらしい。
「…おいしいです」
「楓ちゃんもありがとう」
楓さんも素直に「おいしい」と言う。
「よく作ってたんっすか?」
「そうねー…姉弟たちによく振る舞ってたしねー」
桃五兄さん、昔から料理は得意だったんだよな…。
家でもよく桃五兄さんが作ってたし…。
「姐さんや九朗くんの兄弟って何人いるんっすか?」
橙が、僕の家族のことを聞いてきた。
(まぁ…別に問題ないけどね)
兄さんたちに会ってる時点で、姉弟がいることバレてるし…。
「私と九朗含めて、十人よ」
「へえー、十人……十人!?」
「わあー…」
橙と楓さん、驚いてる。
「大家族じゃないっすか!」
「そうねー。一番上が姉で、私が五男、紫七が七男、九朗が末っ子よ」
「九郎君、末っ子だったんっすか!?」
「うん…そうだよ」
「おー…」
更に、僕が末っ子だと言う情報で驚いている。
「今日は色々驚いたっすけど…」
「極めつけが…九朗君が大家族の末っ子とは…」
橙、すごく驚いているな。
「私たちも兄弟はいるっすけど、十人もなんて…」
「うん…」
「兄弟いるんだ…」
この三人、兄弟いたんだ…。
「いるっすよ!私のとこは、弟が二人いるっす!」
「私は…兄が…一人いる」
「部長はお姉さんがいるっすよ!」
「そうなんだ…」
部長や楓さん、橙も兄弟がいるんだ…。
「オレちゃん、うちと同じなのね」
「そうっすね~。中々世話の焼ける弟たちで…」
「そうなの~」
兄弟の話題で楽しそうにする兄さんと橙。
「ふふ、私たちは…姉さんに振り回されていたわ」
「……」
兄さんがそう言い、昔のことを思い出す。
「おお!お姉さんってどんな人だったんっすか?」
橙は姉さんのことを聞く。
「豪胆な人でねー…恐れ知らずで、自分の決めたことを必ず実行する人だったわ」
「おお!なんかカッコいいっすね!」
僕も兄さんたちに劣るけど、振り回されてきたからなー…。
「それと同時に…周りに迷惑をかけていてね…」
兄さんの顔が苦笑いになってきた。
「私たち兄弟がどれだけフォローしたことか…」
姉さん…任務で壊しすぎたり、やりすぎたりすることが多かったなー。
この前の任務も…。
「なんか…大変だったんっすね…」
「……」
橙が同情し、楓さんは何も言えなくなってる…。
「…そんな姉だけどね」
「曲がったことはしなかったし…」
「…私たちを亡くなった父と母の代わりに、ここまで育ててくれたの…」
「……」
僕が生まれた時、父と母は「ある事件」で亡くなったらしい。
それで一匹オオカミ…いや、トカゲ?……とにかく…。
姉さんが、幼かった僕たち兄弟のために、組織に入り僕たちの生活費を稼いでくれた。
子育ては、ドンも女将さんも手伝ってくれたし…。
「そこは感謝してるし、尊敬してるわ…」
桃五兄さんは微笑み、そう言った。
「――…いいお姉さんっすね」
橙がそう言い――
――コクン
――楓さんが頷く。
姉さんに言いたいことは……
…兄さん含めて…僕もたくさんあるけど……。
「ええ…自慢の姉よ」
兄さんは笑顔でそう言い、そこには僕も同意した。
「――…さて、家族の愚痴はここまでにして……」
兄さんは立ち上がり――
「カレーのお替りあるけど…食べるひとー!」
カレーのお替りする人を呼びかける。
「はい!は~い!お替り希望っす!」
橙は大きな声で言い――
「…私も…お願いします」
楓さんもカレーのお替りを求めた。
「九朗?あんたは?」
「……お願いするよ…兄さん」
僕もカレーをお替りする。
その後、食事を済ませ――
僕たちは、交代で部長の看病することに――。
「――やっと二人きりになれたわね…九朗…いえ…」
「…ブラック――」




