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第61話 作戦会議

 突然現れた全身ピンクは――


 僕の兄「ピンク・リザード」こと「戸影とかげ 桃五とうご」である。

 

 そして、森からもう一人――


 「パープル・リザード」こと「戸影とかげ 紫七しな」である。




 二人と話し合った結果――


 ツチノコを一緒に探すことになった。



「――…という訳で…」


「一緒に探すことになりました」


 僕は、部長たちに説明し、兄さんたちも探していることを打ち明けた。


 ただし、会社の命令で来たことにして――




「…そうですか」


 なぜか、何とも言えない顔をしている。


「ダメでしたか?」

「いえ…そうではなく…」


(どうしたんだろう?)


「あのー…質問なんっすけど…」


 おれんじが手を上げ、何か聞きたいようだ。


「ピンク髪の…えっと…」

「桃五よ」

「あ、どうも…」

「…それで何?」

「桃五さんが着ている…それ…何っすか?」


 どうやら部長たちは、桃五兄さんが着ている全身タイツが気になるらしい。


(…そういえば兄さん、この格好で現れたしね)


 まだ、気になるらしい…。


「ああ、コレね…」


 兄さんは全身タイツを触り――


「コレは防具服よ。対ツチノコ用のね」


 兄さんが来ているコレは、ツチノコの攻撃や毒などを防ぐものらしい。


 僕たち怪人には、ツチノコの毒程度は効かないが――

 人に見つかった場合の言い訳用に使うために用意されたものだ。

 ――しかも性能は本物。


「……なんでピンク?」

「私の好きな色だからよ?」

「そ……そうっすか」


 気持ちは…まぁ、わかる。

 見た目が派手過ぎるんだよね。兄さんの恰好――。

 見つけるだけならこんな格好しなくていいしね…。

 もう…見た目が変質者だよ…ガスマスクもあったら…。


「九朗?」

「何も言ってないよ」


 笑顔で「何か文句ある?」と言っている。

 桃五兄さん…勘が良いから下手な事言えないし、考えられないんだよなー。


「では、話も済んだことですし…」


「説明を始めます」


 紫七兄さんが前に出て、説明を始める。


「まず、我々が入手している情報は、基本のツチノコと変わりありませんが…」


 タブレットを取り出し、ツチノコの画像を出す。


「この生き物は、とにかく早いのと、大食漢です」


 この説明を聞き、部長が手を上げる。


「確かに早かったですけど…そんなに食べる見た目には見えませんでした…」


 当然の疑問だろう…ツチノコが、蛇という生き物に似ているなら、丸のみにして大きな獲物も食べるだろうが…この大きさでは…。


「当然の疑問ですね」


 紫七兄さんは、この質問を予想していた。


「大食漢の理由は、この生き物は素早く動く時、大量のエネルギーを使います」


 タブレットをスライドし、画像を見せる。


「それで常時移動するために丸呑みしてエネルギーを溜めるのと…」


「出会った獲物を咀嚼し、すぐに消化してエネルギーに変えるという方法です」

「咀嚼ってことは噛むんっすか?」


 橙がその情報に食いく。


「はい。蛇は、元々、牙を折り畳んだりもできるんですが、ツチノコは動物の肉を噛み切るほどの鋭い牙を持っています」


 画像を見せてもらったが、確かに鋭い牙だ。


「これならどんなものでも噛み切れそうっすね」

「加えて移動速度は時速30キロくらい…自転車や陸上選手並みの速度が出せますよ」

「それ本当なら蛇の中で最速っすよ!」


(そうなんだ…)


「そうなんだ…」


 楓さんも僕と同じことを思ったらしい。


「罠を張るのはどうなんですか?」


 部長が提案をする。


「無理ですね…いくつか用意したんですけど失敗しました」

「本能なのかわからないけど、なぜかスルーされるのよねー」

「…そうですか」


 さて、どうするべきか…。

 足が速くて、毒持ち…おまけに罠にも引っかからないときた。


 う~ん…八方塞がりになってきた…。


「…一つ案がある」


 そう言ったのは、楓さんだった。


「楓ちゃんだったかしら?」

「はい…」

「案っていうのは?」

「私が追い詰める…」

「「「!」」」


 追い詰めるという言葉に僕や兄たちは困惑している。


「それって…どういうこと?」

「私…この環境なら時速30キロより早く移動できる」

「「「!?」」」


 木々が生い茂るこの場所で…ツチノコより早く移動できる?


「あー……確かにできるっすね」

「そうですね」


 部長と橙は、何か納得してる!?


「九朗君には前話しましたけど…」


 ――部長が説明する。




「楓ちゃんは忍者の末裔というのは説明しましたよね?」

「あー…はい」

「その修行もしていましたので、身体能力もおそらくこの中で群を抜いてます」

「そうなんですか…?」


 普段の姿じゃ…想像つかない。いつも気だるげな感じだから…。


「普段はめんどくさがって、あんまり動こうとしませんけど…」


(…なるほど)


「普通に走っても早いっすけど、こういったゴチャゴチャしている場所なら、さらに早くなるっすよ」


 そう言われると…桃五兄さんが来た時、部長守ろうとしてた。


「でも、危険な役割よ?下手したら、あなたが死ぬ可能性だってあるわよ?」


 桃五兄さんの言う通りだ。

 いくら身体能力が高くても…相手はこの世界の生き物じゃない。リスクが高すぎる。


「大丈夫…あの速度なら…避けれる」

「……」


 桃五兄さんが、楓さんの目を見る。


「……わかったわ」

「!」

「その目に嘘はなさそうだし…任せましょう」

「!?」


 桃五兄さんの言葉に驚く。

 兄さんは、人を見る目は確かで…四天王(姉さん)にも任されるくらいだ。


「紫七、アレ出して」

「了解」


 紫七兄さんが持っていたトランクボックスから何かを取り出す。


「楓さん、九朗…どうぞ」

「これは…」


 何か服の様な…。


「私と着ているのと同じものよ」

「「!?」」


 桃五兄さんが着ているものと同じ…

 つまり…兄さんと同じ……。


「安心なさい。色は違うから」


「「――ほっ…」」


 兄さんの言葉で、楓さんと僕は安心する。


「とりあえず…このテントで各自着替えてください」


 いつの間に用意したのか、テントが建てられていた。


「わかった…」

「わかりました」


 僕と楓さんは、言われた通り服を着替える――




「あれ…この服って…」


 ――デザインが大分違う。


 桃五兄さんが着ていた全身タイツと…いくつか服が入ってる。


「…着替えた」

「着替えました」


 着替え終わり、みんなの前にテントから出る。


「「おお~」」


 僕と楓さんの服は、全身タイツを下地に上から服を着ると言ったものだった。

 半袖と短パン、動きやすい服で構成されている。その柄は、全身タイツ含め迷彩になって、森に溶け込むような構成になっている。


「かっこいいっすね!」

「ええ」


 ――部長と橙からは絶賛されている。


「こんな格好になるのね」


 いや、着ているあなたが何で知らないの?


「私は服を着る前にターゲットが来ちゃって、そのまま追ったのよね」


((((そうだったんだ…。))))


 そりゃ、あんな格好で出たら…ただの変質者だね。


「とりあえず…着替えたところで作戦会議といきましょうか」


 桃五兄さんがそう言い、作戦会議を始める。


「まず…楓ちゃんと九朗、そして私で所定の位置に誘い込んでから、そこに張っている罠であいつを捕獲する。ここまではOK?」


「大丈夫です」

「大丈夫…」


 そこまでは大丈夫だ。問題は――


「ここからが問題だけど…」


「あいつに気づかれないようにしなきゃいけないから、罠を張っている場所はできる限り気配を消さなきゃいけないの…」


 確かに…兄さんたちが張った罠を潜り抜けているから、できるだけ気づかれないようにしないと…。


「――そこは僕に考えがあります」

「!」


 紫七兄さん…。


「まず罠を張ったあと、無臭無色の薬品を撒きます」


 それで気づかれないようにするのか…。


「そして、所定の位置にターゲットが現れたら装置が発動し、捕獲するようにします」


 所定の位置まで追い込めば、任務は完了する。


 ここまで聞くと、大丈夫に思えるが――。


「あのー…すいませんけど、その作戦…一部修正して良いっすか?」

「!」


 そう言ったのは……橙だった。


「何か問題でも?」

「薬品撒いたあとなんっすけど…その後に草や土をかぶせた方がいいっす」

「?」


 薬品撒いたあと、土や草をかぶせる?


「それはなぜ?」

「動物って、鼻が良いんで、不自然に匂いがなくなったら、怪しまれて逃げられる可能性があるっす」


 なるほど…確かにその可能性はある。


「蛇だからそんなに鼻は良くないと思うんっすけど…一応やっときません?」

「なるほど……わかりました…その方向で行きましょう」


 作戦の詳細がまとまり――


「さて…あの蛇もどきを捕まえるとしましょうか」


 僕らは備える。



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