第59話 UMA『ツチノコ』――探索
前回、オカルト部の部室に急に来た橙の提案で――
UMA『ツチノコ』を探すことになった。
「やって来ました!琥珀山!」
ツチノコがいると言われる『琥珀山』に四人で来た。
「ここが…」
「はい、ツチノコがいるとされる『琥珀山』です」
部長が淡々と説明してくれる。
「秋になると紅葉シーズンなので綺麗なんですよね」
「そうなんですか…」
どうやら、観光名所らしい…。
(――しかし…)
「…人が多いですね」
周りを見るとテレビや重装備の捕獲用の道具を持っている人がいる。
「目的は私たちと同じ…」
「そうですね」
(これはすぐに見つかるか…勘違いで終わりそうだな…)
僕は冷静にそう判断する。雑誌から見ても影だけだから勘違いする人も多いだろう。
そもそも雑誌の記者が、面白半分で書いた可能性もある。
だから、僕は今回のことは、あまり期待はしていない。
「ここまで多いと…私たちでも見つけるの…難しい」
楓さんの言う通りだ。
「ふっふっふっ…」
何か意味深な笑い方をする橙。
「安心するっす…楓ちゃん」
「オレちゃん?」
橙は、リュックから紙を取り出す。
それを広げると――
「地図?」
「そうっすよ!ここの地図っす!」
それは地図で、いくつか線や文字が書かれている。
「探す場所、決めてたんですね」
「はい!部長!」
どうやら橙は、この山付近の地図でどこを探すか計画を練っていたらしい。
「…結構綿密ですね」
正直、橙の計画に少し感心して、そう言った。
それくらい詳しく、事細かに情報が書かれていた。
「そりゃそうっすよ!絶対見つけたいんで!」
橙が、UMAに対する熱意は本物らしい…。
「それじゃあ、ここに行きましょう!」
橙が指を刺した場所――そこに行くことにする。
ここで少し、ツチノコについておさらいをしよう。
『ツチノコ』
蛇のUMA。
体長は、30~80センチ程度。
体型は、ビール瓶のように胴体が異常に大きい。
体色は、黒褐色、焦げ茶色、灰色などである。
移動方法は、蛇とは違いクネクネと蛇行はせず、まっすぐ進んだり、垂直に立ち上がったり、ジャンプ、体を丸めて転がるといった特異な行動をする。
毒性も持っているらしい。
日本語では「槌の子」と言われ、妖怪の類とも古くから伝承に残っている。
トカゲと有力視されているが、当てはまらないことが多く。
まだわかってないことの方が多いらしい。
そもそもUMAなんているかいないかという以前に勘違い、見間違いのことが多いからわからないことだらけなんだけどね。
(いや…だったら…怪人の僕が言うなよ……って話になるね…)
――まあ…とにかく探索開始だ。
そうして僕たちは、ツチノコがいると思われる場所に移動している。
「…ここですか」
――来たのは、山の裏側…あまり人がいない場所だった。
「こんなところにいるんですか?」
今いる場所は、雑誌で見た目撃された場所より離れている。
「目撃された場所は人多くて、逃げている可能性あるかもなんっすよ。動物って、基本臆病な生き物なんで」
(なるほど…)
「あと、その日から生息地を変えている可能性もあるし、さっきの場所、実際見ても地図で見ても開けすぎてるんっす。爬虫類って、森ややぶ、湿気がある場所を好むんっすよね」
(確かに…)
僕も爬虫類の怪人だからその気持ちわかる。
薄暗いところや、湿気があるとなんか落ち着く。
(……すごく調べてるんだな)
橙の…UMAに対する本気度に少し感心している。
(なんでここまで…)
ここまでUMAにこだわるとは、何でだろう?
いるかわからない生き物を追うこと…それ自体にロマンを感じる気持ちはわからないでもない。
けど……無理して追う理由も僕にはない。
「――とりあえず、私と九朗君で探しに行きます」
「……え?」
(…なんで僕?)
「部長と楓ちゃんはここで拠点を作って、待機して下さい」
「わかった…」
「わかりました~」
と…話が決まってしまった。
そうして僕と橙で、ツチノコを探索することになった。
「……」
――真剣に木陰や湿気がある場所をよく見ている。
今まで騒がしいと思っていたのが、嘘みたいに静かだ。
「…ここも違う見たいっす。次行きましょう」
「…わかった」
ツチノコに気づかれないようにしているんだろうが…。
(気になるな…)
どうしてここまでUMAにこだわるのは何故かと…さっきのことと言い余計になってしまう。
「……ねえ」
「ん?」
そう考えて、僕は彼女に声をかけた。
「……なんでそこまでUMAを?」
その質問をするために…。
「…私…動物が好きなんっす」
彼女はそう言い、続ける。
「子供の頃から動物図鑑や動物園でずっと見てて飽きないくらい…」
「……」
「新しく発見された動物が出た時、すごいなー、かっこいいなーって思ったんす」
「そんなある日、UMAの本に出会って、そこに載っていたUMAたちに…惹かれたんっす」
「こんな生き物がいるかもしれない…もしかしたら絶滅している動物…まだ見つかってない新しい動物…私の知らない動物…」
そう語る彼女の目の輝きは……太陽の様にまぶしいと感じた。
「そんな生き物がいるのなら…私が見つけ出したいって…思ったんっす」
彼女の純粋さ、明るさ、真っ直ぐさが…UMAを追う理由なのだろう。
「…なんか、いっぱい話しちゃったっすね」
「子供っぽかったっすよね?」
そう笑う彼女に――
「――いや…」
「…良い理由で……綺麗だ」
――そう答えた。
「~~…ありがとうございますっす…」
帽子で顔を隠しているけど…照れているのか…。
「――…それじゃ、そろそろ、また探しに行きましょうか!」
「…そうだね」
また探しに行こうとした時――
「キャーーーーーーーーー!!」
「「!!」」
――悲鳴が聞こえた。
(この声は…!)
聞き覚えのある声と、この方向は…。
「部長と楓さんの方からっす!」
(やっぱり!)
僕と橙は、そう判断した時の行動は早かった。
山道だが、急いで走り、部長たちの元に向かう!
「――部長!楓さん!」
「大丈夫っすか!?」
着いてみると――
「「!!?」」
楓さんが部長を庇い――
その前にいたのは――
――全身ピンクの……『何か』であった!!




