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第58話 新しい部活動

 オカルト部に入って数日――


 ――僕が知らない世界を知った。

 

 オカルトの世界に片足を入れ、その世界を知った。


 そんな中――

 あの事件以来……部長の道具で、幽霊という存在を認知してからだ。


「…どうしよう」


 ――僕はどうやら霊感と言うものの適性が高かったらしい。


 眼鏡なしでも幽霊が見えるようになってしまったみたいだ。

 幽霊たちが、結構周りにいる。


 何か幽霊同士で話していたり、遊んでいたりしている。

 一応、無視はしている。関わったら面倒そうだし…。


 あと――


 部長から貰ったお守り――。


 霊感に困り、部長に相談した時にもらった。

 その時の部長の表情は、とても驚いていた。


 あんまり道具を使って霊感が覚醒した事例は少ないらしい。

 霊感の適性が高すぎて、見えるようになったと言われた。


 とにかく、これで害のある幽霊は近づいてくることはない。

 いつ生活が不便になるか、いつか面倒事になりそうか――。

 ――今のところは、意外にもない。


 ――もちろん、このことを隊長のウルフマンやデスピエロさんに相談したけど……。


 霊感を持った怪人の前例なんて、全くないから対応しようがないらしく…。


 『その道に詳しい部長さんに聞いて下さい』と言われた。


 報告書も書いてとも言われた。僕みたいな事例に対処できるように…と。



 

 因みに――


 現在、僕は部室の前に来ている。


「……失礼します」

「あ、九朗君、来ましたか」


 依頼がないときは、暇な時以外は来なくていいと言われているが…。


「では、‘‘検診‘‘を始めましょうか」

「はい…」


 霊感が開いたばかりの僕には、検診…的なものが必要らしいから、数週間は放課後に来てほしいと言われている。


「――ふむふむ…」


 いくつかの質問と目の様子を見て、何か考え事をする部長。


「どうでしょうか?」


 その態度に少し不安がある僕。

 いくら隠密や暗殺で鍛えられたと言っても…。

 霊感なんてものが覚醒するとは思ってもみなかったのだから…。 


(…まぁ、なっちゃったものは仕方ないけどね)


 鍛えられたお陰で、すぐに切り替えることはできたけどね。


「…うん、大丈夫ですよ」


 どうやら大丈夫らしい。


「道具で覚醒した人は、適性が高いので霊を惹き易いんです。」


(そうなんだ…)


「だから心配していました…」


 暗い顔をする部長。


「惹きつけ易い人は、霊に取りつかれ、最悪…死ぬこともあります」


(わあーー…)


 そうなったら、任務どころか…命が危ない。


「――だから、お守りを渡し、あなたの安全を確保ました。」

「なるほど…」


 確かに、お守りのお陰で近づいて来なかったし、家にも霊は入ってこなかった。


「…ありがとうございます。これのお陰で助かりました」

「いえいえ、お役に立ててよかったです」


 笑顔でそう言う部長。

 部長にとっても予想外なことだったのだろう。


「…あの…楓さんや、おれんじは…?」


 あの二人のことが気になり、聞いてみた。


「あー…あの子たちは大丈夫です。適性は全く…ないわけではないですけど…」


 なんか歯切れが悪いな…。


「どういうことですか?」

「彼女たちは、見えはしませんけど…」


 言い辛そうに…


「…殴ることができます」


 そう言った。


「……え?」


 見ることや聞くことはできないが……


 「殴れる」…確かに、そう言った。


「…えっと…それはいったい?」

「言葉通りの意味です」


(えー…)


 殴れるんだ…。

 その言葉に少し困惑を見せてしまう僕。


「…そんな人、いるんですね…」


 幽霊って触れないんじゃ…。


「基本は触れませんが、あの二人は『気』を溜めて殴ることや触れることを可能にしています」


(……マジですか)


 そう驚くしかなかった…。


「じゃあ…部長も…」


「あ、私はできません」

「えっ…なんで?」


 部長が触れないと言い、思わずそんな言葉が出てしまう。


「私の場合、幽霊を見ることや聞くことは得意ですが、触ったりすることができないんです。だから、道具を使って幽霊なんかを祓ったり、鎮めたりすることを中心にします」


 詳しく説明され――


「…そういう人もいるんですね」


 そう言うものと納得した。 


「触れたり、殴れたりする方がレアなんですよねー」


(――ん?…そういえば…)


 部長に触れることができる人がいることも知り――

 子供を慰める時のことを思い出し――


「……あ」


 ナチュラルにやってたけど…


 子供の頭に触れていたことを思い出す。


「どうしました?」

「あー……いえ…何でもないです…」


 面倒なことになりそうなので…黙っておこう。

 幽霊に触れることを知ったら…どうなるかわかったものじゃない。


 もしかしたら、仕事が増えて、任務に支障が…。


「九朗君?」

「すいません。ちょっと考え事を…」

「そうですか…何かあったら連絡下さいね」


 そう言われたけど…これからは幽霊に触れないでおこう!




 そんなことを考えていると――


「ぶちょーーー!!万奈美部長―――!!」


 勢いよくドアを開け、入ってきたのは――橙だった。


「…どうしましたそんな大声上げて…」

「コレっすよ!コレ!!」


 勢いそのままで、なんか雑誌の一面を部長に見せている。


「コレは…」


 その一面を机に広げる橙。


 そこには――


 『ツチノコ発見か!?』と大きな見出しで書かれ、影の様な写真があった。


「UMAっす!未確認生命体っす!見つけに行きましょう!」

「落ち着きなさい」


 とりあえず、橙を落ち着かせる部長。


「UMA…」


 未確認生物と言われるもので、『ツチノコ』はその代表の一体である。


「あ!九朗さん!いたんですね!」


 元気よく挨拶する橙は、僕に気づいてなかったらしい。


「九朗さんも行きましょう!UMAを見つけに!!」


 そのまま、こっちに来る橙。


「いや、その…」

「ロマンっす!これぞオカルトっす!行きましょう!!」


(やっぱりこの子…苦手だ)


 ここまでグイグイくる子は苦手だ。


「落ち着き…」


「…なさい!!」


 ゴン――!!


「グべっ!?」


 グイグイ来る橙を――


 頭部に拳骨をお見舞いする部長。


「ううぅ~~~…」


 痛そうに頭を押さえる橙――。


「ヒドイっす!部長!」

「盛りのついたお猿さんじゃないんだから、落ち着きなさい!」


 大分ひどいことを言っているが――今は何も言わないでおこう。


 助かったし――


「とりあえず…ココに行きたいのね?」

「うう~~…そうっす~」


 ――なんか涙目になってる。


「…よしよし」

「!?」


 いつの間にか、楓さんが橙の傍にいる。


(いつの間に!?)


 橙に気を取られたにも関わらず、部屋に入っていたとは…。


(この子がいると…ペースが崩れる)


 そう、橙と…楓さんの厄介さを再確認した。


「うう~~…楓ちゃ~ん」

「よしよし…」


 泣きつく橙を…慰める楓さん…。


「楓ちゃんも甘やかさない!」


 部長がそう言い、それでも慰める楓さん……そして、泣く橙。


「そんなに泣かないの!」

「うう~~…」


 それでも泣く橙。


「…わかりましたよ……行きましょう」


「!?」

「いいんっすか!?」

「構いませんよ。最近暇でしたし…」


 呆れたようにそう言う部長。根負けしたんだろうな。


「やっ~~~…た~~~!!」


 橙は、UMAを探しに行くと決まって、すごく喜んでいる


「よかったね…」


 楓さんは、橙の様子に笑みを浮かべながら見ている。


「…九朗さん」

「はい?」

「すいません。付き合ってください…」

「…了解しました」


(この人も結構苦労してるんだな…)


 まぁ、今回はオカルト部の部活っぽいし――

 付き合うか…。ちょうどこっちも休みだし…。


「では、今週の休みに行きますよ」

「は~~い!」

「はい」

「わかりました」



 こうして――


 UMA『ツチノコ』を探すことになった。



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