第57話 オカルト部活動2
「――えーん!えーん!」
――子供の泣き声が完全に聞こえる。
聞こえてしまっている…。
部活動で幽霊を除霊しに来たけど――
幽霊なんてものには、今まで関わったことはない。
だから、部長の開発した眼鏡を借りて、見えるようになる。
でも…
なんか幽霊の…子供の声…聞こえてるんだけど…。
同じの部活の同級生、聞こえないって言ってるんだけど…。
(どうしよう…)
現在の自分の状況に少し動揺している。
幽霊が見えたことにも動じなかったけど…。
聞こえるようになっているって、どうゆうこと?
僕の耳、どうなっているの?
(……とりあえず、このことは後回しにしよう)
僕は、幽霊の声が聞こえたことは、後回しにし――
部活動に…任務に…集中した。
「…あっちか」
聞こえるようになった耳で、子供の泣き声を辿り――
向かった場所は、公園の奥にある木だった。
「ここにいるの?」
「楓さん…」
(…ついて来てたんだ)
楓さんも僕の後ろについて来ていた。
「たぶん…」
見た感じ、ありふれた木のようだけど…。
「えーん!えーん!」
でも、この木から聞こえる。
前からは見えないから、僕は木の裏側を見る。
「えーん!えーん!」
――…いた。
年齢は4~5歳くらいかな。
「えーん!えーん!えーん!」
「……」
「えーん!えーん!えーん!えーん!」
「………」
「えーん!えーん!えーん!えーん!えーん!えーん!」
「…………」
泣き続けている子供――。
(…どうしよう)
「――いや、話しかけなよ」
「!」
楓さんに言われ、ハッとする。
そうだ。とりあえず――。
「――ね…ねえ?」
声をかける。
「……」
子供は泣き止み、こちらを見た。
「コ……」
「コンニチワ…?」
緊張で子供に挨拶を言ってしまう。しかもカチコチ&疑問形で…。
「……こんにちわ」
「!」
(返してくれたーー!)
心の中で嬉しさがあふれ出た。あんな変な挨拶だったのに!
「…ど…どうして…ここに?」
なぜ、ここに居るかを問う。
「……見つけてくれないの」
「?」
(見つけて?)
「だ…誰に?」
「……みんなに」
(みんな?)
「みんなって…?」
「ハヤトくん…ミナミちゃん…レンくん…レイアちゃん――」
(友達の名前?)
おそらく、この子の友人の名前だろう。
「――…ヤマモト先生…イツキ先生…園長先生…」
次は先生の名前?
「………」
黙ってしまった。
「……お…」
(お?)
「……お母さん」
「……」
――最後に親の名前。
「……みんな…ここに…いるのに…見つけて……くれ…ない……の」
一般人には、幽霊は見えない。
だから、この子を知ってる人は――
「…うぐ……えぐ……」
この子が近くにいても気づかれない。
「うぅ……」
どれだけ辛かったのだろう…。
「う…え~ん!え~~ん!!」
悲しかったのだろう…。
僕は、目の前の子供を――
――…ポン
子供の頭に手を置き――
「――…み……みーつけた…」
――僕はそう言った。
「……」
――子供は涙を流しながら、黙ってこっちを向く。
「……えっと」
泣いている姿に思わず、「みーつけた」なんて言ってしまった。
「――僕が…」
考えた末に――
「…君を見つけたから…大丈夫」
そう言い――
「…僕以外にも…ここのお姉ちゃんも…君を見つけているよ…」
「……」
「だから…大丈夫」
安心させるためにそう言った。
「……おにいちゃん」
「!」
子供の幽霊が、再び口を開き――。
「……ありがとう」
感謝の言葉が出て来た。
「……」
感謝の言葉で少し驚いている。
家族以外は、そんな言葉から縁遠いところだった。
「――九朗…」
今まで見ていた楓さんが、声をかけてくる。
「どうしたの?」
「…そろそろ部長を呼ぶ?」
そう言われ、この子を除霊するために来たことを思い出す。
――そうして、僕と楓さんは部長を呼び。
「――では、これから『成仏』をさせます」
部長に今までの経緯を説明して、この子が異形化してないことと、僕にこの子が懐いていたから成仏しやすいと判断したらしい。
部長は、跪いて――
呪文の様な言葉を言うと――
「!」
子供の身体から光が出てくる。
徐々に白黒の身体から色がついてくる。
子供は目を瞑り、穏やかな表情になっていく。
「……」
僕は、あの子の姿をただ見ていた――
死んだら、どこに行くか……。
正直、そんなことは個人としてはどうでもいい……。
ただ――
目の前にいる子供が――
安心して過ごせるところだったらいいな…と――
――そう…思うだけだ。
「――…お兄ちゃん」
「!」
もう……
消えそうになっている子供が、こちらを見て――。
「――ありがとう」
そう言った。
「――…終わりましたよ」
どうやら終わったらしい…。
「……」
穏やかな顔で消え――
光が空に上がっていった――
「……九朗」
「?……どうしたの?」
楓さんが、僕の方を見て――
「…大丈夫?」
そう言った。
「…なんで?」
「だって…」
「涙が……」
その言葉で、頬に触れ――
「……え?」
そこにあった水に――
――涙に気づき……。
目からそれを流していたらしい。
「大牙くん…初めての依頼、どうでした?」
依頼が終わり、部長がそう聞いてきた。
「……そうですね…」
今回の依頼……。
「…正直、知ったことが多くて…頭が追い付いていません…」
「そうですか…」
「けど……」
「?」
(今はただ…)
「…あの子の来世がいいものであるように願いたいです」
今は、ただそう思いたい。
「……やはり、あなたは――」
「?」
「楓さんが連れて来ただけのことありますね!」
笑顔で部長はそう言った。
「……」
楓さんは、フードで顔を隠している。
「…ありがとうございます」
とりあえず、礼を言った。
「では…!」
まだ何かあるの?
「今日は九朗君の初任務達成のお祝いで!焼き肉を食べに行きましょう!」
「やったーー!焼肉っすーーー!!」
(え?…ええ…)
なんで焼肉、というか行くの?
「…あのーせっかくなんですけど……ん?」
断ろうとしたが、服の裾を楓さんに引っ張られ――
「行こう…九朗…」
そう言われて――
「ああ…はい…」
――結局、行くことになり、焼き肉を食しました。




