第45話 ファンクラブの狂気
新しく潜入する怪人として――
ブラック・リザードに会合した。
性格上は少し難あり、実力は申し分ない。
これからどうなるかわからない。
実際、俺が潜入して彼女が出来ちまったからな。
だが、魔法少女には会えていないのが、現状だ。
「これは、どうにかしないとな…」
組織のためにもイチャついてるわけにはいかない――
しかし、あいつらと揉めるのも得策じゃない。
「板挟みだな…」
そう、俺はボソッと言う。
新人のことも心配だが、次のデート相手は――
めぐみだからな。
(そういえば……)
あいつとデートするのって、初めてだな。
あいつの家には行ったことがあるが……。
あれはデートじゃなくて誘拐だしな。
付き合う前のことを思い出し、懐かしむ。
「…どうなるかな」
めぐみ、いろんな意味で不安だ。
翌日――
「…ふぁ~~」
朝になり、今日からまた潜入だ。
ブラックも今日が転校のはずだが――。
(――大丈夫だろうか)
心配ではある。
だが、あいつの性格上、目立つことはしないから大丈夫だろう。
「大牙くーん!」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。
「ああ、桜…おはよう」
「おはよう!」
元気よく、いつも通り挨拶をする桜。
これを見てると、安心するな。
「た……大牙!」
大きな声で名前を言われる。
これも聞き覚えのある声だ。
「りん…」
俺が顔を見ると、りんは顔を赤くする。
「…おはよう」
「お……おはよう!」
(なんか緊張してるな…)
大分、色々やったから慣れてくれたと思ったんだが――
(…いや、逆かもな)
嬉しすぎて、大胆になっていたが、普通の女子は恥ずかしがる。
しかも…婿(候補)って言われたらな。
「大丈夫か?」
「だ……大丈夫よ!全然!!」
(いや、大丈夫ではないだろ…)
明らかに緊張しているのは、見て取れた。
「わ…私、先にいくから!!」
「お…おう」
そう言って、りんは先に行った。
「大丈夫か?アレ…」
「――大丈夫ではないでしょうね~」
「!?」
いつの間にか隣にいるめぐみ。
「ス・ケ・コ・マ・シさん?」
「…誰がだ…お嬢様?」
めぐみにからかわれ、言い返す。
(いつものめぐみだ)
「…それでなんだ?」
「いえ…りんさんと随分楽しんだようなので」
「…嫉妬か?」
「はい、そうです」
(断言するのかよ…)
「そうか……じゃあ…」
俺は、めぐみの耳の傍まで近づき――
「…今週…楽しみにしてろ」
「!」
更に追い打ちで――
「…逃がさないぞ?」
「~~~」
そう言った途端、顔を赤くするめぐみ。
「…そう…ですか」
しかし、めぐみは声出し――
「楽しみにしています…」
着丈に振る舞い、そのまま行く。
「…弱かったかな?」
「…十分だと思うよ」
傍にいた桜はそう言った。
「行こっ!大牙くん!」
「ああ…」
そして、俺も学園で普段通り過ごす――
――はずだった
「王守大牙~~~!!!」
「待て~~い!!!」
「てんちゅう~~~!!!」
「待つか、ボケーーー!!」
なぜ、男どもに追われいるかというと――
それは今朝から――
机の中には百通を超えるのではないかという手紙――
いや、脅迫状が入っていた。
内容は似たり寄ったりで――
『別れなければ…〇す』と書かれていた。
出した相手は……なんとなくわかる。
それを俺は――
ゴミ箱に捨てる。
「コッッッッッラァァアァァァ~~~!!!」
――デカイ声が聞こえる。
――嫌な予感はするが、振り向く以外選択肢がない。
「…やっぱり、お前らか……」
――ファンクラブ…。
「え~と……」
須藤は知ってるが……
「須藤…」
「なんだ!!」
怒り心頭だが、まあいいや。
「お前以外の会長の名前…何だっけ?」
そう俺が聞くと、須藤と一緒にいた二人が前に出る。
「俺は、桜さんファンクラブ会長!」
眼鏡をかけた男が前に出る。
「丘 犬太郎だ!!」
「拙者は、めぐみ様ファンクラブ会長!」
なんというか、めぐみの写真入りのうちわを持ち、「めぐみ様LOVE」と書かれた鉢巻を巻いて、いかにもファンですと言う格好だ。
「伊田世 変太でござる!!」
二人のファンクラブ会長が名乗りを上げる。
「あ…えっと…ありがとう?」
自信満々に名乗るこいつらに思わず感謝を言ってしまう。
「貴様の礼などいらん!!」
「そうだ!我らの目的は…」
ファンクラブの三人は隠していた木刀とおもちゃの剣を持ち――
「「「天誅!!!」」」
三人は襲い掛かってくる。
予想していた俺は、席を離れ、躱していた。
「いきなりだな」
こんな殺気満々じゃ、俺には当たらないけどな。
こいつらの目的は、三人と付き合っている俺が妬ましく、襲い掛かったというところか。
「こう言うのもなんだけどよ…」
まぁ、襲い掛かったことは、百歩譲って許してやるよ――
ただ――
「俺はあの三人と付き合っている…これはわかるよな?」
こいつらに当たり前のことを言っておこう。
「それでお前たちにとやかく言われるのは…」
そう――
「――お門違いだよ!!!」
はっきりそう言ってやった。
「「「………」」」
三人は、俺の言葉を聞き、黙る。
「う……」
(う?)
「「「うるせーーーー!!!」」」
「!?」
三人の会長は開き直り、襲い掛かる。
…いや、今度は――
「「「「「「「ウオオォォォーーーーーー!!!」」」」」」」
ファンクラブの会員全員が襲い掛かってきやがった。
(これは流石にヤバい!)
俺は教室を抜け、全速力で逃げる。
それで――今に至る。
「待てーーー!!!」
「天誅!!!」
「〇ねーーー!!!」
百人以上の男たちに追われ――
一応、まだ生きてはいる。
今、俺は――
学園の外を走っている。
まさかここまでついてくるとは――
狂信者の恐ろしさを知った気分だ。
――いや、知りたくはなかったが……。
反撃しても良かったんだが、今後のことを考えると――
あいつらが体力が切れるまで走り切ることを選んだ。
(さて…どれくらい走ればいいんだ?)
数時間後――
「ぜぇ……ま……ま…てー……」
正直、こいつらと二度と関わってたまるかと思う。
――もう、夕方だよ。
一応、早退届は出したけど――
(ここまでやるか?)
何度振り返って、こいつらを殴り倒してやろうかと思ったことか。
最初、百人以上いたのも――
「「「ぜぇ…ぜぇ…」」」
こいつら会長の三人だけだ。
正直、めぐみのファンクラブ会長は、体系的にすぐに脱落するかとおもったが――
(――…根性見せたな)
そう感心した。
そして、こいつらも倒れ、俺はそいつらを助けようとはせず――
そのまま帰宅するのであった。
「――結局、あいつらと話せなかったな…」
すぐに終わると思ったんだが――
人間の…いや…
狂信者の底力を見た。
「……疲れた」
ここまで走ったのは、いつぶりだろうか。
今日はもう家で休もう――。
――そう思っていた。
「――今なんて?」
デスピエロからありえないことを聞き、絶句する俺。
「…やっちゃいました…ブラックくん…」
――どうやら、まだ休めそうもない。




