第44話 ブラック・リザード2
待ち合わせ場所で、デスピエロと――
新しい潜入怪人「ブラック・リザード」
そして、新しい魔法少女「プリズム・ジュエル」がいる場所――
――「金剛学園」
「そこが潜入先か…」
「ええ…」
潜入先の金剛学園は、俺の拠点から北西のところか。
「今回は、1日だけですが、私の‘‘人形‘‘を使います」
「!」
「人形」とは――
デスピエロが開発した極小の機械が生物を支配し、意のままに操ることができる。
もちろん、人間も操ることは可能だ。
しかし、魔法少女や魔法少女がいる空間は不可能である。
偵察や陽動、人質などの汎用性が高い。
「――今更だけど、それで学校の生徒、調べられないのか?」
そう、この性能を知っているなら、そういう使い方もできる。
「やろうとしたんですが……無理でした」
「マジか…」
「マジです」
そう言われ、俺は絶句する。
「理由としては、学校に魔法少女がいるせいか、生徒たちの身体から結界の様なものができてるんです」
「……なるほど」
そう言うしかなかった。
「――…でも、そのおかげ見つかったわけか」
「まぁ………はい」
コイツの人形にする機械は自信作だったからな。
効かなかったことにショックで言い辛そうだ。
「さて……人形を使うのはわかったが――」
デスピエロがショックで黙ってしまったから、とりあえず話を進めよう。
「そんなに心配なのか?」
ブラックは隠密が得意だし、大丈夫だと思うが――
「ああ…はい……そこなんですけど」
デスピエロは、こちらに来るように手招きをしている。
そして、小さな声で――
「――彼…人と話すのが苦手で、情報収集できるか心配なんですよ」
(なるほど)
あんまり喋ること得意そうでないことは、初対面ではわかったが――
俺でも一応、集団行動はできている。
情報収集するためには、少しは人と関わった方がいいんだが――
「…じゃあ、なんで選ばれたんだ?」
「隠密行動が得意なのと……」
「どうした?」
「……リザード様の推薦で…」
そう言われ、納得してしまう。
ブラックのやつが乗り気でない理由も含めて…。
(あの人のことだから、無理やりやらせたんだろうな…)
「……あのー…」
「「!?」」
コソコソと二人で話していたが――
ブラックが口を開くまで、気配に気づかなかった。
さすが、隠密の精鋭だ。
「どうしましたか?」
「……」
デスピエロが、ブラックに質問し――
「……姉は無理やりやらせたわけじゃ……ないんです」
そう言われ、頭を傾げる俺たち――。
「…じゃあ、どうして来たんだ?」
断ることもできたのに…。
その問いにブラックは――
「……自分で…志願しました」
「「!?」」
その言葉に俺たちは驚く。
「――俺は…」
そのまま話を続ける。
「…‘‘ある事件‘‘で人と関わるのが怖くなって……隠密になりました」
「ある事件?」
「…すいません……そこはあまり話したくありません」
ブラックは、俺たちの顔を反らし――
片腕を掴み……
(…震えている?)
ブラックは、その事件については忌むべきものがあるらしい…。
「――わかりました…その件は、またいつか…」
「…ありがとう…ございます」
デスピエロの言葉に、感謝するブラック。
「隠密は…自分に合っていたらしく…精鋭にまでなれました」
実際、コイツの気配の消し方は一流だしな。
「それでも…姉さんや…兄弟以外の人には……」
(話すのは難しい……か)
事件のせいで、もともと内気だったのが、拍車がかかっちまったわけか。
「でも…このままじゃ…いけないと…感じて…いました…」
(…なるほどな)
「それで…姉さんから…この話を聞いて……」
「推薦したわけか…」
「…はい」
コイツ自身が変わるために――か。
「……あと…」
続けて――
「姉さんが……組織に迷惑かけましたので…」
「「ああ」」
先日の件――
つまり…勝手に組織の命令なしで地上に行き、魔法少女と戦ったこと――
そのために組織に貢献しようと思ったらしい――。
「いいやつだな」
俺がそう言うと――
「……姉さんには…」
少し微笑み――
「…いつも…助けて…もらって…ますから」
あの人、実は姉さんと同じで身内に優しいタイプなのかな?
まあ…根本な性格の相性が悪いから喧嘩になるんだけどな…。
(そういった面で見れば、こいつは俺と同じなのかもな…)
「――それじゃあ、金剛学園の件、任せたぞ…」
俺はコイツに――
「――ブラック・リザード」
ブラックを信頼することにした。
宝石の様に多くの色に輝く――
虹の様な目を真っ直ぐ見て、そう言った。
「はい」
ブラックも隊長である俺に敬礼する。
その後――少し話して、デスピエロに任せ、俺は帰路につく。
問題児が来ると聞いて、身構えていたが――
「杞憂だったな」
あいつ自身は、誠実で真面目だ。
内面に問題はあるが…。
(まぁ…大丈夫だろう)
気になることは多いが――
あいつはもともと隠密の精鋭だから目立たないのは、お手の物だろう。
(俺みたく、悪目立ちはしないだろう)
そう、考えていると――
「――あ…」
俺は、あることに気づく――
(あいつの目…)
人間化しても目は変わらない――
――ブラックの目は凄く目立つ。
(あとで連絡しておくか)
デスピエロに連絡して――
目の色を変えるアイコンタクトを使うように指示を出す。
しかし、この指示と――
――あいつの隠密の精鋭というのが、問題を起こすことになる。




