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第38話 仲直り

 俺は任務のため、隠し事をしなければいけないが――



 今回は、そのせいで守ろうと決心した相手を悲しませた。



「……」


 俺はまた屋上で正座している。

 

 ――今回は自発的にだ。


 見守る桜。

 泣いて、目が赤くなっているりん。

 それを睨みながら見ているめぐみ。


「大牙さん」

「…はい」


 その図はまさに親に叱られる子供であった。


「あなたが自分のことを何も話さなかったことは、この際置いておきます」

「!?」

「私たちも聞こうとしていませんでしたから…」

「……いや、それは違うよ」


――そうだ。


「俺が…言う気がなかったんだ」

「…どういうことですか?」


 ――そう、俺は。


「俺の過去は複雑だから言う気にはなれなかったんだ」


(そして、俺は――)


 こいつらをまだ信頼していなかったからだ。


(当然と言えば、当然なんだが…)


 怪人で、目の前にいるのが敵かもしれないんだよな。

 自分の命を最優先にして、こいつらに過去を話さなかった。

 いや、話せなかったんだ。


「…俺の両親は、俺が物心つく頃には亡くなっていた…」


 俺は過去を話すことにした。

 三人を悲しませるくらいなら喋った方がマシだ。


「!」

「え…」

「っ…!」

「それからは姉さんと一緒に親に世話になった人が、世話をしてくれたんだ」


 俺はできるだけ話せる部分を選定しながら言う。


「その人のお陰で姉さんは、いい仕事に就けたし、俺も今の生活をしていられる」


 嘘はない。すべては言えないが、偽りはない。


「ざっくりだが…こんな感じだ。俺の過去は――」

「「「……」」」


俺の過去を話した途端、三人とも黙ってしまった。


「――その…すいません」


 めぐみが口を開き、謝罪の言葉が出る。


「…そんな過去があったとは知らず――」

「いや、別に俺自身は気にしてないぞ?」

「え?」

「内容が色々複雑だから言うと心配されると思ってな」


 実際、三人とも何とも言えない表情になってるし――。


「姉さんのことを知ったら、俺の過去も話さなきゃいけないから黙ってたんだ」


 だが…そのせいで――


「しかし…りん」

「っ……!」


 俺に声をかけられ、ビクッと反応したりん。


「…何?」

「すまなかった」

「!」


 そのせいで、りんを泣かせちまった…。


「お前にそんな顔をさせたのは俺の不徳の次第だ」

「……」

「そして…お前たち三人には、もっと早く話すべきだった」


 そう言うと――


 三人に抱きしめられた。


「え……あ…おい…」


 その状況に理解が追い付かず、言葉に詰まってしまう。


「……ごめんなさい」

「?」 


 めぐみのその言葉に、俺は困惑した。


「あなたが…私たちを蔑ろにするなんて…ありえないのに」

「っ!」

「あなたは…いつも私たちのことを…考えてくれているのに」

「…いや…だから」


  泣きながらそう言われ、俺はさらに困惑した。


「本当に…ごめんなさい…」

「ごめんなさい」

「ごめんね。大牙くん」


 三人とも俺に謝る。

 こいつらは俺を受け入れてくれている。


(――うれしいな)


 言ったら、壊れちまうかなと思ったが――


 そうはならなかった。



「……おい」


 俺は三人に声をかけ――


「せい!」


 ――チョップをかました。


「「「~~~」」」


 三人とも痛そうにしている。


「そう言うの…やめろ」


 暴力的と言われるが、こういう力技の方が良いこともある。


「俺は、お前たちの笑顔が好きなんだ!」


 言いたいこと言えるしな。


「だから、お前らもそんな顔するな!」


 そうだ。そんな顔はお前たちには似合わない。


「大牙さん…」

「大牙くん…」

「大牙…」


 三人は俺の方を見て――


「「「えい!」」」

「ぬお……!?」


 ――チョップされた。

 三人分だから痛い。


「これで…今回の件はなしとします!」

「あ…え…」


 そう言われた。


「だから、大牙さん…」


 三人は俺に笑顔を見せ――


「「「これからもよろしく(お願いします)!」」」


 そう三人に言われた。

 どうやら…こいつらとの関係は俺に根深く残りそうだ。


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