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第34話 ピンチ!!

 ――今、俺は人生(?)最大のピンチに直面している。


 放課後の屋上で桜、りん、めぐみの三人が集まり、お説教&慰めをする。

 めぐみ、りんの順番で慰め、イチャイチャしたのだが――。


 最後の桜がとんでもないことを言い出したのだ。

 

 ――今週の休みに俺の家に来ると言うのだ!!


(――ヤバい!)


 万が一、地下のことが知られ、俺が怪人と言うことがばれ、まだ確定出ないにしても最有力候補の桜が魔法少女だったら――俺は殺される!!


 もちろん、桜が魔法少女だとは思いたくもないが――

 できることなら、コイツが俺の家に来ることは阻止しなくては!!


「――なっ……なんで俺の家に?」


 桜になぜ俺の家に来るのか確認する。


「今更だけど、私…あなたの…大牙くんの事知らないって気づいたの…」


 そう語り出す桜は、目に悲しさと寂しさが写っている。


「大牙くんが休んでいる間、考えたらあなたのこと…全く知らないって気づいたの」


 そう言われ、俺は自分のことはできるだけ話さない様にしていたことが裏目に出たと後悔し、今回の件で俺が休んだということもあり、桜が「俺のことを知りたい」に繋がったらしい。


 個人的には嬉しいという感情がある。

 彼女が俺個人を見ようとしてくれているのだから――。


 しかし、今回だけはダメだ!絶対ダメだ!!

 怪人の俺が魔法少女かもしれない彼女を拠点に連れてくる。

 彼女には失礼だが、例えると、害虫を殺すものを自ら連れて来るというのに近い。



「――でも…俺を知りたいならこれからゆっくり…」


「イ・ヤ!!!」


「!?」


 俺の言葉に対し、桜は強い圧を出し、強い決意で拒否されてしまう。


「私は!あなたのことを知りたいから家に行きたいの!!」

「いや…でも…」

「あなたのことが好きだから知りたいの!」

「……」


 桜は少し怖いと思っているが、勇気を出している。


(だが、すまん!無理だ!)


 俺はどうするべきか、頭をフル回転させて言い訳を考える。

 



 そして、俺はあることを思いつく。


「――俺は良いんだが…りんやめぐみたちは良いのか?」


 俺はりんとめぐみの二人に振ることにした。


「三人とも俺の彼女な訳だから…さすがに一人だけ優先ってわけには…」


 二人がこのことについて許すわけがない!特にめぐみが!!


「あー、それでしたらお構いなくー」

「!?」


「私たちも順番でそうしてもらいますから」


(なん…だと!?)


 一縷の望みを賭けた俺の作戦は、敢え無く失敗に終わる。

 更に、めぐみたちも俺の家にくるらしい。一人ずつ順番で――。


「な…なんで?」


 めぐみの予想外の言葉に、俺は疑問を投げかける。


「もともと、先週の休みは順番的に桜さんと言うことになっていましたからー」


 彼女たちが言う順番、それは土日の休みは土曜が1日中独占できることになっている。

 日曜は俺の休日になるということらしい。


「それにー私たちも知りたいですしー」


 めぐみにニコニコと満面の笑みで言われる。


「…私も…知りたい」


 りんは恥ずかしそうに小声でそう言っている


(こっちの気も知らないで、何言ってんだコノヤロー!!)


 今のこの三人に何を言っても無駄。


 ――これ以上断ると怪しまれる可能性が出てくる。


 俺の答えはどうやら決まってしまったらしい。


「……わ、わかった」

「!」


 嬉しそうな満面な笑みを見せる桜。


「ありがとう!大牙くん!」

「ただし!――休みの日で頼む!!」


 その条件を言い、桜が来ることになった。


「…あ、あと……」


(まだあるのか!?)


「キス…して?」


「……」


 そうして俺は桜にキスをして屋上の件は終わるのであった。




~拠点にて~

「――というわけだから、日曜日報告できないぞ……」


 俺は今回のことをデスピエロに報告する。


「……大変ですね…ウルフマン」


 さすがに俺の状況に同情してくれるデスピエロ。仮面越しだけど、わかる。


 自分を殺そうとする殺し屋を連れてくるようなものだしな。


「わかりました。こちらは任せてくださいウルフマン」

「…ありがとよ。デスピエロ」

「――しかし、彼女たちがそこまで好意を寄せてくるとは驚きましたね」


 俺が三人に好意の大きさに驚いているデスピエロ。


「…こんなに悪人面なのに」

「やかましい!」


 ――と同時に面白がっている。


(この野郎からかいやがって)


「怒らないでくださいよー」

「……」


 からかわれたことに腹が立ち黙る俺。


「しかし、その三人が魔法少女だったら面白いでしょうねー」

「…ありえないだろ」


 さすがにそんなことは宝くじが当たるより難しいだろう。

 そして…俺もそうは思いたくないのだろうな。


 任務とはいえ、あいつらのことは大事に思っている。


「――もし、そうだとしたらあなたは彼女たちと戦えますか?」


「……」


 そう言われ、俺は黙ってしまう。




 ――だが、考えても俺の答えは決まっていた。


「……やるよ。それが誰であろうとな」


「…そうですか」



 そう。もし、あの三人が魔法少女なら――。


 他の誰かに殺されるくらいなら――。


 俺があいつらと決着をつける。


「……まぁ、あなたが望むなら駆け落ちの手伝いをしますけどね♪」

「……」

「……あのー…冗談ですよ?」

「……わかってるよ」


 正直、ちょっと…いやだいぶ悩んだ。


 ――ここまでくると重症だな。


「――とりあえず、そっちは任せた」

「はい。任せてください♪」


 そうして俺はデスピエロの報告を終えた。


「…準備しないとな」


 俺は、桜が来る日まで準備を進める。特に――。


「――部屋くらいはそれらしくしないとな」




~エル・ノト居城にて~

(――…さて、誤魔化す手段でも考えますか)


 報告が終わり、歩きながらウルフマンのために報告書のことを考えているデスピエロ。


「…ん?」


 目の前から足音が聞こえる。しかもこの気配は――。


「デスピエロ。ここにいたか…」

「ブラッド・ウルフ様!」


 四天王筆頭ブラッド・ウルフである。


「…何か御用で?」

「いや…別に重要な用ではないのだが――」

 

「――今週の休日の件でな」

「ああ!…なるほど」


 デスピエロは、ブラッドが言いたいことがわかった。

 このところ忙しすぎて、ほぼ休めていなかったのだ。


 ――主にレクス・リザードの対処や報告に周っていたせいで。


 そして、今週ようやく休日が取れたのである。


「こちらは私たちに任せて休日はゆっくりなさって下さい」

「ありがとう。任せたぞ」

「はい。任せてください♪」


 ――この時、デスピエロは思いもよらなかっただろう。

 ――彼女がまさか弟に会うために人間界に行こうとは…。


(…この姉弟は苦労人の感じがありますねー)


 そう呑気に心配するデスピエロだが、ウルフマンに更なる苦難が来ることになろうとは思いもよらなかっただろう。


(お二人ともできることなら、ゆっくりしてくださいね)



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