第31話 魔法少女たち
目を開いた時――
知らない天井が桜の目に写る。
(…ここは――?)
周りを見てみると、りんとめぐみが両隣にいた。
「!…りんちゃん!めぐみちゃん!」
桜は、りんとめぐみに声をかける。
「…っ!」
「…う…ん~?」
二人は意識が戻り、目を覚ます。
「…さく…ら?」
「…桜…さん?」
まだ、二人は朦朧としているらしく、意識がはっきりしていない。
「二人とも大丈夫!?」
そう二人に声をかける。
「ここは――」
「私たち…確か……」
二人は四天王との戦いを思い出す。
「っ!そうだ!…アイツは!!!」
「あれからどうなったんですの!?」
二人にそう聞かれ、戸惑う桜――
「…ごめん…私も今起きたばかりなの…」
「「………」」
三人は周囲を確認する――
「ここって…」
「家?…いえ、木の中?」
「ですわね…」
そこは木造で作られているように見えるが、人工物とは言い難かった。
まるで木がくり抜かれたような部屋だった。
自分たちが寝ていた場所も枝が渦を書いて、ベットみたいになっている。
まるで童話の世界にある樹木の中のようである。
「朧気だけど、私たち――」
りんは思い出したかのように口を開く。
「確か――誰かに助けられたような…」
そう言われ――ふたりもハッとする。
「そういえば……」
「誰なんだろう……?」
自分たちを助け、この謎の場所にいる――
三人はわからないことだらけ――すると。
「起きたっすかー?」
入り口から声が聞こえる。
「あ!起きてるっすー!」
入ってきたのは、見るからに明るく元気なオレンジ髪の少女だった。
「――起きたんだ」
「そのようですね」
次に入ってきたのは――
無口そうな緑ががった短髪の少女と、にこやかに笑う三つ編みの少女だ。
三人は自分たちより上か同い歳くらいだ。
「おはよう…先輩」
「おはようございます。先輩方」
「おはようございまーーす!」
三者三様で挨拶する彼女たちに対して――
まだ現状を飲み込めてない魔法少女三人。
「――いきなりすまんね」
「っ!」
声がする。
「やあ…初めまして」
角と鱗がある人間?が現れた
初めて聞く声だ。なのに三人は初めての気がしなかった。
「あ!龍ちゃん」
「龍…」
「お疲れ様です。龍さま」
その人物は「龍」と言われているらしい。
「三人もお疲れ様――」
三人の少女たちの関係者らしい。
「――あなたは何者なんですか?」
りんは、龍に対して質問をする。
「ああ、失礼――」
龍は三人の魔法少女に話す。
「私の名は「蒼翠」――フェニックスと同じ神獣だ」
「「「っ!!!」」」
三人は驚いた――フェニックスの他に神獣がいたことに。
そして、人型になっていることに!
「――驚いたかね?」
三人は驚いてはいるが、それ以上に――
「すいません。驚いてはいるんです。けど――」
桜は、少し言い辛そうに口が開く。
「なぜ?――ミイラ男に?」
そう、三人はその神獣は全身を包帯で巻かれていたのだ。
桜はそのことについて青翠に聞く。
「ああ…コレか……」
青翠は包帯を見て――
「――ちょっと強い怪人にね」
「「「!!!」」」
三人はそれを聞き、一体の怪人が頭をよぎる。
「……四天王ですか?」
桜は口を開き、青翠に質問する。
「いや、違う」
「「「!!?」」」
三人はさらに驚いた。四天王以外に強力な怪人がいたのだから。
「私をこんな風にしたのは――オオカミの怪人だよ」
「「「!!!」」」
オオカミの怪人――そう言われて因縁の相手を思い出す。
「……ウルフマン」
その名前にたどり着くのに時間はいらなかった。
「どうやら君たちは、あの怪人について知っているらしいね?」
「…はい」
そう言われ、敗北の記憶が蘇る。
そのことを話し、青翠は考え込む。
「…君たちの話を聞く限り――」
三人の話を聞いた青翠は口を開く。
「‘‘あの力‘‘については知らなかったらしいね」
「あの力とは?」
「どうやら君たちが相手したときは出さなかった――いや…」
自分の記憶の中でのウルフマンを当て嵌める。
「できなかったというべきか…」
当て嵌めてなお、ウルフマンがあの力を使えば、フェニックスを倒せたはずだ。
それをしなかったのは――
(あの時初めて使った…か――)
そうとしか思えない。
(使いこなせているように見えなかったしね…)
「あのー…すいません」
青翠は考え込んでいると、桜が声をかけてきた。
「あ…あーすまない!考え込んでいてね!」
(悪い癖がでたなー)
「爺臭いところがでましたねー」
「ひどい!」
「「「!」」」
紫の長髪は急に毒舌を吐いた。
「すいません…つい本音が」
「なお、ひどい!!」
なぜかコントのようになり、戸惑う三人。
「とにかく!」
青翠は持ち直し、話を続ける。
「君たちが強くなっているように――相手も強くなっている」
青翠は少し慌てたが、平静を取り戻す。
「そこで君たちの負担を軽減するために新しい魔法少女をつくったんだ」
話を変えて、彼女たちを紹介する。
「彼女たちは『プリズム・ジュエル』」
紹介された魔法少女たちの名前は『プリズム・ジュエル』と言う。
「君たちとは別の力を使用できる魔法少女たちだよ」
「別の力とは~?」
めぐみは口を開き、質問する。
「それについては彼女たちに自己紹介のついでに説明してもらおう」
青翠は、彼女たちに投げる。
「ハァ…めんどう」
そう言って、緑の短髪は前に出た口を開く。
「葉隠 楓――」
葉隠楓という少女は三人の魔法少女と同い年らしい。
「魔法少女の時の名前は――プリズム・エメラルド」
どうやら名乗るのは恥ずかしいらしい。
「私の魔法は、自然と宝石の力を使うことができる」
説明を終える楓に、めぐみは手を上げ、質問する。
「宝石の力とは?」
「…治癒や拘束」
「宝石の力はその人、個人によるんだ」
力の説明をしている楓に、追加で説明する青翠。
「そうなんですか~ありがとうございます~」
そう言い、楓の説明を終える。
「次!わたし~!」
元気な声で手を上げて言うオレンジ髪の少女。
「私は!日向 橙!」
日向橙と言う少女は勢いそのままに喋る。
「魔法少女の時の名前は!プリズム・アンバー!」
はははと笑う橙。三人は橙の元気の良さに少したじろく。
「魔法は炎!あと爆発もするよ~!」
魔法は炎、爆発系らしい。
「宝石の力は~!力をパワーアップさせるよ~!」
力を上げる力、戦うときには便利そうだ。
「最後は私ですね」
最後に、紫の長髪の少女が口を開く。
「私は、紫水 万奈美と申します」
他の二人より一つ年上、落ち着いてもいる。
「魔法少女の時は、プリズム・アメジストと申します」
落ち着きながら話を続ける。
「魔法は、幻覚系が得意です。あとは攻撃魔法を少々」
幻覚系、三人にはない魔法、どんな魔法かわからないが心強そうだ。
「宝石の力は「予知」です」
「予知とは~?」
聞きなれない力にめぐみは口を開く。
「予知は占いと千里眼の中心に近い感じですけど――」
占いは、まだ不確定なことが多い。
千里眼は場所を見ることができるらしい。
「一応、みなさんを助けることができたのもこの力です」
どうやら三人は万奈美に助けられたらしい。
「「「ありがとうございます(~)!」」」
三人は万奈美にお礼を言う。
「いえいえお構いなく」
朗らかに笑う、万奈美。
「二人もありがとう!」
桜は、楓と橙にもお礼を言う。
「いやいや~」
「助けたと言っても…私たち逃げただけ」
「それ言ちゃう!?」
「私たち、最近魔法少女になったばかり…」
「そうなの!?」
そう言われ驚く三人。
「逃げきれたの…龍のおかげ…」
「そっか…」
桜はそう言われ、龍の方に向く。りんもめぐみも一緒に。
「私たちのためにそこまでの傷を――」
その全身の包帯を見て、申し訳なさそうにする三人。
「――気にしないでくれ」
申し訳なさそうにする三人に対して――
「今回の敵は強敵だった――」
青翠はそう口を開く。
「だから、私は君たちの盾となった――それなのに」
顔も包帯で巻かれて、表情はわからないが――
「そんな顔はしないでおくれ」
優しく微笑んでくれている。
それに対し、三人は笑顔でこう言った。
「「「ありがとうございました!!!」」」
その言葉に、青翠も静かに笑顔になる。
「あの、すいません――」
りんは、青翠に対して質問する。
「ここは――いったいどこでしょうか?」
そう言われた青翠は――
「世界樹の中だよ」
そこは世界を支える樹木――
神獣たちの故郷ともいえる場所――
世界樹である。




