第26話 ついに――
姉との通信を終えた俺は――
改めて潜入に集中しようとしていた……が――
なぜか、目の前の三人に付き合おうと言われている。
~数時間前~
「お二人とも~デートお疲れさまでした~」
桜とりんは、めぐみにデートの慰労と――
「それでどうでした?」
それを聞くために二人を屋上に集めていた。
「「………」」
二人は顔を赤くし、黙っている。
「あらあら~何かあったみたいですねぇ~」
それをニヤニヤと笑っているめぐみ。
「それでお二人の気持ちは~?」
その答えは――
「「………」」
さらに赤くなる二人の反応が答えである。
「聞くだけ野暮でしたわね~」
めぐみは二人の反応に楽しんでいる。
(楽しいですわ~)
実際、心の底から――
「とりあえず、お二人の気持ちはわかりましたので――」
めぐみは本題に入る。
「お二人ともフェニ様のお言葉覚えてますよね~」
敗北した時に、神鳥フェニックスからさらに強くなる方法を思い出す。
1,好きな人、つまり恋愛対象がいる。
2,その好きな人と恋人になる。
3,彼との親密度を上げる
三人の好きな人は同じ――つまり、大牙である。
「ここまで来たら、全員付き合っちゃいましょう!」
めぐみはそんな爆弾を言う。
「ちょっと待って!」
今まで黙っていたりんは口を開く。
「私たちがよくても、大牙はそうとは限らないのよ!」
もっともな意見である。
「そうだよ!大牙くんが他に好きな人がいたらどうするの!?」
桜も口を開き、もっともな意見を言う。
「それは大丈夫です~」
めぐみは、笑顔で余裕そうな顔をしている。
「大牙さんに、私たちの他に交流がある女性は――」
いつの間にか調べたのか――
「土宮部長と先生以外にはいませ~ん」
大牙の交流関係を調べていた。
「あとはどうやって大牙さんを付き合わせるかで~す」
「そっ…それはそうだけど!」
まだ不満がある、りん。
「りんさんの不満があるのはわかります」
りんの不満についても想定済みだ。
「全員付き合ってしまったら、大牙さん独占できませんよね?」
「っ!――」
全員付き合う――つまり三人の共有物になる。
それが、りんは不満を感じている点である。
「しかし、ご安心を~もちろん!その点に関しても想定済みです~」
めぐみの意見をまとめるとこうだ。
1,独占できる日を決める。
→くじ引きで決める。その順番で1か月進める。
2,学校でいる間は独占日に沿って独占できる。
→昼食限定と放課後(放課後は予定による)
3,大牙さんの体調と気分次第で休日にデートをする。
4,四人で過ごす日をつくる。(要相談である)
以上である。
「もちろん、これを実行して問題があれば、改善します」
りんと桜はしばらく考える
「ふー……わかったわ」
「私もそれでいいよ」
りんは渋々了承し、桜も了承した。
「――それで作戦は?」
「それに関しては私にお任せください」
作戦も考えていたらしい――
「あんた…いつの間にそこまで――」
「フェニ様の言葉を聞いた時に言ったじゃないですか~」
りんは、めぐみの言葉に戦慄していた。
「言いくるめる方法があるって――」
桜も同様である。
「りんちゃん…私、めぐみちゃんが怖く見えるよ」
「安心しなさい、私もよ」
めぐみの執拗さに二人は恐怖を覚える。
「ひどいです~!二人とも~!」
そんなことを言う、めぐみだが――
(それに私――)
笑顔の中には影がある。
(大牙さんを逃がす気なんて――ありませんし♪)
――大牙は逃げられないようだ。
もはや、大牙は絡めとられた獲物のようだ。
~現在~
俺は三人に話があると屋上に呼ばれる。
それで着いてみたら――
めぐみにいきなり三人全員付き合おうと言われる。
(こいつ――とおとう、頭が沸いたか?)
「めぐみ――とおとう、頭沸いたか?」
俺は、心で思ったことを言葉にする。
「大牙さん!ひど~い!」
「いや言うだろ?コレは――」
いきなり全員付き合おうなどと言われて、はいそうですかは言えない。
「――それで何でこうなった?」
めぐみに理由を問う。
「簡単な話ですよ~」
そう笑って言うめぐみだが、目は笑ってない気がする。
「私たち全員があなたのことが好きだからですよ~」
そう言われ、思考停止になる。
「…大牙さん?」
「……はっ!」
めぐみに声を掛けられ、停止した時間が動き出す。
「……えーと」
しかし、まだ戸惑っている。
桜とりんは何となくそんな気がしていたが――
(まさか、めぐみまでとは――)
予想外のことに思考が追い付いていない
そうしている内に、めぐみが口を開く。
「沈黙は肯定ととりま~す」
そう言われ――
「じゃあ!全員付き合うで――」
「ちょっと待てーーーい!!!」
俺がそう言うと――
めぐみは、ニヤァ……と笑う。
「え~そこはゲヒヒヒヒ~と言って納得して下さいよ~」
「そんな悪党みたいなことできるかぁ!!!」
いや顔は悪党みたいだし、怪人だけども――
「顔に似合わず真面目ですね~」
「やかましいわ!!!」
今さら顔のことは言われたくない。
「桜!りん!お前らはそれでいいのか!」
俺は桜とりんに声をかける
「――不満がないわけじゃないけど、了承はしたわ」
「私もー」
「――マジかよ」
とっくに根回し済みだった。
「二人もこう言っているので~どうです~?」
そう言われるが――
「いや…でも、さすがに」
(俺、組織の任務があるし、恋愛はさすがに――)
「もしかして~?私たちの事?お嫌いですか~?」
「大牙?」
「大牙くん?」
めぐみがそう言うと、りんと桜は涙目になり、こちらを見る。
「いや違う!!!」
ここでそうだと言えればよかったのだが――言えなかった。
「それに~」
めぐみの目がなぜか怖く感じる。
「断ることはお勧めしませんよ?」
その言葉には嘘はないという迫力があった。
「もし断った場合、ファンクラブの方々を使い、少し嫌がらせをします」
「なっ!?」
(脅しにかかりやがった!しかも陰湿だ!)
さらに言葉は続く。
「もしくは私の全勢力を使い、あなたを捕まえ、監禁します」
(今度は直接的!しかも犯罪予告!?)
「どうしますか?」
そう言われた俺は考える。
(こいつならファンクラブ動かすことや、監禁なんて本当にしそうだ)
そうなってくると調査が滞り、最悪監禁されてできなくなる。
そんな最悪の二択、怪人かすれば、解決するかもしれないが――
(今バレるわけにはいかない――)
そして、俺が出した答えは――
「――わかった」
「!」
こいつらと付き合うことだった。
「――俺でよければよろしく」
パアアアァァァ――
そんな音が聞こえるくらいの笑みをめぐみは見せる。
こちらに走って、こちらに飛んでくる。
そのまま、めぐみは――
俺の唇を――奪う。
「よろしくお願いします!」
そのあと満面の笑みでめぐみはそう言った。
(考えが追い付かねえーーー!!!)
「めぐみちゃん!ずるい!」
「そうよ!」
そう、桜とりんは言い、俺の方に向かってくる。
「大牙!」
「大牙くん!」
「はい!」
りんと桜の勢いで思わずそう言う。
「「正座!!!」」
「はい!」
そのまま正座させられる。
「付き合うなら私たち全員幸せにしなさい!」
「は…はい」
りんにそう言われる。
「それと私たちにもチューして!」
桜は大胆な発言をした。
「ちょっ!桜!」
「……あ!」
「まあ!」
桜は自分の言葉に赤面する。
「いや…あの大牙くん!これは!その!」
なんとか誤魔化そうとする桜だが――
「ふっ――」
この三人と付き合うと言った以上――
りんに言われずともそうするつもりだ。
(あとヤケクソも含めて!)
「――わかった」
「え!」
大牙は二人に近づき――
俺は先に桜の――
「!!!~~~」
次にりんの――
「!?!~~~」
唇を奪う。
「はわわわ~」
「っ~~~!!!」
呆然とする桜とりん――その隙に、最後にめぐみも奪う。
「!?」
唇を放した後、めぐみの顔を見る。
「――二度目だな」
「え?」
「お前のその可愛い顔は――」
「~~~!!!」
そう言って、少しめぐみに仕返しをした。
こうして俺はこの三人と付き合うことになった。
~険しい門の道―中層~
そこには魔獣たちの死体が死屍累々だった。
死臭が激しい中、その魔獣の肉を食べている者が一人――
「もう半分ってところか!」
レクス・リザード、彼女である。
「あと一日ってところか!」
食べながらそう言い、行く準備をする。
暴君がもうすぐ来る。




