第25話 姉との会話
~拠点~
桜とのデートが終わった。
だが、俺の心はまったく落ち着いていなかった。
頭がふわふわしている。
パニックなのか、嬉しいのか、わからない。
桜に告白の答えを言おうととしたが――キスをされ。
「返事はまた今度にして~~~!!!」
と、桜は遊園地を後にしてしまった。
(……断ろうとしたんだがな)
言おうとした瞬間、キスされた。
桜にキスされたことは――別に嫌じゃない。
(いや…むしろ――)
そこまで出たが、振り払う。
ビービー!!!―――
「っ!!!」
緊急のアラームが鳴る。
急ぎ、奥の部屋に向かう。
ブォン――
画面に電源を入れる。
そこには――
「久しぶりだな――ウルフマン」
いつものデスピエロの姿ではなく――赤毛のオオカミ怪人。
最高幹部「四天王」の一人であり、トップ「ブラッド・ウルフ」。
――そして、俺の姉だ。
(――マジかよ)
「お久しぶりです。レディ・ブラッド・ウルフ」
形式的挨拶をする――
「――そんな畏まらなくていい。ウルフマン」
「そう言う訳にはいかないでしょ?」
ブラッド・ウルフは四天王の中で生粋の冷酷な戦闘狂で通っている。
――身内には別だが。
「実の姉弟なのにか?」
「緊急事態ではないのですか?」
「周りが勝手に大騒ぎしたせいだ」
実際のブラッド・ウルフは家族思いだ。
冷酷な戦闘狂は演技に近い。
俺にとっては、頼れる優しい姉だ。
「それでどうしたんですか?姉さん?」
「――久しぶりにお前の顔を見たかった。」
その笑顔は慈愛に満ちている。
「本当に元気そうだな」
「ええ、大変なこともありますが、何とかやれています」
その答えに、姉は笑みを浮かべる。
「そうか?何か悩みはないか?」
悩み――彼女たちのことは任務に関係ないことだ。
「――いえ、特にはないです」
「そうか。ならばよかった――ん?」
姉は納得したと思ったが、怪訝な顔をする。
「――何か良いことでもあったか?」
姉にそう言われ、少しドキッとする。
「――姉さんに会えたことが嬉しいからですよ」
咄嗟に誤魔化したが――
「嬉しい言葉だが、そんな事じゃないだろ?」
バレてしまった。
「……」
どう言ったものかと悩んでいると――
「――まあ良い。お前のことは信用している」
姉は引き下がってくれた。
「ありがとうございます」
「ただし――」
感謝の言葉もつかの間。
「ウルフマンよ――」
姉の目が変わる。それは四天王のトップとしての目だ。
「魔法少女により組織の怪人たちが、倒され続けている。」
姉が話す現状に俺は改めて使命を思い出す。
「今まで以上に貴様の任務が重要になってくる」
「はっ!」
「期待している」
最後に姉の顔は――優しい姉の顔に戻っていた。
姉に期待された以上、今まで以上に任務に励まなければ――
(……期待には応えないとな)
~エル・ノト居城~
通信室から出るブラッド・ウルフ。
「――お話しできましたか?」
「すまないな――デスピエロ」
出口には、デスピエロが待機していた。
「いえいえ、このくらいは――」
(この方もウルフマンと話したかったでしょうし――)
彼女の苦労も分かっているデスピエロは――
満足そうな笑みを見せる彼女に――満足するのであった。
「彼はどうでしたか?」
一応、デスピエロもウルフマンの現状を知ろうとする。
「元気そうだったよ――だが」
元気そうと言う彼女の顔が曇る。
「――何かを隠している」
そう言われ、デスピエロは彼女の考えと同意見だった。
(報告書に散策内容の場所が遠いところが続いてましたからね)
水族館と遊園地のことである。
(不審な点はありますが、彼にも考えはあるのでしょう――)
不審と感じているが、デスピエロはウルフマンを信じるのであった。
「彼には彼の考えがあるのでしょう」
悩んだ末に――彼の姉である彼女が安心できる言葉をかける。
「あなた様の弟ですから、安心して――」
「――ありがとう。デスピエロ」
そんな言葉も見透かされ、感謝の言葉を言われる。
「お前の様な友がいるから、あいつも安心できる」
かけられた言葉に嬉しさもあるが――彼女に寄り添えない寂しさもある。
ダダダダダ――!
勢いよく走ってくるのは――
とんでもない形相をしたドン・ハシビロである。
「ブラーーーッド!」
デスピエロは、彼女の名前を言いながら走るドンに慄く。
「どうした?ドン?」
ドンに冷静に対処するブラッド。
「大変じゃ!先ほど門の管理者から連絡があり――」
慌てる表情で話すドン。
「あのアホ!――もといリザードが!」
(今、レクス・リザード様のことアホって言った?)
その言葉を飲み込み。ドンの言葉に耳を貸す。
「リザードのやつ!勝手に地上に行きおった!」
その言葉にブラッドもデスピエロも――一瞬、思考を停止した。
そして――
「「はあーーーー!!?」」
二人の声が居城に響くのだった。
~地上行の門の前~
一方、レクス・リザードの方は――
「――はははは!やっと着いたぜ!」
拠点から走り続け、一日かかりで門に着く彼女は――疲れすら感じていなかった。
レクス・リザードは、とうとお地上行の門にたどり着く。
「正式な任務じゃないから荒い方で行くしかないな」
門には二つの入り口がある。
すぐに転送される魔法陣。
七日かかるがたどり着く険しい道。
前者は組織が管理しており、正式な任務を取得してない彼女は、使用不可能。
後者であれば、組織は管理していない――いや、できない。
強力な魔獣や変形する道のせいで――実力者でなければ不可能な道。
しかし、彼女は――
「まっ!私の足なら二日ってところか!」
実力者の中でも最も強い部類に入る。
だから、二日で行くという彼女の言葉も虚像ではない。
「待ってろよー!魔法少女!ブラッドの弟!」
暴君女王の行進が始まる――
彼女は、止まらない。
一度獲物を決めた暴君は――。
~地上(学園)~
一方、大牙や魔法少女たちはそんなこと露知らず――
あることを話していた。
「大牙さんには私たち全員と――付き合っていただきます」
「――とおとう頭沸いたか?」
――そんな話をしていた。




