第20話 りんとのデート後
りんとのデートの翌日――
俺は現実逃避をしていた。
もうね。一言でいうならば、波乱万丈だったからね?
それくらい、衝撃的な事だったんだよー。
(すげー、空が青い……)
いや、だってさ、俺、恋愛なんて全くしてこなかったからね?
それがいきなりデートして、抱き合って、キスをする――
なんて…普通に考えられるか?
怪人よ?俺?
――そう考え歩いていると、校門の過ぎたところに、目の前にりんがいた。
――正直、挨拶し辛いが……言わない訳にもなー。
「――り…りん…」
「!?」
こちらを振り向いたりんは、顔を赤くし――
――ダッシュで、その場を去って行く。
「…え?」
(えぇ!?)
その光景に俺は、その場で固まるしかなかった。
「大牙くん?どうしたの、固まっちゃって?」
隣からいつの間にか、桜が来ていた。
「……おはよう、桜」
「……大丈夫?」
そう声をかけてくれる桜だが――
「大……丈夫…では、ないな」
「どうしたの?」
「……」
りんに――
「りんにちょっとな……」
「?」
衝撃が凄すぎて、言葉にできなかった。
桜も違和感を覚えただろうが、今はちょっと言えそうにない。
「…行くか」
結局、桜の質問に答えることはできず――
教室に向かうことにする。
~桜サイド~
今日の大牙くんは――
なんだか変だった。
「何かあった?」って聞いても、詳しいことは何も語ってくれなかった。
りんちゃんと何かあったぽいんだけど――
(……どうしよう)
「…う~~ん」
「どうかしました?」
「わっ!?」
考え事に集中してたら、後ろからめぐみちゃんに声をかけられた。
「めぐみちゃん!驚かさないでよ!」
「え~と…ごめんなさい…?」
私は、めぐみちゃんに驚いて、思わず怒ってしまう。
「それでどうしたんですか?」
「…え~と…」
めぐみちゃんは、怒らないで、落ち着いて私の悩みを聞いてくれた。
「……なるほど~」
めぐみちゃんは話を聞いて、考え事をする。
「では…」
めぐみちゃんはスマホを取り出し、どこかに連絡を入れている。
「…何をしたの?」
「それは~…」
めぐみちゃんは、笑顔で――
「昼休みのお楽しみです~!」
そう言われ、行ってしまう。
(大丈夫かなー)
昼休み――
そこには、めぐみちゃんと――
――りんちゃんがいた。
「桜さ~ん、待ってましたよ~」
「……桜」
めぐみちゃんは、どうやら、りんちゃんに直接聞くらしい。
「では~、ご飯食べながらりんさんに聞きましょうか~」
「デートのことを~根掘り葉掘りにして~…ね?」
その顔は、怪しい笑みを見せていて――
私は、りんちゃんが少し気の毒だなーと感じていた。
「それで~…どうでした?」
「……」
めぐみちゃんの質問に対して――
りんちゃんは恥ずかしそうに顔を赤くして、黙ってしまう。
「…桜さん、大牙さんはどうでしたか?」
りんちゃんが、答えそうにないから私に振ってきた。
「え~と…」
今日の大牙くんのことを思い出す。
「いつも通りにしていたけど…なんか少し上の空って、感じだった」
「!」
それを聞いた、りんちゃんは顔を赤くしたままこっちを見る。
「へえ~…そうなんですか…」
何かを確信したかのような目をする、めぐみちゃん。
りんちゃんの方に近づく。
「……キスしてました?」
「!?」
「ふぇ!?」
その言葉に、りんちゃんと私は、否応なしに反応してしまう。
「…あれは!――というか…あんた見てたの!?」
「見てませんよ~」
「じゃあ、どうして!!」
「私は~…キスする‘‘魚‘‘がいるから、その‘‘魚‘‘のキスを見ましたかって、言っただけですよ~?」
「!?」
めぐみちゃんの言葉に――
りんちゃんは‘‘やられた‘‘と言う顔をしていた。
「それでキスしたんですか?」
「いや…それは…~~~」
りんちゃんは、困って言葉が出てこない。
私はと言うと――
(――え?きす?キス!?)
(デートで!?大牙くんと!!?)
りんちゃんが大牙くんとキスしたと言われて、混乱している。
「どうなんですか?」
めぐみちゃん――ニコニコとしているが、なぜか迫力がある。
「えっと…」
りんちゃん、そろそろ黙っているのも限界そう。
「――したわ」
「へえ~そうなんですか~」
「!?!!?」
(したの!?本当にしたの!?!)
「~~でも、ほっぺたにしただけよ!!」
今日は終始赤くなっているりんちゃんが、今日一番の真っ赤な顔で言う。
「あら、そうなんですの?」
「そ…そうなんだ~」
私はその言葉で安心した。
(――…安心?)
さっきもそうだけど、どうして焦ったんだろう?
りんちゃんが、大牙くんとキスしても私には関係ない。
(…はず…だよね)
「普段、冷静で慎重なはずなのに、恋愛になると大胆になるんですね~」
「~~~」
めぐみちゃんの言葉に、りんちゃんは言い返せなかった。
「……いいじゃない」
「え?」
「りんちゃん?」
ぼそっと何かを言っているのを私とめぐみちゃんは気づく。
「いいじゃない!別に!!」
「「!?」」
人が変わったかのように大きな声で言い出した。
「私は…大牙が好きよ!!」
「!!」
りんちゃんは「好き」とはっきりと声に出した。
「だから、いいじゃない!!キスしたって!!」
「り…りんちゃん?」
「りんさん、落ち着いて――」
りんちゃんが、何か子供っぽくなってる気が――
「そもそも!!今回は大牙を好きかどうか確認するためにやったんじゃない!!」
めぐみちゃんの策略に嵌ったことと――
恥ずかしさが臨界点に達しちゃったせいで――
もう、やけくそになって、駄々をこねる子供になっている気が……
「りんちゃん、落ち着いて~!」
「りんさん、落ち着いて下さいまし~」
彼女を落ち着かせるまで、昼休憩が終わっても続いたのであった。




