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第12話 指令と日常

 お嬢様に誘拐されて、結構時間くったな。


「やっと帰れた」


 拠点に帰ってきて、ようやく安心した。


(とりあえず、今日はもう寝よう)


ビービー


 組織から支給された通信機から音が鳴る。

 これは――まだ寝れそうにない。

 奥の部屋に行く。


 ブォン


 画面の電源を入れる。


「お久しぶりですねー!って――」


 デスピエロの元気な声を出すが、俺の疲れた顔に反応する。


「何があったか聞いても?」

「気にするな――お嬢様に誘拐されていただけだ」

「…えっ?」


 仮面越しだが、こいつの戸惑いは手に取るようにわかった。


「なぜそうなったか聞きたいのですが、後にしましょう」

「そうしてくれ」


 とりあえず、今は何があったか聞こう。


「――指令です」


 そう聞いて、俺は臨戦態勢に似たような反応をする。


「今回は組織との共同です」

「共同?」

「はい、まず魔法少女たちをおびき寄せます」

「どうやって?」

「怪人を使います」


 怪人――そう言うことか。


「怪人を囮にして、俺は追跡か?」

「――さすがです」


 仮面越しだが、こいつのニヤつき顔はわかる。


「あなたは魔法少女たちを追って、正体を特定してください」

「成功するのか?」

「こちらでも隠密部隊は送りますが――」

(苦い顔をしてるな)


 そう察するが、成功率は低いらしい。


「なぜ、この作戦を?」

「…一応、パフォーマンスといったことです」


(パフォーマンス?)


「怠け者は斬られるので」


 両腕で首を斬るポーズをするデスピエロ。

 こいつは冗談好きだが、今回は察した。


「わかったよ。全力を尽くそう」

「ありがとうございます」

(こいつも苦労してんだな――)


 そう同情した。


「さて、日時に関することなのですが――」


 決行日を確認して、その日を待つ。



 

~早朝~

 お嬢様に誘拐された翌日――

 俺は、さらに面倒なことに巻き込まれることになる。


(昨日はハードだったなー)


 まだ、疲れが取れない身体を引きずりながら歩く。


「おはよう!大牙くん!」


 後ろから桜の声が聞こえる。


(どうやら元に戻ったらしい)


 その姿に少し安心した。


「おはよう」


 振り向き、挨拶をする。

 桜の顔はパッと明るくなる。


「大牙くん?昨日はどうしたの?」

「あー、ちょっと誘拐されていた」

「ええ!!」

(そりゃ、驚くわな)

「それはどういうことかしら?」


 聞き覚えのある声――りんの声だ。


「おはよう。りん」


 それを聞いたりんは、顔を少し赤くした


「ん、ん、おはよう」


 咳払いをして挨拶をする。


「それでどういうこと?」

「…あーいやー」

(言い辛えーー!!!)


 さすがに、誘拐したのが、あなたたちの友人です。

 ――なんて言えるか!!!


「どうしたのよ?」

「どうしたの?大牙くん?」


 二人に言い辛そうにする俺に、聞き覚えのある声が聞こえた。


「――わたくしですわー」

「え?めぐみ?」

「めぐみちゃん?」


 二人とも驚いている。それはそうだろう犯人が友人なんだから。


「実は昨日も話の件で、お話を――」


 次の瞬間、二人がいつ動いたか、わからないほどの速度でめぐみの口を閉じる。


「あんた、どこまで話したの!?」

「そうだよ!秘密にしてって言ったじゃん!!」


 鬼気迫る勢いで、質問するりんと桜。


「さあ、どこまででしたっけー?」


 そう言って二人を流そうとするめぐみ。


「ちょっと!誤魔化すんじゃないわよ!!」

「そうだよ」

「桜さん、りんさん」


 まだ質問中の二人の耳に口を近づけ、小さな声で話す。


「私、大牙さんを好きになりました――」


 驚く二人に向かって、めぐみは更に笑う。


「昨日、大牙さんに‘‘わからせられちゃいました‘‘」

「「っ……!!!」」


 そう笑顔で言い放つ彼女に、二人は混乱した。

 そんな二人を放っておいて、俺の方へ来るめぐみ。


「大牙さん、またお茶しましょうね!」


 そう言う、めぐみはなぜか艶っぽかった。


「それではまたー!」


 そう言って、そそくさと去っていった。


「何を話してたんだ?」


 こちらを睨むように見る。桜とりん。


「サイテー」

「大牙くん、信じてたのに」


 そう言われ、俺は――


 (終わった――)


 そして――


「めぐみーーー!!!何言った――――!!!」


 ――そう大声で、めぐみの名を呼ぶ。

 ――二人の誤解が解けるまで三日かかった。




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