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第10話 めぐみの質疑応答

 休日明け――

 明らかに状況が変わっていた。



 騒がしい休暇が終わり、また戦々恐々な調査の日々に戻る。

 ここは平穏な場所だが、敵がいるんだよな。



「ん?」



 覚えのある後ろ姿は――花園桜だ。


「おはよう。桜」

「ふぇ!?」


 桜は、笑顔であるはずなんだが――


「お…おはよう」

(なんか変だ…)

「どうした?」

「え!…にゃ…何でもないよ」

(いや、なんかあるだろ――)


 どうしたというのだろう?桜とは何もなかったはずだが?


「じゃ…じゃあ!私、行くから!」

「え…あ」


 何かあったのか聞くはずが、行ってしまった。


(…とりあえず、行くか)

「…何、突っ立ってるのよ」


 後ろから、また聞き覚えのある声がする。


「あ…清水」


 そこには清水りんがいる。

 だがいつもの呼び方をするとムッとされる。


(……あっ)


 俺は思い出す。


「すまん…りん」

「……次から気をつけなさいよ」


 衝撃的過ぎて夢かと思っていた。


「あらあらー」


 また、聞き覚えのある声…。


「……次はお前か」

「おはようございますー。大牙さん」


 黄色い髪の縦ロール、邑楽めぐみだ。


「あとーお前もかってなんですかー?」

「さっきまでお前の友人二人相手にしてたんだよ」


 めぐみは笑みを浮かべる。


「知ってますよー見てましたからー」

「じゃあ、聞くなよ」


 この女はいつから見てたんだ?


「私が聞きたいのはそこではなくー」


 俺のところまで、めぐみが来る。


「どうしてー桜さんとりんさんの態度がー…」


 確信した目で迫ってくる。


「変わっていることですよー」

(そんなこと……)

「こっちが聞きたい」


 不思議そうにこちらを見る、めぐみ。


「んー?」

「何だよ。もう行くぞ」


(……なんか、今日は妙だな)


 めぐみの不可思議な行動は気になるが――

 とりあえず、調査に専念するか。




~めぐみサイド~

 うーん

 桜さんとりんさんの態度の理由は、彼かと思ったんですが――

 桜さんは、少なからず好意があるのはわかっていた。

 りんさんは、大牙さんを警戒していた。

 この二日の休日で変わった。

 桜さんの好意は、そういうレベルにまで達している。

 りんさんは、警戒はしているけど、それが和らいだ気がする。

 彼に聞いても、わからないらしい。


「これはー二人に聞いてみるしかーありませんねー」


 彼女は、「お友達」を大切にする。

 彼女が、楽しむために――。


「とりあえずー、お昼にいつもの屋上に集合っと――」

 

 そのために、スマホの連絡アプリ「MILE」から送った。


「さて、どうなりますかねー」


 彼女は歩く、笑みを浮かべ、歩く。

 楽しいことが起きると信じて――。

 



~お昼の屋上~

 連絡した通り、桜・りん・めぐみの三人はいる。

 

 しかし、今日の三人には妙な空気が流れている。


「珍しいわね?めぐみからなんて」

「そうだよねー!」


 めぐみは、あまり自分から食事の誘いはしない。

 いつもは友人から誘ってもらうのが普通だ。


「ええー。少し聞きたいことがありまして―」

「「?」」


 聞きたいことがあると、言われ二人は頭を傾ける。


「大牙さんと何かありました?」


 ブフ―――!!!

 その質問に二人は口から吹いてしまう。


「な!…なにもないよ!!」

「そ…そうよ!なにもないわ!!」

 

 わかり易い挙動不審であった。


「お二人とも凄くわかり易いですー」


 そんな二人を見て、めぐみは笑みを浮かべる。


「何があったんですの?」


 繰り返す質問に二人は観念したのか、話すことに。


「桜、私からでいい?」


 先に話すと口を開いたのは、りんであった。


「一昨日、大牙くんに――」


 その日あったことをすべて話す。


「大牙さん、なかなかの男前ですわねー」

「そうだね!」



 大牙の行動にめぐみは感心し、桜は満面の笑みを見せる。


「しかし、りんさんが下の名前で呼ぶのを許すなんて―」

「べっ…別に!――」


 顔を赤らめながら、視線を別の方向に向ける。


「あいつがちょっとは良いやつだとわかっただけよ!」


 その姿に、二人は――


「……チョロいですね」

「は…はぁ!?」


 そのめぐみの言葉にりんは過剰な反応をする。


「私のどこがチョロいのよ!!」

「うーん、全体的にー?」


 言いあう二人に桜は――。


(ごめん、りんちゃん。私も思った。)


 心の中で謝りつつ、めぐみの意見に同意する、桜であった。


「さて、次は桜さんお願いしますー」

「そ、そうよ!桜あんたも話しなさい!」

「ふぇ!?」


 次は、桜に矛先が向く。


「わ…私は――」


 桜は、顔を真っ赤にしながら話す。

 その話に、りんは顔を赤くし、めぐみは考え込む。


「そっ…それで!?」

「えっと…そのあと、すぐに帰っちゃって――」

「そ…そうなの」


 自分が何故ほっとしたのか。わからない、りんであった。


「まぁ、大牙さんの事ですから、告白とは違うと思いますー」

「そ…そうだよね!!私もそう思ってた!」


 桜はそう言われ、少しがっかりした。


「でも、脈なしとは違いますけどねー」

「「どっち!?」」


(あー!楽しいですわー!)


 二人の反応を見て楽しむ、めぐみであった。


(でもこれは――ぜひ、大牙さんの意見も聞かなければ)





 ゾクッ――。

 「…なんだ今の悪寒?」





 放課後――

 俺はいつも通り帰ろうとしていた。

 

 しかし、今日は――

 

「ん?」


 人の気配を背後から感じ、振り向くと――

 

 そこには、いつもの笑みを浮かべる邑楽めぐみが立っていた。

 

 





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