そもそもの始まり
事の始まりは第5話である『続・転売ヤー狩り』が放送される1週間前にさかのぼる。
その時に放送されたお昼のニュースをごらんいただきたい。
『速報です。コンビニ大手Aで、発売前の商品を転売ヤーへ横流ししている事実が判明しました……』
男性キャスターが淡々と事実を言及していくのだが、この内容は転売ヤー狩りを展開していた勢力にも衝撃が走ったのだという。
実際、ガーディアンもこの事件を受け、さらなる転売ヤー一掃へ着手したところだったのだから。
ニュースの内容をさっくりと説明すれば、こうだ。
コンビニ大手Aが行ったのは、発売前のコラボ商品などを転売ヤーに横流しをしたというもの。
コラボ商品でも店舗によっては売れ残ったりするため、そうした在庫一掃という一環で行われたもの、と思われがちである。
実際、芸能事務所のアイドルで同様のコラボグッズが店頭販売したとしても、数日後には半額セールになってしまうためだ。
しかし、それが特定のアニメやゲーム作品、いわゆるVTuberだったらどうだろう?
クリアファイルが窃盗される事件もあったのを踏まえると、そこまでして転売ヤーは利益を得たいのか……と。
後に、該当コンビニでは転売ヤーが転売できないようなデジタルコンテンツをスマホ会員専用のダウンロードができるというキャンペーンに変更されることとなった。
当然のことだが、リアルアイテムが欲しいというユーザーは別のコンビニへ流れることにはなった一方、転売ヤーもターゲットを変更することとなった。
自分たちが行った事の重大さを気づいていなかったことによる……事件だったと言えるだろう。
それが、これだけで終わればよかった。
すでに完パケ済みの第5話の内容を確認、今回の事件を受けて内容の差し替えを決定したのは、この事件のニュースが報道されてからわずか1時間後。
その時は何を放送するかは不明だったが、最終的には第4話で流れた次回予告において……。
『次回、アバターシノビブレイカー、対電忍……魔女と呼ばれたAI』
【来週の放送は、予定を変更して副音声オーディオコメンタリー付き対電忍再放送をお送りします】
対電忍の次回予告を流し、なおかつテロップ表示があったのである。
オーディオコメンタリー自体は対電忍のブルーレイBOXにおいて収録されているため、それをそのまま放送するとのことらしい。
『まさか、こういうことになるとは予想外だな』
「全く……と言いたい所ですが、状況が状況ね」
ガーディアン秋葉原本部、スマートフォンの電話主と会話をしていたのは、秋葉原本部の本部長であるガンライコウ。
テレビアニメ版対電忍ベースで進行しているので、彼女が本部長の世界線で描かれている。
ガーディアンの制服を着用していることもあり、アニメ版の世界線なのか……と思う人はいるかもしれない。
実際、彼女は普段であればスマートフォンの着ぐるみキャラの着ぐるみで、主に行動することが多いためだ。
なお、電話主の声は橿原隼鷹であり、彼は別コンビニで転売ヤーを確保したばかりである。
その中で報道されたこのニュースは、別の意味でもガーディアンにとって痛手となったのは言うまでもない。
『転売罪もある中、こういう所が転売ヤーに手を貸しているとなると、大変なことになる』
「ある意味でも転売ヤーと店舗側がマッチポンプをしていた……とマスコミが報道しても、違和感がなくなるレベルね」
『それこそフィクションの現実化……という事にもなるぞ』
「それは今更過ぎるでしょう。忍者構文という存在が事実であった以上、は」
2人の会話は続く。
ガーディアンとしては店側が転売ヤーと協力体制を……という事実も衝撃だが、それ以上にIPが転売ヤーに利用されているのでは、と思いかねないような状況だ。
一時期に1ドルが10000円だった時代がある。その時代が再来するのは阻止しなければいけないのだ。
転売ヤーによるマッチポンプで1ドル=10000円時代が終わったという事となれば、それはそれで大変なことになるだろう。




