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コスプレイオブパルクール  作者: 桜崎あかり
第4話『孔明の罠』

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Bパート(前半さっくり)

 CMの後、本編に入った。特に目立ったCMはないため、ここでは省略する。


 その一方で、コスプレイオブパルクールのブルーレイCMはあった。ボックス仕様で全話収録の模様。


 この場合、第5話もここで収録される、ということになるのだろうか?



【謎の転売ヤーハンターを激写! これがトップランカーか?】


 このようなタイトルの数秒の動画が添付された記事が拡散し始めたのは、孔明が転売ヤーを一掃したすぐの出来事だった。


 ちょうど、タチバナの元に例のアドレスが送られてきたとほぼ同時、つまりあの動画は……ということになるだろうか?


 内容は本当に数秒ほどであり、途中からはノイズが入ったためカットされた模様。いわゆる切り取り動画ともいえるものだった。


『こういうことになっていたのか……』


 一連の騒動後、帰還の途中で諸葛亮孔明しょかつりょう・こうめいが一連の動画が拡散されていることに気づいた。


 こちらの声は男性ボイスであり、あの時に不調だったボイスチェンジャーに関しては正常に機能している模様。


(アレを投げた人物は、いったい何のために……)


 孔明の考えているアレとは、特殊なジャミング粒子を含んだチャフグレネードの事である。


 なぜ、あの転売ヤーが持っていたのかは……疑問に思うが。


 一方で、この動画を録画しようとした人物の素性に関しても、調べる必要性はあるだろうか。


 とにかく、今回の転売ヤー騒動で分かったのは二つある。


【(いわゆる便乗勢の)転売ヤーと(手っ取り早く儲けたい)転売ヤーハンターがマッチポンプをしていたこと】


【それを録画しようとした第3者は、一連のマッチポンプを暴露して転売ヤー指名手配制度の廃止を訴えようとしていたこと】


 この2点。前者に関しては、手っ取り早く儲けたいという人物はどこにでもいるだろう。それが悪い意味で手を組み、炎上を広げているという事実もある。


 後者に関して言えば、指名手配制度の廃止を訴えようとしているのは、いわゆる自称正義マンのような人物。ハンターの資格を取れない人物が制度の廃止を……ということだろう。


 

 ここで時間を若干巻き戻し、第1話の始まる1週間前ほど。


 シグルドリーヴァの転売ヤー指名手配制度も若干動き出し始めたような、かなり微妙なタイミングでもある。


 そこで孔明は、とある作戦を思いつき、複数人、もしくはそれ以上の転売ヤーを一掃したのだ。


 その時に転売されていたのは、有名アイドルのグッズ。


 それも、海外では知名度の高い、いわゆる海外アイドルが日本進出に向けて作られたグッズ、というべきか?


(そういう手段で出ますか……)


 孔明は、当時に関して言えば現在のパワードスーツにも似たようなアーマーは装着しておらず、それこそ三国を題材とした小説に出てくるような衣装……だったのである。


 そのため、ボイスチェンジャーもない。つまり、女性声優が担当しているパート、それこそが孔明の正体だったと言えるのだろう。


 彼女がタブレット端末でサイトをチェックし、そのキャンペーンが昨日で終了しているという事実を知った。


 タブレット端末を手提げバッグにしまって、コンビニ店内へ行って確認すると、該当グッズは別のバーチャルアイドルのコラボグッズへと入れ替わっている。


 つまり、すでにキャンペーンは終了した、ということだろう。


(これは……?)


 しかし、コンビニの別コーナーを見ると、確かに回収し忘れなのかどうかは不明だが、間違いなく海外アイドルのグッズはあった。


 キャンペーン期間は終了しているので、すでに……という感じはしないでもないのだが。



 そこで孔明は転売ヤー指名手配制度で該当グッズの転売ヤーがいないか調べた。


 やはりというか、ビンゴ。指名手配されていたのは、かなりの数……百人単位ではないが規模は大きい。


 過去に様々な商品で転売行為を繰り返し、オークションサイトで青色申告必須などの制限を付けざる得なくなった元凶、と言えるのかもしれないが。


(そういった手段を使う以上、こちらも相応の手段で対処するまで)


 コンビニを後にした孔明は、それと入れ替わりで店内に入ってきた男性転売ヤーとすれ違った。


 この転売ヤーの男性、孔明の姿を見ても何も感じることなく、そのまま店内を物色していく。


 草加市内ではコスプレエリアが存在することもあり、問題ないと考えたのかもしれない。


 下手に不審な動きを見せて、それこそ転売ヤーハンターに見つかったら終わり、と思ったのだろう。



(あのコスプレイヤー、何者だ? しかし、そこで目立てば終わり……)


 オケアノス周辺や草加市内ではコスプレ許可エリアが存在し、ここであれば特にコスプレをしていても問題視されることはない。


 周辺事情に関して、向こうも当然知っている。


 下手に事情を知らない観光客のようなリアクションをすれば、そこから転売ヤーと認識されて、転売ヤーハンターに確保されるのは明らかだ。


 ここ数日、埼玉県内で起きている転売ヤーハンターをめぐる動きを……ニュースで知っているレベルなのだが、彼の場合。


 服装もそこまで目立つものではない、転売ヤーと認識されるような悪目立ちもしない。


 しかし、それこそが……孔明の罠だった。



 その後、この転売ヤーは孔明によって確保された。


 この他の似たような転売ヤーも孔明が流した情報で転売ヤーハンターが確保し、この時期では異例の大量の転売ヤー確保案件となった。


 一連の詳細を言及すれば、転売ヤー犯罪に悪用される可能性もあるため、ここではざっくり割愛するが……。


 孔明が一連の情報をコンビニへ提供し、そこから大量摘発という流れになった様子。


 しかし、この一週間後……あの事件が起こったのである。



「転売ヤーねぇ……」


 埼玉県内の別コンビニ、バーチャル配信者のコラボグッズの並んだ棚を少し見つめていた女性がいた。


 その外見は、いかにも学生服、それも改造タイプ……何かのアニメ作品にも出ていたような類似性を持つミニスカタイプのものを着ている。


 それに黒髪のショートカット……彼女こそが、かつてのブラックバッカラの事件で英雄となったレインボーローズ、その人だった。


 SNS炎上案件の事件を解決していった彼女でも、今回の転売ヤー案件は複雑な表情で静観するしかなかったのだが……。



「ご協力感謝します」


 彼女が該当するコンビニへ入る数分前、店外からコンビニの看板をチェックしていた男性を不審に思い、質問をした上で犯人を確保した。


 それが、転売ヤーであり、男性ガーディアンに感謝される流れになったのは、別の意味でも困惑するしかない。


 なお、このガーディアンは草加支部および春日部支部のガーディアンとは異なることに関して、彼女は服装で気づいたようだが。


「確認したところ、賞金が懸けられている転売ヤーでしたので該当口座がありましたら、そこへ賞金を入金しますが……」


 言われるがままに、彼女は入金口座を伝え、そこへ入金するように指示した。


 こういう場で口座を教えてもよいのか、と思うのは特殊詐欺的な観点もあるのかもしれないだろう。


(転売ヤーハンターではないような……)


 男性ガーディアンも転売ヤーハンターのデータ照合を行うものの、確認ができない。


 そんな中、レインボーローズがいることに対し、何かの違和感を覚えたであろう人物が、そこに割って入ってきた。


「私が協力を要請した人物だから、そこまで怪しい人物ではないよ」


 ガーディアンの男性の話に割り込んできたのは、帽子を深くかぶった男性だった。


 彼が後にシグルドリーヴァの春川はるかわマイアだとレインボーローズが認識するのは、もう少し後の話である。


 その後、マイアはいくつかの話を行い、ガーディアンの男性は話に納得をしてその場を去った。別の現場へ向かったのだろう。


(彼は一体……?)

 

 レインボーローズもシグルドリーヴァの話自体は、春日野かすがのタロウから話を聞いていた。


 彼らが何らかの動きを取り、転売ヤーを摘発しているのだ、と。



「君は確か、忍者構文の事件でも活躍した……」


 マイアはレインボーローズを認識している模様。あくまで、噂程度……かもしれないが。


「ええ。まぁ……」


 レインボーローズはマイアの話に若干合わせる程度に、リアクションをする程度。


 マイアとはリアクションを含め、反応が薄いのだが。


「転売ヤーは基本的に、転売ヤーハンターでないと賞金はもらえないようになっていてね……君の場合はイレギュラーすぎるかな」


 テンション的には怒鳴り散らかすようなものではなく、丁寧に説明しているような口調で話す。


 マイアとしては下手に炎上案件には首を突っ込まないタイプなのだが、レインボーローズと月坂つきさかハルカに関しては話は別なのだろう。


 実際、シグルドリーヴァでも忍者構文に関する事件、いわゆる対電忍たいでんにんと呼ばれることになった一件に関して……警戒はしていた。


 それを踏まえると、マイアもここは素通りする方が危険、と判断したのかもしれない。



「とりあえず、特例処置として賞金の半分を振り込む形で対応しておくよ。いわゆる、警察への情報提供などの件も含めて、ね」


 そういうと、マイアはレインボーローズの口座に自分の端末を使用して現金を振り込んだ。


 口座番号は先程のガーディアンから聞いたのだろう。


 警察にも一連の転売ヤーの情報を提供し、この辺りを徘徊している不審者情報と照らし合わせて、この転売ヤーが不審者と同一人物だと判明する。


 その件に関しての謝礼のかわり……とのことだった。ほかにも長々と話をしたようだが、さっくり省略。


「そういう事なので、うかつにガーディアンや君たちが首を突っ込むのは……避けた方がいいと思うよ。間違って……」


 この発言の後、最後の一言だけマイアの口調が少しだけ変化した。


 変化したといってもポジティブ思考なので、そこまでネガティブな口調ではない……ことだけははっきり言える。


「転売ヤーハンターに、背中を撃たれたくなければ、ね」


 その後、マイアは姿を消した。


 姿を消してしばらく経過したあたりで、レインボーローズのスマホに銀行からの入金通知が入る。


 その金額を見て、無言の衝撃を受けたのは言うまでもない。


(この金額って……!?)


 振り込まれた金額には、ゼロが多くあったのは覚えているが……それをはっきりと言葉にはできなかった。


 その金額は、1億円である。


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