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コスプレイオブパルクール  作者: 桜崎あかり
第4話『孔明の罠』

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Aパート(後半さっくり)

 次の場面は埼玉県内のリサイクルショップに切り替わった。


 別のゲーセンで確保したと思わしき、大量のクレーンゲームで獲得したぬいぐるみなどを査定してもらっている男性がいる。


 その人物が査定中、一旦は外に出ていた。周囲を見回すような挙動不審というわけでなく、量が量だけに時間がかかる、と判断したのだろう。


 店内であれば冷房も完備で涼しいのだが、転売ヤーハンターに見つかった際の対応がしづらいのはあるかもしれない。


 店内で暴れたとなれば、ますます転売ヤーに対する世間の目が厳しくなり、遂にはフリーマーケットなどに出品するだけでも転売ヤー狩りにあうレベルになる、そう考えたのだろう。


 しかし、そのワンアクションが裏目に出ることとなった。



「このメッセージに見覚えは?」


 査定中に店を出てきた転売ヤーの男性に対し、スマートフォンのメッセージを見せたのは、いかにもミリタリーチックな転売ヤーハンターだった。


 彼が見せていた画面には……。


【某有名アイドルのグッズ、買います】


 交流サイトに書かれていたメッセージ、その画面を彼は転売ヤーに見せていたのである。


「そんな画面は知らない。それに、自分が査定してもらっているのは実在アイドルグッズではない。気になるなら、店内で査定してもらっているものを確認してもいい」


 その言葉を聞き、転売ヤーハンターは店内へと向かおうとするのだが……それを怪しいと思って横やりを入れた人物、それはアーマー姿の諸葛亮孔明しょかつりょう・こうめいだった。


(お前が乱入してくるのも、こちらは想定済みだ!)


 しかし、転売ヤーハンター側は何故か孔明が乱入しているのも想定してか、ある空き缶を空中に投げつけて爆発させる。


 拡散された粉は電子機器に異常をきたす、いわゆるチャフグレネードと呼ばれる兵器を転用したものだった。


 この空き缶の正体は……対電忍をご存じな読者であれば察していただけるが、解説はBパートに回させていただくことに。


 ここで解説を入れたとしても……まぁ、お分かりいただけるだろう。



『まさか、転売ヤーハンター込みでマッチポンプを行うとは……想定外にもほどがありますね』


 謎のジャミング電波が発生しているらしく、後半のセリフは男性声で設定していたボイスチェンジャーが働かず、女性声となっている。


 なお、この異変に現段階で孔明は気づいていない。転売ヤーハンター側には、これが別の意味でもチャンスと言えるものだった。


 ジャミングの範囲はスマートフォンには及んでおらず、ミリタリー転売ヤーハンターのスマホ画面は正常に表示されている。 


 つまり、ピンポイントに孔明のガジェットにだけ影響が出るように調整されたとしか思えない。


(かかった!!)


 転売ヤーハンター側は、転売ヤーの男性にハンドサインを送り、2人がかりで孔明に襲い掛かろうとする。


 つまり、転売ヤーの方もグルだった、ということだ。


「しかし、こうなることも想定済み!」


 孔明が即座にボイスチェンジャーを切り、更に言えばメットのセンサー類もカット、瞬時にして対応して見せたのである。


「まさか、忍者構文で一躍有名となったあのチャフグレネードを知らない、とでも思いましたか?」


 孔明に対して、AIソフトを使用した一掃作戦は通じるわけがなかったのである。


 AIを犯罪に流用した罪で警察に逮捕されるのは……言うまでもないだろう。


 更に言えば、孔明はこの場面で自分の正体を晒しかけていたのだが……間一髪でそれは回避されている。


 明らかにワンカット、女性と思わしきビジュアルには見えた一方で……いわゆる3DCGなので、どう見えるかは視聴者による、のかもしれない。


「は、話が違うぞ!」


 チャフグレネードを投げた転売ヤーハンターは、激しく動揺をしていた。


 ARガジェットに対して効果的なジャミングを行うことが可能、そうサイトに書かれていたので購入したのだが……これでは詐欺ではないか、と。


「これが、まさに……」


 何かを言おうとしていた転売ヤーも孔明の手によって無力化され、あっさりと駆け付けたガーディアンに引き渡されたのである。



 一方の春日部皐月かすかべ・さつきは、とあるコンビニへ立ち寄った際に、電子掲示板のニュースを見て別の意味でも言葉を失うことになる。


 もちろん、着ている服は私服なのだが……。


 余談になるが、草加市内はARゲーム用のインナー装着のままでも特に不審者とは言われない、と補足はしておく。


(あれに書かれていることが本当だったら……)


 表情を見る限り、深刻な表情をしているわけではない。気になった部分はあった、そのパズルのピースがはまらずにいた部分のピースが……唐突に埋まった、に等しいだろう。


【エクストリーム・パルクール、国際競技への採用か? 国家予算級の大金を使っての聖地巡礼計画に、暗雲も?】


 電光掲示板には、こう書かれていた。いわゆる週刊誌報道、というやつである。


 ゴシップ系やマスゴミと言われるような存在は、対電忍時代以前に一掃され、そうした役割はまとめサイトなどが行っていた。


 そのまとめサイトも、対電忍の忍者構文騒動の時に一掃されている。


 だからと言って、これがAIの作り出したフェイクニュースとざっくり斬るにしても、裏付けるニュースソースはない。


 ガーディアンの拡散したカバーストーリーなのかも、当然ながら裏付けるニュース……以下略。


 こうしたニュースが流れるのには、当然ながら理由がある。


 二人の英雄、レインボーローズと月坂つきさかハルカのプロゲーマーによって解決した……という忍者構文騒動が、実はそれこそフェイクニュースだと言及する過激派転売ヤーがいる……という事実だ。


 この辺りのいきさつをやると、それこそざっくりAパートではなくなるため、ここでは割愛する。


 皐月はエクストリーム・パルクールが、単なるスポーツではないことを知った、これだけを理解しておけば早いだろう。


 なお、皐月が立ち寄ったコンビニは、さりげなく孔明が転売ヤーを確保したリサイクルショップから数メートルは離れていないだろう。ほぼ、目と鼻の先だ。それでも、皐月は孔明の立ち回りを目撃はしていない。


 むしろ、彼女が目撃をしなくてよかった、と言えるかもしれないが。



「あれが諸葛孔明……いや、向こうは諸葛亮孔明か」


 リサイクルショップにおける孔明の立ち回りは、何者かによって配信されていたのである。


 おそらく、転売ヤーハンターが例のチャフグレネードを投げたのは、盗撮防止もあったように思えた。


 その証拠に、この映像は転売ヤーハンターがチャフグレネードを投げて爆発させるまでの30秒弱しか録画されていない動画……だから。


 転売ヤーハンターは、いわゆるマッチポンプを隠すという意味合いでアレを使った、というのも納得できるような理由だろう。


 さすがの諸葛亮孔明のガジェットを無効化は不可能だったが。 


(噂の5000兆円転売ヤーハンター……彼女が、孔明なのか?)


 この動画を見ていた人物、実はゲームセンターで小休止中のタチバナだった。


 ゲームプレイ後にスマートフォンの不在着信を見て……。


【あなたの知りたい情報を私は知っている】


 こういった内容のショートメッセージがあり、そこに動画のリンクが添付されていた。


 動画というよりは、ライブ配信……それもゲリラ配信の部類である。


 しかも、自称正義の味方……と名乗る人物の配信。明らかに怪しいリンクにも見えた。


 それでもタチバナがこのリンクをチェックしたのは、彼女もまた転売ヤーを一掃する転売ヤーハンターだったから、だ。


 この次のシーンでサブタイトルが出てくる演出となったのだが、そのサブタイトルは……。


【孔明の罠】


 まさに、文字通りの展開が前半で起こったのは言うまでもない。



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