#64 山中湖ダンジョン最終日
9月8日(日)
今日も朝から山中湖ダンジョンに潜っている。
60階層のボスを討伐して、リスポーンまでの10分間は60階層の通常の魔物を狩って時間を潰し、ボスがリスポーンしたらボスと戦うという事を繰り返している。
昨日の戦闘で、効率のいい戦い方は分かっているので、酒呑童子戦も最早狩りでしかなく、1時間に5体くらいずつ倒している。
通常の魔物である程度調整したお陰で、午前中だけで、通常ドロップの酒呑童子のツノが5個に対して、レアドロップの酒呑童子の隠し酒は11個も手に入れている。
「酒呑童子の隠し酒も11個も手に入ったし、そろそろ帰ろうか?」
「春斗っち、酒呑童子のエピックドロップは狙わないの?」
「う~ん、狙って出る様な物でもないだろ?」
「そうですね。恐らくあの刀がドロップすると思われるので、ドロップしてくれれば戦力アップになるのは間違いありませんが、そうそう出る様な物ではないですからね」
「そっか〜まあ、そうだよね~」
確かに、ファンタズマなんて等級は聞いた事もないし、そんな等級の刀が手に入るなら有り難いけど、レアドロップなら兎も角、エピックドロップじゃなあ~
「まあ、今日でここのダンジョンは最後の予定だし、何なら午後も潜るか?雛のやりたい事に付き合うぞ?」
今日は酒呑童子のドロップアイテムを取りに来ただけで、午前中で帰る予定でいたのだが、今まで雛の幸運に助けられて来た事を考えると、満足するまでチャレンジさせて上げたいとも思ってしまう。
「う~ん...じゃあ、今日1日付き合ってもらってもいい?」
「いいよー」
「ええ、お付き合いします」
「じゃあ、取り敢えず昼飯食べに行ってから再開するか」
「「「は~い」」」
午後の予定も決まったので、一旦支部に戻って昼飯にする事にした。
「アニキおかえりなさいっす!」
戻って早々、暑苦しい奴に見つかってしまった。
「力、まさか俺達をずっと待っていたのか?」
「うっす!」
「うっすって...待ってる必要なんてないんだぞ?」
「いやいや、アニキ達を美味い店にお連れするのは、俺達の務めっすから」
「俺達は、今日は行き付けの店に行く予定だから必要ないんだが?」
「なら、俺達もお供するっす」
「連れて行かないから」
「いいじゃないっすか、アニキ一緒に行きましょうよ」
「無理!」
「アニキ〜」
力と押し問答をしていると、転移陣から火龍の咆哮の4人が出て来た。
「春斗?何してるんだ?」
「ああ、鉄太さんお疲れ様です。いや、力が俺達の行き付けの店に連れて行けってしつこくて困ってるんですよ」
「お前らそんなに仲良かったのか?いつの間に?」
「仲良くないですよ?」
「鉄太さん、お疲れっす!昨日、舎弟にしてもらったっす」
「してないから!」
「ああ、なるほど。春斗、こいつしつこいから頑張れな...」
「えっ?いやいやいや、俺達今日でここのダンジョンラストの予定なので、放置して行きますよ?」
「はっ!?アニキどういう事っすか?聞いてないっすよ!?」
「完全攻略したから、次のダンジョンに行くのか?」
「ええ、そうです」
「アニキ?俺の話聞いてますか?俺達何も聞いてないんすけど?」
「うるさいな!聞いてるよ。俺達がここのダンジョンに来たのは、自分達が潜っていたダンジョンを完全攻略しちゃったから来ただけなんだよ。だから、ここのダンジョンを完全攻略したら次のダンジョンに行くのは既定路線だったんだよ。ていうか、この間言っただろ」
「じゃあ、俺達はどうすればいいんすか!?」
「俺に聞くなよ。そもそもお前達は、Dランクだろ?どうするも何も転籍出来ないだろ」
「そんなぁ〜アニキ〜置いて行かないで下さいよ~」
「だから、俺に言うなって」
「力諦めろ。仕方ないだろ?」
俺達がそんな話をしていると、紗奈さんが割って入って来た。
「そういえば、低ランクの探索者でも転籍出来る様にするっていう話なんだけど、可決されたって通達がさっき来たわよ?」
タイミング悪く?良く?以前、可憐さんから聞いていた低ランク探索者を転籍させる案の認可が下りたらしい。
「何でこのタイミングで...」
「アニキ!これで俺達も一緒に行けるっすよ!」
「いやいやいや、低ランク探索者の転籍を認めるのは、過疎ダンジョンって呼ばれる、ここみたいに探索者の数が少ない所を救済するのが目的なんだよ。それなのに、その過疎ダンジョンから転籍されちゃったら、元も子もないないだろ?紗奈さん、そこら辺の対策とかってどうなってるんですか?」
「え~とね~、あっ!転籍が認められるのは、1万人以上の探索者が在籍している支部の低ランク探索者に限るって注意書きがあったわ」
「そんなぁ...」
「力、残念だったな。ここで頑張れ」
「春くーん、お話終わったー?お昼行くよー」
「ああ、お待たせ。って事だから、力またな」
落ち込む力を置いて唯佳達の方に行くと、美紀さんも一緒にいた。
「今日は美紀さんも一緒に行くんですか?」
「ええ、あそこのお店美味しかったから、最後に連れて行ってもらおうと思ってお願いしたの」
「まあ、唯佳がいないと行くの大変ですからね」
という事で、美紀さんも一緒にいつもの中華屋さんに行くと、フォーフレンの4人もそこにいた。
「おっ?春斗達も昼飯か?」
「ああ」
「そういえば聞いたぞ。山中湖ダンジョンも完全攻略したんだって?」
「ああ、昨日な」
「流石だな〜」
「勇斗達は今、何階層まで行ったんだ?」
「俺達は10階層をメインの狩り場にしているよ」
「レベルは?」
「俺とさくらが9で、廉と茜が今日6に上がったとこだな」
「お〜!かなり早いんじゃないか?廉凄いな」
「確かに早いんだけど、春斗に言われてもな〜」
「いやいや、自信を持っていいと思うぞ?なあ、勇斗」
「ああ、廉、春斗達と比べるのがそもそも間違いだ」
「それもそうか、それより春斗、あのお姉さんは誰なんだ?まさか4人目じゃないだろうな?」
「4人目って何だよ?彼女は、山中湖ダンジョンで仲良くなったパーティーの1人だよ」
「転移の事も教えられるくらい仲良くなったって事だろ?やっぱり4人目なんじゃ?」
「だから、4人目って何なんだよ。転移に関しては唯佳が判断してるから、そういう勘はいいから唯佳が大丈夫って言えば、それを信じているよ」
そんな話をしながら、注文していないのに出て来た湖南風豚バラ炒め定食を食べて行く。
初めて聞く料理だけど、旨辛の味付けが病み付きになり、箸が全然止まらなかった。
因みに橘と石井さんは、女子達の方に移動してわいわいと賑やかに食事をしていて、美紀さんとも既に打ち解けている様だ。
「春斗達は、また違うダンジョンに行くのか?」
「ああ、今日は山中湖ダンジョンに潜っているけど、明後日からは鋸南町のダンジョンに行く予定だよ」
「鋸南町って何処だ?」
「千葉県の東京湾側の町だよ。木更津とかあっちの方だね」
「何でそこなんだ?」
「探索者が少ないって事以外に特に理由はないよ」
「そうなのか?」
「可憐さんから、探索者の少ないダンジョンに行ってほしいって言われたから、暫くはそういうダンジョンを攻めるつもりなんだ」
「そうなんだ」
会話をしながらの食事も終わり、全員で店を出て、学校の支部へと戻って来た。
「じゃあ、勇斗達も無理しない様にね」
「ああ、春斗達も無理しない様にな」
「そうそう、黒木は特に気を付けなさいよ~」
「うっ!」
うちの女子達から何かを聞いたらしく、橘と石井さんが俺を見ている。
「ああ、気を付けるよ。もう、乾燥している昆布だけは嫌だから...」
「「乾燥している昆布だけ?」」
「「「「「プッ!アハハ」」」」」
「次は何になるんですかね?」
勇斗と廉が首を傾げている。
ほのか以外の女子5人が笑い、ほのかは恐ろしい事を口にしている。
乾燥している昆布だけ以上の罰なんて受けたくないです...
不思議そうな顔をしている勇斗と廉を連れ、橘と石井さんが転移陣の方へと歩いて行ったのを見送り、俺達も山中湖ダンジョンに戻って来た。
美紀さんと紗奈さんとも別れ、60階層でボス討伐ループを再開した。
1時間くらい狩りをしていると、全員のレベルが上がった。
更に3時間くらい同じ事を繰り返しているが目当ての酒呑童子のエピックドロップは出て来ない。
「全員レベルアップしたけど、エピックドロップは出ないね~」
「まだ、時間あるから頑張ろうー」
「そうですね。諦めずに頑張りましょう」
「だいぶ効率よく倒せる様になったし、下手したらもう1回レベルアップ出来るかもしれないしな」
酒呑童子の討伐数を考えると、もう少しでまた、レベルアップしたとしてもおかしくはない。
「そうだね~頑張ろう〜」
「「お〜!」」
更に30分くらい経った頃、雛と唯佳のレベルが上がった。
そして、その次の酒呑童子戦後。
「あっ!刀出た~!」
とどめを刺した雛の目の前に、鞘に納められた刀が一振り落ちていた。
鑑定の結果。
〘童子切安綱〙
〘源頼光が酒呑童子の首を切り落としたとされる刀。純粋に刀としての性能のみでファンタズマにまで上り詰めた刀〙
〘等級:ファンタズマ〙
間違いなく酒呑童子が持っていた刀だ。
「やったな!流石は雛だな!」
「そうですね。流石は雛さんです!」
「雛ちゃん流石だねー」
「えへへ〜」
「じゃあ雛、影丸を貸してくれ、融合しちゃうから」
「えっ!?何でアタシなの?」
「えっ?いや、雛が欲しくて頑張ってたんじゃないのか?」
「違うよ?春斗っちがリーダーなんだし春斗っちが使うべきでしょ!」
「いやいやいや、パーティーの戦力アップを考えたら、雛の影丸に融合するのが1番なんだが?」
「そうですね。初めてのエピックドロップだったデザートイーグルの風切り刀の時と同じ理由ですね」
「そだねー私も雛ちゃんがいいと思うよー」
「うっ...分かったよ~春斗っちお願いします」
「ああ、任せろ」
雛の影丸と童子切安綱を融合した結果。
〘雛の影丸〙
〘桃井 雛専用武器〙
〘攻撃時に空気抵抗を大幅に軽減して、力と敏捷に大幅にプラス補正、器用にプラス補正。攻撃成功時に風魔法と激しい炎による追撃を行う。影を攻撃する事で本体にダメージを与える。純粋な切れ味だけでもファンタズマクラスの性能がある〙
〘等級:ファンタズマ〙
「どれだけ性能が上がったのか気になるな」
「そうですね。試してみましょう」
「さんせーい」
「アタシの影丸がどんどん凄くなって行くよ~」
影丸の性能がどれくらい上がったのかを確かめる為に、60階層の通常の魔物を倒してみた。
元々、一撃で倒せていたので、傍目には分かり難いけど、斬った雛にははっきりと違いが分かった様だ。
「すっごいんだけど...熱したナイフでバターを切ったみたいだった。そんな事やった事ないけど」
俺もやった事ないけどイメージは出来た。
「そんなになのか?凄いな」
「そうですね。この階層の魔物をそんな風に斬れるなんて、とんでもない事ですね」
「雛ちゃん、影丸くんすごいねー」
「えへへ〜」
取り敢えず、酒呑童子でも試してみる事になり、リスポーンを待っている間は、いつも通り魔物を狩っていた。
その間にほのかのレベルも上がり、酒呑童子を雛が倒したタイミングで、俺のレベルも上がった。
因みに酒呑童子は雛1人だけで倒し切ってしまった。
俺達は今まで、武器破壊されないかと心配して思い切り踏み込めていなかったが、雛は影丸もファンタズマになった事で、武器破壊の心配をせずに踏み込める様になったのも影響しているのかもしれない。
そういった意味でも、童子切安綱を手に入れられた事は良かったと思う。
出来れば俺の雷神にも融合したいけど、もう1本出るまでここにいるのは飽きそうだし、予定通り明後日から鋸南町ダンジョンに行く事にした。
名前:黒木 春斗 所属:クローバー
年齢:16歳 誕生日:6月26日
歩数:1,375,109歩
従魔:雪兎Lv9(風雷雪うさぎ)
エレンLv9(クリエイティブエレファント)
Lv:35⇒37
MP:228/228⇒244/244
力:327⇒345
耐久:274⇒290
敏捷:300⇒317
器用:243⇒260
魔力:146⇒157
運:76/100
スキル:ウォーキング、サーチLvMAX、剣術LvMAX、纏雷、リペアLv7、鑑定、剛力、アイテム融合、テイム、せいおう、瞬歩
※ウォーキング
10万歩毎にスキルを1つ取得又は、既存スキルのスキルレベル1上昇
名前:白坂 唯佳 所属:クローバー
年齢:16歳 誕生日:6月14日
称号:聖女
Lv:35⇒37
MP:337/337(1011/1011)⇒355/355(1065/1065)
力:133⇒141
耐久:150⇒162
敏捷:158⇒169
器用:316⇒335
魔力:325(975)⇒342(1026)
運:77/100
スキル:女神の祝福、光魔法Lv3、MP回復速度2倍、空間収納、誘爆、転移
※女神の祝福効果
魔力3倍、MP3倍
名前:桃井 雛
年齢:16歳 誕生日:5月5日
Lv:35⇒37
MP:248/248⇒260/260
力:305⇒323
耐久:276⇒292
敏捷:337⇒356
器用:240⇒257
魔力:174⇒185
運:93/100
スキル:レア率固定、剣術LvMAX、忍術Lv5、アクセラレーション
※レア率固定効果
ドロップアイテムのレア率がパーティーで倒した魔物の数の1割で固定される
名前:青山 ほのか 所属:クローバー
年齢:16歳 誕生日:7月1日
Lv:35⇒37
MP:326/326(652/652)⇒340/340(680/680)
力:144⇒155
耐久:153⇒161
敏捷:156⇒165
器用:188⇒199
魔力:335⇒352
運:69/100
スキル:創造魔法、MP回復速度2倍、火水土風属性、消費MP半減、演算、雷魔法
※創造魔法
・イメージした魔法を所持属性に限り創る事が出来る。
・最大消費MPは、イメージした時に自動で設定され、それ以上にはMPを込められない。
・最大消費MP以内であれば、自由に調整出来る。




