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ある日ダンジョン出現に巻き込まれた  作者: 鹿野
2章 目指せSランクパーティー
65/129

#65 ほのかの家族

 9月12日(木)


「やっと40階層まで来れた〜」

「やっとって、かなり早く着いた方だと思うんだが...」

「そうですね。1階層毎の階段間の距離が結構遠かった割には早かったと思いますね」

「そだねー」

「そうだけどさ~3日も移動してばっかだと飽きるじゃ〜ん」

「まあな」


 鋸南町ダンジョンに来てから3日目、漸くこのダンジョンの最深攻略階層まで降りて来る事が出来た。


 40階層までは既に攻略されているので、さっさとボス部屋に向かう。


「ジャングル、洞窟、森林、火山と来て、次は何だろうねー?」

「可憐さんが言うには、アンデッドエリアらしいぞ」

「おー!私の浄化の出番来たー!」

「そうだな。唯佳には頑張ってもらう事になると思う。ただ、確認されている41階層は墓地らしいから、空を飛んで行けばいいと思うけど」

「そうですね。あとは、次階層への階段がすぐに見つかればいいんですけどね」

「そこは雛ちゃんにお祈りしとこうー」

「どんどん祈っていいよ~」


 雛はもう、完全に幸運の女神を受け入れたらしい。

 俺もウォーキングで使えるスキルが取得出来る様に祈っておこう。

 この間取得した槍術Lv1は、使う予定のないスキルだったからな。


 38階層から出て来たバーニングウルフや39階層から出て来たファイアーバード、この階層から出て来た火ノシシを倒しつつ、雛を先頭にして進んで行く。


「あっ!扉あったよー」

「おっ!ホントだ〜唯佳っちはいつもよく見つけられるね~」

「えへへー」


 先頭を行くのはいつも雛だが、階段や扉を見つけるのは雛の後ろを行く唯佳が多い。


 いつも通り雛に続いて俺とほのかも唯佳を褒めて、ボス部屋の扉を開いた。


 ボス部屋の中には、8個の目を持ちマグマで形造られた体長6mはありそうな、巨大なイノシシの姿があった。


 〘カマプアア〙

 〘マグマの身体を持つ巨大なイノシシ。女性を追いかけ回す習性がある〙


「女性を追いかけ回す習性があるって、ストーカーか!アタシが速攻で倒して来る」


 そう言うと、雛が影移動で近付き瞬殺して戻って来た。


「じゃあ、41階層を見てから支部に戻ろうか」

「「「は~い」」」

「キュッ!」

「パオ!」


 ボス部屋の先にある階段を降り、41階層の様子を確認して支部へと戻った。


「おかえりなさい。予定通り40階層のボス部屋まで行けた?」

「可憐ちゃんただいまー。40階層のボス部屋まで行けたよーこれ、ドロップアイテムだよー」

「順調に進んでいるわね」

「まあ、このくらいの階層なら魔物も強くないしね~」

「あなた達ならそう感じるでしょうね」

「ただ、明日からは地図がないので、今日までよりも時間が掛かると思いますけど」

「それは仕方ないわよ。誰が攻略したとしても、地図がない階層の攻略には時間が掛かるものだもん」

「そうですね。でも、うちには雛さんがいますから、他のパーティーよりも早く攻略して行けると思いますよ」

「まっかせなさい」


 この鋸南町ダンジョンは、40階層のボスを倒してCランク探索者になると、みんな東京の新宿ダンジョンやお台場ダンジョン、東京タワーダンジョンや富士森公園ダンジョンに行ってしまうらしい。


 ただでさえ探索者の数が少ないのに、更にCランクまで成長した探索者が出て行ってしまい、攻略が進まない事態になっているそうだ。


 アンデッドエリアは、探索者に嫌われているエリアだから、避けられるなら避けたいと思うのも仕方ないとは思う。


 そんな話をしている俺達に、1人の探索者が話し掛けてきた。


「あの、クローバーの皆さんですよね?俺、皆さんのファンなんです。握手してもらえないでしょうか?」

「ごめんなさい。そういうのはお断りさせて頂いているんです」

「ごめんね~」

「ごめんなさい」


 オークションの時にニュースになりはしたものの、話題になったのは一時的なもので、最近は静かな物だったのだが、山中湖ダンジョンを完全攻略した事が知られ、学校のダンジョンも完全攻略していた事も知られた結果、史上最年少でのダンジョン完全攻略パーティーとして、再びニュースに取り上げられてしまい、一昨日から唯佳達3人は声を掛けられ、握手や写真撮影を頼まれる事が多くなってしまった。


 3人は最初から握手や写真撮影は断っているのだが、声を掛けて来る人は後を絶たない。


 因みに俺は、一切声を掛けられていない。

 理由は、ニュースに使われている写真や映像が、3人と可憐さんか紗奈さんの物で、俺が一切写っていない物だからである。


 山中湖ダンジョンを完全攻略した後、紗奈さんは可憐さんが休みの日以外は、学校のダンジョン支部で働く事になったのでまだ被害に遭ってはいないが、可憐さんは3人と同じ様に握手や写真撮影を求められて困っているらしい。


 いつもの様にお断りをした3人と可憐さんと共に鋸南町支部を出て、学校支部の個室へと戻って来た俺達は、可憐さんと別れシャワーで汗を流し着替えを終え、ほのかの家に転移して来た。


「ただいま」

「「「おじゃましま~す」」」


 ほのかに続いて玄関のドアを潜る。


「おかえりなさいほのか。みなさんもいらっしゃい。黒木くん以外のお二人ははじめましてね」

「はじめまして、白坂 唯佳です」

「はじめまして、桃井 雛です」

「お久し振りです涼子さん」

「ふふっそう畏まらないでちょうだい。今日はお母さんモードよ?」

「「お母さんモード?」」

「以前、黒木くんと会った時は、お仕事のお話だったから、仕事モードだったのよ」

「「ああ~なるほど〜」」

「そんな事より、手洗いうがいをしていらっしゃい」

「装備から着替える時にシャワーを浴びて来たので、平気ですよお母さん」

「でも、その後表を歩いたりバスに乗ったりして来たのでしょ?」

「いえ、唯佳さんの転移でここまで来たので、シャワー浴びたての状態です」

「転移?」

「私のスキルで、こういうスキルです」


 そう言うと唯佳は、涼子さんと一緒に転移で移動してみせた。


「えっ!?今のは!?ここじゃない所に一瞬いたけど...」

「今行ったのは、私達の教室です」

「確かに教室みたいだったわ...えっ?ホントに教室だったの?」

「うん!」

「.....凄いわ」

「お母さん、誰にも言っちゃダメですよ?」

「ええ、言わないわ。それよりもほのか?いつまで余所行きの言葉遣いでいるの?普段通りでいいじゃない。お友達しかいないんだし」

「ちょ、お母さん!?」

「あら?もしかして、お友達の前でもそんな感じで話しているの?」

「大体こんな感じだよね~偶に素が出て可愛いんよね~」

「ねー可愛いよねー」

「雛さん!?唯佳さんまで!?」

「あら、そうなのね。可愛いと思ってもらえているのなら気にしなくても良さそうね」

「うん!ほのかちゃんママ大丈夫だよー」

「そうそう、気にしなくても平気だよ~」

「ふふっ黒木くんには言ったのだけど、2人も私の事は名前で呼んでちょうだい。青山 涼子って言うのよろしくね」

「はーい。涼子さんよろしくねー」

「涼子さんよろしく〜」

「距離の詰め方が相変わらず早いですね...」


 あっという間に唯佳と雛と涼子さんの距離が縮まり、和やかな雰囲気でリビングへと通された。


 そこには、ほのかのお父さんと兄弟もいて、お互いに自己紹介をし、ほのかが着替えの為にリビングを出て行った。


「ところで黒木くん、女子3人のパーティーに男子が1人入っているのはどういった経緯から何だい?」


 ほのかが着替えに行き、涼子さんがキッチンに行くと、ほのかのお父さんの裕史ひろふみさんから質問された。


「最初は僕と唯佳の2人でパーティーを組む予定でいたんですが、僕達が巻き込まれたダンジョン出現事故の時に雛が自分も入れてほしいと言って来まして、2人では心許ないと感じていたので了承しました。その後、僕の誕生日に既に誕生日を過ぎていた雛と探索者講習を受けに行き、帰ろうとしたタイミングでほのかさんに自分も入れてほしいと声を掛けられ、3人全員が了承した事で4人でパーティーを組む事になりました。ですので、僕が女子3人のパーティーにいるのは、結果的にそうなったというだけですね」

「なるほど。そういう経緯だったんだね」

「ええ」

「フン!どうせ姉さんも雛さんも美人だからオーケーしたんだろ?唯佳さんも美人だしスケベ野郎が」


 裕史さんと話していると、弟の裕貴ひろきくんが突っ掛かって来た。


 まあ、3人共美少女だしそう思われても仕方ないけど、どうやってそれが理由じゃないと納得してもらおうかと考えていると、その場にいた雛と唯佳が黙っていられず俺が答えるより先に反論した。


「はっ?春斗っちはそんな人じゃないから、いくらほのかっちの弟でも知りもしない奴に悪く言われたくないんだけど?」

「うん。春くんの事、悪く言わないで」

「あなた達だって狙われてるんですよ?こんな奴から早く離れた方がいいですよ!」

「黙れよ。ほのかっちの弟でもそれ以上は許さないよ」

「うん。許さない」


 裕貴くんと2人の間に緊張が走っている。


「裕貴、止さないか」

「で、でも兄さん」

「ほのかもこの2人も黒木くんとちゃんと信頼関係を築けている様だし、2人が言う様に何も知らないお前が口を出す事じゃない」


 ほのかの兄の裕人ひろとさんが3人の間に割って入り、裕貴くんを窘めた。


 因みに、裕人さんはうちの高校の生徒会長で何度か顔を合わせた事があり、話した事もあるので裕貴くんよりは俺達の関係に詳しい。


「兄さんは姉さんの事が心配じゃないのかよ」

「ほのかはお前よりもしっかりしている。ほのかが信頼しているなら大丈夫だ」

「でも」

「裕貴、私の何を心配しているの?唯佳さんと雛さんが怒っているのも気になるけど、何があったの?」

「ほのかっちには悪いけど、アタシは今日は帰るね」

「えっ?雛さん?ホントに何があったんですか?」

「ほのかちゃん、ごめんね。私も今日は帰るね」

「唯佳さんもですか?裕貴が何かやらかしたのは雰囲気で分かりますけど、えっ?裕貴?あなたホントに何をしたの?」

「クローバーに俺がいる事が気に入らないらしくてな、それで裕貴くんと2人が口論になっちゃったんだ。裕人さんが間に入ってくれたんだけど、今日は俺達は帰るからほのかからちゃんと家族に説明した方がいいと思うぞ」

「えっ?だってクローバーは春斗くんと唯佳さんが立ち上げたパーティーで、私と雛さんは入れてもらった人間です。春斗くんがいるのが気に入らないって.....分かりました。今日は、私から話をさせてもらいます。折角来て頂いたのにすみません」

「ほのかちゃんの所為じゃないよー」

「うん。ほのかっちの所為じゃないから、っていうかうちの弟は大丈夫かな~」

「まあ、気にしないでいいよ。涼子さんに挨拶して帰るね」


 キッチンに行き、3人で今日は帰ると涼子さんに伝えてほのかの家を出て来た。


 夕飯を近くの美味しいハンバーグ屋さんで食べてから、雛を送って俺の家に帰って来た。


 ほのかが気にしないで明日からも接してくれるといいなと思いながら眠りに就いた。


名前:黒木くろき 春斗はると 所属:クローバー

 年齢:16歳 誕生日:6月26日

 歩数:1,448,038歩

 従魔:雪兎ゆきとLv9(風雷雪ふうらいゆきうさぎ)

 エレンLv9(クリエイティブエレファント)

 Lv:37

 MP:244/244

 力:345

 耐久:290

 敏捷:317

 器用:260

 魔力:157

 運:76/100

 スキル:ウォーキング、サーチLvMAX、剣術LvMAX、纏雷、リペアLv7、鑑定、剛力、アイテム融合、テイム、せいおう、瞬歩、槍術Lv1(New)

 ※ウォーキング

 10万歩毎にスキルを1つ取得又は、既存スキルのスキルレベル1上昇


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