#41 変わらない日常
8月13日(火)
「ハアァァァァッ!」
雛の渾身の一撃を受けて、トパーズメイドが光の粒子へと変わって行った。
「よっし!」
「雛お疲れ」
「雛ちゃんお疲れー」
「雛さんお疲れ様です」
「1対1だと面白いね~ もうちょい強くてもいいくらいではあったけどね~」
「まだ、フリアゴリラの方が強いからな」
「単体の強さだと、ボスは5階層先の魔物と同じくらいの強さだと言われてますからね」
「そっかーじゃあ、どんどん進んじゃおー」
「お〜!」
43階層の探索を始めて1時間ちょっと、ここまで1番厄介だったのはアシッドスライム10体の群れ。
やはり数は力だ。それに直接物理攻撃出来ないのも厄介だし、面倒臭い相手だ。
次階層への階段を見つけたのは、それから4時間後の14時頃だった。
「少し遅くなったけど、昼飯食うか」
「「さんせーい!!」」
「お腹空きましたね」
「何か敵が多かったせいで食べ損なったからね」
「ね~いつもより多かったよね〜」
「トイレ休憩も取れなかったもんねー」
「思い出したらちょっと...」
「ア、アタシもちょっと〜...」
「春くん、ちょっと待っててねー」
女子3人と雪兎とエレンが階段を昇り、43階層に戻って行った。
食事を終え、44階層の探索を始める。
「この階層も敵の数が多いねー」
「そうだな。今までが運が良かっただけなのか、こういう物なのか、今が運が悪いのか、戻ったら可憐さんに聞いてみよう」
「そうですね。そうしましょう」
「アタシはいっぱい戦えて嬉しいけどね〜」
「雛ちゃん、楽しそうだもんねー」
1つの群れを倒すと次の群れが襲って来る感じで、全然先に進んだ気がしない。
実際に探索開始から1時間で、直線距離で2.5kmしか進んでいない。
その後も状況は変わらず、討伐数が凄い事になって来ている。
それを証明するかの様に、探索開始から1時間半後には
「うわっレベルアップしちゃった~」
「私もだよー」
「凄いな。今日どれだけ敵を倒したんだろうな?」
「でも、私達のレベルでこの階層の魔物を倒していれば、短期間でのレベルアップも納得出来ますけどね」
雛と唯佳のレベルが上がった。
更にその直後には、俺とほのかのレベルも上がったのだ。
「このペースだと、今日中にもう1回ずつレベルアップしてもおかしくないな」
「お〜 頑張っちゃうよ~」
「おー!」
「この先の階層もこんな感じであれば、毎日1、2回づつレベルアップするかもしれませんね」
「そうだな。少し肉体的にキツいかもしれないけどな」
「そんなのお風呂に入って、お布団で寝れれば消えてなくなるっしょ」
「そだねー」
「タフだな~」
「ふふっ本当ですね」
魔物を倒しながらそんな話をしつつ、少しずつだが先に進んで行く。
結局俺達は、探索終了間際に全員がまた、レベルアップした。
44階層への階段は見つからなかったけど、全員が充実した気持ちで帰還する事が出来た。
「「たっだいま~」」
「おかえりなさい。何だか嬉しそうね」
「ええ、今日だけで全員2回レベルアップ出来たので」
「あなた達のレベルで1日に2回のレベルアップって凄い事だけど、今戦っている階層を考えると不思議じゃないわね」
「魔物の数も多かったですからね。あっ!かれんさんただいまです」
「ふふっおかえりなさい。最後のエリアは魔物との遭遇回数が多いからね。だから昨日も多かったんじゃないの?」
「いえ、昨日はいつも通りっていうか、寧ろ少なかったですね」
「そうなの?普通は41階層から多くなるんだけど、そういう事もあるのね」
「雛ちゃんの運のお陰かもねー」
「幸運の女神ですからね」
「もう!また2人はそういう恥ずい事言う〜そんな2人にはこうだ〜」
「「キャッ!」」
「どうだ〜もう言わないか〜?」
「もう言わないからーおっぱい揉んじゃダメー」
「私も言いませんから、ブラズレちゃいますから〜」
「ふふっ仲いいわね~」
「可憐さん、換金お願いします」
「は、春くん?可憐ちゃん?助けてよー」
「春斗くんもかれんさんも微笑ましそうに見てないで助けて下さい」
「ほれほれ〜」
「雛、換金出来ないからその辺で終わってくれ」
「は~い」
「ううーズレちゃったよー」
「私もです。は、春斗くん。ちょっと向こうを向いていて下さい。こっち見ちゃダメですよ?」
「ああ、分かってるよ」
身支度を整えた唯佳が、カウンターにアイテムを出して、可憐さんに換金してもらって個室に戻った。
「お待たせ〜」
「雛ちゃん?時間掛かったのは誰のせいかな?揉んじゃダメって言ったでしょ?もう、メッ!だよ」
「雛さん?私は唯佳さん程ないですから、今後は唯佳さんだけにして下さいね?」
「ほ、ほのかちゃん!?ダメだよ!?雛ちゃん本気にしちゃうんだからね!?」
「ふふっ」
「ふふっじゃなーい!」
「大丈夫だよ唯佳っち。どっちも良いモノだったから」
「そ、そう?ってそうじゃないからー!」
「えっ!?ひ、雛さん?私はもういいですよ?聞いてますか?」
「ニシシシシ」
「ひ、雛さん?ニシシシシじゃなくてですね?」
「お~い、帰るぞ~」
「は~い」
「雛ちゃんは、あとでお話しようね?」
「そうですね。きちんとお話をしましょうね?」
個室から出て、ロビーでこちらも私服に着替えた可憐さんと紗奈さんと合流した。
この2人も美人だしうちの3人も美少女だから、支部内の視線が集まる。
「遅かったけど何かあったの?」
「いえ、3人が戯れていただけです」
「ああ、そうなのね」
「そうなのねじゃなくて、可憐ちゃんからも注意してー」
「ふふっ私も雛ちゃんの気持ちは分かるもの」
「だよね~おっ!?紗奈姉も中々」
「ふぇっ!?」
「そうなのよ。この娘も良いモノ持ってるのよ~」
「み、源先輩!?」
可憐さんも雛側だからな~雛サイドに付いたか〜
「春斗くん?何が雛ちゃん側なのかな?」
「春斗っち〜?アタシも知りたいな~」
「ふぇっ!?」
「声に出てたわよ~」
「あとでお話しようね~」
「その前に、雛さんは私達とお話がありますからね?」
「は、は~い。ほのかっち?怖いよ?」
「誰のせいかなー?」
「唯佳っちも!?」
「「当然です!」」
「ひゃ、ひゃい!」
一先ず俺の危機は去った様なので、俺の家に向かう事にした。
「「ただいま〜」」
「「「「おじゃましま~す」」」」
「おかえりなさい。みんなもいらっしゃい。3人はお風呂に入ってらっしゃい」
「「「は~い」」」
すっかり3人でお風呂に入るのが当たり前になってるな。
「春斗〜一緒に入りたそうな顔だね~、お姉ちゃんが一緒に入ってあげようか〜?」
「智佳姉、ただいま。そんな事ないよ?1人で入るから大丈夫だよ」
「おかえり。って、今日は冷静に返してくるじゃない」
「俺も成長するんだよ?」
「つまんな〜い」
「ふふっ智佳ちゃん。ホントに成長してるかどうか、ホントに一緒に入って確認してあげたらどう?」
「そうだね~じゃあ、久し振りに一緒に入って、この目で確認してあげよう」
「いや、何の成長を確認するつもりなの!?」
「そりゃあ、ナニの成長をよ~」
「完全にアウトだからね!?ダメだからね!?」
「あっれ〜?何を慌てているのかな~?」
「慌ててないよ!?」
「春斗〜?冗談だよ~?」
「わ、分かってr」
「お兄ちゃんの変態」
「凛!?今、俺は悪くなくない!?」
「フン!!」
「春斗を誂うのはその辺でやめなさい。春斗も着替えていらっしゃい」
「「「は~い」」」
ばあちゃんの助け舟で、3人はリビングに入って行った。
今日は冷静に対応出来たと思ったのに...
何を言われても動揺しない、鋼の心が欲しい。
雛に祈っとこうかなぁ...
女子3人と入れ替わりでお風呂に入って夕飯も終わり、日課のリペアの練習をやっている。
毎日30分くらいずつだが、サボらずに頑張ったお陰か、リペアのレベルが上がった。
リビングに戻ると女性陣が庭で、手持ち花火をやっていた。
「あー春くんリペア終わったのー?」
「春斗っちも一緒にやろうよ~」
「楽しいですよ。春斗くん」
「ああ、今行く」
「あ〜春斗〜、その前に麦茶ちょうだ〜い」
「あっ!お兄ちゃん私も〜」
「はいはい。ちょっと待ってね」
「春斗くん、私にはお酒取ってくれる?」
「可憐さん、飲み過ぎないで下さいね?」
「ふふっ分かってるわ」
「あっ!春斗、簡単なのでいいからおつまみも持って来てくれるかしら?」
「えっ!?母さん、俺料理出来ないよ?」
「春ちゃん、今の時代男性も料理くらい出来た方がいいわよ?」
「いや、そうかもしれないけど、急にはムリだよ優佳おばさん」
「じゃあ、私と一緒に作ろうよ春くん」
「あらいいじゃない。唯佳ちゃんに教えてもらいなさいよ春斗。唯佳ちゃんもお料理上手だし」
「じゃあ、唯佳頼む」
「は~い」
「アタシも教わって来よ〜」
「私も一緒に作りますね」
そうして、唯佳とほのかに教わりながらおつまみを作って庭に持って行った。
因みに雛は摘み食いしてただけだったけど。
その後、俺も花火を楽しみ、明日への英気を養った。
チラッと雪兎とエレンを鑑定したら、2人共レベルアップしていた。
こいつら毎日レベルアップしているな...
このペースでレベルアップして行ったら、短期間でどれだけ強くなるんだろうか?
大金を手にして2日経ったけど、今日も変わらぬ日常が過ぎて行く。
名前:黒木 春斗 所属:クローバー
年齢:16歳 誕生日:6月26日
歩数:930,083歩
従魔:雪兎Lv5⇒7(風雪うさぎ)
エレンLv5⇒7(ペケーニョエレファンテ)
Lv:22⇒24
MP:154/154⇒165/165
力:210⇒228
耐久:168⇒185
敏捷:192⇒209
器用:157⇒172
魔力:82⇒90
運:76/100
スキル:ウォーキング、サーチLv8、剣術Lv8、纏雷、リペアLv3⇒4、鑑定、剛力、アイテム融合、テイム、せいおう
※ウォーキング
10万歩毎にスキルを1つ取得又は、既存スキルのスキルレベル1上昇
名前:白坂 唯佳 所属:クローバー
年齢:16歳 誕生日:6月14日
称号:聖女
Lv:22⇒24
MP:223/223(669/669)⇒240/240(720/720)
力:77⇒84
耐久:93⇒101
敏捷:94⇒101
器用:209⇒218
魔力:209(627)⇒228(684)
運:77/100
スキル:女神の祝福、光魔法Lv2、MP回復速度2倍、空間収納、誘爆、転移
※女神の祝福効果
魔力3倍、MP3倍
名前:桃井 雛
年齢:16歳 誕生日:5月5日
Lv:22⇒24
MP:162/162⇒178/178
力:203⇒219
耐久:177⇒193
敏捷:216⇒235
器用:159⇒176
魔力:108⇒117
運:93/100
スキル:レア率固定、剣術Lv7、忍術Lv4
※レア率固定効果
ドロップアイテムのレア率がパーティーで倒した魔物の数の1割で固定される
名前:青山 ほのか 所属:クローバー
年齢:16歳 誕生日:7月1日
Lv:22⇒24
MP:216/216(432/432)⇒233/233(466/466)
力:91⇒98
耐久:98⇒107
敏捷:96⇒107
器用:116⇒130
魔力:219⇒239
運:69/100
スキル:創造魔法、MP回復速度2倍、火水土風属性、消費MP半減、演算
※創造魔法
・イメージした魔法を所持属性に限り創る事が出来る。
・最大消費MPは、イメージした時に自動で設定され、それ以上にはMPを込められない。
・最大消費MP以内であれば、自由に調整出来る。
名前:雪兎
種族:風雪うさぎ
主人:黒木 春斗
Lv:5⇒7
スキル:突進、氷雪魔法、瞬歩、風魔法、怪力
名前:エレン
種族:ペケーニョエレファンテ
主人:黒木 春斗
Lv:5⇒7
スキル:風魔法、水魔法、土魔法、突進、火魔法




