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Y・Hファイル  作者: 白百合リーフ
林堂 友理サイド
PR
28/33

第28話 「双星のアリウム」

前回のあらすじ・・・

連続砂かけ事件を引き起こした張本人である

砂かけ(ババァ)こと砂ばぁは、

玉藻前から一本の電話でこの事件が決行された。

以前にも数々の被害者を叩き出した

薊陣営の長であられる玉藻前からの願いが

実現しつつあった矢先、砂ばぁの様子が急変っ!?

干潟村(ひがたむら)を襲い、雫までもが砂をかけられ、

特別部隊から何度も逃亡を図ろうとする砂ばぁが

またしても女性を襲おうとした瞬間、

逆に返り討ちに遭い、誠也達の元へ転がってきた。

そして、襲われかけた女性の正体は

友理の口から明かされ、志童という事が………?

本編・・・

砂ばぁを追跡する夜の大運動会から翌朝。

1LDKの広々とした

リビングに繋がる2つの内1つの扉が開き、

その部屋から出てきたのは日向だった。

日向は、あくびをしながら眠そうに目を擦り

ゆたゆたとスリッパの音を奏で

キッチンへと向かう。

そこでは、赤いポットに水を入れお湯を沸かせ

白い耐熱コップの底に

茶色いパウダーを2杯ほど入れた。

沸き立てのお湯を注いで

中央でパウダーとお湯が渦を巻くように絡み合い、

そこへスプーンを入れて更にかき混ぜる。

出来上がったココアの入ったコップを持って

ソファーの後ろからテレビを付けた。

日向(えっと、この時間のニュースは…っと)

8時・・・

女性アナ「……建物の上から〜

[自殺者の死体]が立て続けに落下する

被害につきましては、

今後とも閻魔騎士の方々が全力をもって

引き続き調査を進めるとのコメントを受けています。

えぇー以上で、速報でした。

次のニュースです!

ここ1週間で多発していた

連続砂かけ事件の犯人の身柄を確保したとの

連絡が今朝、閻魔騎士から判明しました。

今日の午前3時半頃、

三多田市の交番にて住人からの通報を受け

現場へと駆け付けた所、

そこには何者かによって拘束されたお婆さんだけが

取り残されていたようで〜

周りには人は居らず、置き手紙が置いてあるだけで

通報した方の行方は未だ分かっていないそうです。

場所は、仁川市の住宅街の中だったとか。

こうして一般の方々が

閻魔騎士に通報をし協力してくれる事自体は、

我々も大変嬉しい限りであり

非常に有難い事ではありますが、

どういった理由で犯人を拘束したのか

はたまた、どういう理由で犯人だけを

その場に残して行ったのか詳しい経緯の程は、

まだ明らかになっていません!!

この事を三森さんは、どう思われますか?」

男性アナ「そうですね。

私は、この手の問題に直面した時は、

拘束した側が得るメリットとデメリットを

押さえておけば、未然に防げる方法が

大体、分かりますよね?

それは、例えば〜……(女性)

犯人が所属している組織または

所属していない情報を前もって把握した場合、

その人達からの報復を恐れ敢えて

正体を隠したとか。

他にも玉藻前様が引き起こした事件、

アレは結果的に大多数の妖怪が戻って来ましたが

[ある特定の妖怪]だけは、解放されていない。

つまり???(女性)

分かりやすく言えば、未だ帰って来ない

被害者達の[反乱の余興(よきょう)]みたいな〜…

というのが、あくまで私個人の意見ですが〜

考え方は人によると思います!(汗)」

女性アナ「なるほど、なるほど♪

確かに、そういう考えも思い付きますし

何気に信憑性が高いですね!!

流石、三森(みもり)さん☆☆☆」

三森アナ「い、いや〜…そんな事ですよ(焦)

これは、誰でも思い付く事ではあるでしょうし、

誰にでも起こり得る事だと思いますから」

男性アナ2「では、その考えがもし正なら

復讐を避けてでの行動だとすれば

一層の事、閻魔騎士に

保護されるべきでは無いでしょうか?」

女性アナ「それだけの理由なら平気だとは思いますが

やはり街が絞られているとはいえ、

現在、あの街にはかなりの住民が住んでいます!

あの中から1人もしくは、

複数人いる場合では話がまた違ってきます」

三森アナ「そうなんです。

たったそれだけの理由ならの話だと

保護されてこれで、おしまいというのは

はっきり言ってこの事件が、

そう簡単に綺麗に終結するとは思えませんね。

今回は、薊陣営だからこそ警戒する必要があります」

男性アナ2「ですが一歩、間違えれば

閻魔騎士までもが

巻き込まれるという事態に陥るとしたら

被害はもっと拡大されていたのでは?」

三森アナ「確かに、そういう考え方も

無くはないともはっきりと言い切れません。

もし閻魔騎士の本部に

薊陣営が押し掛けてきた場合、通報者1人よりも

戦闘経験ありの部隊が味方に付いてくれるのは

私達にとって比較的、安心できる位置でしょう。

その復讐の規模がどれほどの被害を生むのか

どうかは伊織さんが思っている程、

簡単な話では無いんです(汗)」

伊織「うーん、それもそうですね。

被害に遭った被害者がまた出てからじゃ、

こちらとしても避けたい事でした」

とアナウンサーの憶測を

コクコクと頷きながら画面を見つめる日向。

ココアを口元まで運び、一息吐いてからこう思った。

日向「・・・ふぅ〜

(実際、そんな生優しい考えだけで

組織の人達からの復讐を恐れた訳じゃない。

こっちは、こっちで色々と大変だったんだから

せめてもの対応に過ぎなかった。

ついさっきまでの出来事が、

夢に浸かってるのかと錯覚させるくらい

ふわふわしているけれど、

内容はどれも衝撃的なものばかりだった)

はあ〜〜〜ぁ、まだ眠いぃ(あくび)

……帰ってきて、すぐに眠れたとはいえ

流石に次の日、学校があると

僕達の寝る時間がどんどん減っていくだよね(汗)」


5時間前・・・

特別部隊の前で堂々と老婆を撃退した女性の顔は、

どこか凛々しい顔付きで

掌底打ちを繰り出し、4人の足元まで突き出すと

銀色の瞳を光らせ、体勢を立て直す。

そんな女性に対して友理がこう口にする。

友理「予定してた時間より

大分、遅かったですね〜[河原先輩]♪」

日向(まさか、友理さんの口から

[志童]の名前が出た時は、

正直、僕ですら動揺を隠せなかったし

信じられなかった……)

そんな光景を目の当たりにした3人は唖然とし、

後ろにはおんぶしたままの雫の寝息が引き立つ。

老婆の顔と志童らしい顔を見るなり2人は叫んだ。

蘭と誠也「えっ?

え、ええぇぇぇぇぇ!?!!!!」

志童?「うるさいな(汗)

今、何時だと思っている?

夜中の3時にこんな住宅街のど真ん中で

ギャーギャー騒ぐな、こっちが逆に通報される。

ほ、本当に……志…童なのか(汗をかく誠也)

・・・そうだが。何か、文句があるのか?

いや、ねぇけどっ!?(誠也)

大体、君達が早く捕まえないから

こんなどうしようもない……

落とし前をつける羽目になったんじゃないか」

と誠也からの問いにちゃっかり認めつつも

少々、呆れた口調で愚痴愚痴と言う志童。

それに気付いても尚、

未だに女装をする訳も分からずにいた3人。

名前だけの不確かな情報をじっと見ていると

髪からちょい上辺りに志童が手を伸ばし、

一気にマントを脱ぎ捨てるかのような動作だった。

すると次の瞬間、女装した姿から元の姿へと

一瞬で早変わりしておりすぐ短髪姿の志童を見て

やっとホッとしたのか胸を撫で下ろす。

志童「まず、俺が女装する事になった

経緯についてだが〜コイツが…(怒)

んんっ!(咳払い)

彼女から次に被害に遭う人の振りと

仁川市内で女装した姿で彷徨いてて欲しいという

大雑把な頼まれ方をされたんだ。

今、コイツって言わなかったか?(小声の誠也)

その老婆が起こした事件の詳細は

正確には俺も知らないが、

女性の方が被害に遭ってるらしい事から

そういう話になって〜……(チラッ)

あはは♪(お花畑な友理)

・・・まぁ、気が済んだのならそれでいい(汗)

それと君達から見れば、

俺が女装しているように見えてるようだが

実際は、本来の姿を何もイジっていない。

この膜が外見だけを自由自在に変えられる

天狗が厳選した中で

特に品質の良い物を借りたに過ぎない」

誠也「て、天狗っ?!

なぁなぁ♪天狗って今、どこに居んだ☆☆☆

教えてくれよ、志童っ!!」

志童「八瀬は、本当に……

四大妖怪の名前を出した時だけは、反応が早いな。

とはいえ、いくら俺が君達に信頼を置いているから

と言って組織の情報を部外者に

しかも組織に属さない奴らに教える程の義理はない。

ちぇ〜そこは、変に徹底してるよな(誠也)

当たり前だ!

一個人の情報と組織内部の個人情報を漏らせば、

長の関係性をも悪化しかねない。

君達には知り得ない四大妖怪の規則を守るのは、

当然の事だろう?

うん、想像してた規模より遥かに上だね(点目な蘭)

そういう事」

誠也「だけど………何で、それが

よりにもよって志童になるんだよ!?

お前らって確かあの時に

初めて会った筈だろう???

何で、友理の言う事を聞き入れてんだよ!!」

志童「あ〜……実は、そうでもないんだ(汗)

えっ?(誠也)

確かに、4日前にも似たような話をしたが

前期に新入生の野外活動の際に

直接とまではいかないがまぁ一応は、会ってはいる。

妖怪三輪学校の壁とも言われる恒例行事を

1年生には最初の試練として起こったものだが、

その時の迷惑料みたいなのを果たしに、な。

他の河童には事前に注意したつもりだが、

ろくに俺の話を聞きもしない連中のせいで

結構な被害を出したんでね。

それは、お前の責任じゃなくてせんだっ…(誠也)

現にその場で意志を持つ者は、俺だけだ。

それが例え、意志の無い野生の妖怪でも

組織下における人間が暴れたっていう事実を

背負う必要があるのは、間違いなく[長の務め]だ。

なんか面倒くせぇな、長って(誠也)

今は、そう言い切るしか方法が無いんでね。

想像してみろ?

もし、お前達が所属する組織のトップが、

子供みたいに駄々をこねて喚いていれば

失うものは、ただ一つ。

組織の人間だけでなく、休む事なく何年もかけて

長を支え続けてきた人達の信頼を

ほぼ確実に裏切る事になるんだからな。

中には信頼が高まる奴も存在したが

あくまで、それはレアケースだ。

大抵の奴は、[違反行為]として捉えられ

四大妖怪から追放される以外。

まぁ、そんな最低最悪の結末を勝手に迎えようと

また人知れず、世間から新しい………

いや次は…水陣(すいじん)という名の組織自体、剥奪かもな(笑)」

と澄ましたようなあっけらかんな態度を

取り続ける志童に唖然とする。

3人「・・・」

志童「君達に心配されようがされまいが

この組織に次の世代の長が来るくらいなら

俺は、命を懸けてこの座を守り続ける。

たったそれだけの事だ。

それに今回は、やけに事件に加担していたようで

被害者宅までわざわざ行ったり、

老婆が起こした村襲撃を食い止めたりと

いつにもなく慌しく動き回っていたようだが。

???(3人)

はぁ?!!!!!見てたのか!?(誠也)

あぁ〜中々、楽しかったよ♪

あんな大変な時に呑気に鑑賞しやがって!(誠也)

傍観(ぼうかん)と言え、それだと芸術になる(汗)

そういう問題じゃないよ(ジト目な日向)

まぁいい。

この場に居る全員に聞くが、ここに来るまで

何も証拠に残るような情報を話していないのなら

それで良いんだ。

特殊部隊は情報を隠蔽する事自体はほぼ無いが、

君達…特別部隊には、

果たさなければいけない約束のせいで

世間からの信頼は……いや信頼以下にしか

値しないのだからな。

あまり閻魔騎士の手を(わずら)わせるなよ?

ただでさえ、こっちは雄鬼さんに

監視されてるっていうのに。

用事を済ませたら、すぐにでも帰らせて貰う!!

良いな、友理?」

と言いながら3人の間を音もなく

すり抜けると友理の前まで突き進んでいく。


その際、志童は背中を向けたまま

顔を後ろに向け、友理だけに目配りをすると

考えを汲み取れた友理がコクリと真剣な顔で頷く。

その姿を目視した志童は、

すぐ腰周りにぶら下げていた手を

顎下まで上げ、右手の人差し指から

水の弾丸がチャージする事なく撃ち放たれる。

それは、人の視界をも掻い潜り

老婆の着ていた着物に被弾したのです!

貫通し開けられた細い穴から

大量の血飛沫を勢いよく噴き出す。

砂ばぁ「なっ……あ、あぁ…き、さま……ぁ〜

わ、わわ…ワシの……肩をぉ?

ああぁぁぁぁぁ!!!!!!(断末魔)」

撃ち抜かれた直後には、特に痛みを感じなかったが

黒い血を噴き出し始めた次の瞬間、

肩から体の芯にまでかけて電撃が走る!!

その痛みの余り、老婆は肩を押さえつつも

出血し過ぎたせいか気を失ってしまったのだ。

誠也「志童…お前、次は何を企んでんだよ!?

折角、お前のお陰で

やっとの思いで砂かけ(ババァ)を捕まえたのに

殺す事ないだろ!(焦)

勘違いするな。これは、ただの応急処置だ(志童)

処置……って、何の話だよ?!」

志童「端的に説明すると薊陣営の大半の奴らには、

玉藻前から2ヶ月に一度、支給される

妖力付与の儀式に参加している。

無論、この老婆もその1人だ。

それの何が悪いんだよ???(誠也)

あ〜そうか。君達は、知らないのか?

一玉藻前は[強靭な肉体]を手に入れているが故に

普通の妖怪とは、

比べものにならない程の尋常じゃない妖力量。

妖力が増した事により生じるメリット、

それは体が鋼鉄のように硬くなり

少しの傷ですらびくともしない事は、

流石の君達でも知っているな。

まぁ…その点に関しては、体が頑丈な相手だろうが

俺には全く関係のない話だが。

そのせいで俺らは、苦戦したんだぞっ!!(誠也)

次に話す事とすれば……そうだな。

[妖力の過剰摂取]という言葉を耳にした事は?」

蘭「妖力の…過剰摂取。。。

うーんと……まぁ、そもそも自分の妖力を

他者に分け与える行為自体は、

別に、問われる程の罰では無い。

いくら妖力が多い方とはいえ色んな人に配るのは、

やっぱり自分の命を他の人と共有してるようで

いざという時に恐ろしいかなって……(汗)

何でだ?くれるなら良いんだろ、別に?(誠也)

確かに緊急時に、人から貰えるのは嬉しい事だよ(焦)

でも私が生きてきた中で

直接、見た事は無いよって話(汗)

妖力を与える行為は、

人によって副作用をもたらすもので

あまり安易にやって良い事じゃないの。

例え、それが善意であっても

本人の意志とは関係なく

与えて貰った人が暴れ出す可能性もあるんだって」

誠也「へぇ〜それは、初耳だったな(驚)」

日向「これについては実際、

体に悪影響を及ぼす事を認知してる人は

限りなく少ないんだ。

善意が全てだとしても妖力は、

適正次第で自分の体質が変異する可能性を

考慮したらそりゃリスクしか負わない事だからね。

と言ってる割りには、日向も佐川にぃ(誠也)

・・・んっ?さぁ〜誠也が、何言ってるのか

僕には分からないなー(目を逸らす)」

蘭「まぁ、副作用って言っても

必ずしも起きる訳じゃなくて

最初だけらしいってよく聞くよ♪

んっ?あぁー、そういうもんなんか?(誠也)

そうみたい!

……でも、それが志童くんが言う

[妖力の過剰摂取]とは、また違った話かも。

うーーん、私が物心ついた時から書斎にある

数万冊の読物を読んできたけど

そういった単語は、聞いた事が無いかな」

誠也「あの蘭でさえ、知らない事があるんだな」

日向「そりゃあ〜

誰しも知らない事なんていくつかあるでしょ。

自分の得意分野だけを読み続けたら

自然と知識は傾くし、人生…手に届く範囲の分野が

無数に広がっていても

携われていないものは沢山あるからね……」

誠也「おぉ、そうだなー(思考放棄)」

蘭「うんうん!

それ〜私も分かりみが深いよ、日向くん♪♪♪

・・・(志童)

……ハッ!?

もう話がちょっと脱線したけど、

私が言いたい事はね?

志童くんが知ってる限りの事でいいから

私達にもその情報を共有して欲しいの!!

妖力の過剰摂取、その単語を聞くだけで

変な胸騒ぎがしてならないから

今、ここで知っておきたい!

具体的に他の人の妖力を妖怪が取り込んだら

どんな症状を引き起こすのか

はたまた、それがどれくらいの効果を生むとか。

知らない情報は、共有してこその仲間だと思うの」

志童「・・・良いだろう。

はあ♪(蘭)

ただし、この事は変わらず他言無用で頼みたい。

時期がくれば、雄鬼にだって話す事だが

これは君達の今後に関わる情報だ。

???(3人)

今話す事は未だ、かつてないほどの問題であり

四大妖怪が直面している情報ではあるが、

これに関しては後々、閻魔騎士や特殊部隊……

この国を揺るがし兼ねない問題が必ず訪れる。

そんなに追い詰められてるのか?(誠也)

まぁ…まず、君達が気になっている情報として

妖怪が妖力の過剰摂取を受けて起こり得る欠点。

それは、理性を失った事を自覚せず

無理矢理……暴走状態を引き起こすのと

引き換えに全盛期の力よりも

遥かに、数十倍の力を引き出せる。

いわゆる、[異常強化]。

この負の無限ループから愉悦を覚えたら

最後、[祝福]として狂信者が(あが)(まつ)る仕組みだ。

元々妖力の多い奴にはそれほど効果は薄いが、

蘭さんや新條のように少ない妖力の者には

どんなに分け与えてくれる妖力量が

正常でも玉藻前の異常な妖力の前では、

[過剰摂取]とみなされ、

体内に入り込まれれば意図的でないとしても

間違いなく、老婆と同じ末路を迎えるだろう。

・・・(唖然とする2人)

それに妖力の過剰摂取は、

そう何度も体に蓄積され続けると

やがて体にガタが来て傀儡となり、

その一線を越えれば、意志も自我すら持たない

[野良妖怪]として生き続けなければならない。

玉藻前は、自分の妖力の空きが生まれる事と

妖力に恵まれない人達の為を思って

分け与えていた筈が、

[野良妖怪]が最近になって増え続けている原因を

玉藻前自ら作り出してるとも知らずにな。

そ、そんな〜……!?(絶句する蘭)

時に与えられた力は、

自分とは違う妖力として体が認識し分裂し

その場所は人にもよるが、

最初に埋め込まれた時から決まっている。

老婆の場合は肩辺りに集中され、

玉藻前の妖力がより濃く残留していたものを

俺は把握できるから今、取り除いたに過ぎない。

これは一時的な処置であり長くは持たない。

死を選ぶか、野良妖怪に成れ果てるかのどっちかだ」

誠也「んっ?あー、あぁっ?!だからか!!

わぁっ!急に、大きい声出さないでよね(焦る蘭)

な、なんか…悪りぃ(汗)

何か思い当たる節でも?(志童)

あぁ!!絶対、それしか有り得ねぇんだよ。

砂かけ(ババァ)を村から追跡した際、

俺の新技を加減なくぶつけたんだ!

俺が当てた場所は背中だったんだが、

志童がさっき撃った肩側寄りに当てても

全然、手応えなくてよ。

それなのに今まで俺の攻撃をまともに受けて

ピクリとも動かなかった奴は玉藻前とだけだし

大体の奴らは、かなりの距離まで飛んで

力無く倒れる筈なんだ!!

だからあんなに、ピンピンしてたんだね?!(蘭)

俺は、別に大した事ないけど……(ジト目な志童)

オメェの話は、1ミリも聞いてねぇよっ!(怒)」

志童「まぁ、話が少し逸れたから戻すが

たまに魂の近くにある者も少なからず存在するし

その対象は、あくまで玉藻前に仕える

従順な幹部達だけであと妖力が貧困な奴らに

多く支給されているらしい。

魂の近くにある妖力……(2人)

取り除くには、どう対処すれば良いの???(蘭)

どうするも何も…そんな障害があった所で

何もしない選択肢を取るのは、まずあり得ない。

………俺は間違いなく殺しますよ、確実に……」 


蘭「ころ…す?

何でっ!……何で、志童くんは

そう簡単に同じ妖怪を殺せる…の?

どうしてぇ(涙目)」

誠也「………蘭っ?」

志童「どうしてって言われましても。

では逆に、聞きますけど野良妖怪となっても尚、

目的を果たそうとする奴の邪魔をせず

街や人々が襲われようと

それを見て見ぬ振りをしろと言いたいんですね?

……蘭さんは。。。

え…ぇ、私そんな事っ!?(蘭)

例に挙げて言いましょうか。

芯のある猫又は暴走以外は、

基本的に街を襲わない事が判明したように

ちゃんと証明できる判断材料があるなら

それで良いんです。

が、玉藻前に心酔し切った狂信者達は、

そうもいかない。

長の為ならと野良妖怪となってでも奮闘し続け、

真っ当しようと生きる事をやめない。

奴らの生きる目的は国を壊し、

ただ玉藻前を崇め奉るくだらない理由だけで

街に攻め入られる最悪の厄災を迎える事、

それが嫌なら殺すしか方法はありません。

彼らに猶予を与えてはやがて、どちらも滅びる。

これは絶対であり、

どちらかが滅びなければいけない負の連鎖に

いずれ巻き込まれ、

そういう運命に争うほかならないし

決して、避けては通れない道。

しかも妖力の過剰摂取に関しては、

自らの意志で進んで願い出ている人達の事だ。

そんな自業自得な奴らを今更、生かすって方のが

頭がおかしいんじゃないですか?」

蘭「・・・。

ん…んんっ?(???)

えっ?……はあ♪

大丈夫ですか、砂かけお婆様っ?!(焦)

お身体の調子は平気でしょうか?」

と今の今まで志童に撃ち抜かれた怪我で

気絶していた老婆が目を覚まし、

重い話から一気に明るい表情へと変わり

蘭は、老婆をゆっくりと起こす。

砂ばぁ「あ、あ…ぁ?な、何じゃ〜……

今の今までワシは〜…何をしていたんじゃ???

着物も破けておるし、何だか頭も痛いしのう。

はてワシはなぜ、外出を〜………

外出した理由は、思い出せますか?(蘭)

ふーーーん。おっ!そうじゃ☆

夕方を過ぎたぐらいに一度、買い物に出掛けて

家に帰って来たまでは、良かったんだが〜

牛乳を切らしておった事を思い出して

デパートへ再度、出掛けたんじゃったわい!!

だが〜その後、誰かに会って褒められたと思ったら

突然、霊魂を渡されて自ずと体が勝手に動いて。

それからの記憶が……あやふやでそれで〜

うーーん。最近、妖力の循環が悪くて

まともに歩く事もままならんというのに

今晩は事件に向かわず、

大人しくしようと決めておった筈じゃのにぃ

なんか〜こう…肩辺りが痛いのう。

………って、んっ?

な、ななな何じゃ、これは!?

妖力漏れでは…ないが出血してるでないか(驚)

誰がこんな事を〜……」

蘭「そ、それはっ!(焦)」

志童「まぁ、このように

妖力を付与された後の記憶は一切残っていないし、

暴走時に被害を受けた人や村で起きた出来事も

全て、無かった事になる。

そんな!!それじゃあ事件を起こした自覚が(蘭)

いーや?蘭さんは、勘違いしていますや。

???(蘭)

そもそもこの事件を起こしたのは、

間違いなく玉藻前の指示を鵜呑みにした

老婆自身が、自発的に動いた事には

何の変わりもない。

遅かれ早かれ老婆は、

時期に捕まるという未来は変わらない」

蘭「う、う嘘っ!嘘です…よね!!

だって、だってぇ……砂かけお婆様は、

玉藻前様から指示を受けていたかもしれませんが

それは多分、脅されて仕方なくやったとか〜

砂かけお婆様は、

全国各地に沢山いらっしゃる妖怪の1人です。

偶然、そこに居合わせて

間違わられてたっていう線だってある筈っ!

・・・(2人)

それに……それから、えっと〜…だから!!(必死)」

砂ばぁ「いや、お主は間違っておる。

ワシを庇ってくれるのは非常に有難い事じゃが、

それでは、お主が共犯と見られてしまう(困り顔)

この事件の犯人は、間違いなく私なのだから。

……っ!(我に返る蘭)

その庇いは、とても嬉しくはあるが、

それでは自然とワシを

否定されてるようにも聞こえ兼ねん。

すみません!?私、そういうつもりじゃ(焦る蘭)

うむ、分かっておる♪

じゃがそのセリフはワシだったから

まだしも他の奴らなら胸ぐらなんかを掴んで

酷く激昂していただろう。

この子の精神的な暴走や

相手の手に惑わされたそん時は、

お主らが守ってやるのじゃぞ?

・・・っ(驚く誠也)

うん…うん♡

お主らはまだまだ子供なんじゃ

難しい事は….…全て、大人に任せるといい。

気ままに生きていくのが一番さ、

自分で言うのもの変じゃがな♪

果て〜河童様が何故(なにゆえ)、ここにおられのですか?」

志童「さぁな?

だが、むしろアンタが犯人で良かったよ。

事件を起こしておきながら

今頃、引き下がる馬鹿な奴らも居るみたいだから

先に伝えておく。

アンタは、これから帰らぬ人となるか

野良妖怪として生きるかの選択を迫られると思う。

が今更、後悔した所で

もう組織には戻る事も叶わないし、

後悔するなら玉藻前から支給される妖力を

拒否る所からだが、な。

それは、無理な相談じゃな…(諦めな老婆)

あぁ、出来ない事も俺は当然、知っている。

普通なら妖力付与なんて贅沢なものを

渡される組織を知ってしまったからには、

もう既に手遅れだという事は分かっていた。

だからと言って許すつもりもないし、

アンタらが受け入れた事で

これからとてつもない被害を引き起こす事だけは、

教えてやる。

年寄りだろうと玉藻前の指示で動こうと

罪は罪だ、限度ってものがある。

薊陣営に入った以上、限度なんて関係ないが

あまり俺の手を(わずら)わせるなよ」

と最初の言葉だけは、

優しそうな声を発してとぼけた返答をしていたが

実際には、老婆のこの先の未来について告げ

選択を与えると同時に脅し程度に

老婆を怒りの眼差しで睨み付ける。

砂ばぁ「ムッ!……そ、そぉうか(汗)

ワシは、それほどの代償を支払ったという事か。

これで少しは、ワシの見間違えじゃない事が

証明されたんではないか?

河童様も間違いなく…本物だよ♪」

志童「・・・」

と眠りに付くかのように観念し静かに目を瞑り、

コクリと2回頷くと

目元を暗くさせた志童は老婆を拘束したのだ。

片膝を地面に突き、目元をまだ暗くし続けて

志童は思いの丈を打ち明けた。

志童「それは、虚言だよ。

アンタもこの世界の仕組みを

何も分かっちゃいない。

俺の事を理解してるようで理解していない……

あくまで俺は、出来損ないであって

批判される妖怪の人生を背負いながら

誰にも何も指図されない

普通の人生を送れてるけど、、、

それは[借り物]の暮らしを送れてるだけに過ぎない。

自分で成した痕跡ではない!!

それでも俺がたった1人解放されただけで

無名の妖怪に成った以上、

今も尚、ゴロゴロと無差別に増やされ続け

理不尽な監視下の中で忌み嫌われ子達を

追い返すつもりが逆に人殺しをした奴だって

大勢いた筈なのに奴らは、

のうのうと生き続けるだけで捕まらない!

法律という名のルールを作ったにも関わらず、

(みな)、弾かれて生きる事自体を

向こうから作っていながら恨みに買った。

それも野良妖怪と共闘する事だって……

世の中、正常のようでおかしな世界として

書き換え続けるばかり。

無名の妖怪として生きた生活をした日々が

消える訳もなく昔の自分も

今も、時々思い返す。

[俺に生きる価値なんてもの…あるのかって?]

・・・(日向)

こんなどうしようない絶望的な世界でも

おかしいと思えた人が1人いた。

まだ穢れた世界を知らない[純粋な子]で

綺麗で透き通った、消える事のない光を

自分に照らし尽くしてくれた。

誰もがこの子みたいに分け隔てなく接してくれたら

どんなに無名の妖怪達が救われるかとか

何度、思ったか。

それなのにぃ、そんな時に限って

俺が四大妖怪の座に着いてしまったせいで

海底から河童の山に移転せざる終えなくなった。

あともう少し…もっと早くその子と出会っていたら

皆んながどれほど、救われていた事か。。。

彼女とは、それっきりで………会ってもないし

その頃の俺は先代の件に追われて

正直、それどころじゃなかった。

3年もの歳月を得て

俺は、ようやく彼女と再会を果せたものの

向こうは、記憶すら残っていなかった。

遅過ぎたとか…悲しいとか、

そういった感情よりも[彼女]と過ごした日々で

俺が嫌でも見せられてきた光景、

それこそ彼女の記憶が[消えた原因]だと

すぐに分かった。

だから……今度こそ、俺が…彼女の為に

光を照らし続ける為にも生きると決めた!!」

そう決めていた志童の目には輝きに満ちており、

握った拳で胸に手を当てる。

その話を聞いた2人は、

落ち込んでいないのが不思議なくらいに

堂々と立ち振る舞う志童を見て

蘭は言葉を失う。

蘭「・・・。

(残酷で絶望しか無かった人生から

志童くんは、どうして…こんなにも………

強く前を向いていられるの?

一方的な感情だとしても

大切な人から忘れ去られたら。。。

私だって誠也が居なかったら

生きて来れなかった筈なのにぃ……

そんな事があったら…私はもう、耐えられない(涙)」

志童「蘭さん、これは別に耐えてる訳じゃない……

ただ己の信念を貫く、それだけだと俺は思うよ」

蘭「えっ?

志童くん今…私の声、聞こえてた!?(汗)」

志童「さ〜て、言ってる意味が分かりませんね。

蘭さんがそう思ってそうな顔をしていたので

あくまで俺の推測を言ったまで、です」

蘭「???」

志童のニコッとした口元を見るなり、

蘭の頭は?で埋め尽くされる程いっぱいだった。


すると、その会話に

誠也が半ば強引に割り込むかのように焦った声で

蘭達に話し始めた。

誠也「おい、お前ら話は済んだか?!

誰か来ないように

俺が事前に結界を張っておいたんだけど、

今すぐここから離れねぇと

閻魔騎士がもう近くまで迫って来てるんだ!

えっ?!誠也、もう…通報しちゃったの?(蘭)

一応、今回の依頼は終わった訳だし

事件の犯人は、とっくに捕まえてたから

砂かけ婆の意識が戻った所でな?

それで、あんまり早く来過ぎると

俺達の逃げる暇が無くなると思って

ちょっと市街の方に通報入れといたぜ☆

とりあえず、それでいいから事前に用意しておいた

書き置き残して早くズラからないと見つかるぞ!

でも……どこから来るか分からない事には(日向)

い、いや…今そんな事、考えてる暇はっ……(焦)」

志童「それなら、俺に任せるといい。

八瀬の結界よりも

もっと詳しい方法で知れるからな♪

あぁっ?!何だよ、その方法って!!(誠也)

まぁ、それを今の八瀬に教える事は出来ないが

決心が固まった時は、俺の所に来るといい。

今現在の閻魔騎士の位置だが、

ここから見て、校舎の後方から来ているぞ。

雄鬼ほどではないが、5分後にはここに到着する!

ヤベーぞ、それはっ!?どうすんだよ(焦る誠也)

学校の方から来ているという情報があるだけで

もう十分過ぎるほどの事を伝えた筈だ。

隠れ家がこの近くにあるなら

そっちに逃げれば、平気だろう?」

誠也「うっ、何も言い返せねぇ(汗)」

日向「そう…だね、そうするよ。

ここまで付き合ってくれて、ありがとう♪

志童で助かったよ!!」

志童「……そうか?なら、良かった。

・・・俺は、もう…疲れた。

自分の過去をこんな形で自白してる

自分がつくづく甘いと思ってる。

だからしばらくは、

君達に会わないよう善処するつもりだよ」

とだけ言い残して

コンクリートの地面から住宅街の屋根へと飛び移る。

微かに照らされる月明かりに志童の顔が、

何故だか悲しげに見えた。

日向「……っ!(虚ろな目)」

蘭「うん♪

こちらこそ色々と面倒ごとに巻き込んじゃって

ごめんね〜!!」

志童「それは、構わないよ。

ほぼ自分の意志で動いたに過ぎないですし、

今回に関しては、

四大妖怪の1人として行動した訳じゃない。

俺の私情が混じっただけだ」

誠也「ぐぬぬ(汗)

何だ、アイツの妙に格好つけたアングルわっ!

めちゃくちゃ腹立つ(怒)」

蘭「何に対して誠也は、怒ってるの…もう(苦笑い)

ちょっとおかしいよね、日向くん♪

・・・(日向)

……日向くん???」

志童「それじゃあ、また。学校で、な?」

と言い捨てて

屋根へと飛び乗りながらカエルのような跳躍力で

特別部隊を置いてその場を去ってったのだ。

志童を見送った一同は、

誠也が体を伸ばし終えてから解散されたのだった。


回想終了・・・


白いコップの中で光悦茶(こうえつちゃ)色のココアを覗き込み

自分の顔が見えた途端、眉をしかめながらも

気にせず、暖かいココアを口にする。

日向「スーッ……はぁ〜………

(ホント、今日はまだ始まったばかりだというのに

朝から盛り沢山な1日だった。

確かに、内容はどれも衝撃的なもので

僕だってかなり驚いたと思う。

……だけど僕は、そんな驚きばかりの情報よりも

最後に見せた志童のあの顔がどうしても

脳裏にこびりついて…ううん、そんなじゃない。

昔の僕と……どことなく同じ顔をしていた。

だからと言って

志童の今までの生い立ちを考えると

僕なんかより

よっぽど地獄のような日々だった筈なのに

志童は、しっかりと前を向けている。

それでも…また同じ過ちを犯せば、

すぐにでも潰れる……そんな気がしてならない。

そこが唯一の心配だけど、

他人の心配よりも自分の方が大事だ。

自分が今、どんな顔でどんな風に苦しんで

何に対して怒っているのか

正確には、答えを出せなかったあの頃の事を

僕は未だに忘れられる事が出来ていない。

きっと、以前の僕なら

鏡に映る自分の……妖怪の姿が映っても

この容姿で生まれたからには、

必ず僕自身が受け入れなくちゃいけない。

そう思えたからこそ、僕は今まで平気でいられた。

なのに、それなのにぃ……

千秋の居ない同じ日常を送った所で

僕は一体、(なん)になるんだ???

自分と向き合う事をやめて

ずっと答えをはぐらかすばかりで

本当の自分ですら偽り、目を背け続けてきた。。。

何度、願おうといくら待っても

千秋はもう…戻ってこない。

これから先、僕1人だけでも生きなきゃ………

生きなきゃ……とにかく生きないと

千秋に見放されるかもしれないっ?!

同じBクラス同士でも

些細な気付き1つで変わる格差社会だ!

そこから生き抜く為には、

弱い自分を影に隠し続けるのにも限界がある。

それが、例え…どんなに叶わない壁だとしても

それでも……少しでも千秋に近付けるのなら

僕だって強くなる必要がある筈っ!!

そして願わくば、同じクラスの仲間とも一緒に)」

と過去の記憶と現在を重ねながらも

日向は、ずっと願い続け

今ではクラスを指揮する立場に立っている。

日向「そう強く思ってはいたけど

中等部の頃はクラス分けがバラバラだったせいか

体育の授業以外は、

校内での妖力の使用は頑なに禁止されて

まともに練習が出来なかったからな〜

高等部に入ってから本当のクラス化が進む事で

本格的に戦闘訓練が始まった。

とはいえ、1年生では全く出来なかったものの

2年でやっと励めるようにも成れたから

結果的には良かったのかな?

(皆んなの成長や変化は徐々に見られるし、

ちゃんと変わっている。

それでもまだまだ…必要最低限でも

同じ(レベル)の人と渡り合えるもしくは

倒せるくらいに強くなれたら

ようやく近付けたと僕は思うかな。

Bクラスだって

そこまで落ちこぼれな訳じゃない。

だから序列にこだわる人や

少しでも上げたい意志のある人のみで

訓練を重ねている。

これについては別に強制じゃないし、

任意制にする事で

自分の意志をしっかりと主張する事にも繋がる。

それに誰しも……目的もなく

戦いを好む人は、まず半数近く居ないと思うし

流石に個人差はあるけど、疑問に思う人は存在する。

戦える人が居るならそれは逆に戦えない人だって

出て来るのと同じように戦闘技術を身に付けた所で

役に立てるかどうかは本人次第。

だから…戦闘を好き好んでやる人、

やりたくない人の素性や内面を見ていく内に

皆んなと交流するのも悪くなかった。

でも人生、この世界で生き抜く為には、

必要な技術だという事を

皆んなにも分かっていて欲しい!

そういう戦いばかりが世の中じゃない事を……)

ん〜っ、ん?おぉ〜おはよう、日向(千秋)

千秋………って今、起きたんだね!?

ごめん、こんな時間なのに起こしに行けなくて〜

すぐに簡単な朝食作るから先に着替えて来て(焦)」

千秋「あんま急ぐなよぉ〜〜〜」


給食の献立のような配置に皿が置かれ

左側には半分に割れたパンに

赤いジャムが塗られたものを2口で頬張り

牛乳を流し込んでからもう片方のパンを食して

千秋の朝食が終わる。

その半分もしくは、

大体のものは小さな体の日向が食べます。

※大抵、夕飯行きになる。

食べ切れなかったものは食パンとラップを

ピッタピタに貼り付けて冷凍庫に入れると

部屋着から青緑色のブレザーを羽織り、

黒いチェック柄のズボンに着替えて家を出た。

朝からニュースを見て

泣き崩れた時間と千秋の朝食準備で

何かと時間を食ってしまった日向達。

学校まで全速力で(千秋は加減して)走っていると

千秋に話しかけられながらも

息を上げつつ会話を交わす。

千秋「そういえば日向、

昨晩も部屋の扉と玄関の扉から

少し音がしたんだけど、また黙って外出したな。

どうせ用事は、特別部隊だろうけど。

はぁっ……はぁっ…はぁっ……そ、だね(日向)

猫又の時は、夜の12時過ぎくらいだったが

今度は…いつ帰って来たんだ???

気付いた時には平然とリビングに居たが〜……

はぁっ…はぁっ………今日のよ、4時頃(日向)

はあぁぁぁ?!!!!!(大声)

おい、4時ってほぼ朝じゃないか!!

い・く・ら↑八瀬達と一緒だからと言って

俺1人とは比較的、そっちの方が安ぜ……

て、違う!問題はそこじゃない!!

今回で1番の問題は、

この俺にだけ内緒にする点であってぇ〜(汗)

てか、日向…お前。

???(日向)

何の疑問も無しに不思議そうな顔してるが、

この前の約束……平気で破ってんじゃんかっ!

・・・(日向)

次、また遅い時間にでも外へ外出する際は

次回からは俺の許可なしに勝手に行くなって

約束、守るって話だったろう?

……あっ。そんな約束…あったかも(真顔な日向)

シンプルに忘れてんじゃねぇか!!!!!!(怒)」

と思わず、砕けた口調が出てしまうほど

千秋はかなりのお怒りであり

かつ、一緒に居れる特別部隊への嫉妬心と

日向の事が大好きな余り怖い顔をしていた。

その顔を見て日向は、

プルプルと体を震わせゾクゾックと寒気を発した。

数分後・・・

校門を越え、本校舎前まで到着すると

千秋の嫉妬や何やらの感情を日向にぶつけた後、

ピタリと日向に引っ付いて離れない。

その為、最後まで千秋が独走し

責任持って日向を送り届けたのだった。

千秋「はぁ〜……という事で

また今度、同じような事をした時は

ただじゃ置かないからな、日向♪(笑顔)

………はぃ(汗をかく日向)

今日は〜……中庭に集合する日だったな!

んじゃ放課後でまたな、日向☆」

と言ってスキップを踏み締めながら

ルンルンで旧校舎へと向かう千秋の後ろ姿を見て

やっと解放された日向の制服は少しヨレていた。


2年Bクラスにて・・・

3限目の授業を終えると

分厚い資料集や一冊の教科書を綺麗に整え、

机の中へとしまい込み、

同時に別の教科書を取り出す。

次の授業を日向は、頭の中だけで思い出し

目の前に用意した教科書を見比べて

すぐ合っている事を確認した上でその場を立つ。

日向が自分の席を立ってまもなくの事、

長廊下からドタドタと慌ただしい足音と共に

曲がり角を曲がり、Bクラスの後ろ扉を掴んだ。

すると、ゴムに飛ばされる球のように

メイプル色の茶髪を吹かせて

日向の肩を更に掴み、前後に激しく揺らした。

蘭「ねぇ、聞いて聞いてよ日向くん!!(汗)

いち・だい・じ・だよっ!

きん・きゅう・じ・たい・だよ!?!!!!

誠也がまた、やらかしたよ。どゔじよゔ(号泣)

あっ……ちょ…あんまり揺ら……さないで(日向)

ねぇ、もう大変なんだよ。

大変、めちゃくちゃ大変な事にいぃぃぃ〜(バツ目)」

魅緒「ひ、瞳さん?!

ほらほ〜ら…だからその〜………

とにかくアレを見て下さい!!(テンパる)」

瞳「はぁ〜……もう今日は、朝から何なの?

流石に問題が起こり過ぎだわ(汗)

…てぇ、蘭さん!?何してんるんですかっ!

とにかくストップ、落ち着いて下さい(焦)」

蘭「誠也が、誠也が

またやらかしちゃったんだもーん。

こんな異常事態、正気でいられる訳がない!!

止めないで〜四ノ原さーーーん!(バツ目)」

日向「ひと……み、無理ぃ…限界(真っ青)」

瞳「あ〜ぁ、もう!!

蘭さん、私の・[目]・をしっかり見ていて下さい」

蘭「ああ〜ぁぁぁぁぁ(号泣)……えっ?」

ほぼ阿鼻叫喚の嵐がB組の教室内で巻き起こる中、

ただ1人冷静に物事を捉え

瞳の能力である催眠を使って蘭を鎮める事で

強引に実行させたのだ。

パチン・・・

赤紫色の綺麗な目を蘭は間近で見ていると

伏せた四つ目を一気に開眼させ、

妖力が目に吸い寄せられるように目が光り出す。

その目を見てすぐ蘭は、

心臓が一度ドクンと大きく鼓動を鳴らして

糸が切れたみたいに足から崩れ落ち、瞼を閉じた。

蘭「うぇ?あっ。

んっ、んん…スゥー……スゥー………スゥー…」

シーーーン・・・

瞳「……ふん(見下し目)」

B組一同「・・・(冷や汗)」

日向「はぁ〜……アタタッ(汗)

ありがとう、助かったよ…瞳。

あともう少しで

肩外される所だったから……物理的にぃ」

瞳「それ、大丈夫なの新條くん!?(焦)

大丈夫…だから多分……(グルグル目な日向)

多分っ?!!!!!

ち、治療班っ!!至急、応急処置を頼みます」

魅緒「は、はい?!

少しお待ち下さい、すぐ準備しますので。

・・・お待たせしました!

早っ!?(一同)

雪村さんは、妖気ドームの回収を

千枝(ちえ)さんは、傷の修復を頼みます!!

私は2人の邪魔にならない程度に

サポートしますので何かお困り事があれば、

気軽に私をお使い下さいね♪」

雪村「承知しました」

千枝「はいっ!」

と雪村は、冷静に返事を返すと

逆に千枝はニコニコ顔で大きく声を発した。

魅緒達3人は、自分の得意分野を活かしつつ

迅速に対応をして妖力漏れは起きる事なく

傷口が閉じっていったのだ。

治療を終えると瞳とその周りの人達が

ホッとして胸を撫で下ろした所で

日向が目を覚まし、

同じタイミングで蘭も起床する。

蘭「はあ〜ぁ……むにゃむにゃ…あら?

私、どうしてB組の教室で寝ちゃったんだっけ」

瞳と一同「・・・!?

えっ、ええぇぇぇぇぇ!!!!!!」

と皆んなが皆んな驚くのは、

瞳の催眠を食らった人は短くても30分で

長いと2時間くらいは平気で眠るのだが………

蘭は、僅か10分も満たない内に起きたのだ。

未だ眠そうな顔をする日向は、瞳に膝枕されていた。


長廊下にて・・・

日向「それで〜……誠也がやらかしたって

どういう事ですか、鈴木さん?

そして何故、誠也は一緒に来ていない(ジト目)」

蘭「ハッ、そうだった!?

そ、その〜日向くんは、

今朝のニュースって見た〜…かな(汗)」

日向「ニュースなら見ましたよ。

情報漏れしていないかの確認で、起きましたから」

蘭「だ、だよね。。。

私もそうやっていつも早めに起きてたんだけど

つ、ついに……ちゃった。

???(日向)

ニュースの最後に

特別部隊が、[世間に知られちゃった]の!!

・・・っ!?そ、それってぇ(焦る日向)

うぐっ、そうなんだよ!

誠也が閻魔騎士に通報した際、

誤って[特別部隊]って名乗っちゃうし

し・か・も市外に言ったんだよっ?!

私達、特別部隊の存在を知ってるのは

牧原先輩と理事長の2人あと特殊部隊の上の人達。

それから特別部隊を結成する時に

理事長からアレほど釘を刺された……(汗)」

日向「て事はあの契約の件、僕ら破ってない!?

その場合、部活が廃部に追い込まれ

活動復帰すら出来ない。

そ・う・な・ん・だ・よおぉぉぉ!!(泣く蘭)

じゃ、じゃあ誠也は今頃〜

それなんだけど、私達も道連れだよ♪(蘭)

何故そこで笑顔っ?!

私は、日向くんを呼びに行った時から

決心は固めて来た…つもりだからだよ(グルグル目)」

日向「・・・(滝汗)

そ、それもそっか。

あの2人には悪いけど、

元はと言えば…僕らが登録しなかったお陰で

責任が全員に向いてる訳じゃない。

この場を潔く収める為には

半年もの間を騙し切ったのが僕達の成果、

それだけでも大した実績なんじゃないかな?」

蘭「……うん。

これで幕を閉じるのは

何だか悔しいけど、そろそろ潮時かな。

ずっと黙ってるのも仲間だと思われていないようで

何だか心苦しかったし、

誠也だけ行っといて放ったらかしちゃった。

だから私達も行こう、日向くん」

日向「・・・うん。

誠也だけ叱られてるのも悪いもんね」

蘭「……そうだね」

と2人揃って何故か諦めムードな空気で

職員室へと訪れ恐る恐る扉を開けると

そこには雄鬼とキョトンとした顔の誠也が

丁度、振り返る所だった。

蘭「あれ?

誠也、遅くなってごめんって言いたい所なんだけど

牧原…先輩、何で居るの???」

誠也「俺が聞きたいわ!

でもなんか、理事長と仲裁っていうか

交渉みたいな事してくれてるみたいなんだ。

えっ!?それまた、どうして?!(蘭)

知るかっ!!

さっきまで熊谷に叱られて

急に、雄鬼の奴が入って来たんだよ」

日向「な、なるほど???」

雄鬼「……もう良いぞ、付いて来い」

といつにもなくキリキリとしており、

トーンもより低い声で蘭達を横目で見つめる。

いつも通りゆっくりと歩く蘭達を差し置いて

雄鬼は先へ先へと急かされ、

同じペースで歩き理事長室の前に辿り着く時には

3人揃って息を切らしていた。

雄鬼「休む暇があるなら

この先の事をよく考えた方が良い。

君達が犯した事は、

それほど深刻である事を忘れるな。

・・・(3人)

それと俺の方で

思い付く限りの手を尽くしてはみたが、

決定権は理事長にある。

その結果が良くも悪くもあまり文句を言うな。

立場を弁えた上で、しっかりと受け答えするんだ。

それじゃあ……」

蘭「ま、待って下さいっ!(焦)

牧原先輩は、その〜初めは私の我儘で

特別部隊の創設からここまで付き合ってくれたり、

顧問のような役目で

今まで私達の活動を認めてくれました。

それは、感謝しても仕切れない事です!!

ただ…言い方が少々悪いですが、

たったそれだけの関係だった筈の先輩が

どうして、そこまで助けて下さるのですか?」

と蘭の言葉に対して雄鬼は特に反応せず、

その場を去ると思っていると少し歩いた所で

左の横顔だけを蘭達に向ける。

雄鬼「恩があるからです。

遥か昔、私達同志がもっとも敬愛する方を

受け入れて下さった…ほんのささやかな礼ですよ」

と非常に手厳しそうな顔付きからじゃ

想像が付かないほど、とても明るい笑顔を見せて

雄鬼は、その場を去って行ったのだった。

3人「・・・?」


理事長室、前・・・

雄鬼が去った後、3人は平静を装って

堂々としていたがいざ入ると思うと

心臓の鼓動が早くなり、大きく鳴り出した。

蘭「い、行くよ。2人共(緊張)」

2人「……うん(汗)」

コンコンコン・・・

理事長「どうぞ」

蘭「失礼……します。

お久しぶりです、鬼頭(きどう)理事長」

理事長「いらっしゃい、蘭ちゃん♪

ご無沙汰しております(蘭)

それと、後ろの2人も(笑顔)」

誠也「はぃ…(冷や汗)」

日向「・・・」

と2人が必ずと言っていいほど警戒する人物とは、

この学校のトップを務める女性理事長である。

白髪で耳の後ろで結び、

肩に垂れ下がるような縦巻きポニーテール。

真っ赤な炎色の瞳で

机の上に手を乗せる仕草でニコニコと笑っていた。

理事長「来てくれた事には、とても感謝しています♪

久しぶりに楽しくお喋りをしたいのだけど、

私の私情はひとまず抑えるとして

……本題と行きましょうか、皆さん?

結論から言うとだな…蘭ちゃん達、特別部隊は……

もうですか、まだ心の準備がっ?!(焦る蘭)

そう焦る程の内容ではない。

ふむ、もう少し先伸ばした方が良いのか

そうだな。

では、あの時の仮契約とやらの内容を

もう一度、おさらいしようか。

まず[特別部隊]とは

蘭ちゃんの我儘の元、創設された部活。

通称:怪奇研究部とも呼んでおり

特殊部隊や困った人達の助けになりたいという

希望から始まった物語だったな。

鬼頭さん!?(赤面する蘭)

ふふっ、いやいや♡

君達がやっていた事を代弁したに過ぎんぞ。

それから創設する為に定員を集め、

徐々に活動の幅が広げると思った矢先に

特別に許可が降りたとはいえ、

あまり好き勝手に使われると悪用するかもしれない。

そういった理由で限られた制度を持ち掛けられた。

その内容とは、蘭ちゃん。

は、はい!(蘭)

君達が言ってみよ」

蘭「えっと、理事長。

その2つ目については〜………

あぁ、それは知っている。続けて(鬼頭)

ではまず、1つ目ですね。

・私達少数の組織が

世間に明るみならないよう外部には、

勿論、閻魔騎士にも情報を漏らさない事。

それは何故?(鬼頭)

一般の方々に不安や混乱を仰ぐような

可能性を考慮してです!

最近では、野生の妖怪さん達が活発化しており

街への侵攻が進んで来ていて

今まで、街へは来たものの

そこまで脅威ではありませんでした。

ですが、今のように

街へ頻繁に降りて来るのはその妖怪さん達を

裏で使役している者が隠れているか

もしくは、第三戦力が居るかで

世間で盛り上がっていますよね」

鬼頭「そうね。

大分前の考察だったのが

今、瞬く間に拡散している事実のせいか

特別部隊だと間違った考えの人達が現れる。

事前に公表すべき事ではあるのだが

所詮は、やりたい事…止まりだった。

中途半分な気持ちで世の秩序に触れるのは、

頂けないとそう酷く言われたそうじゃない。

……っ(蘭)

でも蘭ちゃんは、

何にでも本気で取り組んでくれる子だと

私は知っている。

どんなにキツく言われようと

ルールとか規律が大事とか口では何度でも言うけど

な〜んもしない人達に言われたくないわ。

まだ修正が効く子達の方が余っ程。

とはいえ、今回は馬鹿騒ぎさせた原因は

馬鹿な黒き鬼だったわね、残念ねぇ(笑)」

誠也「(カチン!)

もう次に言っても良いか?結果が気になるだろう。

だから答え合わせをしてるんじゃないか(鬼頭)

駄目だよ、もう少し待ってってぇ(バツ目な蘭)

にぃ、わったよ!!

後でだ。けど、絶対に覚悟しろよ。

……ゔん(蘭)

2つ目、特殊部隊からの事件対応以外は

手出しはしない事。

うん♪思いっきり足突っ込んでるよな〜(鬼頭)

だけど、蘭の我儘によってぇ………」

蘭「ちょっと待った!

それに関しては、私だけじゃないよ。

それなら誠也にも同じ事が言える事だね(日向)

そうだ!!そ〜〜だ!」

誠也「あぁ、もう…うるせぇよ!!(焦)

てか、それについては蘭が抗議したんだよな」

蘭「[事件の被害者の人達だって

困ってる人の分類に入らないんですか?!]

市民対応や避難誘導、救出ミッションとか

あの頃の活動も凄く良かったし、

不謹慎だけど楽しかった。

良い経験になって来たからこそ、

事件対応に私も少し興味が湧いてきて〜

最初こそ、右も左も分からなくて

迷惑ばかり掛けてきたけど、

失敗を重ねてそれをバネに跳び続ける。

一つ一つでも私にも出来る事が増えました!」

鬼頭「そうさ。そういうのは、

経験しなければ成し遂げられない名誉ばかり

君達は、ホント質の良い経験を収めているんだ」

誠也「へぇ〜全然、実感が湧かねぇな(汗)

それは、簡単に手にしてるから言える事さ(鬼頭)

ふーん、まぁ出来てるよりマシって事でいっか。

んじゃあ最後だ、日向。よろしく〜☆」

日向「特別部隊の定員は、

部活創設時から不変のままとする」


鬼頭「はい!!これで、スリーストライク。

2個目を無効にしても

何かとあなた達、やらかしてるみたいねぇ♪

不変か〜……あくまで人助けは、

慈善活動の域にしか達していないから

それ程までに、人数は要らなかった。

それでも増やしたかったのが、オチね」

3人(ば、バレてる(汗)

蘭「あっ!」

鬼頭「ふふっ♪

今、ボロを出したわね?

ありがとう、情報を落としてくれて♡

鬼頭さん、酷いです!!ムム〜ッ!(蘭)

これも[神の権能]ですし、

それに隠していても心は正直ですから

しょうがないじゃない。

蘭ちゃんならこの気持ち、分かるでしょう♪

難しいですよねぇー(目を逸らす蘭)

そうよね、そうよね☆」

誠也(鬼頭(きどう) 神月(みつき)、正体:鬼神(きじん)

この人はちゃんと神としての役目を終えて

今はこんな風に仕事をしたり、

年柄年中休んでる神達の方が大勢いたりで

忙しんだか、サボってんだか、

神のやりたい事が何なのかマジで分からん。

てか、俺が言いたい事はそうじゃないんだよ?!

えぇっと、何だっけな?んーあっ、そうだ。

神達は最初こそ能力だった読心?心読み?か

どっちか忘れたけど何百年の時を得て

[神性]ってのが身に付く事で能力じゃなく

なんっつうか〜……自然体にこう。。。

あ〜ぁ、もう!!言語化が難しいなっ!

とにかく普通に使えんだよ!!

つまり神の体と妖怪の体は、中身が別物なんだ。

そうとしか言えねぇよ(逆ギレ)

しかもあの鬼神なんだぜ!?

名前の通り鬼の力で更に強化されていて

ただでさえ太刀打ち出来ねぇし、その理事長は、

[最高位レベルの神]とかほぼチートだろ!

何でこんな奴が学校の理事長やってんだよ!!)

鬼頭「ご説明どうもありがとう(拍手)

荒い言葉遣いが少々目立ちましたが、

まぁ〜とても感謝しているわ♪

えっ、誠也…鬼頭さんと何の話をしたの?(蘭)

何でもねぇよ、んな大した事じゃねぇ!(誠也)

そうかしら?

結構、確信的な所を突いてきた気がしたのだけど

私の勘違いかしら〜うふふ♡♡♡

???(蘭)

んー、そうね。

まぁ、私からはあまり話せないけど

大まかな事を言うと

妖怪には妖怪の世界が、神には神の領域がある。

あなた方……妖怪と神が分かち合う日は

果たして訪れるのかしら。。。ねぇ〜黒き鬼☆」

誠也「もう、その話は辞めだ辞めだ!!

あと〜黒き鬼って言われると

黒鬼となんか勘違いされて

逆に怒られるのは俺なんだからやめろよな!

だって黒髪に黒い肌とか既に黒過ぎるわ(鬼頭)

知らねぇよ!!

俺だって好きで

真っ黒になったんじゃねぇんだからよ。

文句があんなら上に聞けっ!(怒)」

日向(はぁ〜…全然、切りがない。

もう良いから理事長、先に結論言っちゃって)

鬼頭「は〜い♪

それじゃあ結果、言っちゃうよ☆

待って、まだまだ心の準備が……はあーっ!(蘭)

結論から言っちゃうとアンタ達、

特別部隊は〜………廃部が白紙になったよ♪

……へっ?(3人)

拍手、拍手☆☆☆

???(3人)

パンッ!!・・・

という事で白紙になったのは事実だし、

あなた達は正式に閻魔騎士の[見習い部隊]として

これから活躍していく実習生という過程の話で

持ち掛けました。

いくつかの修行を得て経験を積んでいる最中に

トラブル発生っ!

本来なら閻魔騎士に報告するのは

書記の役目なのだけど、

運悪く閻魔騎士に連絡したのが。。。

その中でもっとも・唯一の・問題児が誤って

今回のようなミスが明るみになってしまったという

経緯で塗り替えておいたから。

俺の扱い…いつもより酷くねぇ?(睨む誠也)

これを提案してくれたのは、私…ではなく

雄鬼と[ある人]の知恵を借りて

記者会見を手配して貰うよう既に伝達済みよ。

第三勢力だとか〜騒ぐ輩の心配は、

あなた達が考えてる程、恐ろしくもないし

もっとも恐ろしい存在は、

閻魔騎士という名を聞いただけで

何事も無かったかのように暮らす人々の方です。

それは、そう……(蘭と日向)

あんなにも国民から信頼を置かれている人達を

盾にすれば、誰も疑う気すら起きないでしょうから

良いように使ってやったわ!!(ドヤ顔)

今頃、世に広まっている頃合いでしょうから

安心なさい、特別部隊の皆さん♡」

蘭「本当…にぃ、本当に良いんですか!?」

鬼頭「勿論、今回は突発的な事だったから

あなた達に相談無しに

私達が勝手に決めた事だけど、異論は無いでしょ?」

蘭「はいっ!

鬼頭さんもそうですが、わざわざ牧原先輩までもが

交渉に携わってくれていたなんて

本当に、感謝して仕切れません(涙目)

ありがとうございます♪

理事長にまで私の我儘に付き合って下さり」

鬼頭「い〜え♡

と↑んでもございませんわっ!!

むしろ、あなた方にお礼がしたいくらいには

質の良い暮らしが出来たと思います。

ですから………こちらこそ、有難う♪

いえいえ、本当に感謝しかないのでぇ!(焦る蘭)

そんなそんな〜☆☆☆

また、どこかで皆さんでお喋りしましょう」

蘭「はい、今日はありがとうございました。

失礼致します、鬼頭さん♪」


ガチャン・・・


蘭「はぁ〜……う、うぅ…やったね、2人共!!

私達、特別部隊はこれから見習い部隊として

閻魔騎士の仲間入りに決定したって事は、

今まで出来なかった事が出来るようになるんだよ!

まずは2人を正式に部員誓約から契約に変えて

増やせなかった人員大型アップデートでしょ。

それからそれから☆☆☆」

誠也「なんか久しぶりに見るな。

こんなに積極的で

純粋に楽しんでる蘭を見るのは、

確か部活創設時んから見てなかった気する♪

俺もなんかワクワクして来たぜ!!

ニヒッ、じゃあこういう事も出来んじゃねぇか?」

蘭「あ〜確かにそれもアリかも♪

じゃあじゃあ、これはどう?」

誠也「へぇ〜!

今現在の特別部隊と見習い設定とはいえ、

閻魔騎士での権利って凄いな☆」

蘭「だねだね!!それで、なんだけど〜……」

日向「・・・(汗)

(どうして…どうしてそんな2人が、

わざわざ特別部隊なんかを助けたんだろう?

確かに理事長の言ってる事は

特別部隊の僕らにとっては嬉しい知らせだし、

本来ならこの2人と一緒に

僕も今後の事で控えめに喜び合っていたと思う。

でも、今はそんな気分にすら浸らせてくれない。

色んな情報が次から次へと押し寄せて来て

切りがないくらいに状況が飲み込めていない。

だって僕達、特別部隊は

結成当初から与えられていた仮契約を

あんなにも釘を刺されて1つでも守れなかったら

即廃部の危機があったんだ。

それなのに僕らは、仮契約の内容を無視して

今まで活動を継続していられた。

僕が言うのもなんか違うと思うけど、

なぜ、部活自体が廃止にならなかったのか?

そこが今回の話の根幹。。。

それを今、口では上手く言い表せないけど

僕達の知らない所で

[事が進み過ぎてる]気がして周りの皆んなが、

都合よく動き過ぎてる事が少し気掛かりで。

誰かが仕掛けた罠に

転がされてなければ、良いんだけど。

これは、僕の気にし過ぎかもしれない。

何となく…前にも同じような事があった気がして

変な感じがするんだ……)

と日向は、正体不明の圧力に襲い掛かるも

そんな事を考えているとも知らずに

2人は未だに生き生きしていた。


蘭達が理事長室から出て行った際の事、

音もなく静かな空間と化した部屋は

外ではしゃいでいる蘭達の声ですら

聞こえなかったのだ。

鬼神「・・・。

ふぅ〜…とりあえず、これで取引は成功ね。

他組織の情報や個人情報、近況報告、

シマ維持管理、その他諸々の仕事も

そろそろ返却する時ね。

シマ維持管理は特に楽しかったけど、

何か問題を起こすような人達が

周りには居ないから少し退屈してた部分だが。

まぁ、下手に事態を起こされるよりマシだけど

私の仕事もそろそろ終わりか〜

で・も……もっと嬉しい知らせが届く頃には、

時期に私も配下に回る事でしょう。

また、あの[お方]にお会い出来る事を

心よりお待ちしておりますよ。

さぁ♡これから忙しくなりそうね、[阿修羅]さん♪」

と言って理事長室の壁に貼られた額縁、

そこには草原の風景と木製の家々が建つ写真に

そっと触れ、(たし)むように添えていた。

すると鬼頭はいつの間にか目を瞑っており

点字板のように指で

何度も触れては確かめを繰り返し、

[ふふっ♡]という声を漏らして瞼を上げる。

その中には炎色の瞳ではなく

目の瞳孔がかなり真っ黒く開いており、

禍々しい赤黒い瞳の色がゆっくりと渦を巻く。

鬼神「ふふっ、うふふふ♪」


・・・・・・・・・・

雄鬼「んっ?

(スマホを見る)

丁度、記者会見が終わったのとほぼ同時刻に

鬼神からの言伝(ことづて)も終わったか。

[阿修羅…]ってまだ2人しか揃ってないのに

しかも最初に戻った奴だとは、思いもしなかった。

全く、その点……抜かりない奴だ。

(とりあえず、特別部隊が

もし世間に知られてしまった時用に

閻魔騎士と協力関係を結ぶ事で承諾させて貰った。

無論、こちら側の条件提示付きでな。

こんなにも事がスムーズに運べているのは、

[前の自分]が良い仕事をしたお陰であっての事だ。

上層部の人達から俺への信頼度が高く

事前に話を通しておいて正解だった。

たった1人では、導き出せなかった答え………

記憶を呼び覚ました本当の仲間が

影から支えていなければ、詰んでいただろう。

だが、それを乗り越えてこその景色に

ようやく俺達は辿り着く事で

同じ場所にいれるのだろう。

この世の中、結局はお互いを助け合い支える事で

自分の役目と役職を…必ず遂行する為に。

それでも我々は、

他組織と違って一から関係を築き上げ

抹消された記憶が無くとも

必ずや[蘇る要素]が時期に答えを与えてくれる。

今ある悩みや疑念、それは……その為のものだ。

俺は、この組織に入っている以上、

再び組織を通じ絶対的な忠誠を誓う事で

あの方の存在に気付けた。

そう感じてからは、心做(こころな)しか俺の体が軽くもなったし

今まで見て来たものが、

重く考え受け止められるようにもなった。

長年、あの方に仕えていれば

必ずと言って良いほど、そんな癖も記憶と共に蘇る。

目に映るものが全てではなく

疑い考えられる選択が出来ているのなら

それは、誇るべき事だ。

自分の身の周りで起こり得る出来事は、

それ以上の最悪をも跳ね除ける。

……そう、迎え撃つ被害を最小限に抑える事が、

我々の最重要任務だ!)

・・・(揺れるスマホ)

どーも……」

???「やぁ、牛鬼(笑)

その感じだと無事に成功してるみたいだな☆

アレがハズレだったらどうしようかと思って

少しヒヤヒヤしてた所だったんだよ。

いやぁ〜平気そうで良かった良かった!!」

牛鬼「良かねぇよ、何の用だ。

お前からの指示なら言われなくとも

もう済ませた筈だが…黒鬼」

黒鬼「用?そんなの無いよ!

けど、無い訳じゃないんだな〜それが(笑)

今すぐに切るぞ(即答する雄鬼)

あー待った待った、冗談だよ♪

用件なら牛鬼に

直接、会って話したい事があるんだ。そう長くない。

じゃあ口頭で頼む(牛鬼)

今じゃ面と向かって話せないから

会いたいって付けたんだ。

空気を読んで欲しいねぇ〜

何故だ?(牛鬼)

・・・。

この学校には今現在の四大妖怪が

2人潜んでいる事は当然、知ってるだろう?

どこで聞き耳立てているか分からないし

校内に居る限りは、

心の確信にまでも見透かす天性の才能を持った奴が。

なら、最初からそう言え(牛鬼)

……変わらないねぇ♪

牛鬼〜〜〜昔の感の良さはどこ行ったんだ?

お堅い閻魔騎士さん達の元で仕事したら

頭の中までガッチガチになっちゃったの〜(笑)

黙れ、やっぱり口頭にしろ(怒る牛鬼)

はいはい、すみませんねぇ〜!!

じゃあ心では喋るな、何も考えずに屋上に来い。

話は、それからだ」

雄鬼「あぁ、分かった」

と耳に当てていたスマホを話して

雄鬼は、不機嫌そうな顔を見せながら

曲がり角を曲がってすぐ姿が無くなっていたのだ。

同時刻・・・

屋上の枠側へ座って足をぶらぶらさせなから

黒いスマホを両手に持ち、目の前で見比べている。

傀来「へぇ〜…黒は黒でも全然、色が違うんだな(笑)

これ盗み出すのに結構、苦労したんだよ〜

いつからその存在を知っていた?(雄鬼)

ふーーん、いつからだっけな。。。

あ〜アレは確か同学年に秘密や弱みを

簡単に握れそうな奴らが居ないか

探る所から始まったんだった。

まぁ最初は、いざって時の脅し材料として

懐にたんまり備える為のね!暇つぶしだけど(ボソッ)

相変わらず、悪趣味な奴だな(雄鬼)

案外、人の秘密って面白いんだぜ?

例えば本人しか知り得ない場所へ尾行したり

直接、特定し回ったり、たまに奇襲されかけたけど

1年だからと言って舐めて掛かる奴ばかりだったから

俺は、倍に返させてやったよ♪

でも周りの奴ら全員揃いも揃って弱くてさ、

退屈してたんだよね〜

最初は周りが弱過ぎるだけかと思ったけど、

[俺が強過ぎるだけ、なんかな???]

とか何とかで深くは考えてなかったけど、

俺の知らない所で

体に染み付いた動きをそのまま利用したら

いつの間にか武力を身に付けていた。

それをAクラスの皆んなには、

秘密にしてた方が面白いと思って

平均値レベルの力しかまだ出して無いんだよね〜

これが、意外と面白くてさ♪

でなんやかんやあって、とうとう………

3年で現役の閻魔騎士が居ると

噂っていうか有名な話を耳にしてから

俺は、お前に興味が湧いた♪

不思議だよな〜

記憶は消えている筈なのに同じ種である以上、

必ずどこかで引き寄せられる関係……

あんな腐った奴らの思い通りには行かないって

今、思えば笑える話だ(笑)

そんでアイツなら

周りの底辺な奴らよりも遥かに強いし、

何より…とんでもない秘密が隠れてるかもしれない。

そう考えた時は確か〜

4月の下旬頃からで入学してすぐだったかな。

ずっと雄鬼に張り付いて観察した所、

閻魔騎士が所有するロッカールームに至った☆

けど〜雄鬼以外のどのロッカーを見ても

別に大したものは入ってなかったよ。

くだらない、ネタばっかでつまんない!

ちゃっかり閻魔騎士の本部にまで潜入すんな(雄鬼)

まぁ俺の興味が変わる訳じゃないし、

本命でもある雄鬼のロッカーを拝借して貰ったよ。

中にあったのは、小さめの黒いボックスで

それが、この漆黒のスマホってわ・け(笑)

鍵付きの金庫に入れた筈だったがな…(雄鬼)

勿論、解いたよ〜♪

でも学校に来てすぐ始めたにも関わらず、

6ヶ月もかけて4桁の暗証番号を解く為だけに

本部に通ってたからねぇ。

結構、時間掛かった方かもな〜♪」

雄鬼「はぁ……まさか、、、

そんな前からやっていたとは油断も隙間ないな(汗)」

傀来「ふん、そゆこと………っ!」

ふと聞こえてきた雄鬼の言葉に驚きつつも

普通を装った傀来が顔だけを振り向いた際、

雄鬼による突然の不意打ちを食らった!!

と思われていたが、持ち前の身体能力を発揮させ

傀来は雄鬼の真後ろに立ち、

足技を仕掛ける雄鬼と腕だけで防ぐ傀来に

接触するかしないくらいの近さで

2人同時に寸止めさせる。

その反動からか台風が

直撃したかのような強い風が柵を揺らす。

雄鬼「昔より鈍くないようで、安心したよ。

鈍ってたら本気で叩き潰しに掛かろうかと

考えてた所だったんだ。

組織に、泥を塗るような事が無くて良かったよ」

傀来「お〜怖い怖い(笑)

そういうお堅い所は、昔譲りだねぇ〜

そうそう。

雄鬼に見せたいもんがあるんだ♪

さっき左手にあったスマホか?(雄鬼)

あぁ〜それなら後で返すよ。

元々は、雄鬼の記憶を戻すよう

直接、姐様(あねさま)に頼まれた事だから必要無かったみたいだし

サラッと凄い事、言ってないか?(雄鬼)

別に大した事じゃない。

時期に、雄鬼だって気付く筈だよ(笑)

???(雄鬼)

それよりこっちに来て見てみなよ☆」

雄鬼「今度は、何を企んでるんだ?(汗)

はぁ………んっ?」

と言って生き生きとした感じで

見せたいもののその方へと走っていく。

そんな傀来を呆れながらも付いていき、

柵の前に辿り着くと屋上から下の方を

覗くよう指で差す。

そこには、学校の電気設備が揃っている場所で

一番大きな設備が抜き取られた跡が

残されていたのだ。

雄鬼「これは〜…まだ復旧されてない電気設備か?

工事もいまいち進んでなさそうだな……

そういえば、閻魔騎士が調べた資料を

ざっくり目に通してみたが

何故、学校の受電設備が抜き取られたのか

未だ原因が掴めていない未解決事件だったな。

これが、どうした???」

傀来「お…お前〜

そういう所は、変に鈍いよな(ジト目)

これは、姐さんがいざって時に必要だったから

受電設備が使われて起った事件なだけであって

証拠も何も出ないのは

別に普通の事なんだよ、俺からしたらな♪

なっ!?はぁ〜……先が思いやられる話だ(雄鬼)

まぁっ!!

俺は、全然関係ないから

精々…頑張れよ、閻魔騎士のエース様(笑)」

雄鬼「なんかムカつくな。

何で、記憶が戻った奴が

よりにもよってこんな奴なんだ(怒)」

傀来「そんな分かりきった回答を

わざわざ聞く馬鹿が組織に居るとでも思うか?

俺達が、(あね)さんから信頼されている。

それだけで成り立ってんだからな♪」

と言いノソノソと雄鬼に歩み寄りながら

手を取り、真っ黒いスマホを手渡す。

傀来「ちなみに、雄鬼は俺の助言を聞く前から

記憶が戻ってたみたいな言い分だったけど、

きっかけは何だったんだ???」

雄鬼「んっ?それはー…………」

雲一つない綺麗な青空を映すように

視点が上がっていき、

雄鬼の言葉を聞く前に画面が暗くなる。


放課後・・・

夕暮れ時の空が照らす中、

日向と瞳、魅緒の3人が教室を出て来て

2人とはすぐ別れた。

2年生フロアから1階へと通じる階段を下って

長廊下をゆっくりと歩いていく。

その日向の後ろ姿は、

エナメルの肩掛け部分を握る事なく

両手を横に振って

玄関口に置いてあった白いジョウロを手に取る。

中庭・・・

1年S・A組からB組の教室と保健室の間で

中庭を挟み教室側に花壇があって

ギリギリ日陰になっていない場所には、

色鮮やかな花々が咲いていた。

ジョウロの先の小さな穴から

水がちょろちょろと飛び出し花一つ一つ丁寧に

あげていると日陰から離れているのにも関わらず、

自然と暗くなり明るかった日向の表情から

呆れた顔に変わってった。

日向「・・・。

あのさ、来てくれるのは僕も嬉しいけど

待ち合わせ場所なんだから

もう少し普通に現れてくれない?

いやぁ〜誰も居ない時に何するか気になって(千秋)

別に、どうもしない。

いつもと何の変わりなかったでしょ(ジト目)」

千秋「それは、そうだけどさっ!

よくもまぁ…まだ続けてやってられるよな。

どういう意味、それ?(日向)

俺と初めて会ったその時も

こうやって花壇に水やりしてたみたいだけど、

あんな目に遭ったら普通〜

しばらくは来なくなるもんだろう?

もしかしたら、そのまま辞めるって事にも」

日向「……そーいう訳にはいかないから

僕がやってるんじゃん。

理由は相変わらず、久龍先輩の為ってか?(千秋)

だって………初めて会った時、

僕らの世代はクラス差別かなり酷かったじゃない?

1つ上の先輩だとしても弱い妖怪が用もなく

無闇に、先輩に話し掛けちゃいけないっていう

暗黙のルールがあったせいで

接点なんて何一つ存在し無かった。

昔と比べたら今の方が穏やかになったよな(千秋)

そうそう。

けど……見ず知らずの僕なんかに

話し掛けてくれたのは久龍先輩が初めてだったし、

先輩からなら関係ないらしいけど〜

あまり長く話してると陰口が叩かれるのはお約束」

千秋「良いんだか、悪いんだかな〜(笑)

でも、確かに言われてみれば

この学校に来てから

先輩達とろくに話せなかったのは事実なのに

最初からやけに距離感近かったよな!!(チラッ)」

日向「ぼ、僕は………

それが偶然だとしてもそれで良いの!(拗ねる)

嬉しい事があったら素直に喜んで良いでしょ」

千秋「ふん、だな♪……うげっ!?(苦笑い)

んっ?どうしたの???(日向)

いや、何でもない?!

(び〜っくりした!!

まさか、このタイミングで

久龍先輩を見つける羽目になるなんて最悪過ぎる。

折角、学校で日向と2人っきりになれる場所が

ようやく見つかった事に、

さっきまでルンルンだったのによぉ。

勿論、その目の矛先は間違いなく日向だ(汗)

流石の日向もそこまで、自分の見た目の事を

良いも悪いも分かってなさそうだろうし、

先輩が日向の前に姿を現したのも

偶然なんかじゃない事も知らないんだろうな。

まあ、世の中には知らない方が

まだ幸せだったかもなんて話よくある事さ。

だ・がっ!

ついに…そこに気付いてしまったか。

いや、出会った当初から

勘付かれていた可能性も捨て切れない。

何故なら日向の……容姿が、

久龍先輩にはどストレートである事を!!

あの先輩、見掛けによらず

ショタ〜…というか[ブラコン]である事は、

全校あ、いや女子達の間では有名な話。

あまり日向と一緒にはして欲しくはないが、

牧田もまた同じ分類で意外と人気なんだよな)

はぁ〜……(汗)

千秋???(日向)

あ、あぁ〜そういえば、日向。

最近、青石先輩と会ったりしたか?

猫又の事件からもう1ヶ月も経ってるけど、

向こうから接触して来た事は???

今の所ないよ。それに久龍さんには内緒にぃ(日向)

いーや、奴は久龍先輩の些細な仕草や行動まで

隅々から熟知してかつ、鼻が効くからな!

バレるのも時間の問題かもしれない。

狼か、何かかな?(日向)

その時は、俺を頼れよ!!

何てったって青石先輩が、

日向に向ける殺意だけは紛れもなく本物だからな。

何とは言わないが……何とは」

日向「う、うん(汗)

それについては千秋に、依頼するよ。

多分、無理だと思うけど」

千秋「ま…まぁな。ハハッ(苦笑い)

水やりも終わったとこだし、そろそろ帰るか」

日向「そうだね。

ジョウロ、元の場所に置いてくるよ!

あっ、俺も行くって?!(千秋)

そう???

じゃあそのままデパートに向かおっか♪」

と言って中庭から離れていく2人の姿を

遠目の茂みに完璧に隠れていたが、

目線の矛先と感情を視線だけで感じ取れる

千秋には勘付かれていた。

その火照った智神の顔は、

日向の小さな背中と笑った横顔を

目に焼き付ける為でもあった。

智神「まぁ〜……可愛い♡♡♡」


玄関口の棚にジョウロを置き、

校舎を出て夕日に向かって歩いて行く。

千秋「もう、そんな日か。。。

1週間経つのって、ホントあっという間だよな〜

それに俺らが2年でいられるのは、

あと半月ほどで3年になれば受験だな。

まだ…そう思うのは早いと思うよ(日向)

それは、そうなんだけどな〜

こうして居られるのも全部、日向と出会った時から

最初から…決まってたのかもな?

こんな俺でも一緒に居てくれて(笑)

えっ?急に何、お礼なんか言っちゃってぇ(日向)

ふん、感謝なんてこの先も

これからも何度……言ったって良いだろう☆

まぁ、それは僕も同感だけど(日向)

ニヒッ♪ありがとな!!」

段々と沈んでいく夕日とは裏腹に

千秋は元気よく感謝の言葉を述べると

夕日に照らされた日向の顔はどこか赤くなっていた。

それを見た千秋は笑い飛ばしながら

日向の頭を大きな手でグリグリ撫で回すと

振り払うように手をバタ付かせる。


翌朝・・・

シャン…シャン…シャン♪シャシャシャン♪

〜〜〜♪〜〜♪♪♪

神楽鈴(かぐらすず)を自分の頭上で振り続け

その場で回りながら

斜め切るように鈴を左右に揺らし、

棒状の先に菱形の紙々が連れ大麻(おおぬさ)を振っては

同じステップをひたすら踏み込んでいた。

一通りの舞を体に叩き込んだオレンジ髪の女性は、

髪の下から一斉に汗が流れ始める。

[ふぅ〜……]という声を漏らしながら

純白のタオルで顔を拭いていると

ホワイトブロンド髪の人が横から声を聞こえ来た。

玲「そろそろ終わりにしたら、どう日野寺さん♪

最近、朝からずっとこの調子じゃないですか。

天野先輩。いえ…私は、そんなに???(紅葉)

そうかしら?

私が所有する[琴天津(ことあまつ)神社]では、

毎年、この時期になるとお祭りを開いて

妖怪の人々に御守り付与の儀式を見せたり

その創った御守りを配ったりで

様々な行事を行っているわ。

神社でお祭りが開かれる理由は、

日野寺さんもご存知の通り。

本来、私達神達が妖魔界に滞在する代わりに

指定された[自分の土地を守り抜く事]だけを

目的とした、いわゆる神様活動が評価される上で

絶対に欠かせない必須事項。

どちらにせよ……

妖怪もいずれ自分達の名誉の為に奮闘する姿は、

さほど私達と(なん)の変わりもないって事。

だからお互いの目的の為に友好条約として

神々と妖怪は、結ばれ成り立ってるからこそ

お互い同じ世界で共存している。

・・・(紅葉)

それと私達、神々が所有する土地…小さく言えば

神社を管理する事務仕事は結構、多忙なの(汗)

この苦労が、どれほどの苦痛か

あまり分からないでしょう?

私には一切、関係のない事ですので(紅葉)

相変わらず……興味無さそうね、日野寺さん。。。

それで私達より

長く生きてる先輩神様から聞いたの♪

そしたら〜土地を所有してる間は

[神はかり]以外は特に休みが無いのだけど、

どこかの神社でお祭りを開けば

一時、休暇として認めてくれるんですって♡

色んな土地の神々が、

来訪しやすくする為の橋渡しとしての参加なら

大丈夫みたい!

それで、その条件というのは何でしたか?(紅葉)

そうなの、それがね!!

巫女さん方が日頃の感謝を込めて

巫女舞を踊る事で神様方の目の前に神門(しんもん)が開かれる。

その舞いが終わる頃には、

妖怪の人々から一切…一目に付かない所………

つまりは神社の中心に位置する[本殿]で

皆さん、いつも寛いでいらっしゃるんですって!

一般的には[巫女舞]と言われてるけれど、

地域ごとによってそれぞれ名前も違うみたいで

神社の伝統的な踊りと称して

私の琴天津神社にちなんで[琴の舞]にしてるように♪

良い名前と思わない?私、一生懸命考えたの!!

どうどう???

どうかな〜日野寺さん♡(ニコニコ顔)」

紅葉「・・・そうですかー(真顔)」

といつものように塩対応な紅葉と

分かり切っていた答えが返って来るとはいえ、

玲は、酷く気持ちが沈んでいた。

玲「分かっていた事だけど、

直接、言われると悲しいかもしれません(涙目)

そうですか、すみませんでした(淡白な紅葉)

……うん、気を遣わせてごめんなさいね。

じゃなくて私が言いたいのは、

その[琴の舞]は巫女の皆さんが心を込めて

踊って下さるもの!!

こうして神楽殿(かぐらでん)で練習してくれるのは、

私にとって…とても嬉しい事だけど〜

あまり励み過ぎるのも体に毒よ。

朝のみならず、

丸一日中やってるの私は知ってるんだから」

紅葉「天野先輩が言いたい事は分かります。

ですが、私は万が一の事を考えて

お祭りの当日……誰か1人でも用事や体調不良で

来れなくなった人の為にも

全ての踊りを私1人でも熟知する必要があります。

お構いなく!」

玲「そういう所は、真面目なんだから

他は無関心なのにぃ…まぁ嬉しいは嬉しいけどね(汗)

だとしても1人でそんなに頑張らなくても良いのよ?

確かに日野寺さんがあまり私の巫女さん方と

関わらない事は知っていたけれど、

お祭りの時ぐらい話しませんか?」

紅葉「結構です。

そういった交流は、

私よりこの神社で長く働いている先輩方の勤め

優秀な方々がやるべき仕事であって

私達巫女は、あくまで神社のお手伝いです。

[御使い]さんと違って

下位の巫女である私に出来る事といえば、

先輩達の足手纏いにならないよう

本番でどれくらいの練習の成果を発揮できるか。

それ以外、何を考えられるとでも???」

玲「そ、それもそっかー……んふふ(苦笑い)

そ…そういえば、

ここでお話したのも何かの縁よね♪

他の巫女さん達にも今日、伝える予定だし

日野寺さんは、琴の舞を練習を済ませたら

すぐ帰っちゃうから今、伝えるね!!

えっとね〜…近々、[新しい神様]が降臨するようで

もう少ししたら神様見習いとしての修行を終えて

すぐに妖魔界で活躍するみたいなの♡

……っ(紅葉)

今回は異例中の異例で〜

神様見習いっていうのは修行もそうだけど、

妖魔界で6年間の教養を終える事で

神様見習いが免除され、神界へと戻り

各々、やりたい事をする神様が居る。

だからおかしいのよね、この6年間が終わったら

長期休暇とか神界または、妖魔界で

伸び伸び働く神様の方が多いって先輩達も話てて

[役職持ち]だからと言って

すぐに駆り出される事はほとんど無いから

少しイレギュラーな神様かもしれない。

あまりその神様の邪魔にならないようにだって。

そんな事、言われましても…(紅葉)

うーーん。やっぱりそうよね(汗)

でもね、私も詳しい事は知らされていないの。

情報不足なのは分かってるけど、

さっきカラスが電報を届けてくれた内容を

そのまま読み上げただけだから。

つ、次の神はかりの時に聞いてみるよ!!

まぁ、その頃には公表されてるでしょうけど」

紅葉「・・・」


結果的に・・・

サッサッサッ……サッサッ…ザクッと

神社の境内を転々と回っては掃き掃除を

淡々と片付けていく。

玲と話した後、

お祭りでの踊りの振り付けだけを

覚えて帰ろうとあらかじめ決めていた。

が、紅葉は神様と顔を合わせてしまった為か

普通に帰る事も出来ず、

巫女としての仕事を多少終わらせる事にしたのだ。

紅葉「スゥ〜……はぁ。

私は、何をしているんでしょうか?

(なぜ…私が天守村(てんもりむら)の神社ではなく

天野先輩が所有する琴天津神社に居るのかというと

元々、勤めていた大森魂神社が

山奥にひっそりしていて

あまり人々から認知されていない。

そのせいか神社という役目を果たせておらず、

神様にとってもっとも重要な目的である

[土地を守り抜く]こと以外は、

神様は外出するばかりで神社には帰ってこなくなる。

神がその土地を守り、人々から崇拝される事により

信頼を得られる事で土地に結界が張られる。

守られる障壁があれば、

巫女や御使い達が安心して活動が可能なのだが神社の主人(あるじ)であられる神様自身が外出するとなると

それは、ほぼ95%の確率で復帰する事は叶わない。

中には、その土地が攻撃されてでも帰ってこない

ろくでなしな神様も存在する。

流石に、私達の神様は帰っては来るが

皆んなの無事よりも土地の心配しかしないよりかは

大分、マシだと思う。

それで……まだまだ小さな神社が、

どういった感じで人々から認知されていくのか

復興できるのか神様の側近を務める上の人達が

他の神様に掛け合った結果。。。

天野先輩が快く引き受けてくれた事から

私と夏休みの当番で一緒だった秋津先輩、

側近の3人の内、1人が今…3人体制で

この琴天津神社に出張任務として出ている。

他の巫女さん達も同様に各地に駆り出されており、

それほど従順である皆んなが、

こんな事をしてるとは神様も夢にも思わないだろう。

とはいえ、なんだかんだ………

ほったらかしにされていた従者達だが、

神様から与えられた暖かさは

何度、感謝しても返し切れない恩だとか

あんな神様でも複数の巫女を付き仕えている事は、

他の神社には無い要素なのだから。

それに皆んなが抱く神様への信頼度には、

どの神社にも比肩(ひけん)を取らないと思う無い♪

……とまぁ、私がここに居る理由。

私達の小規模な神社と比べて

天野先輩の神社は

かなり盛えていてお祭りを開けるくらいには、

人々から崇拝されている。

これだけでも十分な情報だけれど、まだ足りない。

出張任務の期間は約1ヶ月ほど

ここに来て、もう2週間も経ってる。

幸い…琴天津神社では、

お祭りが開かれる時期と被ったお陰で

出張任務の期間が私達の所だけは、

少し延長させて貰ったのは素直に感謝します。

それから私は〜

この神社に属する巫女ではないのですが、

お祭りの準備や琴の舞を舞う事……

当日の段取りなど、巫女達の仕事は山程ある。

その一通りの工程を

私達の神社にも取り入れられないかどうか

天野先輩に取り合って貰った所、

大体の要求は承認してくれた。

どうやら目的を達成する為にも

他の神様達も復興には

かなり協力的であったのは驚きだった。

それに他の巫女達との交流に関しては、

秋津先輩達に任せて私は単独行動を取るという事は

事前に話を付けている。

元々、私はそういう性格だからって

今回は多めに見て貰ったけど、次はそうもいかない。

それに毎年、同じ時期に開催される

お祭りの準備期間中はかなり忙しいらしく

その間は巫女としての仕事を一時中断して良いとか

巫女達の事をよく考えてらっしゃる。

まぁ、急に休めと言われて

いつもそつなくこなしていた仕事を取り上げた所で

仕事をしてしまうのは、

もはや…巫女達と神様の間ではお約束みたい!

例外なく私もその一部である(汗)

舞いはお祭りの準備に必要不可避みたいだから

そこは大目に見てるらしい)

はぁ……これで掃き掃除も終わった事ですし、

そろそろ帰りの支度を。

ピロピロピロ♪・・・

んっ?これはっ………………」

と言ってスマホ画面を見た紅葉は、

血相変えてバタバタと片付け始めたのです。


一方・・・

特別部隊の3人が揃って外出しており、

その中には友理や雫の姿が見当たらなかった。

どうやら2年生組だけで

この2人を集めたのは、何を隠そう誠也だったのだ。

日向「で、何でわざわざ各々の家に行ってまで

僕と鈴木さんを呼び付けたの?」

誠也「だ〜か・らさっきも言ったけど、

ここんとこ、学校やら特別部隊の仕事やらで

ろくに休んでない気がしてよ!!

気晴らしついでに散歩がてらしようぜって話だ☆

まぁ、これが終わったら

またやらなきゃいけねぇけどよ。

あの….誠也が???(蘭)

へいへい、そういうのはもう良いから……

素直に感謝しろよな(ジト目)

な〜んだ…面白くないな(日向)

あっ?!!!!!

そこは、反応が早いんだね(日向)

お前も少しは休めよ、

そろそろ時期が時期なんだから!」

日向「それとこれとじゃ全然、関係ないよ」

と言ってスーッと視線を流しながら

次に蘭が口を開き始める。

蘭「でも確かに、誠也の言う通り

ここ最近、特別部隊のお仕事に追われるばかりで

部活動をお休みって私が言い出した事なのに

全然、働いてる気がする。

日向くんと雫ちゃんは、

玉藻前様に囚われてて私と誠也で戦ったり!!

雪乃さんの存在、忘れたり色々大変だったね(日向)

そ、そこはもう言わない約束だよっ!(バツ目)

ムムッ〜〜〜!!!!!!」

誠也「アレは何度でも言うが、

俺もマ〜ジで死にかけたからな(汗)

あぁ〜あと、砂かけ(ババァ)事件とか〜

砂ばぁさんよ、友理ちゃんが決めた名前(蘭)

そういや……そんな事もあったな。

結構、最近の事だけど(ジト目な日向)

し、仕方ねぇだろう!!

砂ばぁが村を襲ったり、追跡で巻かれるわ〜

不意打ち食らわされるし

最後に志童が全部、持ってったんだから(焦)

そうだよね、薊陣営の人達…大丈夫かな(蘭)

そっちじゃない!と言ったら嘘になるけど、

あの場に志童が女装して

乗り込んできた事もそうだし、

野良妖怪達がまさか………

俺らと同じ元は普通の妖怪だったなんてな。。。

いくら玉藻前の力が強力だからと言って

村襲撃は、流石にやり過ぎだ(汗)

何だか心做しか体がいつもより重たく感じるし。

今まで薊陣営が関わった事件の数々、

もし砂ばぁと同じ被害者が居たとすると

もう救いようがねぇんだろうな。

野生化が進んでる奴は、正直…手遅れだと思う。

現に進んでいた筈のあの婆さんだって

一時的に自我を取り戻したとはいえ、

元々は気遣いも出来て優しい人だった筈なのに。

薊陣営の組織に入らなかったら

善良にまだ生きれたんかな?」

蘭「うん、そうだね。

お婆様達は、私達なんかより

ずっと長く生きて歳を重ねた事で

生きる人生の中で辛い事や悲しい事が起きても

私達を陰から見守ってくれる。助けてくれる。

自分の心に、正直になれたんだ。

そんな優しい人達が

徐々に野良妖怪さん達に成り果てていくなんて

私、まだ信じられないよ。

俺も蘭と同じ意見だ(誠也)

でも……それ以前に今一番の懸念点としては」

日向「野良妖怪の正体が元薊陣営の人もしくは、

玉藻前が直々に、与えられていた他の被害者。

その人達がやがて、

この街を支配する為に活動し始める事…だよね(汗)」

蘭「そう!!」

誠也「いや、俺もその問題は分かってたけど

志童の女装の方がパンチt……」

蘭「そんな事より

一刻も早くこの事態を何とかしないと

街が襲われちゃうんだよ!?

何か少しでも私達に出来る事があれば、

野良妖怪さん達の企みを阻止する方法だって!」

誠也「だーかーーらそれはひとまず放って置けよ。

特別部隊を始めたての頃からすぐ仕事脳になって

まぁ…それが蘭の良い所でもあり、悪い癖だ。

俺が2人を今日、外に連れ出したのは

仕事、仕事で休む暇がねぇから

時間作ったってんのに

それに今、俺らだけで考えても

対策のしようも無いだろ?」

蘭「じゃあ誠也は、

黙って見てればって言いたいの?!(怒)」

誠也「俺は、そこまで…一言も言ってないだろう。

良いか、蘭っ!!

この問題は俺らが、

簡単に片付けていい事件じゃない。

志童も言ってたろ?

この情報は、四大妖怪の奴らしか知らなくて

あくまでも……俺らは志童から聞いて

特別部隊も知れたんだ。

アイツらでさえ、

手に負えてないような問題を話してくれただけでも

それくらい事の重大さが大きいんじゃ、

俺達が手を出した所で、

どうにかなると思ってんのかっ!?

現状、俺らに出来る事って

何もない事ぐらい蘭も分かってる筈だ!

その事実に蘭自身が目を背けてるだけで

本当は、認めたくないんだろ???

特別部隊がどんなに、小規模な組織なのかをな」

といつにもなく真剣な眼差しで語りかけてくる

誠也は蘭の目の前に立ち、目を向けた。

これは、敢えてキツい口調で

蘭を諦めさせるよう話していたからである。

すると蘭「だ、だって…だって何とかしないと

この街の人達が危険な目に遭っちゃうんだよ!

皆んなが皆んな、誠也みたいに

戦えるような力だって持ち合わせていないのにぃ。

こんな時に行動しなかったら

誰も救えないし、誰も助けられないじゃない!!

だったら、どうしたら助ければ良いの?!(涙目)

うっ……ぐっ、はぁっ…はぁっ……はぁっ………」

腰回りに両手をグッと握り締めながら

肩を小刻みに揺らす悔しい顔をした蘭を見て

気休め程度に口を開く。

誠也「悪い、蘭……俺、強く言い過ぎたわ。

蘭の意見を本気で否定してる訳じゃないんだ!

確かに、俺らとか色んな組織に属する人達とかは

問題なしとまではいかないけど、

戦えない人達の事までは頭になかった。

それでも俺ら市民には、権力は無くとも

力やちゃんと考えれば知識だって働く。

けど…そんな俺達でさえ、どうしようもなく

何も出来ない時期だって無力な事がある筈だろう。

例として上げるなら、街に張られた結界もそうだ。

俺らより何十年も何百年も前から

野良の妖怪達の襲撃を頻繁に遭ってた時代は

何度、奴らを退治しようが進行を止めるどころか

逆に犠牲者を多数出し始めるばかり。

そして、ようやく街を結界で覆う事で

外の数を減らすのではなく

内側から少しでも進行を遅らせる為に

街を結界で食い止める事が出来た。

その考えに至るまで、

昔の人達は沢山、考えて沢山、苦労して

かなり年月を割いてやっと成功させた。

全部、結界があってこそ

今、俺達は安心して暮らせてると思う。

けど長年、食い繋いできた

形見のように引き継いだ…この障壁だって

物の一種で長く使っていれば、

いずれ形を保てなくなる。

削れ過ぎれば、

いつの間にか消えて無くなるもの。

今は、それが無くなる時なんだよ。。。

古くなったものはまた新しく取り替えるように

また一からスタートさせて

新しい発想や苦悩が沢山、生まれる事で

皆んなでこの国を守ろうって築き上げられる。

これから先もその技術を繋げる為にも

俺ら特別部隊だけじゃ成し得ない事だろ?

だから閻魔騎士や特殊部隊っていう

組織が沢山あるんだ。

もっと上の奴らに頼ろうぜ、な☆」

蘭「……っ!」

日向「ふん、僕も誠也に賛成。

何事も1人や特別部隊だけで

最後までやり切れる責任を負えるほど、

僕らはそんなに強くない。

ごく普通の高校生で、クラス社会のある妖怪、

出来る事なんて正直…そこまで無いけど

それでも……提案くらいなら良いんじゃないですか?

例えそれが、不可能な願いであっても

鈴木さんなら出来るかもしれないよ。

僕をこの部活に、導いてくれたように」

と言って誠也の横へと立ち、

首を少し傾げながらもそっと蘭に手を差し伸べる。

うっとりした目で微笑み掛けてくる日向の顔を見て

蘭の顔は暗いまま手を取り、

潤んだ目のハイライトが少し揺れるも

一度、閉じた時には消えていた。

誠也「そ〜いう事っ!

何かと1人で抱え込むなし、

どっかの奴に一度でも頼ってみようぜ」

日向「そうですよ。

と言っても実際に出来なかった時はその時……

星になるようぶっ飛ばそうぜ、ソイツを(誠也)

何でそうなるのさ、違うよ(汗)

鈴木さん…その時は、特別部隊の皆んなで

話し合って協力しよう。

ものによっては、

簡単じゃないと思いますけど…ね」


蘭「・・・。

(私、あれから志童くんの話した内容が

頭から離れられなくて

授業や特別部隊の仕事もろくに捗らなかった。

私の考え過ぎなのかな?

それに志童くんが言ってる事は、

妙に説得力があって、信憑性も高い。

でもそれと同時に

何で、こんなにも私だけ胸がザワ付くの?

野良妖怪になれ果てた人達は、

本当にもう助からないのかとか。

本当に、街を救う方法は出来ないのかとか

ずっと頭で考えてた。

けど、何が本当で……何が正しいかぐちゃぐちゃで

考える事が嫌になってきた。

私には、もう何がしたいのか

分からなくなっちゃった。

野良妖怪さんになっても尚、

玉藻前様の為に尽力する姿は悪いとは思わないけど

そんな事、考えてたらこっちがやられる。

私自身……どうしたら良いか。。。

ん?あれ??

私、ずっと正解とか正しいとか考えてたの???

こんな得体の知れない状況下で

答えがいくつも存在するなら…止められるなら

対策なんていくらでもあるんじゃ?

それに私の本当の願いは………

1人で考えるな、1人で感じた事、思った事を

誰かに話せば……少なくとも分かって貰えるかも。

そうだよ、2人に相談してみようよ♪(???)

うん…それもそうだね。あなたは、私だものね)

2人とも私が……

今、考えた中で一つだけ答えが出たの。

聞いてくれる?」

2人「・・・」

誠也「……ニヒッ、良いぜ。

何でも言ってみろよ」

日向「うん」

蘭「・・・ありがとう。

私ね、薊陣営の人達と野良妖怪になった人達や

街の人達皆んなを助けたいっ!

えっ?(日向)

おいおい…それって一つの答えなのか?(誠也)

答えだよ!!私なりの、ね♡

望みは大きい方が良いし、貪欲(どんよく)じゃなくっちゃ☆

流石、やってる事がお嬢様だこと(点目な誠也)

それにぃ……

私、どんなに叶えられない夢だったとしても

例えそれが皆んなに止められて駄目だったとしても

私1人の力で切り開いてみたい。

だから絶対…絶対に、諦めたくないから

最後まで私は争ってみせるからねぇ、誠也っ!!」

誠也「へっ?えぇ……お、俺なのか???」

蘭「んふふ♡♡♡

(絶対、絶対に私が叶えてあげるからね、誠也♪)」

誠也「???」

日向「・・・(ジト目)」


羽田市から柄谷町方面の町へと入っては

普段、訪れない場所へ足を運び

特に目的もなく気ままに進んでく。

瓦屋根の建物が特徴の桑我町と柄谷町の境界線を

超えてすぐの事、紅葉の後ろ姿を見つけて。

誠也「あの後ろ姿って

確か〜紅葉じゃねぇかっ?!

おぉーいっ!

紅葉、ここら辺で会うなんて合宿以来じゃないか〜

そこで何してんだ???(大声)」

日向「ちょっ、誠也…声が大きいよ。

近所迷惑になるから、それやめて」

蘭「ホントだ〜紅葉さんっ!!(大声)」

日向「……って、鈴木さんまで〜(汗)」

紅葉「はぁ………

本当に最悪なタイミングに会いますね、全く。

あなた達と来たら私を見つけたぐらいで

そんなに、はしゃがないで下さい。

誠也さんに関しては目障り、黙って。

ジーーッ(誠也)

蘭さんもはしたないですよ?」

蘭「えへへ、それでも程でも♪

褒めてません!(紅葉)

それで、紅葉さんはここで何をしてたんですか☆

町を出歩いてるって事は、仕事は休暇を取って

これから出掛ける所だったりして?

それならちょっと申し訳ないかも(汗)」

紅葉「まぁ、蘭さんの言ってる事は

あながち間違いではないわ。

えっ?(蘭)

日本に丁度、帰国して来た知り合いと

しばらく話し込んでいた所よ」

蘭「じゃあやっぱりお邪魔だったよね?!

それだったら私達、そろそろ行くよ(焦)」

紅葉「あ、いえいえ。

そんな事しなくても大丈夫です!!

むしろ、私こそ蘭さん達に

少し頼みたい事がありまして〜……

えっ、何ですか☆☆☆(蘭)

あ…あぁーこりゃあ、休みどころじゃないな(誠也)

助かります。

実は、私の後ろに居る人が

小さい頃から外国に住んでいた方で

日本に来るのは、ほぼ初めてなんですよね?」

と紅葉の問い掛けに対し、3人から見えない所で

こっそりと肘を突き???の横腹に付くと

2人はお互いに目配りをする。

その後ろにはキャスケット帽を深く被っており、

帽子の中に髪を入れてるせいか

青紫色の瞳だけが見えたのだ。

飾梨「そ、そうなんです(汗)

私が物心付いた時から両親のお仕事の関係で

外国に行ってまして、

自分が日本人である事すら知らなくらい

知りませんでしたから(苦笑い)

それで、その〜……

以前、紅葉ちゃんとお会いした時は

仁川市?周辺の街案内をして貰ったんです♪

へぇ〜そうだったんですね。知らなかった(蘭)

えっ?

(ドン!!)

イタッ、すみません。

余計な事を言ぃましだ(ボソッ)

ふん…(紅葉)

んっ???(蘭)

それから……えっと、どこまで話しましたっけ?

あっ、そうそう♡

その時の街案内が凄く楽しかったから

次にお会いする際は、

もっと沢山の場所を案内してって約束したんです」

蘭「ふぇ〜〜〜そんな事があったんだ。

紅葉さん、そういう事があるなら

私にも教えて下さいよ!行きたかったです(拗ねる)」

紅葉「それは〜………普通にごめんなさいね。

だけど、その頃は丁度…合宿3日目の時ですから

どっち道…蘭さんには、難しかったかと〜

えっ、それいつの事ですか?!(蘭)

今年の夏合宿の日ですよ。

最初は、私の友人からの連絡でしたが

その方の予定が合わず、

仕方なく私が彼女を引き受けたんです。

し、仕方なく!?(飾梨)

その連絡が来る少し前に蘭さん達から

自主練の誘いがあったものの結果的には、

行けずじまいだったという感じでしたね」

蘭「あっ、急遽……予定が入っちゃって

さらに紅葉さんの髪が短くなった

あの時の…その人の為だったんだ!」

紅葉「そうです(笑顔)」

2人「・・・(滝汗)」

飾梨「あ、あの〜……

その節は本当にすみませんでした!!(汗)」

蘭「何で、あなたの方から

謝る必要があるんですか???」

飾梨「あっ…そ、その〜……わ、私を庇って

紅葉ちゃんの髪が切れてしまったので

実際は、私が悪くて!本当なんです(焦)」

蘭「あ〜そういう感じか、なるほど。

良かったね、紅葉さんが近くに居てくれて♪

えっ?髪を切られたのに???(飾梨)

そりゃあ伸ばしてた髪を切られるのは、

悲しい事だけど〜髪はまたすぐ生えてくるし

逆に飾梨さんが切られてたら

伸びるまで外出するのが難しいと思うんだ。

毎回、髪を気にして出歩くのも楽しめないでしょ?」

飾梨「……っ。

そ、そー…ですよね(汗)

紅葉ちゃん、ありがとう。

そして、ごめんなさい。本当にぃ……」

と言って4人の目の前でバッと頭を下げて

困惑する周りと紅葉は、

キリッとした顔付きで優しい顔を作った。

紅葉「私は、もうそんな事…気にしてませんよ?

切られたからには、取り返しが付きませんが

私はそれでも

髪が短いなりのオシャレを満喫できました!!

非常に充実した毎日でしたよ♪

こちらこそ、ありがとう。

飾梨さんがそこまで私の事を

気にして気遣っていたなんて知らなかった。

ごめんなさい、私こそ気付いてあげられなくて」

と飾梨の頬にスッと片手を忍ばせ、

顔を覗き込むようにして顔を合わせた。

飾梨「本当ですの?

えぇ、ここで嘘を付く必要がありまして♪(紅葉)

……っ!あぁ、ありがとう…ございます(嬉)」

紅葉が当ててくれた手の温もりを

自分の頬と手だけで触れると安心したかのように

徐々に顔が和らいでいくのを見て

落ち着くまで待ってあげた。

飾梨「それでそれで☆

その方達は、紅葉ちゃんのお知り合いですか?!

え、えぇ…まぁ、そうね(紅葉)

そうでしたか!!

では、早速ですが先程……教えてくれた通りに

自己紹介しますね♡」

と言って深々と被っていた帽子を取って

胸元に当てながら3人に顔を合わせる。

飾梨「私は、加瀬元(かせもと) 飾梨(かざり)と言います♪

皆さん、よろしくね(笑顔)」

紅葉「そこは、よろしくお願いしますでしょ?

何回、間違えれば気が済むの」

飾梨「あれ?

私、また間違えてしまいましたか???」

紅葉「そうよ(汗)

だから、こうやってきちんと指摘してるの」

誠也「いやいや(焦)

そんな話より…もう少しなんかあるだろ」

紅葉「???」

誠也の問い掛けに疑問を抱いた紅葉が振り向くと

蘭以外の2人が目を見開いて

かなり驚いた表情で女性を見つめる。

なぜ、2人がこんなにも驚いているかというと

飾梨の顔が蘭と瓜二つだったのだ!

帽子ですっかり隠れていた髪は、

蘭と同じセミロングでもみあげが胸下まで長く

肩が膨らんだ黒いワンピースを背景に

ミントグリーン色の髪を引き立たせる。

優しく微笑むその表情は、まさに蘭そっくりだ。

誠也「こんな2人を間近で見て

紅葉は、何も思わないのかよっ?!

よく今まで気付かなかったな!!

紅葉にしては珍しいけど」

紅葉「・・・(汗)

……そ、そういえば〜そうだったわ!

初めて出会った時は、

誰かに似ている顔だな〜っと思って

それっきりで止まってました。

ほら〜結構、夏休みから時間が経ってるじゃない?

そのせいで、少し忘れていたの」

とニコッと笑ってごまかすものの

今までにないくらいの焦りようで言い訳が、

より人並みになってしまった。

すると、その言葉を聞いて信じた蘭の顔に

光が差してパーッと元気になった所で

割り込んで来た。

蘭「それ、よくあるよね!

その時は思い出せないけど、2人が同じ場所に居て

出会ったら奇跡〜みたいな感じで

私もよくあるんだよね☆

人の顔ってあんまり覚えないタイプだから

分かるな〜それっ!!ふふっ♪

あ、誠也もそうやってすぐ決め付けるのは

あんまり良くないよ!

紅葉さんだって全部が完璧な訳じゃないんだから。

いや、これ〜俺が悪いのか?!(誠也)

そうだね、決め付けは良くないよ(日向)

はぁ?!(誠也)

とにかく私の中での完璧な人って

いっぱい努力したり、

努力と同じくらいたっっっくさん失敗したり、

今までの努力を

惜しまない人だと思うんだ☆☆☆

大体の人は、当てはまるんじゃないですか(日向)

でしょでしょ!!

だから紅葉さんも

これからい〜っぱい私達と一緒に頑張ろうね♪

完璧主義者になる為にぃ〜〜〜!」

紅葉「え、えぇ……それは、当然ですが〜(汗)」

飾梨「それと少し補足しますと

世界には同じ顔の人が3人ほどいるというお話は

どこかで耳にした事はありませんか?

まぁ、それは確かに…聞いた事があるけど(誠也)

ですから自分と同じそっくりな顔の人と会うのは、

実際にはかなり低い確率です。

それを今、お会い出来た事は

とても誇らしい事なんですよ♪」

紅葉「そうね。

まぁ、そういう事にしておきましょう!!

それで私も同行するのですが、

もし宜しければ、あなた達にも来て頂きたいのです」

蘭「うん、良いよ!

今日は、私達も暇だったから☆」

誠也「了承すんの早ぇって、俺は別に良いが」

日向「そうだね」

と頷いたほんの一瞬だけ

飾梨にハイライトのない瞳で日向の事をジッと見て

ニコッと不適な笑みを浮かべていた。

その目に思わず、ドキッとした日向は目を逸らし

もう一度、見る頃には蘭と顔を合わせて

歩いていく所だった。

思わぬ出来事に日向は動揺を隠せず、

目線を下げて2人の後ろ姿を見ていると

その顔を覗き込むように誠也が遮った。

誠也「ど〜した、日向???

なんか顔色、悪くないか。

どっか体調でも悪くぅ……(汗)

ううん、何でもない!!僕の気にし過ぎかも(日向)

んっ?まぁいっか、俺達も行こうぜ☆」

日向「う、うん!(焦)」

と誠也に言われ、

まだ戸惑った顔のまま日向は足を踏み出した。

そして・・・

4人の姿を後ろからひっそりと眺めながら

紅葉は、目をあちらこちらに泳がして見つめる。

紅葉(そう。

あなた達には……ホントに分からないのね?

飾梨さん自身が不気味そのものだと

笑顔の裏には、とてつもない殺気の刃を

剥き出しているとも知らずに………)

と意味深な事を言い出す紅葉の視点からは、

飾梨の姿を本紫(ほんむらさき)色のマント・フードで覆われており

顔の判別が出来ないでいた。


蘭「うーん、ここからどこに行こうか?

じゃあまずは、桑我町にいる事だし

ここを案内しようかな♪

桑我町はね、私も比較的…最近、知ったんだけど

ここ隠れ古着屋さんがあるんだ!!

品揃えがと〜ってもよくてオススメだよ♡

古着屋さんというのは、何でしょうか?(飾梨)

えっとね〜確か……

過去に誰かが着用した事のある衣服とか衣類、

服飾品(ふくしょくひん)とかを回収して製品化する所だよ!」

飾梨「へぇ〜面白いお店ですね♪

着たものが売られてるなんて事があるんですね?」

蘭「そうなの!!

しかも結構なレアものが揃ってるお店で〜☆」

飾梨「レア?確かに、そうですね。

これ、なんかもかなり着込んだ形跡があります」

蘭「えっ!?どこどこ???」

飾梨「これです、こ・れ」

蘭「んんっ?

えっ!しかもそれ、物凄く安いんだけど!?」

といつの間にか店内へと入っていた2人は、

服を手に取って見たりを繰り返していると

お店の奥から障子がスーッと開いて

環…じゃなくて座布団に座ったままの姿勢で

ばぁやさんが顔を出す。

蘭「あ、この前のお婆様!!こんにちは♪

以前、お会いした際は店員さん?に

止められていましたが、私の事…覚えていますか?」

ばぁや「あ〜はいはい。

それならタマちゃんから聞いてますよ。

わたしゃの店は、この辺りだと

ご近所さんぐらいで買ってくれる人が少なくてねぇ。

お嬢さんほど、沢山買ってくれた人は

久しぶりに見たさぁ♪

あはは……何だか、恥ずかしいですぅ(蘭)

いぃえ♡

お陰で、驚いていましたよタマちゃんも。

こんなに沢山買ってくれる人が居るんだって」

蘭「いえいえ、そんなそんな〜(焦)

私が少し人よりお金が多いだけで

大した事はしてないですよ」

ばぁや「そんな事は、無いわよ。

嫌ねぇ〜最近の若い子はご冗談もお上手で」

と夫人のような笑い声を上げるばぁやさんに

グルグル目でどこかタジタジな蘭が、

全力で否定し喚いている。

蘭「そ、そういえば〜

今日…あの店員さんはいらっしゃらないのですか?

見た感じお婆様は、前にも座っていました。

もうお仕事に復帰するのは難しいですよね」

飾梨「蘭ちゃん、蘭ちゃん!」

蘭「あっ!?し、し失礼致しました!!

わざとじゃないです。

良ぃんだよ、事実だからな〜(ばぁや)

そのお婆様は、

筋力の衰退が始まっているご年齢かと思って思わず

口を滑らせてしまいました(焦)

本当にごめんなさい!」

ばぁや「良いんじゃ、そんなに謝らなくても。

私はもう自分の体に何が起こっているのか

既に熟知しているつもりさ。

わたしゃもあまりやりたい事を見出せず、

時間だけが過ぎていく日々を知っている。

だからお嬢さん方がまだまだお若い内に

やりたい事、思い残した事があるのなら

わたしゃのようになっちゃいけないよ。

分かったかい?」

蘭「……は、はいっ!

すみません、お気遣い感謝致します。

お婆様の言う通り悔いのないように

これからも全力で楽しんで行きたいと思います!!

ありがとうございます。うふ♪」

ばぁやさんの微笑みに対し、

笑顔で返す蘭の隣ではズーンと重たい眼差しで

ばぁやさんを伺ってから目を閉じると

すぐ優しい顔付きへと早変わりする。

飾梨「・・・。

蘭ちゃん、そろそろ行きませんか?

えっ、もう行っちゃうの飾梨さん???(蘭)

だってあまり外に居る方達を

待たせるのも悪いと思いますし、

何も買わないのは、少し心苦しいのですが

そろそろ……」

蘭「あっ、お婆さん(困り顔)」

ばぁや「うぅん、うぅん。良いんだよ♪

わたしゃの店の事を心配してくれるのは、

とっても嬉しい事さ。

でも、最近は空気が冷え切ってきた頃だし

お嬢さん方のお友達を待たすのは凌げないねぇ。

そんなに気にしなくとも

顔を少しでも見せに来るくらい気軽に

来てくれるだけでわたしゃもタマちゃんも有難いよ。

・・・分かりました。また、来ますね!!(蘭)

すみません、お邪魔しました(真顔な飾梨)

あらあら…まぁまぁ♡

また、姉妹揃っていらして下さいねぇ

わたしゃはいつまでも待ちますから」

蘭「し、ししし・ま・いぃ!?!!!!(恥)」

飾梨「しま…い???」

と口を揃えて

頬を赤らめる蘭とキョトンとした顔の飾梨。

2人が顔を向けた時の顔は、

反応は違えどまさに姉妹そのものだったのだ。

他3人が外で待つ中、

誠也は呑気にも口を大きく開けてあくびをし

怪訝(けげん)そうな顔で飾梨を観察する日向。

一方、紅葉は店舗兼住宅の2階から

更に上の部分を一点集中して見ていた。

数分後、[お待たせ〜]という蘭の声と共に

次は由賀町(ゆうがちょう)の喫茶店やバラ園を見物したりと

誠也は少々、呆れながらも付き合いつつ

日向は目を輝かせて見ていると

あっという間に楽しい時間が過ぎってった。


紅葉「それじゃあこの2か所だけでも

十分、満喫しているような気がしますが〜………

……っ!まだ、出来てないよ!!(焦る飾梨)

・・・はぁ。

飾梨さんがそう言うと思って

もう1か所だけど、予定を追加しました。

えっ、、、良いの☆(飾梨)

ここから隣町まで行くのですが、

そうなると相当な長旅になりそうなので

ここは1つ、山鏡の所へ向かいましょうか。

やま…かがみ???(誠也と蘭)

蘭さん達が前に、

肝試しで使った平谷山(ひらややま)まで行きますよ。

ついて来て下さい」

飾梨「は〜〜い♪」

そう言って手を高く挙げて

ルンルン気分で進み、飾梨の横に並んで歩くと

蘭が気になった事を尋ねてきた。

蘭「ねぇ、飾梨さん。

さっき[まだ出来てない]事があるって

言ってたけど、何かあるの?」

飾梨「あ、いえ……

その〜…特に深い意味は、無いんですよ。

す、凄く楽しい時間を皆さんと過ごせているので

終わりたくないと言いますか〜」

蘭「そっか!

飾梨さんが楽しんでくれて私も嬉しいよ」

飾梨「うんうん!!

(紅葉ちゃんに事前に口止めされてるから

目的を達成する為には、

蘭ちゃんから切り出して貰わないと

まだ……あの件は、言えないかな)

あ、そろそろ平谷山?っていう

山が見えて来ましたよ。急ぎましょう♪」

蘭「うえっ!?

あ、ちょっと急に走ったら危ないよ(汗)」

飾梨「大丈夫っ!

私、こう見えて足には結構、自信があるんだ☆」

と言って蘭の手をぎゅっと握り締めて

山の入り口辺りで立ち止まる紅葉の所まで

走り込むと2人が通った所だけ

風がトンネルのようにくり抜かれた感じだった。


平谷山前・・・

5人が山の入り口に並び着いた瞬間、

目の前に気配もなく音もなく

老人が姿を現わしたのだ。

老人「ホッホッ(笑)

ご無沙汰しております、紅葉様。

よくぞ、おいで下さいました…さっさっ!!」

と言いながら手の平を後ろに引いて

こちらに来るよう促された。

5人がそれぞれ足を運ぶと

早速、紅葉が話を切り出してきた。

紅葉「ご足労頂き感謝いたします。

それから今日は、

何か言伝が届いてたりしませんか?

こと……づて…ですか、、、(老人)

しばらくの間、

平須池まで足を運んで来れなかったので

それっきり溜まってるのかと思ったのですが〜

本当に、何もありませんか?」

老人「うーーーーーん。

あ〜〜……そういう事でしたら2件程ありますぞ!

ですが、今は別のお客様が居ますので

また後ほどで宜しければ」

紅葉「あ、いえ…今日は別件でここに来たんです。

隣町までの移動がどうしても必要でして」

老婆「あぁ〜なるほど、左様でございましたか。

失礼致しました、それでは……移動の時にでも」

紅葉「はい、それで構いません。

お気遣い感謝します♪

なぁ、紅葉?(誠也)

んっ?何ですか、誠也さん」

誠也「何でこの爺さんが、

紅葉の事を[様付け]する必要があるんだよ?

普通は、俺達より年上の人を敬う為の礼儀なのによ」

紅葉「それは〜………斑鳩(いかるが)さんの担当区域が、

あまり世間に浸透されていないからです。

斑鳩さんは、この地を持って早60年。

どこが早60年だ!?長生きし過ぎだろ!(誠也)

今も変わらず、人も来なければ資金も集まらない、

誰とも話したがらない性格に難アリの為、

私以外の使用者は全く居ないみたいでして」

斑鳩「ですから紅葉様は、

私の唯一のお客様として[様付け]をしているのです」

日向「お客様???(パチ目)」

紅葉「良い目の付け所ですね、日向さん。

まぁ、担当区域だとかお客様という言葉を使うのは

[雲外鏡]ぐらいでしょうからね♪」

誠也「はあぁぁぁぁぁ!?!!!!

そ、その爺さんって鏡爺(かがみじじぃ)じゃなかったのか!!」

斑鳩「ホッホッ(笑)

そういう事でしたら私もよく間違われていましたから

何も気にする事でない。

ですが、そうですね。

あまり私の事を知らないのでしたら

今ここで、名乗っておくべきかのう。。。

ゴホン。えぇ〜私は、歴とした雲外鏡でもあり

最年長組の1人、俊光(としみつ)と申し上げます(ドヤ顔)」

蘭「そ、それってぇー

この妖魔界切っても僅か……たった6人しか存在しない

古参中の古参、最年長組の1人なんですか!?

し、知ってんのか?(誠也)

知ってるも何もとっても偉い有名人よっ?!

その人達は、並々ならぬ努力と強大な力を求めて

長い歳月を得てやっと修徳した真の力の在り方に

辿り着いた人達の事を通称:仙人っ!

そう呼ばれている、まさに2代目の四大妖怪様。

わ、わ私も生きてる中で

一度は1人や2人………一層の事、

6人全員にお会したい人達…No.1☆☆☆

こ、この日本の妖魔界に生まれたからには、

全員が憧れない訳がない!!

超・超・超有名な話で

生涯、忘れられないくらい人気者なんだから♡

ホッホホ!最近の若いもんは、良いの(笑う爺)

ハッ!?

私ったらご本人の前で

しかも最年長組の方達の事を皆んなに

ペラペラと話しちゃった……話しちゃ…………

はあ〜ぁ?!!!!!(大声)

何だ!?この世の終わりみたいな声出して(誠也)

わ、わわ私は……私、鈴木 蘭って言います!!

また次の機会にでもお会いしましたら

是非、何度でもお使い下さい。

斑鳩さん☆☆☆(大・興・奮)」

斑鳩「いやはや、左様でございましたか(照)」

日向「鈴木さん、、、(引き気味))」

誠也「お〜い、蘭っ!!戻ってこーーーい!(焦)」

蘭「えへへ、へへ♡あ、そうだ。

誠也がまさか斑鳩様の事を長命な方には、

様付けする常識……どこで覚えたの?珍しいねぇ!!

前は、礼儀なんてフル無視だった

あの誠也がぁ〜〜」

誠也「ちょっとな、俺が授業中に居眠りしてたら

熊谷に叩き起こされた時に

散々、ボコされて言われたんだよ!

俺の昼寝を邪魔しやがって、アイツ(怒)」

日向「一応、言っておくけど相手は先生だからね?

それに授業中に寝る誠也が悪い(汗)」

蘭「まぁ、当然っちゃ当然か〜なるほど。

よく出来ました、誠也☆☆☆」

と言って誠也の頭を撫で撫でしながら

気分がハイになった蘭は、無我夢中で撫で回す。

誠也「おぉ〜い!?

俺は、今何されてんだっ!!(赤面)

もう子供じゃねぇんだぞ」

日向「いや、まだまだ子供だよ(ジト目)」

誠也「あぁ!?何だと、待てこら日向っ!(怒)」

ワチャワチャとする3人とそれを見る飾梨を

遠目から我が物顔で微笑み掛けていると

老人の横で紅葉が真面目な顔で見つめていた。

斑鳩「うんうん、青春じゃの♪

それで用件は何ですか、斑鳩さん(紅葉)

・・・ふむ。

相変わらず、(せわ)しない奴だな全く。

[讃花譜郡(さんかふぐん)に近々、来て欲しい]

[日付は、霜月に変わる夜明け前で頼む。慎久(のりひさ)]

との事です。場所は……」

紅葉「えぇ、分かっているわ。

いつもの事ながら、その時は頼みますよ」

斑鳩「かしこまりました、では準備の方を」

そう言ってノソノソとした足取りで

小石で固められた池まで杖を突きながら

水面に顔が映り込んだ途端、

杖と両手を空に掲げて水が光を放ち始める。

その光景に気付いた4人…飾梨は眩しそうに

老人と池を見つめた。

すると、太陽の日の光を水面に吸収されて

ゴッゴッゴゴゴォォォという

視界が地震のような揺れ方で4人が目を瞑ると

次の瞬間、虹色の色彩と模様がフヨフヨと動く

ゲートが開かれていたのだ。

斑鳩「……ふむ。

久々に派手にやると少々、肩が凝るんだわい。

そ、そんな代償が…?(誠也)

まぁ、ほんのちょびっと重くなる程度だ。

このくらい問題あるまい!

さっさっ、紅葉様とお連れのお客様も

どうぞお入り下さいませ♪」

ともう一度、手の平を引いて

池に入るよう促された。

それを見て蘭達は揃って感謝をし入っていくと

紅葉は、事を済ませ終えると終始、無言で入り

飾梨は老人の前で一切、言葉を発さずに

お辞儀をするだけ入ってった。

5人が入った事を確認してすぐ老人は、

[えぇいっ!]と重苦しい声を上げてゲートを閉じる。


深沢市・・・

烏羽浜(からすばはま)沿いのカードミラーが光を放ち、

そこから5人が解き放たれる。

ひょいっと着地できた一同は、

海を背景に肌に当たる潮風が少し寒く感じた。

紅葉「無事、着きましたね。

それでは皆さん、早めにここから立ち退いて

ショッピングエリアから先に行って……

いやいや、待て待て?!(誠也)

何ですか?

早く移動しないと肌寒くなりますよ」

誠也「いや、それはそうだけど

なーーんで海沿いのこ〜んなミラーから

俺らは湧いて出たんだよ!?

そこに誰か突っ込みやがれっ!!」

蘭「まぁ…でも確かに、何でミラー???

だろだろ!(誠也)

普通は水っていうか囲われた池……とか〜

うーーん。あと、何だっけ???」

紅葉「そうね。

普通なら斑鳩さんの担当区域と目的地から近い

別の人が担当する場所に出るわ。

けど、深沢市のショッピングエリア

近くまでのワープ場所が無いんですよ。

頂上から下山して向かうか、

この浜辺から向かうかでこっちの方が近いかと。

何故に、頂上から…(誠也)

趣味だそうよ。

その雲外鏡さん曰く、

山登りを日課にしてるそうだから。

げっ、そっちの方が人来ねぇだろ!!(誠也)

分からないわよ?

人って山登りを終えた

その先にある景色を目的に登るらしいじゃない。

まぁ、私も詳しい事は知らないけど

登山の人達からしたら

喉から手が出るほどの絶景を見たいが為に、ね。

そんな登山客からお金を貰う代わりに

秘境の場所まで連れてってくれるらしいから

案外、そういう物好きには釣れるんじゃない♪」

誠也「俺には、さっぱり分からねぇ話だな。

まぁ、とにかく行こうぜ?

ホント〜に肌寒くなって来たから屋内にぃぃぃ」

紅葉「だから言ったでしょ(汗)

ほら、さっさと行きますよ」


ショッピングエリア・・・

まず最初に来たのは、

ショッピングモール付近に市場が並んでおり

洋服だったり雑貨やアクセサリーなどが、

出揃っていた。

シートの上で説明したり、会計を取ったり

親子連れのお店もあって小さい子供も手伝ったりと

活気溢れる中を5人が、店を見て回った。

飾梨(アレは〜……何でしょう?

あちらにもこちらにある物も

今まで、見た事のないような品がこんなに沢山。

私も…親の都合とかが無かったら

今頃、もっと別の事で楽しんでいたのでしょうか。

笑顔で溢れた顔、優しい顔、喜ぶ顔、

幸せに満ち溢れた景色を久しぶりに見た気がします。

今のこの仕事に出会えてなかったら

素直に喜んで、同じように笑えてたのかな?

こんな仕事だって

本当は、やりたくてやったんじゃないのにぃ。

勧誘……してくれたのは、素直に嬉しかった!

嬉しかったのに師匠は、私の気持ちを踏み(にじ)った。

神だから何っ?人の心が無いから関係ないですって?

おかしい、おかしい、おかしい、おかしいぃ!!

私の周り全ての奴らがおかしい。

何が、神よっ!何が、そんなに可笑しいの???

私の大事な…大事なっ、、、ものを奪っておいて

そんなに楽しいの?!!!!!

何よ……皆んなして

今まで散々、私の事を良い駒のように扱ってきて

私の感情を納めたとか封印したとか言っちゃってさ。

私から溢れ出る怒りが消えたとでも

本当に、そう思ってんのかねぇ?

私がどれほどの感情を押し殺して

演技して生活しているか分からないでしょう。

あなた達には、到底…ねぇ?

私がこの仕事をやるに当たって意味を成したのは、

………師匠ですら辿り着けなかった終着点を

私が成し遂げる事。。。

今まで私をゴミのように扱ってきた奴らを

逆に、支配してやるんだから

その為にはまず、犠牲になって貰わなきゃ♪

私の(かて)として養分となる人をここで……

飾梨さ〜ん、次はこっちに行くよ!(蘭)

・・・は〜い、すぐ行きます♡

(まずは品を厳選しないとね。

師匠や他の人達とは違った私なりのやり方で

蘭ちゃん……達には、申し訳ないけれど

この私が導いてあげる。だから…安心して♪)」

と思いながら飾梨は、

ちょこっとだけ口を舌で舐めてから

蘭達の居る場所へと走って向かってった。

※ちなみに飾梨の心の声は

蘭には一切、聞こえていません。

何故なら……売り物を見に行く為に

動き回っているせいである。


飾梨「次は、どこへ行くのですか???

先程の市場?

でも買い物が出来ていませんでしたよね。

んー、だいびょうぶ私は買えひゃから(蘭)

そ…うなのですか?

すみません、気が付かなくてぇ(汗)」

蘭「んっ?

そんにゃ事の為にぃ謝らなくて良いよ〜

(ゴクリ)

全然、私は気にしてないから

むしろ上機嫌だよ〜♡♡♡」

紅葉「蘭さん……(汗)

歩きながらお菓子を食べないで下さい」

蘭「えぇ〜!?

誠也から貰っただけなのにぃ、紅葉さんのケチ」

紅葉「ケチで結構。

次は、このショッピングモールに入りますよ〜

やった!ショッピング♪(蘭)

ま、まだ…そんな元気あんのかよー(誠也)

まぁまぁ。それに、誠也はごにょごにょ(日向)

……うっ!そうだった?!サンキュー(焦る誠也)

あら、どこか行く用事でも出来ましたか?」

誠也「あ、あぁーそうなんだよ。

シャーペンと消しゴム、新しいの買わなきゃなって

思ってたのすっかり忘れてて。

はは、ハハハッ〜(苦笑い)

ジーーッ(紅葉)

へっ?な、何だよ…紅葉、その目は(汗)

別に、嘘が下手ですねと思って(紅葉)

嘘???(蘭)

ああぁぁぁぁぁーーー!!!!!!

ホントに、ホントに何でもないんだ!」

日向「そろそろお店に着く頃だから

あんまり騒がないでくれる。うるさい」

誠也「おぉい、日向っ!?

何とか言えよ、俺の事フォローしてくれ」

日向「・・・がんばれー(棒読み)」

誠也「日向っ!!」

蘭・紅葉「誠也 (さん)、静かにして(下さい)よ!」

誠也「ぐぬぬぬ……」

ショッピングモール・・・

蘭「着いた!!

まずは、3階から〜

あっ…飾梨さんは、ちょっと待っててね!

すぐ終わらせて来るから(汗)

えぇ、そんなに急がなくても(飾)

大丈夫っ!!ホント、すぐだから☆☆☆」

誠也「俺もっ!」

紅葉「私も少しカバンの方を見て来ますね」

飾梨「はい、分かりました。

では、私と日向さんでしたっけ?

あそこのベンチで待ってますね」

蘭「じゃあ一旦、別行動って事で☆」

と言って3人はバラけて行き、

残りの2人だけはそこら辺のベンチへと座った。

日向「・・・」

飾梨「・・・」

数分経った今も終始、無言な2人は

目の前を過ぎる人や親子連れの家族や

キャリーカートを押すお婆ちゃんなど、

沢山の人が通る姿が視界に映り込む。

そして、日向はやっと我に返ってきた所で

飾梨が向けた目の事を思い出す。

日向(この人は、さっき何を思って

僕にあんな目で見てきたのかずっと考えてたけど、

いくら考えても答えが見つからない事なんて

とっくに分かってた。

それにあの時、誠也の指摘で紅葉が動揺してた。

こんなハッキリと鈴木さんと同じ顔の人を見ても

誰なのか気付かなかったのは、多分…嘘だ。

嘘じゃなかった場合、

理由なんていくらでもスラスラ出てくる筈っ!

そんな素振りが一切、見受けられなかったとしたら

まるで何か、、、僕らには見えない何かが、

紅葉には見えていてそれが顔に出てるみたいで。

この人もまた同じように

僕らには到底、

分からない何かを見て……あの目を。

これは完全に、僕の実体験だけど(汗)

あんな目で見てくる人達は

大体、相手に奇襲されて不意を突かれた被害者と

意図しなかった答え、それから〜

殺してやりたい人への憎悪に駆られた人達。

……いや。。。

アイツは、僕達の目の前から

突然…姿を消したんだし、

どこに飛ばされたなんて知った所で

僕には、もう関係のない話だ。

そろそろ忘れた方が…いい。

・・・また、周りの人達ばかり見てる。

観察してるのかな?でも、何を……?

この人は、今何を見て感じているのか分かれば)

日向がそう心の中で考えながら見つめていると

飾梨の目が、ギョロりと視線を横に流し

優しい眼差しで話しかけてきた。

飾梨「どうなさいましたか。

私の顔に……何か付いていますか?(笑顔)

いえ、本当に鈴木さんに似てるなって思って(日向)

そんなに私、そっくりでしょうか?

きっと誠也も同じ事、思ってますよ(日向)

分かりませんねぇ〜

自分の顔なんて鏡を見れば

どんな表情をしているのかすぐに分かると言うのに

それ以外では、実感が沸きませんよね。

それに関しては、一理あります(日向)

ですよね!うふふ♪」

そう飾梨が悪気なく放った言葉は

日向には、どこか思う所があったのか

再び沈んだ表情で前に姿勢を向き直し目線を下げた。

そんな日向の気持ちを知らずに

飾梨は、極限まで細めた目とUの字口を作って

ゾッとするほど嘲笑っていたのだ。


そこから日向が目線を上げるとその先では、

蘭の頭に緑の薔薇の頭が3つ開いた髪飾りを

誠也自らが付ける所を目撃する。

徐々に顔が赤くなっていく蘭と

恥ずかしさと照れが混ざった顔の誠也が口を開く。

誠也「その〜………

俺と蘭が、初めて出会った日の記念日って

蘭の方から約束して来たんだからな!

忘れたなんて言わせないぞ(照)

……えっ?(蘭)

・・・ムッ、なんか言えよ。

俺だけ恥ずかしい思いしかしてねぇってのに

ずっとだんまりだと流石に、俺も…へっ?」

蘭「ううぅぅぅっ!?!!!!(赤面・グル目)

ま、まさか誠也がホントに覚えてくれてたなんて

本気で思ってなかった。

嬉しい、嬉しいよ誠也♪

……っ!あぁ、俺もだ…蘭(誠也)

私もね今日、

本当は1人で買い物しに行くつもりだったの。

でも誠也から連れ出してくれたし、

学校とか特別部隊の仕事とか

紅葉さんや飾梨さんとも出会って

買いに行く暇が無くなっちゃったんだ〜ここ最近。

だから誘ってくれて、ありがとう♡

そして、私も誠也にその……渡したいものがあって

貰ってくれる?(上目遣い)」

誠也「俺に???」

そう言って蘭がふっくらとした

青い袋で包装されたものを取り出して誠也に渡す。

その中には、暗めで紺色のコートが入っており

中身を見た誠也と

渡せた思いが強く込み上がってきた蘭は、

終始、頬を赤らめてフリーズしていた。

そこへ日向と紅葉が割って入り、

[やっと進んだ?]と[やっと進みましたか?]という

双方の声が耳元で(ささや)かれて

驚きのあまり袋や手で顔を隠してしまった。

誠也「い、いい…いきなりなんだよ!?

こっちはまだ取り込み中だったんだぞ?」

蘭「そ、そうだよ!!

私、まだ誠也からお礼も言われてないんだもん」

誠也「へっ?そ、それは……っ!」

紅葉「あらあら♪

これはこれは、すみません(汗)

日向さん、どうやら私達はまだお邪魔みたいです」

日向「そうですね。

では、もう一度仕切り直して………」

と言って2人はそそくさと遠目に離れて

後から飾梨も空気を読んで2人の元へ合流した。

飾梨「これは〜……どういう状況ですか?」

2人「お互い両想いなんです(って)」

飾梨「はぁ〜♡なるほど☆☆☆」

日向「察しが早くて宜しい」

一方・・・

蘭「どうして、、、

皆んな、あんな所で隠れてこっち見てるんだろう?

蘭のせいでテイク2に、移行されたんだよ(誠也)

何で???」

誠也「何でってあぁ〜もう……蘭っ!!

はいっ?!(蘭)

・・・あ。

あっ???(蘭)

ありがとな、その〜…さっきのコート(照)」

蘭「……っ!うん…うん!!

そうだ、今着て見てよ♪

えっ、今ここでかっ!?(誠也)

そうだよ♡ほらほら〜早くっ!」

と言いながら蘭が誠也の手から取り上げて

着るようにコートを広げた。

それを見た誠也は、自分の前髪を掴んで

手の平で顔を隠すと照れくさそうに観念すると

誠也はコートに袖を通し、体に纏わせる。

ちょっと大人っぽくなった誠也の横で

嬉しそうに笑みを溢す蘭達は、

まさに、恋人のようだった。


そんな光景からやっと解放された2人は、

もう3人の後ろを歩いていた。

すると、蘭が何かを思い出したのか

飾梨の腕を引っ張って急に走り出したのです。

困惑しながらも仕方なく付いて行く別の3人が、

2人の後を追った。

4階・・・

2人が駆け込んだお店は、お洋服屋さんで

ショーウィンドウに飾られた服達は、

どれも可愛かったり、カッコいい服が並んでいた。

中に入ると、

ガーリー系やロリータ系、ゴスロリ服など

かなりの種類の洋服が取り寄せられており

そこは、どうやら有名なブランド店だったのだ。

紅葉達が一通り店内を見回った後、

3つある試着室の内、

カーテンが閉まっている所で立ち止まると

すぐにシャランと音が鳴った。

そこには、双子コーデという名のゴスロリ姿で

蘭の方は可愛い白いブラウスに黒いリボン、

ボリュームのあるスカートをしていて

飾梨は、逆に上下同じ黒い洋服で

白いリボンを身に着ていた。

紅葉「・・・。

良いじゃない、素敵ですよ。

蘭さんも飾梨さんも」

蘭「でしょでしょ♪」

飾梨「本当に、言ってます?

私なんかより蘭ちゃんの方が、分かりやすいですし

お洋服は、とても可愛いのですが〜……

私にはとてもじゃないけど、

あんまり似合わないと思うんです。

蘭ちゃんと相反する色で

全身、真っ黒って可愛いでしょうか?(汗)」

日向「僕は、そこまで黒くないと思いますよ。

飾梨さんが思ってるほど、

真っ黒っていうよりかは薄黒いだけで

本当は、細かい所まで白要素が入ってるくらい。

自分の姿、出る前に確認しましたか?

鈴木さんに急かされて、

出来ていないんじゃないですか」

飾梨「見れて……ないです(恥)」

蘭「えっ!?そうだったの!!

ご、ごごごめんね!

飾梨さんの気持ちも知らないで

私が一番、誰かと着てみたかったお洋服だったし

このお店…他のお店と違って

閉店時間が早くてあと、もう少ししたら

閉まっちゃうんだもん(バツ目)

でも飾梨さんと今日出会えたのは、

奇跡だから……だから…

飾梨さんにもその〜………少しでも

良い思い出になって欲しいなと思って

洋服のプレゼントを贈呈するから

何でも・好きなの・選んでってね!!!!!!」

紅葉・誠也「勢いで言 (いましたね)ったな」

日向「鈴木さんの思想が、

かなり分かった所で自分で見てみて下さい。

大丈夫、鈴木さんが似合うなら飾梨さんもきっと」

飾梨「……っ!

・・・分かりました、やってみます」

と意を決して試着室の中にある

後ろの鏡に体を向けると目のハイライトを輝かせて

信じられないものを見たような反応だった。

飾梨「こ、これ…が私……?

信じられない程、可愛いお洋服ですね(笑顔)」

蘭「そうそう!!

オシャレは、こうでなくっちゃ☆」

飾梨「オシャレ???」

紅葉「言ったでしょ。

髪が短いなりのオシャレがあるって♪」

飾梨「………はいっ!

嬉しい、嬉しいです♡♡♡(涙目)

蘭ちゃん……図々しいのですが、

私、お洋服をあまり持っていなくて

何着か買って貰えますでしょうか?

その〜…お金を少々、

買い替えるのを忘れてしまいまして(汗)」

と言って外国通貨のお金を手元に出し、

蘭達にこっそりと見せる。

紅葉以外の3人が驚きながらも飾梨に問いただす。

蘭「どうやって日本に渡って来たんですか!?

てか不正入国にならないよな、これ?!(誠也)

でも元々は、日本出身なら平気かな???(日向)

か、飾梨さん!!

これ〜……どういう事ですか?!」

※小声で話しています。

飾梨「そ、その〜…ですねぇ。

私の師匠がそう言ってたのですが、

[飛行能力があるなら、それで行きなさい]という

言いつけに従ったまでなので

その国から遥々、飛んで来たんです」

誠也「飛行能力にも限度があるだろ!?」

紅葉「いえ、可能性はあります!

烏天狗様だって山の頂上から

足をひと蹴りするだけで海を渡ったとか!!(早口)」

誠也「いや、それ逸話っ!」

紅葉「それに烏天狗様の飛行には、

時速約950kmの飛行機よりも速いとか!!(早口)」

誠也「それも逸話っ!」

紅葉「この妖魔界にも留まらず、

全世界196ヵ国もの国を

28回も制覇している烏天狗様とか!!(早口)」

誠也「だから逸話っ!

いや〜それに関しては、

嘘のようで本当みたいな要素があるけど

……って何で、紅葉が急にボケ始めてたんだよ?!」

紅葉「ちょっと似たような話が、

烏天狗様にもあったのでつい………

逸話の…いえ、偉業の数々を布教したくて〜(焦)」

誠也「紅葉だって

逸話って言ってんじゃねぇかよ!?(汗)

・・・でぇ、何の話だっけ???」

日向・蘭「まぁ、いっか(な)」

蘭「もうすぐこのお店も閉まっちゃうから

パパッと飾梨さんのオシャレ服を何着か買って

別の洋服屋さんに行って

私服とか諸々、私が全部買ってあげるよ!

そんなに宜しいのですか?(飾梨)

良いよ♪

私達と出会ったのもきっと何かの縁だし、

記念品としてね☆」

飾梨「そ、そそんなにしなくとも〜(グル目)」

日向「全負担は、ちょっとやり過ぎだけど

鈴木さんなら良いかなって。

(全然、良くないけど……(汗)」

飾梨「ええぇぇぇぇ…(掠れ声)

つ、次おあっ………ううん。

私の生活が少し落ち着いた時には

お礼に、お詫びの品を持って来ますね♪」

蘭「そんな〜別に良いのにぃ」

飾梨「いえ、私が気になるだけで

そこはお気になさらず、私の我儘ですので。

あ、あとこの服も選んでも良いですか?

もしかしたら私、

少し気に入ってるのかもしれません(照れ気味)」

蘭「うん、全然良いよ!

気に入った洋服あったらジャンジャン言って」

飾梨「で、では速攻…着替えて選びますね!!」

と2人がワチャワチャし出した所で

紅葉達は、一時的にその場を離脱しながらも

服なんか適当で良いだろって顔をする誠也であった。


ブランド店で何着かオシャレ用の服を選び、

もう1店舗のお洋服屋さんへと向かい

私服を選んだ中で、特に飾梨が気に入った洋服を

着て帰る事にした。

出会った時よりも見違える程のもので

紺色の白いオフショルダートップスと

暗めの青い膝下丈スカートだった。

ちなみにブランド物を一式買い占め、

蘭の私服が2着の所、飾梨の私服は10着ほど

取り揃えた後に2つの店舗を合わせると

15万円以上の買い物を1日でして見せたのだ。

しかも2人分で。

※買った事がないので作者の偏見値段です。

飾梨「蘭ちゃんに、こんなに買って貰っちゃって

大丈夫なんですよね?

払った後に言うのもアレですが〜……

これって私の認識が悪いのでしょうか?」

紅葉「いいえ、飾梨さんは一切…悪くありません。

ただ、本人がそうしてあげたいのなら

それで良いじゃない」

日向「まぁ常識が他の人よりズレてる点に関しては、

鈴木さん自身なのは確かですよー」

蘭「えぇ〜!?

皆んな、これくらい買うのは普通でしょ!!」

紅葉「買いません」

日向「買わないです」

誠也「1人だけ金銭感覚バグりまくってからな(汗)」

3人揃って蘭の回答をかき消すように流れて行き、

飾梨の腕に下げていた袋の束を

収納空間にしまった所で他の客とすれ違った。

丁度、女性と分かれたばかりの男性が

階段へと向かう姿を目撃したのと同時に、

飾梨の目の色が変わる。

飾梨「すみません、皆さん。

少し帰る前にお手洗いに行っても構いませんか?」

蘭「あ、それなら私も行くよ!

本当は買い物の合間に行きたかったんだけど、

洋服見てたら凄く熱中しちゃって忘れてたよ〜(汗)」

飾梨「・・・。

はい、蘭ちゃんも一緒に行きましょう♡」

そう儚げに嬉しげに微笑み返す飾梨の顔を見て

紅葉の目のハイライトが揺らいだ。

紅葉「……っ。

紅葉さんも一緒にどうですか?(蘭)

………私は、大丈夫です。

でもさっき知り合いから電話が掛かって来ていたのに

気が付けなかったので今、折り返してきますね」

蘭「そっか!

じゃあまた、後で。外で合流しよう」

誠也「早く帰って来いよ、外は寒いんだからな」

日向「3人が来るまでは、

まだ店内で残れば良い話じゃないの?」

誠也「えっ?

あ、あぁ〜その手があんのか(凹む)

うん、それで行こう!!」

と言う話を漏らしながら

2人は、出口へと向かってった。

誠也達の後ろ姿を見送った後、更に蘭達と別れて

すぐ紅葉は、誰かにRiin(リイン)を送る。

そしてそして残りの2人は、女子トイレへと入った。

洋式トイレが左右対称で縦に5列ずつ揃っていて

かなり広めな作りだったのだ。

向かって右の扉へ吸い寄せられるように入って行き、

閉める姿まで見届けた所で飾梨は、

蘭の入ったトイレの上に何かを投げ込み

その場を立ち去ってった。

次に訪れた場所は、

屋上へと続く立ち入り禁止テープのある階段を

堂々と飾梨が入って行くのを周りに居た人達は、

誰も彼女の事を止める素振りは無かったのだ。

屋上・・・

緑の大地が広がる遊び場エリアには、

親子連れの子供やカフェを嗜む大人達の集まりに

見向きもせず、足を踏み締める。

先程の景色とは一風変わり、

周りには緑の大地もなく人の気配もない。

それ以前にショッピングモール全体の機械が

無数に存在し、煙やエンジン音などが響き渡る中、

機械の中心には、何故か先程の男性が佇んでいた。

徐々に夕暮れ色に染まっていく空、

黄色みある茶髪が風に吹かれ

虚ろな瞳から光が宿り、男性は我に返る。

男性「……んっ、んんっ???

ぼ、僕は何故…ここに居るんだ。

カタ…カタ…カタ…カタ(靴音)

確かー……僕は今さっきまで彼女と過ごして

それから分かれて…別れてぇ、どうしたんだっけ?

カツ…カツ…カタ…カタ(靴音)

ていうか僕、

どうやってこんな屋上の端っこまで来たのか

全く、見に覚えがない。

しかもあと一歩で落ちるこの位置……にっ?!」

と男性がいかに立っている場所が、

正気の沙汰じゃない事に気付いて引き返そうと

意識を体に伝えた。

が、男性は前を向いたまま棒立ちしており

体は一切、言う事を聞かなかったのだ。

男性「な、何でだよ!?

何で動かないんだ、僕の体…動けよ。。。

こんな危ない所で人気のない場所に来て

自分でも訳が分からない。

用もなく誰がこんなとこっ!!」

カタ…カタ…カタン・・・

???「それは、あなた自身が望んだ事ですよ。

……っ?!(男性)

あなたは、用事もなく来ないと

先程、そうおっしゃられていましたが

用事が合ったから今ここにいて

私がこうして、居るのですよ?」

と振り返る事すら叶わない男性の後ろには、

ミントグリーン色の髪を(なび)かせ

白い衣を着た飾梨の姿があった。

男性「僕が望ん…だ???

どういう事だ、そんな見え透いた罠にハマるか

タダじゃ済まされないぞっ?!」

飾梨「だから言ってるじゃないですか。

あなたが望んだ事だと

ついさっきまで楽しいひと時を過ごしてた所……

私、見てましたから

あなたの彼女さんだった人ですよね?

その人と今日、やっとの思いで

デートに誘えてさぞ浮かれていた事でしょう。

何故ならこの日の為に事前に、準備してきた物を

ポケットに握り締めながらタイミングを伺っていた。

そして、ついに本来の目的を果たそうと

意を決して彼女さんに言い出そうとした矢先、

彼女自ら別れを切り出された。

天国から地獄に、

突き落とされた気分はいかがですか?(笑顔)」

男性「……っ!!

な、何故その事を………誰から聞いた!?

まさか…か、彼女から」

飾梨「もう〜……何度も言わせないで下さいよ♡

あ・な・た・が、[死にたい]と

心から願ったんじゃありませんか♪

私には、他者の負の感情を

見透かせる力がありまして…それが例え、

声に出していない言葉だとしても。

あなたの心に根強く残った本音を()み取ったから

私は、それにただ従ったまで。どうします?(笑顔)」

男性「た、確かに〜(汗)

僕は、そうは思ったけど………

たったそれだけじゃないかっ?!

何というか、あぁ〜アレだ。言葉の(あや)だ!

そう思うくらい落ち込んでいただけで

本気で死にたいなど、思ってぇ……」

飾梨「だとしてもです(即答)

お言葉ですが、そう簡単に…死にたいなどという

言葉を使わなければ、

こんな風にはならなかったかもしれない!!

人って本当にそうなった時って怯み

自分を恨み後悔し勝手に憎む性質がありますが〜

まぁ、今はそんな事……どうでも良いですね。

思わず言ってしまった、ふざけて言ってしまった、

様々な意見があなたにはあるかと思われますが

思ってしまった事は決して消えない。。。

この先も…これからも……言葉とは、

その人の中で人生がある限り永遠に渦巻き続ける。

いわば、言葉を武器として突き刺さなければ

痛くも痒くも無いんです。

でも、それで人を傷付けてしまっては

もう元の形へと戻る事は出来ないですし、

無くなってしまえば、見て見ぬ振りをするのにも

限度があると思うんです。

放ってしまった言葉の重みや責任には、

それ相応の対価を支払って貰わなくてはいけません。

だから…言った責任、取ってくれますよね?」

と飾梨は、苦無のような刃物を

男性の首元に当てながら伏せ目でそう言った。

そして、刃物の甲を当てるだけ当てて

すぐ男性の背中をそっと押し、

悲鳴もなく飾梨だけが屋上に残された。

手に握られた刃物には黒い血が滴り地に落ちる。


ポチャン・・・


ダンダンダン!!ダンダンダン!!

女子トイレの内側から

強めのノック音にして重たい音が鳴り響く。

必死に、誰かに知らせているかのように

叩き続けるも何が起きるでもなく

女性は溜め息を吐き背中を預けた途端、

その閉ざされた空間が突如として開いて

天井に埋め込まれた光が、蘭の目を照らす。

ギイィィィィィィィ・・・

それは、背中から床に倒れた蘭の姿を見て

不思議そうな顔した飾梨が蘭の顔を覗き込む。

飾梨「そんな所に籠って

どうしたんですか、蘭ちゃん???」

蘭「あ、かざ…りぃさん。飾梨さんっ?!

良かった〜!

やっぱり私より先に出てたんだね〜☆

いやぁ〜びっくしたよ!!

私、ずっと扉を叩いたり呼んでたのに

全然……飾梨さんの来る気配が無くて

逆に心配だったんだ(笑顔)」

飾梨「んっ???」

と疑問系に首を傾げる飾梨の後ろの手には、

何やら黒い小さなキューブのようなものを

包み隠していたのだ。

一同、合流・・・

誠也「あっ、やっと来たな。

お前ら揃いも揃って来るのが遅ぇんだよっ!

何してたんだ(激おこ)」

蘭「失礼ね、こっちだって訳があるんだから

グダグダ言うなら話を聞いてからでしょ?!

ムッ!!!!!!

ぐぬぬぬ。じゃあその訳って何だよ(拗ねる誠也)

わ・た・し・は、数十分くらいの間、

ず〜〜っとトイレに閉じ込められてたんだか ら

誠也のRiinにも助け求めてたのにぃ、

全然、来なかったじゃないっ!」

誠也「へっ?・・・ブルルル(首振り)

んなもん、蘭から来るものなら

俺はすぐ見るっつのっ!!(焦)」

日向「サラッと告白してない?(ボソッ)

ついさっきまでスマホゲームしてた癖に」

誠也「シーーッ!シーーッ!!

それは……やってたゲームが、

通知表示されないやつなだけでぇ(小声)」

蘭「ふーーーん、そうなんだ。

誠也なんてもう知らない(正気のない声)」

誠也「ガーーーーーン。

何でだ、何で俺は…いつもいつも上げては

落とされるばかりなん……だぁ(燃え尽きる)」

日向「日頃の行いじゃない?」

誠也「グサッ!!!!!!」


なんだかんだあって・・・

飾梨「皆さん、お世話になりました♡

蘭ちゃん達のお陰で

以前、紅葉ちゃんに街案内して貰った時とは、

また違った楽しさに出会えて

私、と〜〜っても嬉しかったです。

お洋服もあんなに買って貰っちゃって

蘭ちゃんには感謝しかない。。。

すぐにでもお礼の品を持って行きたい所ですが、

あいにく次に皆さんとお会いするのは

大分、先になってしまいます。

寂しいですが〜………

そういえば飾梨さんは、この後どうするの?(蘭)

そーですね。

私の用事も大体、片付きましたから

しばらくというよりかは

このまま日本に移住し直すつもりです。

折角、蘭ちゃんに

お洋服や食料も確保できましたし

衣食住?が揃いましたので3ヶ月は持ちそうです♪」

蘭「半月で終わりそうなのにぃ……」

誠也「一人暮らしあるある、保存食になりがち」

日向「て言う割りには、

鈴木さんから毎回、(みつ)いで貰ってる癖に」

誠也「余計なお世話だ!!(即答)」

蘭「そっか。。。

でも、これからも日本に滞在してくれるなら

また…どこかで会えるよね?

用は無くとも普通に会えんじゃねぇの(誠也)

それは、そうなんだけど……」

飾梨「そうですね。

皆さんと今日、この街でお会い出来た事は、

私にとって必然な事だとしても

蘭ちゃん達とは、

何かしらの縁できっと結ばれているのでしょう。

必ず会えますよ、私が…また、会いに来ますから♪」

蘭「……っ!(赤面)

あの飾梨さん、今日…本当に楽しかったですか?」

飾梨「はい、私の人生において

この上ないほど……とても有意義な1日でした。

蘭ちゃんに会えて…本当に良かった♪」

蘭「・・・。

そ、その〜か、かっ…かざっ……(グル目)」

と言いたい事が上手く言えず、

言葉を詰まらせる蘭の震える肩を止めるように

誠也が手を乗せて耳元で(ささや)く。

誠也「落ち着けよ、蘭。

飾梨に言いたい事があるなら

ちゃんと言葉にして、ちゃんと送り返してやれ。

今この瞬間、言い出せなかった事が

後々、響いてきて後悔するのは蘭自身なんだぞ?」

飾梨「???」

蘭「・・・。

スゥ〜……はぁ…うん、ありがとう!

さっきまで頭の中、ごちゃごちゃしてて

言いたい事も上手くまとめられなかったけど、

誠也のお陰で落ち着いたよ。

ありがとう♪

ニヒッ、それでこそ蘭だぜ☆(誠也)

うふ♡飾梨さん。

私……私ね、飾梨さんと友達になりたい!!

えっ?ん???(飾梨)

えっと急に言われると困るよね?

私ね、ずっと飾梨さんの事……一生懸命考えてたの。

どうやったら友達になってくれるのかとか

どうしたら言い出せるかなとか。

でもでも突然、そんな事…言われたら

飾梨さんに迷惑かけて困らせちゃうかもって

考えたら悩んじゃってぇ(汗)

今日は、2人っきりになる場面があったのに

こんな時間になるまで言い出せなかった。

だから謝らせて、ごめんなさいっ!

……っ?!(困惑する飾梨)

て結果的に私、

飾梨さんの事…困らせてばっかりだね。てへ♪

世の中、自分の思い通りに事が進まない事って

よくあるよね?私ならたーっくさんあるよ!!

高等部に入るまでの私は、

まともに誰かと話せた事なんて誠也しか居なかった。

それくらい引っ込み思案だったの私(汗)

けど、そんな私でも今は沢山の人と関われて

部活にだって気軽に出て日向くんや後輩達、

紅葉さんとも誰でも話せるよっ!

でも後輩の子達と2人はどちらかと言えば、

友達というより部活仲間って認識に

改めて変わったんだ。

それで今回、飾梨さんと普通にお買い物して

普通に話せる本当の友達が私には居ない。

だから私、飾梨さんと友達になって欲しいの!!」

とターコイズブルーの瞳を輝かせ、

自信に溢れた笑みを見せた。

2人の背景を彩るかのように、

赤オレンジ色の空に照らされながら

蘭は手を差し伸べて、飾梨は驚いていた。

飾梨「・・・い、良いの?

私、そんなに蘭ちゃん達と違って

頻繁に会ってあげられないよ?!

誘われても都合によってはすぐには行けないし、

約束すら守れないかもしれない。

そんなお友達でも……良いの???(汗)」

と一気に不安がり、困った顔で戸惑っていると

とびっきり明るい声でこう言った。

蘭「それでも…それでも私は、友達になりたい♪

どんなに離れていても会えなくなっても

私の能力なら、他の人の心が聞こえてくるから

私はずっと側に居ると思えるよ。

まぁ、距離が離れているといくら能力とはいえ

届かないっていうデメリットもあるけど、

あはは……(汗)

でも、私は飾梨さんの友達になりたいのは

本当で…心からそう思ってるの♪

……私と友達になってくれませんか!」

と言い放った瞬間、

飾梨の前から大きな風が吹いて

もみあげが不規則に揺れる。

驚きと嬉しさが溢れるものの堪えて

紅葉の方に目線を送った。

すると、紅葉は手であしらうだけで

それ以外は何も言わなかったのだ。

飾梨「……っ!!

(それは、[自分で決めなさい]って言ってるの?

ふふん…分かりました♡

今日、ここに来た目的は私から口を出せなかった。

私自身が決めていたのに

いざ言われると嬉しくて困ってしまいましたが、

紅葉ちゃんに頼ってしまうのは筋違い。

私がクヨクヨしていては、違いますよね☆)

……蘭ちゃんは、こんな私でもお友達になれますか?

うん!(蘭)

長期間も会えなくても???約束破っても?

うんうん!!(蘭)

・・・うふ♪

それじゃあ最後にもう一つだけ。

こんな私を受け入れて下さるのなら

私からも蘭ちゃんとお友達になりたいです♪」

と飾梨がクスッと笑った所で蘭の手を取り、

最後のセリフを言い切った所で

2人は一緒に肘を曲げ、

笑顔で笑う飾梨と驚いた顔で叫ぶ蘭だった。

蘭「えっ?ええぇぇぇぇぇ!?!!!!

ほ、ホントに……本当に良いの?!

えっ!?やった、やったよ!

飾梨さん、ありがとう♡」

紅葉「もう…ややこしい言い回しをするから

蘭さんの感情が追い付けていないじゃない(汗)」

誠也「まぁ、細けぇ事は気にすんなよ〜

やっと蘭にも本当の友達が出来たんだからな☆」

紅葉「・・・本当の……ともだ…ち……ねぇ。

少しは、マシになると良いのだけれど」

と意味深な言葉を独り言のように呟く

紅葉を横目に見つめている。

日向「???」


飾梨「……そういえば、

こうして蘭ちゃんとお友達になれたのですから

この機会、今からでも呼び捨てにしませんか♪」

蘭「・・・へっ、え?よ、よよ呼び捨てっ!?

それは…えっと、まだ早いんじゃ!!(恥)」

紅葉「……はぁ」

誠也「んな事、気にしなくても

別に恥ずかしがる事はないし、

普通に、下の名前くらい呼べば良いだろ?」

日向「女性と男性との間には、

必ず何かしらの壁が生じるのは当たり前。

男性である陽気な誠也には、分かりっこないよ」

誠也「あっ?!(怒)」

蘭「急に呼び捨てって言われても

今まで呼んだ事が無いしぃ〜………(照)

なんて呼べば良いのか、分からないよぉぉぉ」

飾梨「大丈夫、私も分からないからっ!

えっ?……んっ?ん??分から…ない?(蘭)

うん、私も初めてのお友達だから♡」

蘭「わっ、私も飾梨さんが初めての友達だ……よ?」

飾梨「そうなの!?

ま、まさかの似た者同士だった顔もだけど(誠也)

そっか、顔もそっくりなんだもんね。

じゃあ性格が同じなのも…?

それは多分、偶然だと思うよ(即答する日向)

あ、んっ?うん。

えっと…名前だよね?名前は、ね〜………」

誠也「変な空気になってんじゃねぇか?!」

日向「別に、わざとじゃないよ(汗)

困らせてるつもりも無かったし」

紅葉「もう……いい加減、決めたい事があるなら

さっさと決める。

[さん付け]を辞めて、普通に[飾梨]で良いじゃない」

飾梨「かざ…り、、、うぅん。

飾梨でいい、それで良いから……

私は逆に蘭って呼んでも良いかな♪」

どこか苦しそうな憎らしい感情が交差しつつ、

笑顔で隠すも笑い切れない笑みを蘭達に見せる。

蘭「飾梨さん???」

飾梨の心を読んだ蘭が腕に下げていた黒い紙袋が

ガサッと音がし、ハッとした顔で覗き込む。

同時に、飾梨の顔を見た2人が目を見開くと

冷たい眼差しを向けるもどこか揺らぐ瞳の紅葉が。

蘭「・・・そうだ。

私、飾梨さんに

個人的に渡したいものがあったんだった。

受け取ってくれると嬉しいな♪」

と言って蘭は、紙袋から取り出すと

彼女の目と鼻の先まで近寄って

前から飾梨の首裏で結んで見せる。

それは、紺色の服のど真ん中に

菱形で黄緑色の宝石を下げていた。

飾梨「……こ、これぇ…は?」

蘭「飾梨さんは、石言葉って知ってる?

石…言葉???(飾梨)

そう。花一つ一つに名前があるように

花には花言葉、石には石言葉があって

それには言葉や祈りが込められてるの。

この宝石は、ペリドットっていう名前でね〜

意味は[幸福]と[希望]や[和合]、

色んな言葉が込められてあるんだ♡

例えば、和合ってあんまり聞き慣れない単語だけど

意味は[次第に、打ち解けて仲良くなる]とか

素敵な言葉が備わってて

そういうの〜……私、好きなんだよね♪(はにかむ)

それで〜…私がコレを買った理由はね、

これから先、飾梨さんには辛い事や悲しい事……

沢山の事に巻き込まれるかもしれない。

その疲労が段々と蓄積され過ぎて

飾梨さんが暗い道に進む可能性だって十分、ある。

………無い無い。私に限ってそれは無いよ(飾梨)

本当に、起こってからじゃ遅いのっ!!(荒げ声)

……っ!?(飾梨)

他の人が見ても気付かないと思う。

その人は良くても

側で一番、見てた人が必ず責任を突き付けられる。

例え、それが…非が無くとも。。。

……っ(日向)

それでも…それでも

飾梨さんが飾梨さんじゃ無くなるのは、

もっと嫌だよっ!

飾梨さんがこの宝石みたいにぃ………

[幸福]や[希望]を心から抱けるような

そんな楽しい日々を過ごして欲しい気持ちを込めて。

ちょっとでも疲れた時は、

コレをたまに見て、少しでも浄化されたら

私達の事を思い出してくれるだけでも

私は、すーっごく嬉しいから………

だから強く生きて、飾梨♪」

飾梨「……っ!

・・・ありがとう。

そんなに私の事を思ってくれると思わなくて

まだ実感が沸かないけど有り難く貰っておきます。

皆さんもありがとう、蘭もね♪」

蘭「う、うぅん(赤面)」

紅葉「それで、次はどこに住むか決めているの?

あ、はい。風見町(かざみちょう)という所で〜(飾梨)

あ〜栃木ね、そう。気を引き締めてらっしゃい」

飾梨「は〜い!

それでは皆さん、名残惜しいですが

そろそろ行きますね……さようなら♡」

と言って飾梨が地から足を離し、

その場から飛行する所で不自然に浮かず

空気抵抗を受けない宝石のネックレスが揺れる。

十分な高度まで上がり終えると

飾梨は、4人に向かって小さく手を振り

それに応えるように蘭が大きく手を振り続けた。

誠也と日向は各々、

思う所があるようで特に反応する事なく

紅葉は、間に合ってますかのような手付きで

変わらず控えめだった。

クスッと笑みを溢しながら

直線で加速する車を余裕で追い越し空へと消えた。

振り続けた手がピタりと止まり、

手を上げたままぼーっとする蘭を見つめる。

紅葉「また…いつか会えますよ、その内に」

と最後の言葉だけやけに重く

感情が一切、感じられない冷たい顔で歩み出す。

その言葉に乗っかる形で誠也も喋り始めた。

誠也「そうそう!!

まだ東京からすぐ近くに住んでるだけマシじゃねぇ?

ほら、結構前に試作段階で使った

滑車の原理で飛んでいけば…………」

日向「そ、それ……は(汗)

散々、着地点を固定するだけしておいて

目標地点とはあらぬ方向へ飛ばされた挙句、

雑木林で串刺しにされて死にかけたのに

よく懲りないねぇ…」

誠也「・・・」

紅葉「私の知らない所で何やってるのよ(引き気味)」

誠也「やっぱ却下、前言撤回っ!?(焦)」

日向「まぁ、僕は土台があって助かったんだけど」

誠也「オ・レ・を土台扱いすんなぁーーー!(怒)」

日向「ごめんてぇ……(苦笑い)」

蘭「ふっ、うふふふ♪ははっ(笑顔)

はぁ…はぁ………ふふ。

もう笑わせないでよ、忘れてたのにぃ!!(ツボ)」

誠也「ニヒッ、全く。

こんなろくでもねぇ事を忘れんなよ(笑)」

日向「……ふん、そうですよ。

あの後、帰るまでが長かったんですから(嬉)」

誠也「聞くか、紅葉も俺達の華麗なる悲劇を」

紅葉「一応、聞くだけ聞いておきましょうか。

あなた達が家に帰るまで

徒歩で3時間かけて行くんですから

その間、暇かと思いまして

退屈凌ぎに使わせて貰います」

誠也「おぉよ!…って徒歩でさ、3時間!?

あの山鏡の爺さんのとこに行かねぇのかよ!!

あそこは、4時までがタイムリミットなので(紅葉)

はぁっ?!!!!!

そんなの聞いてねぇ、あの最年長鏡野郎っ!!」

蘭「えっ、嘘っ!?」

紅葉「……冗談よ。

ちゃんとこの速度を保ってられるなら

まだ、深沢市に着いた時のミラーが開いてる筈。

あの場所は、雲外鏡の中で

極めてトップシークレットなラインだから

妖力を長い時間使ったとしても

洗礼された感知能力でも気付かれないのよね。

さぁ、さっきのお話の続きをしながら

のんびりと行きましょう♪」

誠也・蘭「へっ……じょうはん???」

日向「冗談だって、急ごう2人共(ジト目通過)」

誠也「くっ、ふ…ふざけんなっ!!!!!!(怒)」

名前:加瀬元(かせもと) 飾梨(かざり)  正体:豁サ逾


皆さんは、飾梨の正体が何なのか分かりましたか?

前回、飾梨が初登場した第18話の夏合宿(後編)

そして今回の第28話の中で

中々のヒントが散りばめられています!

お休み期間中に考察って程ではないですが、

読者の皆様も是非、予想して見て下さいね♪

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