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Y・Hファイル  作者: 白百合リーフ
林堂 友理サイド
PR
29/33

第29話 「学校襲撃(前編)

白百合リーフです。

28話をすぐ投稿して次のお話やらを

お休み期間中で描き終わらせて

スタックを増やす為の休暇のつもりで始めましたが、

3月は魔の精神不安定期で

全然、捗らなかった事をここにご報告致します。

そして休暇を撤回し、いつも通りリアルタイムで

描く事に専念する事にしました。

※ただし、遅れる事を承知の上で

かつ温かい目でお読み下さると助かります!!



今・度・こ・そ、

大変長らくお待たせ致しました!

そして本当に長い間、

音信不通のままで申し訳ございませんでした!!

投稿できなかった期間が、

2か月→5ヶ月に記録更新っ!

いや〜この5ヶ月間、

本当に大変で描き終われない歯痒さが、

積もりに積もった日々でした。

描き終わってスカッとしました♪


では、本編…どうぞ。

ジリ…ジリリ………ギチギチ…ギチギチ…………

カチャ…カチャ……カシャーン!カシャーン!!

黒い猫頭巾を首元まで被り、

グレーのワンピースを身に着けた女性が

壁に向かって刃を立てて一心不乱に切り刻んでいく。

気が済んだのか否か女性は、手元を止める。

???「はぁ〜……今日は、このくらいでいっか。

あんまり壊し過ぎると

この障壁もあと少しで崩れそうだし、

いざって時には野良の方々にお任せ致しましょう♪

こんな壁、無かったら

あなた方もいくらでも侵入できた筈なのに

一定の野良妖怪は、

入る許可が出されているなんて残念ねぇ〜

でも…それは今日で終わりを迎えられる。

私が先日、ここに到着する際に

勢い余って山火事らしきものを未遂で起こした

お詫びを兼ねて、コレを弱体化させておきました。

私もこの障壁があるせいで

どうにも体が受け付けなくてコレだけタダでは

入れないのに困っていた所だったの♡

壊す道理が出来て、素直に礼を言わせて下さい。

ありがとう………♪(笑顔)

そしてあなた方の計画が

明日(あす)、成功しますよう健闘を祈っています。

私は、近くで影ながら見守るだけで

手助け出来るのはこのくらいですが、

……予定通りにお願いしますね?

お互いの目的の為に、ヌシ様♡」

ヌシ「・・・」

水色の膜のような大きな壁が息をするかように

模様がフヨフヨと不規則に広がっていく。

その壁の外側には招かれざる客達が、

ゾロゾロと今か今かとその時を待ち遠しく

暗闇の中を光る目が右往左往している。

ヌシは、お坊さんのような頭と着物で身を包み

顔を隠す為の赤い面布(めんぶ)には、

黒い太文字で[隠]と書かれており

顔の判別が出来なかった。

クスクスと不気味に笑う女性の後ろの障壁は、

あと2度ほど手を加えると崩れるまでに。。。

いくら障壁にすら近寄れなかったものとはいえ、

今では弱体化が進んでいるとなると

野良妖怪の力だけで壊すのも、もはや時間の問題だ。


一方・・・

頭の中がザッザーッという砂嵐に襲われるのと

同時に、映像が流れた。

あの結界が壊された瞬間や

外から野良妖怪達がウジャウジャと

学校へと押し寄せて来て

校庭で授業を受けていた生徒達が逃げ惑う姿が。

そんな光景を教室から見ていると

何やら誰かの背中に

手を伸ばす瞬間から場面が変わり、

防犯カメラのような視点へと固定される。

それは、学年ごとの教室にまで

侵入した野良妖怪が暴れ回ったり、

それに対抗しようと迎え撃つ生徒。

先生や特殊部隊までもが前線へ立ち、

他の者は、安全な場所に

誘導したりする姿も見受けられた。

図書室も…体育館も……

学校の屋根上でも戦闘が繰り広げられ、

不意に足を滑らせた白髪の女性が

危機的状態に陥った瞬間。

突如、視覚外から野良妖怪だけを狙って

狙撃される瞬間が映り消滅する所までが見えた。

その方向に目線を送った時には

狙撃した人の姿は見当たらず、

誰が撃ったのかは定かではなかったが

ただ一つ、女性が救われた事だけは確かだった。

この光景を見て安堵すると

再び、砂嵐で視界が広がった所で陸が目を覚ます。

陸「……っ!?

はぁ…はぁ……はぁ…はぁ………(汗)

(また…だ。。。

また、最近になって

同じ夢ばかり見せられてる気がする。

でも今日のは何だか

どこか現実味があって、人々が逃げ惑う光景とか

それにぃどことなく

学校の校庭にも見えなくも……ない。

こういうの見るの嫌いなんだよね〜

だって頭の中がムズムズして気持ち悪いし、

不吉過ぎて眠れなくなるからさぁ………

うぅ〜……もう寝なきゃ、気味が悪い。

………スゥ〜……スゥ…スゥ〜……スゥ…スゥ〜」

と言って陸は、すぐにでも眠りに着く。

不吉な夢を見てから数時間経った今でも

何度も何度も寝返りを打ち続け、

陽の光がカーテンの隙間から部屋へと

突き抜けてくる所で陸が、ベッドから落下した。

陸「アダッ!?!!!!

うぐっ、ううぅぅぅ〜〜っっっ……(悶絶)」

朝食・・・

陸「もぐもぐもぐ……もぐもぐ…ゴクリ。

んっ!んっ!ん〜〜っ!!はあ〜☆☆☆

り・く牛乳それで何杯目よ、飲み過ぎ(睨む母親)

えぇ〜!?

だ、だってぇ〜その牛乳…今までのより

ずっと美味しいんだも〜んっ!」

母親「まぁ、元はといえば

アンタは最初から……

牛乳嫌いだったのは知ってるし、

陸の好きなものが増えるのは母さんも嬉しいけど

飲み過ぎ厳禁っ!!

陸が飲んでばっかで母さんと父さんが、

使いたい時に使えないから

いつも予備で2パックくらい買ってるのに

すぐ消耗させる。

あんまり飲み過ぎると朝にあげないわよ?」

陸「い〜や〜〜だ、ヤダヤダヤダ!

朝に飲まないでいつ飲めば良いのさっ?!

おやつの時でも良いでしょうが(母親)

ムムッ〜〜それじゃあ朝が始まらないよっ!!」

母親「はいはい(汗)

早く着替えて学校の準備して来な〜

もう8時過ぎてるわよ」

陸「うわっ!?

ヤバッ、それ早く言ってよ母ちゃん(焦)」

と家中ドタドタ大きな足音が鳴り響くのは

牧田家の日常であり近所の人達の間では、

この音を合図に起床する事でいつも助かっている。

ついでに大きな声も慣れっこだ。

母親「陸、お弁当は持った?

まだだよ!ありがとう、母ちゃん(陸)

ハンカチも持った?

うん、もう入れたから大丈夫っ!!(陸)

そう♪それじゃあ今日もいってらっしゃい」

陸「は〜い、行って来ます!(満面の笑み)

おはようございます〜!!

おう、おはよう。今日も頑張って来るんだぞ(爺)

えへへッ♪は〜〜い!」

とニッコニコ顔で近所の人達と挨拶を交わしながら

学校へと走って向かった。


学校の校庭にて・・・

坊球ネットがバジーン!!バジーン!!

と波風に揺れるように網目が何度も弾かれる音、

砂埃が津波みたいに押し寄せて来て

目に見えないもの同士が2つぶつかり合う!

それは糸で糸が(ムチ)のようにしなり、

地面に叩き付けられたり糸がまじ合う度に

激しい金属音のような重い音が鳴り響いては

白線が切れたり戻ったり、

障害物が切り刻まれても壊れた所から

みるみる内に元通りに直っていく。

そんな周りのものを一切気にも留めず、

校庭の中央で戦いを繰り広げているのは男女だった。

1人は蘭で、もう1人は顔の見知らなぬ男性、

その姿は黒髪と黄緑色の瞳を持つ美男子で

黒いチェック柄のズボンを履いている。

そんな意外な組み合わせの2人は今、

糸の攻防戦が巻き起ころうとする瞬間だった。

体を捻り舞いを踊るかのような動きで

ステップを踏み、逃げ惑う男性に喰らい付く。

蘭「編み神楽っ!!

(これは私自身が

左右に移動したり行動する際、

相手の攻撃を防ぎながら撹乱(かくらん)させて

攻撃不能状態にまで畳み掛ける事が出来る技。

初めて見る人にとっては、

少し苦戦を強いられる技だが

このトリックには重大な欠点があってぇ〜

それが見破られると形勢が、

一気に逆転される恐れがある事っ!

もっとも私の中で怖いもの。。。

……それは、タネを相手に悟られる事よりも

ミス一つで致命傷を撃ち抜かれてお終い(汗)

だから私は、糸を組む速度を落とさず

編み続ける事に専念して

前よりガラ空きだった隙間を

細かく修正する事に成功した!!

かなり集中しないといけないから

出来るまで血の滲むような努力を積み重ねて

時に腕が痺れたり、

時に筋肉痛になったり色々合ったけど

やっとの思いで編み出した技の一手)」

リズムに慣れて来た所で

蘭は足捌きのレベルを徐々に上げていき、

新体操のような軽やかな

身のこなしのまま速度を落とさなかった。

そんな蘭の猛攻に押されているにも関わらず、

男性は、汗一つかかず顔色一つ変えずに

手の平だけで糸を払い退ける手付きで

軽くあしらうばかり。

その光景を何度も見てきた蘭は、

心底、自分に嫌気が差しており

技と心が乱れつつもあった。

それでも尚、2つの均衡(きんこう)は傾いたり均等(きんとう)になったりを

繰り返し、何とか蘭は取り乱さなかったのだ。

少しずつ蘭も精神的に強くなっている証拠でもある。

その時だった、何とこの男性は攻撃を防ぎながら

手を使わずに岩術(がんじゅつ)を発動させて

大砲のように連射し始めたのです!

相手の攻撃パターンが変わった事に驚きつつも

物事を冷静に捉え一度、距離を取り

円形の糸から徐々にドリル状に変化させてった。

蘭「螺旋十字操(らせんじゅうじそう)っ!!」

男性「天辻十二譜(あまつじじゅうじふ)

とポツりと男性が呟くと

蘭の目の前に瞬間移動して長い足を活かし、

横一文字に蹴り上げる。

突然な動作に戸惑いつつも

蘭は危機一髪でしゃがみ込む事で避け切ったのも

束の間で男が蹴り上げた足先から

楽譜の五線譜のような糸が、

体を動かす度にどこからともなく

糸が繰り出され襲いかかって来たのです。

同じような技を蘭も真似るも

即席で作った糸とは違って

男性の糸では強度が違いカチ合った瞬間、

ガラスみたいに割れた音がした。

先程の攻防戦で使用していた糸より

遥かに硬く繊細で高密度の高い糸が、

蘭の左手首や脇腹、左足が切り落とされるという

かなりの深傷を負った。

その光景を見て青ざめた顔と恐怖心を抱き、

糸を操作していた片手を失った事により

蘭の周りを回っていた

編み神楽の糸の回転速度が低下する。

蘭「……っ!?てぇ、手…がぁっ?!(焦)」

男性「・・・。

油断するな、まだまだ戦闘は終わっていない」

蘭「……っ!」

深傷負い動揺した蘭に

容赦なく男性が畳み掛け相手に隙を与えず、

指先から出る無数の糸で引っ掻き続けた。

一気に形勢逆転し始めた攻防戦が、

完全に、立場が真逆となり

自分の身を守ろうと必死だが、

力に圧倒されてるせいか手が痺れるばかり。

蘭「うぐっ!?

はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……

(落ち着け、落ち着け、私っ!!

まだ諦める訳には……こんな所で終わったら

誠也の夢を実現させる所か手伝えなくなる。

その為にも私がまず、

しっかりと対応しなきゃ…もっと経験しなきゃ

何も守れない!)

スゥ………はあ〜ぁ。。。

カラクリ古刀術その():黒薔薇っ!!」

と呼吸を整えた所で強く叫ぶ蘭の手から

黒い糸が現れ、矢のように放たれ

男性の手足に撃ち込まれる。

体の外側に刺さった糸と糸から出た黒い液体が

体内へと侵入してすぐ効き目が出たのだ。

まず、目では捉えられかった

相手の速さが緩やかになり鈍足(どんそく)となった事、

もう一つは相手の視界を

黒く塗り潰されたような感覚で酷い酔いに襲われた。

男性「……なるほど。。。

これは、確かに良い効果かもしれないな。

だが…この程度の技、

俺達に対してはあまり効果が薄い。

何故なら、蜘蛛妖怪は全員……盲目だからな?

岩石封(がんせきふう)じ」

蘭「ハッ!?」

妖封陣(ようほうじん)いわゆる魔法陣のような円から

重たい岩々が、

天空に出現し氷柱(つらら)みたいに降り注がれる。

蘭「……くっ!

(だ、ダメ。やっぱり駄目だ。

今の私1人の力だけじゃ、

野良妖怪になった人達全員なんか

夢のまた夢じゃない。

何よ、自分で偉そうな事…2人に宣言して言った癖に

何も出来ないなんて

……そんなの私として認めたくない!!

だから今は、そんな情けない自分に

呆れた所でどうしようも無いなら

私自身が変えてその意志を曲げない事っ!

私の我儘は今に始まった訳じゃない。

高望みで、どんなに難しくても、

突拍子もない高い目標だったとしても

諦める選択肢には絶対にしないと決めてるの!!

………私は、少しでも目の前の光景に対して

胸を張って向き合い続ける。

[先輩を倒す事だけを抱けっ!]

今は、状況的にも最悪だけど

先輩の砲撃をどうにかしない限りは、

私も岩術の餌食になるのは時間の問題。

せめて、せめ…て上空に浮上して

クレモナで先輩の動きを封じれば、

(しち)の古刀を使って爆発させる事だって

まだ私にも勝機が……ある!!

だから、まずはここから脱出する事が最優先。

でも〜どうすれば???どうすれば、良いの?

あっ………いや、待て待て…早まるな。

先輩がわざとそうしている可能性も

ゼロじゃないでしょう?!

さっきの岩術と今の術では、

若干…降下する速度がやや遅い気がする。

それが私の勘違いじゃなければ、

タイミングを見計らって上に行く事こそ

先輩の思う壺……だとしても

それでも私は、その糸を取らずして

助からなかった後の事もちゃんと考えるのと

生き残る自信は無い…けど、

こっから先は、今までの情報の読み合い戦だ!

そして、、、私がこの状況から抜け出す為には、

何よりも……私自身の覚悟だけ)

意を決して前へ進めっ!!」

と岩術から逃げるように

グラウンド内を走り抜ける蘭が、

編み神楽を再び、発現させ編み出す事で少しでも

自分の身に飛んで来る障害を取り除きながら

男性との距離を詰めた。

その行動をある程度、予想していたのか

男性は蘭の目の前に岩石を落とし、

砂埃を立てる事で足を止めさせ退路を断つ。

再び猛攻を受けると

砂埃が顔の上にまで登って来た所で

蘭が目をかっぴらいてその場で高くジャンプをし、

飛び上がる事でやっと抜け出せたのです。

砂煙から脱出した蘭は直様、

サッカーゴール並みの大きさを誇る

岩を飛ばされるも体を()じるようにして

避け切れた。

が、2発目はそうもいかず

体ごと岩で持ってかれつつも頑丈な糸で掻っ切る。

少し後ろに戻らされたが、

すぐに体勢を立て直し蜘蛛の巣ネットで

トランポリンの要領で足場として使い加速する。

2人との間には約5メートルほどの距離が

まだ空いており、焦りと緊張が走るも

蘭は曲げる事なく速度を落とさず、突き進んだ。

岩石の砂煙から抜け出した頃から

ずっと力強く握っていた両手を素早く開いた。

蘭「カラクリ古刀術その(よん):クレモナっ!」

網目状のクレモナネットを

両手いっぱいに広げ、解き放つ。

降って来るネットを受け止めようと手を出すと

男性の手を押し除けて体が無惨にも

バラバラとなり、黒い煙もなく体が傾いた。

蘭「(今だっ!!)

カラクリ古刀術そのし……ちぃ?」

それを機に、蘭が一気に畳み掛けて来て

もう一つの古刀を詠唱しようとした次の瞬間!

男性「天辻古刀術二()():乱れ斬り」

そう詠唱を唱えた時は、

まだ人の形でバラバラに保っていたせいか

その背中から黒い(さや)がみるみる内に姿を現す。

同時に、切り離された右腕だけを糸で縫い合わせ

ノーモーションで蘭の魂を掠める形で

体を真っ二つに切り裂いたのだ。

蘭「あっ、あ…ぁ……え…ぇ???(汗)」

男性「グラウンドエッジ」

目元を隠しながら体が地面に崩れゆく際、

地に手の平が付くと囁くように口遊む。

その瞬間、校庭全体を

針山地獄並みの鍾乳石が浮き彫りになり

問答無用で蘭の四肢と心臓ごと貫いたのです。

ハイライトのない虚な目で

蘭の頭がカクッと落ち、

しばらくして尖った岩から解放され

すぐ地面へと落とされる。


グランドの中心で2人が倒れる中、

腕以外の他の部分がバラバラになった男性と

四肢ごと貫かれたまま全く動かない蘭の2人を

遠目から心配する生徒達。

シーーーンとした空気で言葉を発する事もしない

静かなカオスの中で最初に起き上がったのは、

バラバラとなった男の方だった。

男性は速やかに立ち上がり、

制服に着いた砂をバッバッとはたく仕草をして

何事もなかったかのように致命傷を負った

蘭の怪我もなく倒れ込んでいる姿を見続けた。

登校していた生徒達も

校庭から校舎へと視線を変えて人の流れが動き出す。

男性「・・・。

もう起き上がっても良いぞ、鈴木。

は、はいぃ……(焦る蘭)

今日は、いつも使っていた訓練用ではなく

対象者の安全性重視を目指して

開発に開発を重ねたテストシュミレーターを

使ってみたが、怪我はしていないようだな。

も、勿論です!(緊張気味な蘭)

前回の模擬戦からかなり日が経つけど、

レベルが上がってるみたいだ。

あれから頑張ってきたんだな、鈴木」

蘭「は、はいっ!!(照)

ありがとうございます、佐土原先輩♪」

佐土原「だが、鈴木自身………

まだ自分の力に振り回されて

追いつけていない自分が居ると…思う。

……っ(蘭)

俺ら蜘蛛妖怪は、

この糸を繊細かつ丁寧により

高度な操作を必要とされる。

指先一つで勝手が変わるし、何より難しい。。。

……俺達は、物心が付く前から

そういった教育を施されているからこそ、

糸の構造や形状を細部まで把握できている。

加えて、この糸に触れれるのは蜘蛛妖怪だけ

他の奴らが触れると皮膚にくっ付いて剥がれたり、

指が簡単に切れたりと感触までもが

全部、俺達と一緒な訳じゃない。

糸の柔軟性(じゅうなんせい)硬化性(こうかせい)によって

様々な使い勝手が生まれる。

例えば、事故や災害に巻き込まれた際には

救助者の傷の修復やモノを一から作り直す事、

崩れかけた建物を支える為の包容力のある粘着性、

重力もなく足場を確保したり加速したりと色々だ。

その場限りのダメな部分があったとしても

修正も効くし、汎用性もかなり高いからな。

鈴木は、どちらかと言うと攻撃型というよりかは

援護型に限りなく近い分、

武術系のアタッカー妖怪とは

あまり歯が立たない場面も多かっただろう?

はい、私自身…嫌になる程、経験しましたから(蘭)

その辺は、実践経験をひたすら積むのみだな。

そうですね(凹む蘭)

それから今日の収穫としては、

(よん)のクレモナと(はち)の蜘蛛の巣、

犯人を捕獲する際、制圧して捕まえる事に

より特化されてるし足場として使っているのは

もう少し高く評価されるべきだ。

うんうん!!(蘭)

今日は使っていないが、

前回使っていた()の鳥籠も中々の強度だったし

(さん)のハハキは防御として

かなり特化されていて

今後も大いに、貢献できるだろう。

黒薔薇については、どう思いましたか?(蘭)

そうだな。。。

視界が昼から夜に暗くなった程度……と

あと、手足に痺れを多少…感じたくらいかな。

遅くなったり怯む事はあるようだが、

俺らには効果は薄いかもしれない。

()の黒薔薇は、同じ種もしくは

毒に耐性があったり麻痺が効かない妖怪以外なら

十分に効果はあると思うぞ。

他の人で試して貰いたい所だが、

毒によってに生身の体に害をなす症状ばかりで

危険性が極めて高い。

命を確実に落とさせる相手なら有効かもな。

とはいえ、これを使う際は模擬戦内で頼むよ」

蘭「はい!

それは重々、承知しております!!(汗)」

佐土原「鈴木。。。

はい??(蘭)

鈴木の古刀だが、今んとこ何個まで可能なんだ?」

蘭「えぇ〜と(ろく)(しち)…それとい、壱以外なら

大体、出来ます!」

佐土原「……そうか。

けど、鈴木…先程、最後辺りで(しち)を使おうと

してなかったか?

そ、そそ……それは、まだ不完全なんです(蘭)

どうして???」

蘭「じ、自分を巻き込むくらいの威力のせいで

単独技じゃなくなってるからです。

この技は、相手により至近距離で近付き

当てる必要があるので

ほぼ自爆技に近いものでして。。。

漆の使い道がいまいち掴めなくて

それで、佐土原先輩に

少しアドバイスが欲しい〜なと思ったんです。

鈴木は、一度でも自分の身を守れた事は?(佐土)

あ、あります!!それは。。。

ただ…何分(なにぶん)、広範囲の爆発型で

威力を抑える事が難しくてぇ。

周りを更地に変えちゃった事も多々ありまして〜

と、とりあえず漆については

まだまだ変更が可能ですので検討中です(汗)」

佐土原「ふーーん、なるほど。

まぁ、支障が出ないくらいなら

今からでも考え直す良い機会かもしれない。

鈴木がもっとも適したものを手にする為にも

しっかりと悩め♪あまり焦るなよ。

あ、はい!分かりました(蘭)

……そういえば、鈴木の古刀は

2つ同時に発動させる事が出来るみたいだったな。 

その後の調子は、どうだ?体に違和感はないか??」

蘭「は、はい(焦)

それなんですが、

前回の模擬戦から少し間が空いてしまったので

報告が遅れましたが、じ…実は今なら

私、3つ同時でも平気なくらいには、

安定して発動する事が出来るようになりました!!」

佐土原「お、おぉ…そこまで進んでるのか。

参ったな……(汗)

流石の俺でも

2つ同時発動は、随分と時間が掛かったものだ。

複数の妖術を極める人達は、

この国で言う最年長組の人達と

ごく僅かな人だけだと思うな。

そ、そんなに…凄い事なんでしょうか?(蘭)

鈴木があまり実感が沸かないのは、

それほど苦労した経験が無いからじゃないかな?

それは、逆に鈴木の上達スピードが尋常なだけで

はっきり言ってそれは、1番の長所だ!

もう一度、言うが鈴木の扱う古刀は

どれも鈴木自身が一から作り上げたもの。

それ以外の何者でもない

鈴木のたった1つだけの専用の武器だ………

もっと誇った方が良いと思うけど。

それに、鈴木は世界有数の繊細な糸を

5本中…4本も容易く出来る優れた才能も

披露して成し遂げたんだ。

だから今日は、一段とギアを上げてみた。

アレで分かっただろ?

どんなに繊細かつ巧妙な技術を

鈴木が持ってしてでも

指にまで伝わる巧みな技と心のバランスが、

体の全神経を()ぎ澄ます。

それが乱れれば、糸の強度も弱まるし

ミス一つで命を落とし兼ねない役目だ。

今まで取り組んできたものが、

全て崩れ去る事だっていつ起きるかも分からない。

そのくらい術者とは、重く難しい立場なんだ。

……もし、もしそんな事が実際に起きたら

鈴木は失敗から逃げずに

自ら、向き合う事が出来るか?」

蘭「・・・えっ?」

真っ白い背景で、木の葉達が宙を舞いながら

蘭は、驚きつつも目のハイライトを揺らす。

だが…正確な答えを口にする事が出来ず、

男の目には顔を曇らせる蘭が映った。


そんな顔はすぐにある人物によって解消され、

蘭の顔が明るく晴れ渡ったのだ。

誠也「お〜いぃ、何だよ!?

今日も特訓すんなら俺にも一声かけてくれれば、

良かったのによぉ蘭!!」

蘭「ごめんね、誠也(焦)

今回は私が急遽…先輩に入れて貰ったから〜」

誠也「ふ〜〜ん。。。

てか、久々だな☆よっ、朱知(あけち)先輩っ!

下の名前で呼ぶな、馴れ馴れしい(佐土原)

あ、そうだ。今なら丁度良い頃合いかもな〜

俺がいっつも学校に来る時に限って

蘭の特訓が終わってっから

全然、頼めなかったんだけどさ。

……俺ともやってくれよ、朱知☆ニヒッ!!」

佐土原「・・・(引き気味)」

日向「誠也、いい加減……

四大妖怪や先輩方に挑むのやめなよ。

毎回、誰でも引かれてるのによく飽きないね!」

佐土原「そんなに言われてんなら

普通に自覚して、素直に直して欲しいよ(汗)」

誠也「なぁ、良いだろ☆なぁなぁ!!!!!!」

蘭「て、また聞いてないしぃ〜………(苦笑い)」

佐土原「……はぁ、気が進まないな。

まぁまぁこうなった誠也は、止まらないから(蘭)

前々から思ってた事だけど、

先輩に対する態度が八瀬はなって無さ過ぎる。

少し懲らしめた方が良さそうだな」

と言ってポケットから

シュッと黒手袋を取り出して手に付ける

朱知の姿を見て、蘭が目を見開く。

蘭(あ、これ…誠也、制裁喰らうパターンだ)

誠也「へっ!(笑)

意外と物分かりの良い奴じゃねぇか☆

今までまともに相手してくれる奴が居なかったから

無駄な尾行をやらずに、助かるぜ♪」

日向「後で必ず返り討ちに遭ってる癖に」

と呟いた時には、

既に誠也が両拳を前に突き出し戦う気満々で

相手を好奇な目で睨み付けた。

すると、佐土原は

どこか諦めたかのような肩の落とし方で

顔を曇らせて誠也の方へと歩み寄って来たのだ。

佐土原「・・・」

誠也「ニヒッ!

良いねぇ〜なんか強者感出てイカついな♪

さぁ、どっからでも掛かって来やがれっ!!」

と自信満々で迫力ありげに

誠也が気合いを入れ直してすぐ砂を蹴り、

凄まじい速さで佐土原と衝突する。

かと思われた戦いは思わぬ、方向で方が付く。

それは、ゆっくりとこちらに歩いて来る

佐土原に対し渾身の一撃をぶつけた。

誠也「怪撃っ!」

と繰り出した拳が体の中心に当てた途端、

岩の体が砕け散り佐土原の姿を

完全に見失ったのだ。

誠也「……何っ?!

どこだ!!どこ行ったんだ、朱知の奴っ!(汗)」

佐土原「こっちだ」

誠也「えっ、はぁっ!?

な、何でお前が…そっちを狙うんだよ。

相手は俺だけだぞ、日向は関係ねぇだろ!!」

振り返ったその先では、

指先から出た五線譜を日向の首元に突き付ける。

そう、佐土原は(はな)から戦う気がなく

さほど強くない誠也が威張った所で

本物の強者達の前では、時間の無駄なのだ。

日向「・・・(汗)」

佐土原「何で、新條を取ったかだったか?

答えは一つだ。。。

お前は……戦闘を何だと思っている」

誠也「ふん、そんなの強さに

こだわってるからに決まってんだろ!

俺は、俺は………ただ真の力が、

どんな…なんか自分の力で見つけ出したいんだ。

そういった好奇心が、

俺にはあるから探し続けるんだ!!」

佐土原「じゃあ何故、その力の在り方を

他人とぶつけ合い競い合う必要があるんだ?

力がお前の中でもっとも重要なカギなら

別に、人を巻き込まなくても済む筈。

遊びで物事を語るな!(怒)

その先で、待つのは破滅だけだ。

俺は、決して遊びなんかじゃ……(誠也)

いーや…それは、遊びに値する。

お前なんかの言葉で全てが許されるなど、

国のトップでも立った気で居んのか?

そんなもの間違っている。。。

良いか、お前が今まで絡んできた奴らの言葉を

今ここで代弁してやる。

ちっぽけな夢見がちな生優しい考えより

戦闘は、遊びじゃないんだ!!!!!!

い・の・ちのやり取りを常日頃から

向き合い続ける為にも必要な事だから

俺らは毎日、学校に通い訓練を重ねてるんだ。

死と隣り合わせな戦いの場で

模擬戦じゃ役に立たないし、相手は待たない。

弱い奴らから攻め入られて仲間が

次々と倒されようと八瀬は、気にしないのか?

多くの犠牲者を払っても

お前は、平気で……この場を嬉々(きき)として

笑ってられるのか??

・・・(絶句する誠也)

こうも言わないと理解できないとか

そんな見え透いた未来が見えないのかよ(怒)

よく意気揚々と今まで戦いに勤しんで来たな。

……舐めてんの?

でも今のでそういった光景が目に浮かぶんなら

少しは自分が犯した罪の重さを

分かったようだな。

まぁ、今更気付いた所で状況は変わらない。。。

だってそうだろう?

Sクラスもどきが偉そうな事…言ってさ〜

これだから風上にも置けない失敗作は駄目なんだ」

誠也「……っ!!(怒)」

と先程の血の気が引いてった顔とは思えない

激昂っぶりで先輩に向かって噛み付こうと

襲い掛かろうとした次の瞬間、

日向の後ろに居た筈の佐土原が誠也の真ん前に現れ

顎に強烈な足アッパーが下されたのだ。

正気を失いかけた所、

佐土原の突然の攻撃により頭に衝撃が行った事で

誠也は、その場で倒れ込んでしまった。

佐土原「精神が乱れ過ぎだ。

自我を失ってまで戦いに挑んだ所で

良い事なんてこちらの利益は何一つ無いぞ?

人に迷惑をかけるくらいなら

お前は、戦闘から速やかに離脱しろ。

・・・手荒な真似をして悪かったな、新條」

そう言って黒手袋を外しながら

佐土原は、日向に声をかけた。

日向「あ、いえ…とんでもないです。

でもこっちからすると

良い機会だったのかもしれません(汗)

それは、何故だ?(佐土原)

その〜最近、誠也の歯止めが効かなくて

次走る傾向が多く困っていた所だったので……

誠也には悪いけど、

少し…頭を冷やす時間があった方が

良いのかなって(苦笑い)」

佐土原「はぁ〜……こんな奴でも

心配する人が居るんなら案外、平気なのかもな。

んっ?(日向)

これからも何かとコイツを気に掛けてやってくれ。

それ以外なら新條は、何もしなくていい♪」

日向「・・・」

佐土原「鈴木、次回の訓練についてだが

期間を設けて貰っても構わないか?

あ…はい!勿論です、何か都合でも(蘭)

すまない、これから俺も少し忙しくなるんでね。

鈴木も気が向いたら

次からは、事前に連絡して欲しい。

俺の予定が空き次第だが、それでも良いか?」

蘭「……はいっ!!分かりました。

私もしばらくの間は、技は磨くものの

少し心の整理が必要かと思いまして

この機会に心掛けてみます♪

それでは佐土原先輩、

今日は、本当に…ありがとうございました。

そして私の都合で急遽、呼び出し

ご足労頂き申し訳ございませんでした(汗)」

佐土原「いい、それは構わない!

俺も久しぶりに鈴木と手合わせが出来たんだ。

こちらこそ、誘って頂き誠に光栄です。

では……またの機会をお待ちしています」

と胸に手を当てて

執事のような立ち振る舞いで

砂煙が目の前を通り過ぎる頃には、

佐土原の姿が消えていたのです。

蘭「・・・んふ♪

はい、私も必ずやそちら側に行かせて頂きます!!

……さぁてと、誠也を保健室まで運ぼっと。

日向くん、ごめんね。

今日の朝の内に用事済まそうと思ってたけど

私も誠也も部室に行ける気がしないから

昼休みにでもあの2人を呼ぼっか!

その頃には、きっと帰って来てると思うから」

日向「了解。

じゃあ私、そろそろ運ぶからまたねっ!(蘭)

は〜〜い。

今日も朝から頑張るね〜鈴木さんは。。。

(ついさっきまで佐土原先輩と模擬戦とはいえ、

相手にしてた人なのに

今じゃ誠也を保健室まで運んでさ♪

そういった所では、

蜘蛛の妖怪も案外…化け物じみた力を

未だ全力じゃないなんて嘘だよね(ジト目)

そうそう。

2人は蜘蛛妖怪って言われてるけど

厳密には、佐土原先輩が[土蜘蛛]で

鈴木さんは[女郎蜘蛛]と……性別によって

名前が異なるのだ。

似てるようで同じじゃない。

現に男性より女性の方が汎用性が高く

糸への繊細さや細かな操作には、

特に群を抜いているらしい。

そう鈴木さんは言っていたけど、

[わ、わ私っ!?私は、そんなに上手く出来ないよ]

といつものような謙遜さで話が途切れる。

はぁ……まぁ、、、

自分の実力は自分だけが分かっている。

それは当たり前、

周りが過大評価し過ぎるだけだ。

そうなるのも無理はない。

自分自身で自信を…経験を積んだ時に

やっと分かる事。

僕もこれから頑張らないと

誰かを止められるような力もそうだけど、

まずは自分の身を守れる(すべ)が身に付けば

僕だって役に立てる事があるかもしれない!!)

………ガサガサッ。

んっ?なん……だろう、今の音は???

キーンーコーカーンーコーン・・・

まずいっ!教室に行く時間だ(焦)」

チャイムの音を聞いて校舎へと走り出す日向が

耳にしたのは、グラウンドの外の茂みの音。

ほんの微かな音を風が運び、

より近くの人の耳に送ると言われる噂は

本当だったようだ。

その音とは、坊球ネットの向こう側から

真顔でこちらの様子を伺っている

青紫色の瞳が明るく光る。


午前8時20分のチャイム・・・

これは、全校生徒達が

各教室に滞在する目安時間だ。

1限目が始まる時刻には、

移動教室のクラスの人達もあれば

自分の教室で待機し次の授業の準備時間以外は

ほぼ自由時間である。

なので、担当の教師が来るまでは

教室で立ち話や登校して校内を歩いたり

別のクラスの人と会話したり色々だが、

その中でも今日は、友理が日直の当番のようで

職員室から出て来た所らしい。

友理「失礼しました。

はぁ……よりにもよって

こんな良い日に限って日直なんだよね〜

一層の事、無くならないかな?

まぁ、いっか!

今日は…何だか〜楽しくなりそうだし、

日直の腕の見せ所だと思うからアリかな☆

ふふ〜〜ん♪ふふ、んふふふ〜(鼻歌)」

とご機嫌にスキップを踏みながら

長廊下を歩いて行き、

近道でもある3年フロアの階段から降りる際、

陽花と閻来がこちらへと歩いて来た。

陽花「えっ?

私の知らない所で、そんな事があったの?!

何でもう少し早く言わなかったのよ」

閻来「だってぇ!!

夜道でそんな危ない恐怖体験を

もう一度、実際に起こったら怖いじゃない(焦)

それにぃもしもの時、

ハルちゃんが同じ目に遭ったらと思うと

もう…目すら姿すら見せられない。

ホントに怖かったんだからねぇ!」

そう言って閻来は陽花の腕にしがみ付いて来るので

強めに引き剥がして教科書で顔を遠ざける。

陽花「はいはい、それは災難だったわねー

それから……あんまり

私にくっ付かないでよね、暑苦しい」

閻来「ハルちゃん、(わたくし)にだけ冷た過ぎません!?

ホントにホントに怖かったんですよ!!

そりゃ〜何の罪も被っていませんので

現界には、2日程度で帰って来ましたがっ!

私の事を殺した殺人者は、

今もなお、生きている事自体おかしいのです。

私が一体…何をしたっていうの?!

あの時の私は独り言で

玉藻前様を褒め称えている最中でした。

突然、背後から気配もなく

魂を撃ち抜かれ視界には血で染まった手を見て

あ、あんな……トラウマもんな状況を

誰かに説明できる程、

私は強い精神を持ち合わせていませんわ!」

陽花「ああ言えば、こう言う。。。

あなたの事だから

また、玉藻前様が関係しているのでしょうけど

夜道には十分…気を付けなさいよ。

自分の会話がいつ、どこで、誰が、

聞き耳を立てているのか分からないもの。

安易に外でぺちゃくちゃ話してたら

それこそ、あなたの居場所を特定され

仕留めに来る輩も居るんだから

下手にボロを出さない事ね。

いい、また同じような口実で外出したら

死に近い程度の軽い罰を私がやると思いなさい?」

閻来「ひえぇぇぇ!?!!!!(涙目)

お、おぉ許しぃぃをおぉぉぉ!

絶対にもう内緒で外へ行きませんし、

でも買い物から少し寄り道する可能性も

絶対、無いとは言い切れません。

きっと……どこかであると思うの!

じゃあ交渉決裂ね(陽花)

き、期限早くありません?!

ちょっと待って頂戴ませっ!!

ホントに、本当にゼロとは言えませんが〜

ほんの少し…少しだけ緩く。

あ、そうだわ!(焦)

毎日カフェ奢るからぁ〜それでぇ許s………」

陽花「要りません(即答)」

閻来「そぉ、そこを何とか〜〜〜!!(泣)」

陽花「ほら〜ちゃんと自分の足で歩きなさいよ。

先輩が後輩の前で

みっともない姿を晒すんじゃありません!」

と言って陽花の腰に纏わり付く閻来を

気にせず歩いて行き、

背景にいた友理の目の前で会話をしながら

自動的にフェードアウトしていく。

そんな光景を目視できる範囲で見つめ、

左折した所で真面目な顔に戻った。

友理「……ふーん、まだ懲りてないんだ。

あの人、仕留める前に脅すべきだったかな?

まぁ、私だって事がバレたら

面倒事に巻き込まれるだけですし、

アレで良かったか。

それに、あの子が忠告したんだから

しばらくは大人しくしてくれるでしょう!

おまじない程度なので期待はしませんが、

私からも暗示を掛けておくべきね」

と言い捨てて壁に向かって鋭い視線を飛ばして

遠距離から閻来を悪寒に負わせるという

巧みな技で(おど)した。

閻来「ひえっ!?

もう…今度は、どうしたのよ?(陽花)

な、なな……何でもあり…ませんわぁ(怯える)」

友理「これくらい妥当な罰ね。

猶予を与えてあげる、ただ次は無いと思いなさい?

………さぁっ!!名も知らない人の話は辞めて

早く教室に戻〜ろっと♪」

と言っていつものルンルンな気分で

日直日誌を腕の中に収めて

1年フロアへと降りた先で芽亜と出会したのだ。

芽亜「あ、ユリりんだ〜おっはよう!

おはよう、メロちゃん☆(友理)

なんかご機嫌そうだね〜

今日は、Aクラスで何かあるの?」

友理「んー、そういう訳じゃないんだけど[

芽亜「そっか!(あたし)らのクラスは、

移動しないとだからそろそろ…ってあぁ?!

忘れ物取りに帰って来たんだった!!

ユリりん、じゃあまたね(焦)」

友理「頑張ってね♪」

芽亜「うん、ありがとう〜〜」

そう言って芽亜と別れた友理は、

廊下を歩く上履きの音を立てながら

Aクラスの扉を開けてすぐ恋花が飛び出して来たので

慌てて猫に変化して廊下に出れた。

恋花「にゃあぁぁぁ!?!!!」

友理「わぁ?!びっくりしたぁ〜!」

恋花「危ない危ない(汗)

ごめんねぇ〜友理ちゃんっ!!

怪我はなかった、大丈夫!?

うん、全然平気(友理)

そう?なら良かった!……ってああっ?!

(あたし)、急いで芽亜ちゃんの所に行かなきゃだから

本当にごめんよーーー(汗)」

友理「え、あ〜恋花さん!!

メロちゃんのクラスは、

移動教室みたいだから行ってもーー…

もう行っちゃった。。。

まぁ、A組からD組まですぐだから

またすぐ帰って来るかな」


その後、40分のチャイムが鳴り終わる頃、

学校の表門と裏門が完全に締め切られ

同時刻、先生が教室にやって来た。

友理の号令が掛かる事で授業が始まったと思える。

チョークで黒板をカンカンカンという音を奏て

真面目にノートを書き進めたり見たりを繰り返し、

居眠りする生徒が出たりで色々だった。

2年の教室も変わらず、

眠る生徒は少ないものの真面目率がより高く

授業は思いのほか進むクラスだってある。

その中でも2年A組も群を抜き

1学期時点で既に2学期の後半分を

終わらせるという脅威の速さで進んでいるが、

その授業に追い付けてる生徒が不思議なくらい

全員の点争いが凄まじい程のだ。

そんな中、ただ1人授業に無関心な人が居た。

それは窓際の席に座って険しい顔付きで

外のどこかを一点に伺っている

銀色の瞳を光らせる志童の姿が。

志童「・・・」

紅葉「・・・?」

そして同じく教室で授業を受けてかつ集中できず、

1人頭を抱えている生徒がいた。

陸「テスト復習するの忘れたーーー!?!!!!」

西野「あぁ、おい?!(小声)」

先生「牧田、テスト中は静かにしなさい!

あと復習も大事だが、

自力で解けるくらいにはまだ簡単な方だぞ」

陸「い、いや〜……

それが出来れば、僕だって苦労しないよっ!!」

西野「おい、もうそれくらいにぃ…(汗)」

先生「牧田っ!!!!!!(怒)」

小テストで陸と先生が阿鼻叫喚するのは、

日常茶飯であり2学年全員「うるせぇよ!!!!!!」

と毎回、2年総出で壁を超えて

突っ込まれるのもまたお約束である。

こんな平和で、和やかで癒される学校生活を

楽しめたのはここまでだった。

4時間後まさか、あんな事が起きるなんて

誰が予想できるかチャンスを掴める間もなく

全校生徒が窮地に立たされる事を

まだ知らない。。。


午前11時55分、4限目の授業が終わる35分前・・・

黒板に向き合い続ける事、

かれこれ4限目に突入した生徒達。

授業をしている限りこの校舎は、

いつものように静まり返っていた。

今日のこの時間帯では、

通信制の生徒が校庭で体育の授業を受けており

その様子をチラ見する。

日向(そういえば、今日……

千秋とは会っていない気がする。

特別部隊の仕事がある日以外は、

いつも余裕持って早めに起きてるけど

そんな僕でも起きた頃には部屋にも

ましてや、家にはもう…いなかった。

わざわざ10km先のコンビニにまで

朝から走りに行ってるのかと

最初は思ったんだけど、一向に帰って来なくて

そのまま行く時間になっちゃったんだよね。

あそこに住み始めてから

今までどんなに急いでても日直があった日でも

本当に、うざいくらい一緒に登校してたっけ。

・・・何か……あったのかな???)

と思いながら窓の外から黒板へと視点転換され、

目を離していた内に先生が書き進めていったものを

ノートに書き進めていく。

シャーペンの芯と紙との擦れる音が、

少しズレたテンポで立て続けに奏でられる。

事件が起こる2分前・・・

その頃、陸は急な睡魔に襲われていて

何のアクションもなくスーッと夢の中へと(いざな)われ、

誰にも…本人ですら気付かれない内に

眠りに着いていた。

・・・・・・・・・・

目を瞑ったままの陸の顔がグルグルと渦巻き、

顔や手、制服、四肢などが隅々まで映し出される。

陸「……んっ、んん〜っ………あ、あれ???」

閉じた瞼をビクビクさせながら

ようやく目を開ける事が許されたのか

ゆっくりと緑色の瞳が輝きに満ちて開眼する。

教室の光が全く差さない事に

おかしいと思った陸が目をあちらこちらに泳がした。

すると、そこは暗く閉ざされた閉鎖空間で

地もなく天もなく浮遊していた。

が、目を開けるだけが精一杯で

体は自由に動かす事が出来ず、

そんな状況下に置かれて焦りが生じたのか

瞬きの回数が段々と多くなって瞳の色が薄れ

普通の瞳へと戻った。

陸「……こ、ここは〜………どこ…???

さ、さっきまで皆んなと一緒に

教室で授業してた筈なのに、どうしてここにぃ……」

???「ほう、くだんの妖怪にして

この光景を知らないとは思いもしなかった。

さては、初めて見たのか?

だ、誰っ?!(怯える陸)

どうどう……まぁ、落ち着いておくれ。。。

この状況がよく呑み込めていないのだろう?

だったらちと、話を聞いてみたりせんか?」

とゆったりとした口調で

真っ黒い空間からどこからともなく響き渡る

話し相手の声は(おろ)か姿すらも見当たらない。

陸「・・・(困り顔)」

???「少しは、ワシの話を聞く気にはなったか?

良いか、よく聞きなさい。

ワシがこれから話す事は、

全て現実となりその不幸な連鎖が降り掛かる話だ。

不幸な…連鎖??(陸)

お主、ここ最近、そうだな……3週間前から

ずっと同じ夢を見せられてはいないか?

えっ!どうして…分かったの?!(焦る陸)

・・・お主、分かりやす過ぎるのう(汗)

ねぇ、あなたは誰なの?僕の知ってる人??(陸)

ふーーん。

知ってる人かどうかはさておき〜

お主と同じ妖怪だった事は確かだ、少なくともな。

僕と同じ……妖怪、くだん…てこと?(陸)

そうだ!!

くだんの中でもっとも長生きし、

大予言とも謳われた厄災から人々を守ったのは

何を隠そう……このワシなのだ!

まぁ、実際にはワシ1人で止めてはないが(汗)

そ、それってぇ………(陸)

ふはっははは!!驚き過ぎて声も出ないか(笑)」

陸「だ、誰???」

吉成「ズコーー!!!!!!

牧田(まきた) 吉成(よしなり)だ、くだんの中で有名じゃろうが!

そうなの??(陸)

ガーーン。。。

つくづく心外な奴じゃの〜

これが現在のくだんとは……いやはや。

いーや、そんな細かい問題は

今は全く持って関係ない!!

関係ないの?!(陸)

ぐっ、ワシ自身が言っといて傷付くわい。

ゴホン。良いか、よく聞け。再び、聞け!

お主が見たその夢は、[予知夢]というものだ。

予知…夢……(呟く陸)

言っておくが、普通に見る夢とは全くの別物だぞ?

大抵の夢だと2日〜3日の間に

起こり得る出来事であってどれも些細なものばかり

まぁ、極たまに虫の息のように

コロッとなる事もあるが〜

それは、まだ可愛いもんだ♪

だが、予知夢とは

そんな夢の10倍…いや100倍以上の規模が

現実世界をも巻き込む災いをもたらすとされ、

極めて危険度の高いものなんじゃ!!

被害が出るという事は、

それは逆を返せば何千人……何万もの人々が

命を落とし兼ねない由々しき事態なのだ。

えっ?!じゃあどうすれば、良いの!(怯える陸)

まぁまぁ、少しは落ち着こうじゃないか。

それにお主は、その予知夢を見るのが

初めてだそうじゃないか。

そうだろう?

………う、ゔん(涙する陸)

そうかそうか。

なら、ワシと共に…………

厄災が終結するまで

その景色をよ〜く目に焼き付けようではないか」

陸「え???何でっ!

何で、どうしてっ!?どうして、そうなるの?

皆んなが危ない目に遭うんでしょ!!

だってここで…見てるだけで

皆んなに知らせられないじゃん!

そんなの嫌だよ!嫌だ、早く僕を帰してよ!!

危険が迫ってるなら

今からでも僕が皆んなに知らせに行けば……」

吉成「予言とは、そう簡単に変えられぬもの

お主も分かっておるじゃろう?

それに今回の予知夢では、

些細な出来事を排除する作業は

前もってやるべき事項なのじゃ!

今から変えたくとも変えられぬ運命にある。

準備が必要なの???(陸)

そうじゃぞ?

何せ、現実世界でもっとも恐ろしき厄災が始まる

予兆の知らせとして

3週間前からくだんへ予知夢を見る権利が、

与えられるのじゃ!!

良い権利であろう♪

ムッ?その(あいだ)、普通の出来事が無いかって

顔をしておるの(笑)

結論から言うとだな〜

それは、一概に無い訳でもなく

全くもって無いが正しい回答だ!

何てったって厄災が集結するのじゃぞ?

この出来事ですら既に不幸の塊みたいなもんじゃ。

ちっちゃい脅威は、分解に分解を重ねて粒子となり

普通の夢なんぞよりかは弱いからな〜

その場で足踏みするだけでいい。

どうだ、無いに等しいだろ?」

陸「あるって事じゃん(ジト目)

おっと説明してたら、どうやら始まるようだな(吉成)

えっ、もう!?

ねぇ、ホントに僕…戻れないの?!

まだ間に合うでしょ!!」

吉成「すまんな。

これに関してはワシの役目でもあり、

くだんの(おきて)なんだ。

普通なら実際の厄災にくだんは関与できない。

その代わりとして、予知夢を見ていつ起こるのか

それが決まり次第では周りに知らせる事が出来る。

当日に、こういう出来事があると

事前に伝えておけば、

(みな)が対策の仕様と準備の隙が生まれる。

……なるほど、確かにっ!(キラキラ目な陸)

ふん、さぁ…このアドバイスは、

次回に持ち越しにするとして

対策なしのぶっつけ本番で起こる厄災を

皆がどういう結末を迎えるか

ワシは実物(みもの)じゃ、久しぶりだからな」

陸「・・・。

(本当に、本当にあの夢が現実になるんだとしたら

日向(ひゅうが)のアレは嘘じゃ……ない?)

3週間の予知夢を得て1週目辺りだった。

厄災の脅威が終わったかのような

周りの静けさで体育館横で怪我人が横たわっている。

その中で、日向も含まれており

肩を手で抑えた状態で不安げに見つめる様子を

密かに懸念していた。


午後12時25分・・・

4限目が終わるチャイムが鳴るのと

同時に始まりの合図でもあった。

グランドの外側へと視点が向き、

学校を囲っていた結界の一部が3枚ほど

大きな亀裂が入り植物が育つかのように

下から上へ徐々に割れていく。

すると次の瞬間、

ムクムクと膨れ上がった水色の結界が破片となり

パリン!という音が聞こえた。

その音が生徒達の耳に届く頃には、

壊された結界の外から野良妖怪の大群が

続々と校庭へ殴り込んで来た。

黒い霧を周辺に放ちながら

白い息をドライアイスのように吐く野良妖怪達。

人の姿のようで原型を留めていない

出来損ないの岩肌を持つゴツい鬼や

まだ獣人にも成れない子狐の白狐(びゃっこ)

耳と尻尾の生えた人に成り切れなかった獣人、

河童など他にも沢山の妖怪達が牙を向く。

先生や生徒がいる前で

堂々と侵入して来た野良妖怪の姿を見ていた。

男子「何だ、何だ???

おい、野良が俺達の校庭に入って来てるぞ!?」

女子「えぇ〜!!何あれっ?!」

奏太「・・・。

(結界が破られた?何で??

ここからじゃ、何とも言えないが。。。

野良にそんな知能は無い筈だ、まさか特異体か。

何にせよ、こんな時に起こっちゃいけない

最悪な出来事の始まりっていうのは分かる。

街へ被害が及ぶ前に

念の為、この事を兄達に伝えないと

……手遅れに前に)」

生徒達が外に視線が向けている内に、

机の下で密かに手鏡のミラーの方を光らせていた。

西野「おいおい、マジかよ!?

何だよ、今まで見た事もない野良の数っ!」

日向「(志童から聞かされていた話が

こんなにも早く実現するなんてぇ………(汗)

野良妖怪達の計画が進みつつあるのか?!

それよりもあの…結界が、、、

あんな簡単に壊せる筈が無いのに

一体、どうやって???(焦)

見ろよ、外で授業してた人達が危ね!!(一澄(かすみ)

そういえば〜……あれ?千秋が…居ない??」

野良妖怪の侵攻を目の当たりにした

通信制の子達が驚きと困惑が渦巻き、

危機的状態である事を思い出し声掛けをする。

羽衣「皆んな逃げて、早く逃げて下さい!!

今ならまだ間に合います。

校舎まで戻れさえすれば、

他の皆さんが援護してくれる筈です。

さぁ、早くっ!」

女子「え、えぇ…分かりました」

男子「ていうか、あんな子……

同じクラスにいたっけ?」

女子「知らないの?!あの子は〜〜…(汗)」

白狐「白仙(はくせん)っ!!」

と子狐の呪文を唱えると

頭上から白い発光体エネルギーを

校舎へ向かう生徒の背後から急速に放った。

男女「うわあぁぁ!?」

羽衣「影撃ち!」

と言って発光体の影から

強力な妖術を連射し与える事で間一髪で免れたのだ。

白狐「ギャァ?……ギャーーー!?!!!!」

※妖術以外は、基本喋れません。

妖術同士がぶつかり合い力を加えられると

その場で大きな爆風が巻き起こり、

2人を連れて羽衣が導いていく。

羽衣「今の内に(ボソッ)」


一方、少し戻って2年Sクラス・・・

蘭「何あれっ!?結界が!!

まさか、そんな訳。。。

あの結界が破られるなんてっ?!(焦)」

男子「おい、なんか外がやべぇ事になってんぞ!

戦えない奴らは、

早く避難誘導した方が良いんじゃないか?」

蘭(いや、それはごもっともな意見なんだけど〜

そもそも猫又ちゃんはともかく

普通の野良妖怪なら

あの結界に近付くだけでも発狂ものなのに

壊せる筈が無いのに、どうして!?

でも結界を壊したからには、

相手だって正気の沙汰ではない。

ここからでもよく見えるって事は、

あの黒い霧の正体は[妖力の残留]。。。

アレがある限り野良妖怪には、

かなり強化されている筈。

今まで見た事もない姿だわ(汗)

そう簡単に、倒せる相手じゃない!

もう4限目がやっと終わったっていうのに

全然、帰って来ないだから

何してるのよ…誠也はっ?!

いいや、今は外にいる子達を援護して

私達が野良妖怪を迎撃する事が最優先。

それにはまず、私が時間を稼がないと!!

蜘蛛牙(くもが)……ハッ、危ないっ!?」

と蘭が呪文を唱えようとした次の瞬間、

2階にも関わらず岩肌のゴツい鬼が壁をぶち破き

窓辺にいた女子生徒を庇って

鬼は、教室に乱入して来たのだ。


ゴゴゴゴゴオォォォォ!!!!!!・・・


一方、1年と3年生は中庭側の為、

外で何が起きているのか状況が掴めずにいた。

1年Aクラス・・・

目に出来ないなら耳で聞くのみという発想から

今まさに、恋花を猫耳を出して

タラボラアンテナのように

耳を駆使している真っ最中だった。

恋花「んん〜〜〜〜っ!はぁ………

どう、何か分かった恋花?(花梨)

うーーん、何かはあるんだと思うけど

それを皆んなにどう伝えれば良いのかなって〜

何でも良いから感じ取った事を教えなさいよ(明)

んー、えっとね〜

まず最初はガラスみたいなものが割れた音がして

それからズッシリとした重い足音、軽い音、

人の悲鳴と逃げる足音が多数、

あと〜壁が壊れる音が最後、聞こえたよ」

明「悲鳴って絶対、外で何かあるじゃない!!

何もなく叫ぶなんて

鬼ごっこで鬼に捕まらないように

キャッキャッしてる声くらいだわ」

花梨「それもかなりマニアックな気が……(汗)」

桃華「ガラスの音とは、何でしょうか?

窓ガラスが破られたのなら分かりますが、

一般住宅より学校の方が防御力のある窓ですから

そう簡単には、割られる気がしませんし」

恋花「でもガラスはガラスなんだけど、

2つとも別の音だったんだよね。

1つは、結晶化した宝石が(もろ)く割れる音と

もう1つ…は、風船が割れるくらいの軽い音。

それに、何の違いがあるのよ?(明)

分からない。聞くだけじゃ、まだ何とも〜」

麟「おそらく………

清見さんがおっしゃった1つ目のガラス音は、

結界が壊されたと思われます。

しかも外側から」

花梨「あの結界がですかっ!?」

明「何でアンタがそんな事が分かるのよ!

見てもいない癖に、適当な事…言って」

神子「適当なんかじゃありません。

結界が壊されたのは事実ですし、

特殊部隊の伝達を聞いたものです」

麟「犬山先輩っ?!」

神子「特殊部隊で急遽、招集されましたので

桜、麟の迎えに参りました。

しばらくこの2人をお借ります、それでは」

と言ってキリッとした目付きの桜と

気を引き締め始める顔付きの麟、

神子が揃って瞬間移動を使った。

恋花「あちゃ〜……行っちゃった(汗)」

桃華「でも、これで分かりましたね!!

結界が壊されたって事は、

それは必然的に野良妖怪が〜

学校に押し寄せて来てるという事に。

足音や悲鳴が聞こえてきたのも頷ける」

花梨「うん(汗)」

明「そうですね、はぁ………

こちらの戦力がやや落ちるのも問題ですが、

一番は、不測の事態にちゃんと対応できる

特殊部隊の戦力が損なう方のが

まずいでしょうからね。

ひとまず、皆さん!

先程、特殊部隊の犬山先輩が言っていたように

校舎の周りを囲っていた

結界の一部が壊されたという事は

これから先、向かう場所には

野良妖怪との戦闘が始まるでしょう。

ですが、このクラスには

戦闘経験のある人は居るかもしれませんが

それはごく少数であり、

逆に戦えない人も出て来る。

ですから…今ここで、はっきりしておきます!

戦闘意欲のある人だけでも良い、

戦えるか不安な方は教室に残っても良い、

こんな状況で引いても誰も恨まない。

絶対に無理して戦おうだなんて思わないで

皆んな、好きな方を選んで!!」

一通り言いたい事を言い終えた明が

真面目な顔付きで皆んなを睨む。

さっきまでふざけた雰囲気がガラッと変わって

内容が未だ追い付けていないクラスの人達を見て

照れくさそうに頬を赤らめる明が、

咳払いをして自らの身分を皆んなに明かした。

明「……コホン。

悪かったわね!

普段と雰囲気が全然違くて

これでも天狗様の側近を務める

[二大かまいたち]なんだから

それくらいの風格は、見せないとだわ(照)」

恋花「へっ?」

津鬼「えっ?」

男女「・・・。

ええぇぇぇぇぇ!?!!!!

あの志倉 (さん)が二大かまいたち!!」

明「そこまで驚かなくても良いじゃない。

失礼ね、猫被る事がそんなに悪い訳っ?!(怒)」

駒(猫は被ってたんだ〜(汗)

明「ほら、早く選びなさいよ?

今がどういう状況なのか分かってんの!」

男女「あ〜ぁぁ……はい!!(焦)」

結果的に、加勢組と居残り組に分かれて

クラスの大半が戦闘に加わる事となり、

もう半分は教室待機が決まった。

なお駒と百、魁斗組がその一部でもある。

明「さぁ、決まったわね?それじゃあ〜………

ガシャーン!!!!!!・・・

うっ、何事っ?!あっ!」

準備が整った途端、

物凄い音が廊下側の庭から鬼達が突き破って来て

4体ほど押し寄せてきたのだ。

鬼「ア”ア”ァァァ?ア”ア”ァ”ァ”ァ″!!」

明「うっさいわね。

野良妖怪なんかがこっちのテリトリーに

勝手に侵入して来て、騒がないでくれる!?

竜巻疾風伝(たつまきしっぷうでん)居合(いあい)の型、光速斬撃(こうそくざんげき)っ!」

と言って後ろにやった手には鋭い鎌を収め、

緑の色風(いろかぜ)を吹かせて

前衛の3体へ向かって斬撃を飛ばす。

鬼「ウガアァァァ!!

○*%☆〆*、ア”アァア”ア”ァアア”ァ!」

遠吠えのような雄叫びを上げて

屋根上からドシドシと足音を立てて

視界に鬼達が続々と集まって来る。

明「どうやら……

簡単には、行かせて貰えないようですね(汗)

すみません、皆さん。

お手数おかけしますが、ここは私が食い止めます!

野良妖怪同士でしかも

同じ仲間を呼ばれるという事は、

この学校にいる限り永遠に湧いて来るでしょう。

数には限りがあるとは思いますが〜

現時点での野良妖怪の数は未知数、

ただ分かっている事は

以前よりも多く増えてる事だけは確かっ!!

ですから皆さんは、

他学年の加勢へ向かって下さい!

くれぐれも危険だと思った時は、

すぐに撤退し、自分の身を第一に…ですよ」

花梨「分かりました(汗)

志倉さん、他の方達もどうかご無事で!!」

そう言って加勢組の花梨が、

筆頭に廊下を走っていく。

???「豪飫仙(ごうよせん)っ!」

恐ろしく禍々しい赤黒い球体から

レーザーの如くより正確に7体ほど貫き、

消滅させる所まで見届けた明が動揺する。

明「……えっ?

あ、あなた…その威力で

よく教室に残る選択をしましたね。

傀来の所に入ってても

申し分ないほどの実力を持ってしてでも

こんな所に居るなんて……友理っ!!」

友理「んっ?何の事ですか♪」

明「(とぼ)けないでくれるっ?!

そもそもあなた戦闘成績が、

かなり上位の成績だった筈なのに

何でこんな所に残ったのよ。

それに、あなた…変な妖術を使うのね?会斬(かいざん)っ!」

と鎌で鬼達の肩から足先にかけて

2方向に振り下ろすとゴトンという

重たい音が床にゴロゴロと落ちていく。

友理「そうかな?

ぎゃあ!!鬼さんの手があぁぁぁ!?(叫ぶ駒)

そんなに珍しいものじゃないと思うけど。。。

それに私ね、戦闘成績ばかり

先生達に評価されてもあんまり嬉しくない。

そこまで実力があるのに、どうしてよ…??(明)

だって本気出す前にすぐ終わっちゃってさ〜

何も楽しくないんだよね。

1人で戦う選択をやめて……

皆んなでワイワイ作戦を考えたり、

皆〜んなで一緒に戦ったりする方が、

好きなんだって気付かされた。

仲間と協力して出来る幅も広がって〜

ふふ、何だか懐かしいな!

本当は〜花梨さん達に付いて行く手もあったけど、

教室に残された人達だって安全とは限らない。

守る手も必要だと思ってさ、だから…やめたの♪

呪沾封哨(じゅてんふしょう)!!」

右手が一瞬、メタル状に変異するも

普通の肌へと瞬時に戻った所で赤いオーラを放って

素手を剣のように武器とし、

鬼の体を突き刺したり胴体をバラバラにするなど

廊下には、次々と死体の山が積み上がっていく。

駒「ぎゃあぁぁ!!

鬼さんの体がバラバラにぃぃぃ?!(絶叫)」

明「・・・!?

(おかしい、どう見たっておかしいわ!

何なのあの威力?!

あんな数相手にしかも見た目からして

相手だってかなり強化された体を

たった一撃で、簡単に切り落とせるなんて。

何なの?何なのよ、あなたは…っ!?)」

明の視点から友理の姿を見つめていると

友理は、鋭く尖らせた手に付いた黒い血を振り払い

儚げな顔で明に顔を向けた。

友理「んっ?うふふ♪」

明「……っ!!」


一方・・・

教室から抜け出す2階へ繋がる階段を見つけて

傀来達は、他学年の加勢に向かい、

花梨達は状況確認の為、

2年Aクラスの真下にある待機教室を目指して

二手に分かれる事となった。

その際、廊下には野良妖怪の侵入は(おろ)

変に静まり返った校内を不審がる。

桃華「やけに、静か…ね。

ここからでも分かる悲鳴や爆撃音、

野良との戦闘で様々だけど

校舎がこんなにも静かなのは逆に不気味だわ。

結界でも遮断されているのでしょうか?

えっ、どういう事ですか???(花梨)

この学校って全国各地の妖怪が、

集まって来てるじゃないですか。

しかも2学年からクラス同士の模擬戦や

より本格的な戦闘訓練が行われるみたいで

結界を貼る防止策として上がったのが、

学校なんですって!

結界が学校に貼られるようになったかというと

住宅街にまで届く騒音問題を防ぐ為の援助だとか」

恋花「桃華、よく知ってるね〜

(あたし)がこの街に住み着き始めてから

かれこれ長いと思うけど、そんな話…知らなかった。

そもそも野良の子達を阻むものだからね(花梨)

そっか、分からなくて当然か。。。

こっちから原因を作ってるものなんだもんね。

私達からしたらさ、

ようやく山から抜ける……助かるんだって思った。

山にはネズミも他の食料もいっぱい居て

ある意味では充実してたんだけど、

私達のお腹が膨れる頃合いを見て

第三者が猫又を狩る。

そんな弱肉強食な世界なのは、当たり前でも

お腹いっぱいになっても

のんびり休む暇すら与えてくれなかったから

いつも命がけだったんだ。

・・・(桃華と花梨)

そんな時に仁川市に辿り着いた。

街があって、人も居て、家だって整備された道とか

新しい発見ばかりで興味しかなかった。

少しでも、ちょっとでもいいから

間近で見てみたい気持ちで下山した。。。

……それが、それが…いけなかったんだよね(涙)

街に降りて来た事で

こんな……私達猫又が駆除対象なんかに遭わなくて

騒ぎにならないで済んだのに、

もっと皆んなと…一緒に居られた筈なのにぃ!!

誰も…誰も助けられなかった。

自分の身を守る事が精一杯で

何も……してあげれてない。

恩返しもまだ出来ないまま………

急に、お別れなんてぇ酷いよ。

酷過ぎるよぉ……(泣)

くっ…ゔぅ。はぁっ……はぁっ………」

花梨「……恋花」

桃華「そっか、それは寂しいね。

今まで悔しい思いを沢山残して来たからこそ、

ここまで強く生きていられたんだよね?

恋花が生きて行きているように

残された他の猫又ちゃん達は今や

それぞれの居場所で幸せに生きている。

ず〜っと昔から

苦労して、悲しんだ思いもまた一つ増えて

辛い日々を過ごして来たと思うけど、

それはもう…終わりを告げてくれたんだよ。

辛い記憶から解放された、もう良いじゃない?

えっ……?でも、それじゃあ皆んなが(恋花)

救われない…だよね♪

そりゃ過去に、起きた出来事を

今すぐに忘れてなんて言わないけどさ、

これからは、もっと沢山の出会いが待ってる。

その時は毎日、

生きる事しか考えられなかったんでしょ?

目標や夢を見る事すら叶わなかったんだから

それが今じゃ、そんな暮らしからやっと離れた。

気長にのんびり探してみるのは、どうですか?

気長に、、、のんびり(涙目な恋花)

うん、そう。

今までだって出来なかった事を思う存分、

何でも出来る、何でも努力すれば叶えられる。

こんなにも清々しい気分から

解放されるなんて他にないと思うんだよね☆

……どう?」

一階の長廊下を渡り切る辺りで

静止した恋花を見て立ち止まった2人は

先へ行くよう他の人達を待機教室へ向かわせる。

恋花「(わたし)は………(あたし)…は……」

ドコーン!!!!!!

と恋花の決意に割って入って来るかのように

鬼達が壁を手でこじ開けたり、

突進してきた鬼が反対側の壁へとぶつかっていた。

3人の間に挟まるように

鬼達が無差別に攻撃を仕掛けてきた。

恋花「あた…し……はっ!!

私は、もう…見て見ぬ振りをするだけで

仲間を失うのは絶対に嫌っ!

嫌だから……今度は、自分の手で私が助けるんだ。

………紅蓮魔っ!!」

と瞬時に手の平から火の玉を出して

鬼達に向かって焼き払ったのです。

花梨「恋花♪

あっ、恋花はそのまましゃがんでて(汗)

放水の術っ!」

と言って妖封陣が、

両手首に現れて真ん前に突き出すと

渦巻く水流が勢いよく放出されたのだ。

恋花の背後からもドカドカを足音を立てて

続々と鬼で溢れ返っていたが、

それを一層するかのように花梨の妖術を放った。

それは、鬼の体に風穴を開ける程の威力で

水飛沫が恋花に当たる。

恋花「んにゃあぁぁぁ!?!!!!

水嫌い、水嫌い、水嫌いぃぃぃ!!(パニック)」

桃華「あら?

そういえば、猫でしたね…忘れてました。

にゃぁぁ〜(震える恋花)

まぁまぁ、少し休んでいて下さいな。ふふ♡

[黄泉の国に封印されし我の力よ、

創りし金剛(こんごう)なる地の()べてを()り成して。

余波(よは)呪握(しゅあく)

人差し指を口に当て口遊んだ途端、

肌色だった腕が真っ赤になって

血生臭さが恋花だけでなく花梨の鼻を突く。

恋花「……にゃあ!?」

花梨「な、何っ?!この(にお)い!(焦)」

桃華「ごめん。。。

すぐに、終わらせるから少し我慢してて

あとは私が狩り尽くす!!」

優しい声色からワントーン低く

目を光らせる鬼達の目にも止まらぬ速さで

両手を振り回し、風穴が空いていく。

ワンテンポ遅めに黒い血飛沫が

目の前でシャワーのように飛び散り、

凄惨な空間が広がっていた。

花梨「わ、わぁー…凄い(唖然)」

美夏「花梨様〜ご無事ですか?!!!!!」

雫「美夏さん、走っては危ないですよ(汗)」

恋花「ユキっちにゃあぁぁ〜!」

雫「ええ〜何ですか、恋花さんっ!?」

花梨に向かって美夏が飛び付くように

恋花は雫を直様、包み込んで泣きじゃくる姿を見て

安心したのも束の間でそこら辺に居る鬼と違い、

また更に強化された鬼が現れたのだ。

鬼2「ウガアアァァァ!!!!!!」

美夏「んあっ?!」

動きが素早く瞬きをしたほんの一瞬で

目の前にいた筈の美夏が背中を打たれ、

図書室の柱へと打ち付けられる。

花梨「……っ!?

美夏さん…美夏さん、大丈夫ですか!!」

雫「双葉さん、そこから離れて下さい。

私が迎撃します。火炎球っ!」

と恋花に抱えられながらも

銀色の火の玉が細かく放たれて命中した所、

爆風が巻き起こった。

が、鬼は傷は疎か

攻撃が当たったのか定かじゃないほど

ピクりともしていなかった。

雫「えっ、嘘っ?!

私の攻撃が……効いて…いない??」

鬼2「ア”ガアァァ?ヴワアアァァァ!!」

桃華「恋花、花梨とあの子を連れて

教室へ急ぎなっ!合流しないと危険だよ」

恋花「分かったにゃ!!」

雫「わぁっ!?」

四つ這い状態の雫を抱き抱えたまま

獣人化の恋花が靴箱を足場にし、

図書室の柱まで飛んで行く所まで見届けた瞬間、

桃華は更に手から腐乱臭を漂わせて告げた。

桃華「黄泉の(ことわり)、世に成して我を奮い立たせよ」

その呪文を唱えた瞬間、

目をゆっくりと瞑った桃華の制服が着物へと変化し

かなり(はだ)けた衣装で漆黒の角が頭に生え、

赤いアイメイクで顔が華やかになる。

桃華「……永遠(とわ)の嵐。怪撃っ!」

赤く染まった両手を前に突き出すのと同時に

衝撃波が大きく繰り出して

鬼の体をあっさりと貫き、

残った体をも包み込むように広がって消滅させた。

桃華「はぁ…ドイツもコイツも弱い奴らが……」


待機教室・・・

恋花「大丈夫、美夏ちゃん?結構な怪我だよ」

美夏「だ、いじょうぶ。。。

直に受けたとはいえ…回呪(かいじゅ)なら、

まだ何とかなると思うの。

か、花梨様……お願い出来ますか?」

花梨「えぇ、分かったわ。回呪!!」

鬼に背中を打たれて

ワイシャツが酷く破られており

背中には痛々しい傷が残っていたが、

花梨の治癒により傷は元通りになった。

雫「す、凄いです?!

こんな…こんなあっさりと回復できるなんて」

美夏を優しく支えながら

窓際へ視線を向けると野良妖怪達の襲撃を受けて

僅か数分の出来事にも関わらず、目撃する事となる。

花梨「な、何これ???(驚)」

恋花「嘘でしょ(焦)

野良達が、もうこんなに沢山っ!?」

様子見組が目の当たりにした光景には、

壊された結界から惜しげもなく流れ込んで来る

野良妖怪が次々と森の奥から姿を現す。

結界の効力を下げるべく内側から

めちゃくちゃに攻撃する野生の河童、

校舎の建物に向かって突進したり

壁をドカドカとタコ殴りにする鬼達、

行く行くは校舎にまで侵入して来る始末。

やりたい放題な光景に空いた口が塞がらない中、

雫だけは悲しげな顔で結界の上の方を見つめていた。

雫「・・・」

すると突如として、映像が差し代わり

暗闇の中に1つの蒼い炎が灯った。

ブォン!ブォォォ……ボッ・・・

その炎は、最初こそ勢いがあり

沸騰するかのように火が凄まじく揺れていたが

今では、そんな意気の良さが無かった。

ただただ強風に煽られ火の先が傾き続ける頃には、

アロマキャンドル並みのサイズまで縮んでいた。

一同が外に夢中になっている間に、

廊下には黒い猫頭巾を深く被った女性が

ニッコリと不気味に笑う口を見せた次の瞬間、

雫の背中に手を伸ばし、突き落とされたのです。

雫「……えっ?」

外へと追い出された雫の姿を見て

ハッとした顔の花梨と

必死に手を伸ばして助けようとする恋花だったが、

当の本人は頭が追い付いていなかった。

雫「あっ、ダッ〜〜…(汗)

………イッタタタァ。

一体、な…何が起こったのでしょうか?

誰かに背中を押されたような……???」

花梨「雪乃さん、逃げてぇ!!」

恋花「ユキっち、逃げて!!」

2人が必死に雫を呼び掛け続けるも

真横にいた子達が、明らかに怖がった素振りで

後退りしていく姿が見受けられる。

その場にいる全員が一斉に怯むのには、

雫の真ん前に立ちはだかる強化型がいた。

鬼3「ンガア”ァ”ァ”!」

雫「あ、ぁぁ…ぁ……はあっ…(涙目)」

雫は驚きのあまり目を見開いた状態で

声もぺたんこ座りの姿勢の体すら動かせず、

ただ重たい鬼の手が振り下ろされるのを待った。

鬼3「ヴワア”ア”ァァァ!!!!!!」

雫「……っ!!(涙)」

宝石のような涙が飛び散るのと同時に

目を目一杯、瞑る雫と2人。

視界が暗転してからワンテンポ遅めに、

ガッシャーーーン!!!という

何かが頂上から落下する音が聞こえてきた。

その音を聞き付けた3人が目を開け、

ぼやけた視界から

はっきりとした視界で目にしたのは、

大柄な男と地べたに倒れ込んでいる鬼の姿があった。

雫「………さ、佐賀…先輩???」

千秋「間一髪のとこでしたね、立てます?」

雫「あ、はいぃ。

急に飛び出して来て驚いたよ(千秋)

す、すみません。

でも……私も状況がよく掴めてなくて。

この教室から校庭を見ていたら

誰かに、突き落とされた気がして……それで〜(汗)」

鬼3「ヴヴゥ!(威嚇)

ウガアァァァァァ!!!!!!」

千秋「ふん、そういう事だってよ。日向♪」

雫「んっ?」

日向「はいはい。

間に合わなくてすみませんねぇ!陽炎(かげろう)っ!!」

どこからともなく現れた日向が、

2人の頭上から高く居て黒紫色の人魂を命中させ

鬼の背後に転がり落ちるかのように受け身を取る。

太陽の日の光が丁度、鬼の体を照らし

目は赤くその他は真っ黒な怪物の影が

ゆっくりと後ろを向く。

鬼3「ア”ガアァァ!

ア”ァァ、ア”ア”ァ……ア”ァァ、ア”ア”ァ!!」

と一心不乱にゴツい手を

日向に繰り出すも軽々と避け切られ、

地面をボコボコと殴るばかり。

当てるどころか逆に反撃され、

白煙を焚かれて日向の居所を見失う始末。

すると、別方向から

黒紫色の火の玉が飛び出して来るとその攻撃を

もろに受けた鬼は徐々に体が崩れかけていく一方だ。

それでも尚、戦う意志があり

火の玉が飛んで来たその方向に向かって

ジャンプ一つで白煙を抜け出すと

そこは、2年Bクラスの窓辺で

こちらに身を乗り出すように瞳が出ていた。

瞳「ざ〜んねんでした♪

こっちはハズレです。んふふ(満面な笑み)

千里晩年(せんりばんねん)の地に眠れ、夢幻死風(むげんしふう)

と瞳の赤紫色の目が強く光り続け

超音波のようなオーラを放ち

目の当たりにした鬼が幻覚を食い、

苦し紛れに雄叫びを上げながらボコボコだった体が

脆く静かに朽ちてった。

鬼3「ンハア”ア”ァァァ〜〜ア”ァ〜*〆%!!」

妖怪が妖怪を滅ぼす手段として

実際に(もち)いられているが、

それを使えるのはごく少数の妖怪であり

呪いが発動したかのように

妖怪が朽ち果てる現象の事を妖魔界では、

[呪術(じゅじゅつ)]と昔から言い伝えられている。

瞳「・・・はぁ〜……(汗)

久々に使って疲れました。

こんな秘術、金輪際(こんりんざい)使いたくありませんね」

日向「非常事態だったからね。

とはいえ、助かったよ。ありがとう、瞳♪」

瞳「えっ、えぇ…まぁ(照)

今回はしょうがなかったと思いますが、

ただ………そう…ですね。

相手が、まだ人外であったからこそ

この力を使えたのかもしれません」

日向「……うん、そうだね」

2年B組の窓辺近くにある

木の枝を足場にして朗らかな顔で

瞳の事を真っ直ぐと見ながらそう言った。


千秋「流石に、アイツに時間をかけ過ぎたな。

こんな事なら別の場所に移動するべきだったか

いや、強化型だと思うように

戦いづらいのもまた…歪めない。

折角、日向に会えたのは名残惜しいが

まぁっ!この状況だ。とりあえず、別行動するか。

(ドキンッ!!)

はあっ?!

(ドキンッ!ドキンッ!!……ドキンッ!!!)」

雫「……あぁ。

(消滅、消滅か………妖怪は魂を壊されれば、

消えて無くなるなんて事は当たり前。

当たり前な事なんだけど、

いざこの目で確認するとなると

ただ思考が変わっただけの同じ妖怪が

こんな形で消滅される姿を見ても

誰も何も…感じないのかな?

悲しく思えるのは、私だけなの……かな??(悲)

それも悲しいな。

善良な方だった時の前の人が浮かばれないよ)

あっ、佐賀先輩!

さっきは危ない所を助けて頂き、

ありがとうございました。

・・・(千秋)

あの〜本当に、佐賀先輩の助けがなかったら

私…今頃どうなっていた事かぁ(汗)」

雫の拳分の距離感で

直立不動に体を横向きのまま千秋の顔を

間近で覗き込んだ。

それは、千秋とはかけ離れた笑みの浮かべ方で

雫の存在に気付くと一足遅めに

大きな手を雫に向かって伸ばし始めた。

雫「え、佐賀先輩???」

日向「危ない、雪乃さんっ!!」

そう荒げた声で叫んだ日向が庇うように

雫を抱え込むのと同時に背中を向けた途端、

いつの間にか千秋の拳を握った手で

接触しない程度に寸止めさせ、

風圧により待機教室前まで飛ばされたのです。

その(かん)、水切りのように体を2回ほど打ち付けられ

後、それは日向が雫を守るよう受けていたのだ。

日向「……んぐっ!ゔくぅ…(汗)」

雫「先輩っ!?先輩、大丈夫ですか!!(焦)

佐賀……先輩、急にどうしたんですか?」

日向「ゔ、うぅ〜………

ああなった時の千秋は、千秋であって

もっと遠い…別の存在。。。

よりにもよって

こんな時にぃ、起こるなんてぇ……(汗)」

雫「えっ??

あ、そんな事より…新條先輩、

怪我の方は本当に大丈夫なんですか?!(涙目)」

日向「だ、大丈夫。

今のは比較的、弱い方だから平気……っだよ。

はぁ…はぁ……はぁ…はぁ」

雫「・・・(涙)」

日向「心配してくれるのは有難いけど、

今は僕なんかより、むしろ千秋の……方だから

アレは、千秋の特性:[飢餓状態]だよ」

遠くの方で棒立ちをする千秋、

半四つん這い状態の日向と

その横目に心配な雫の2人が相対(そうたい)していた。

日向「・・・(汗)

(まずい…このままじゃ。

野良妖怪騒ぎどころか、

校舎全体に、多大なる被害が起こる!

今の千秋と僕ら2人が戦った所で

結果は、圧倒的に不利のまま負け続ける一方。

それに擦り傷とはいえ、

両膝とも怪我を負ってる雪乃さんを

一刻も早く治療しないと

妖力漏れに繋がる可能性も捨てきれない。

僕1人で守り抜く事は、ほぼ不可能だし

第一、自分の身すら守れていないっていうのに

今更…見栄を張った所で何にも起こらない。

そう、何も起こらない……変わらない事なら

一層の事、僕1人で戦わなきゃいけないんだ!

ひとまず雪乃さんを隔離しない事には、

何も始まらない。それなら………)

魅緒さん、僕の事は気にしないでいいから

先に雪乃さんを安全な所へ……早くっ!!(汗)」

魅緒「わ、分かりました!

治療を最優先にぃ(日向)

はいっ!!」

と日向の呼び掛けられた魅緒はすぐに応じて

教室から外に居る雫の真横に現れる。

すると今度は、

後方から恋花が魅緒に声をかけて来たのてす。

恋花「すみません!

その子、雫は私の友達なんです。

こちらに返して頂けませんか?!」

魅緒「左様でございますか?

う〜ん…あなた方に預けたいのは山々なのですが

きっと大丈夫ですよ。

私達が責任を持って

彼女を保護しますのでご安心を♪

では、私の手をしっかりと握ってて下さいね。

絶対に離れないで」

雫「えっ、でも…それじゃあ先輩がっ?!

………僕は、大丈夫ですから♪さぁ、行って(日向)

はあっ、ダメです!!

それなら新條先輩も一緒にっ!(涙目)」

日向「……どうしても…どうしても

皆んなを守る為には、

誰かがこうしなければいけない時が来るんです。

だから………こうするしか方法が無いんだ。

ごめんね、僕は雪乃さんと一緒には行けない」

その言葉を聞いた雫の瞳にはハイライトが消え、

虚ろな目をしていたが

それでも日向を助けたい一心で必死に手を伸ばす。

雫の手は惜しくも届かず、

2年B組の教室へと転移させられた。

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