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Y・Hファイル  作者: 白百合リーフ
林堂 友理サイド
22/29

第22話 「芽亜のゆるふわ雲探し1」

※文字数制限により

前後編に分けますが、前後編とは書きません。

夏休みが始まってからは、

あんなにも街一番で大きな学校も

今や静まり帰っていたが、

それも今日で終わりを迎えた。

学校には徐々に明かりが灯り始め、

息を吹き返したかのように生徒達が

続々と校舎の中へと吸い込まれて行く。

夏休みが終わったという事で今日は、

妖怪三輪学校の始業式が始まろうとしていた。

体育館には既に1年生達が出揃っており、

他の学年が来るまでは列を崩す事となった。

友理「駒ちゃん、おはよう☆

夏休み期間でお母さんと特訓する事になった

[森修行]はどうだった?」

駒「もう~………そりゃ完璧です♡

夏休みに入る前の私とは一味違いますよ。

シュッシュッ!」

と前に空手パンチをする駒の様子をしばらく見守った。

友理「(かっ、かわいい♡♡♡)

そっか、良かった~!!

じゃあ私が買ってあげたお守りの効果だね。

きっと♪」

駒「はいっ!

……って露骨に可愛いって褒めないで下さーい!!

えっ!?何で分かったの???(友理)

今の本心だったんですか?!

え、えっと~………

今までは特に使えなかったのですが、

修行してから人の心が読めるようにもなりました☆」

とかなりのドヤ顔を決めている為、

褒められた事に対して満更でもなさそうな顔振り。

友理「えぇ~凄い!?凄いよ、駒ちゃん♪

でも駒ちゃんって[声真似]も無かったっけ?

能力は人によって[2つ]ありますからね☆(駒)

えっ、そうなの!?知らなかったぁ~」

駒「ふっふふ♪(ドヤ顔)

・・・って知ってるじゃないですか?!

あ、そういえば友理さんはその後どうでしたか?

私のお守りの効果とか~~~……(小声)きゃっ!?」

恋花「あぁ~ズルい!!

友理ちゃんと最初に話すのは、(あたし)なのにぃ(拗ねる)」

花梨「まぁ~まぁ、良いじゃないの。

それに恋花こそ、少し遅刻したんだから

最初に話せないのも無理もないわ」

恋花「それは~~~……そうだけど。

まぁいっか!

友理ちゃん、友理ちゃん!!

夏休み前ぶりだね☆会えて嬉しいぃぃぃ♪」

友理「恋花さんも花梨さんもおはよう!

2人共、元気そうで良かったよ♡」

花梨「うふふ♪

ご機嫌よう、友理さん。あと、木之下さんもね」

と言う花梨に対し、

恋花に今だ抱き抱えられたままで居る駒。

駒「はっ、はい!おはようございましゅ………

きゅっ!?(奇声)

えっ、何々~コノハちゃん、可愛いぃ♪

ああぁぁぁ!!!!!!

気にしないで下しゃい(バツ目+赤面)」

花梨「こ~ら、恋花。やめてあげなさい!!

はーい(恋花)

ごめんなさいね、恋花が~(焦)」

駒「いっ、いい…んです。グスッ……本当にぃ(涙)」

花梨(本当に大丈夫かしら???(心配)

皆んながワイワイ話していると

次は2年生達がやって来て

最初の列の人が階段上に現れた途端、

周りの子達がキャーキャー騒ぎ出してきた。

それは、階段を降りながらも

今だに慣れなれず少し引き摺った顔の蘭が、

1年生達に小さく手を振る所だった。

蘭「あ、あはは………どう…もぉ~(苦笑い)」


友理「す、凄い☆鈴木先輩……(汗)」

花梨「そうですね!

あの方は、意外と[順位的]にも高い位の方なので

校内で有名な理由が分かります。

んっ?順位???(友理)

あ、友理さんやここに居る皆さんには

あまり知られていない情報ですが、

少し話しましょうか。

まず[順位]というのは、

私達も2年生になれば分かる事ですが~

[1学年上がる]だけで生じる事情、

それは上になるに連れ

[Sクラス]というのら[実力主義者]であり、

強者揃いとなってきます。

つい最近までは~………

私達が中等部辺りの頃でしょうか?

Sクラスとなった人達だけがやっていた取り組みを

今ではSクラスに留まらず

2学年以上が主に取り組まれてきました。

実戦経験が豊富な事を重要視されますので

私達1年生はまだ名前順ですが、

2年生からは[強さ順]で評価が分かれてるんですよ」

駒「えっ、そうなんですか?!

……って事は今まで[書くテスト]だったのが、

[実戦訓練]という名のテストになるって事!?」

花梨「それは、[小テスト]の話ですね。

まぁそれ程、大きなテストになってくると

[実技と学力]の両方があると言った方が、

分かりやすいですか?」

恋花・明「ガーーーン!!ヤバい泣きそう(涙)

こんなにも2学年に上がるのが辛いとは~……」

友理(という事は、

鈴木先輩が前から4番目の所に居て

誠也先輩は、同率の5番目ですか!?

私達の知らない所で

先輩達は、とんでもない事をやっていた?!)


続いて2年Aクラス、紅葉と志童が居るクラスは

2人揃って真ん中辺りに留まっており、

3つ後ろに志童が居る状態。

次のBクラスでは、日向と瞳がかなり前の方で

2番目と4番目辺りに居て意外と順位が高かった。

列とは関係なく、

日向はいつもより(まぶた)が下がっているようだ。

日向「はぁ~………(汗)」

瞳「あら?

久しぶりにどうかしたの新條くん???

溜め息だなんて、あなたらしくもない」

日向「別に…ただの寝不足ですよ。

(千秋と同居してから

かれこれ5日も立ってるっていうのに

ろくに眠れて無いまま、新学期を迎えるとは(汗)

……ったく、図体がデカい癖に

寝相が壊滅的…過ぎるんだよ!(満身創痍)」

  ↑

※部屋は別々なのだが、

夜中にこっそり入って来る千秋は

朝になると日向の上に覆い被さるように

寝てくるのであった。


そして、2年より更にキャーキャー盛り上がって

いたのは紛れもなく3年生のターンだ。

3学年になってくるとかなりのハイレベルで

順位は定期的に中間辺りが入れ替わるくらい。

そして、Sクラスのトップに君臨するのは、

2年生の頃から変わらずの不動の1位を取り続けてきた

学校一の人気者。

皆んなからは黄色の歓声をほぼ毎日浴びている

絶世の美少女 [四宮(しのみや) 神恋(かれん)]が

順位成績、完全無欠の姫として

位置付けられていた。

神恋「皆んな~♪

久しぶりだね、元気してたかしら。うふふ♡」

男女「はーーーい!!!!!!」

彼女の後ろに付くのは、

例の仲良し天野先輩達ご一行、その後ろには雄鬼という

3年生のSクラスはまたも強者揃いの人達ばかりだった。

それから始業式が始まり、

まず最初は校長先生による長~いお話に

1年生と日向だけが眠そうに話を聞いており

瞳の伝達により何とか起きられ、

難なく通過したのだ。

それから1週間前に

千秋達2人が起こした事件について

学校側は、前回のような処分を

生徒達に簡潔に説明してくれた。

これにより全校生徒が、

[特別部隊]がどんなものなのか知られてしまった。

※メンバーは公表していない。

知っているのは、ほんの僅かな人だけ!


そして、ようやく長い長い始業式が終わるかと

思えた矢先に先生から重大な話を持ち掛けられた。

先生「それでは今日は、

全学年が体育館に出揃っているという珍しい機会に

皆さんにご報告したい事があります。

新学期早々、

この妖怪三輪学校に転校生がやって来ました♪」

男子達「えっ!?マジで!!

どんな子だろうな?男か、女か???」

女子達「えぇ~!誰だろう?

女の子だったら絶対に可愛い子だよね?!

勿論、どの子が来ようと四宮様一択ですが~♪」

先生「コホン。では、とりあえず……

皆んなの前で自己紹介をしてくれますか?」

???「はい」

と先生にしか聞こえない程度の声で返事をし、

舞台袖から出て来たのは

腰下まで長いふんわりストレート髪に

(つや)のある若菜色に薄黄色っぽいベージュの瞳。

透き通った肌色におっとり目の形をした

夏服姿のワンピースに胸元には黒いリボンを付けていた。

魅力的な女子生徒が舞台の上に立っている。

???「京都から来ました、[茨木(いばらき) 桃華(とうか)]と言います♪

これから皆さんと仲良くなれるよう頑張りますので

どうか、よろしくお願い致します」

ふわふわ口調で淡々と自己紹介を終える桃華は、

先生に向かってニッコリとした目線を送り

合図を出した。

先生「お気遣いありがとうございます。

では茨木さんは、[1年Aクラス]となりますので

彼女と同じクラスの方々は、

この学校について何かと教えてあげて下さい」

男子達「えっ?

想像以上に可愛い子がキタぞ?!

あの子が、1年Aクラスなのか???

うわぁ~………(汗)

俺も同じ1年だったら、一緒だったのかな~」

女子達「か、かかっわいい♡♡♡

何あの絵に描いたような美貌の持ち主はっ!?

目のやり場に困る容姿、美し過ぎるわ♪」

先生「え、えぇ……っと(汗)

という事なのでこれにて、

2限に渡る始業式を終わりたいと思います」

全生徒「ありがとうございました!」


3年生達がゾロゾロと帰っていく中、

再び舞台袖に入って行った桃華を見てこう言った。

恋花「へぇ~☆

あの子が、私達のクラスなんだ♪

て事は、Aもしくは〜いやリボンが黒いからSクッ…」

花梨「恋花、そろそろクラスについて

深く考え過ぎないよう気を付けてよ?

やっと昔よりマシになってきたんだから」

恋花「あっ、ごめん(汗)

どうしても………気にしちゃう癖が抜けなくて~」

と体育館を退場する際に

久しぶりの学校、皆んなの嬉しそうな表情を見て

ニコニコとした顔で周りを見回す。

今まで自分の事だけを最優先に考えていた事もあり、

周りをよく見れていなかった面をずっと気にしていた駒。

そんな未熟だった自分もこれでお終いと言わんばかりに

吹っ切れた顔付きで歩いていく。

そんな中、ふと斜め前に居た友理を見てみると

何やら険しそうな顔で顎に手をやり、

考えている事に対して駒は疑問に思っていた。

駒「んんっ???」

友理「・・・」

一方、1年D組・・・

続々と体育館から去っていき、

雫のクラスも同様に列に並んでいたが

2年生と3年生が座っていた辺りに

ある物が落ちていた事に気付き、

雫は1人でに向かっていた。

芽亜「んっ?ユキっち、どうしたの???

あ、えっと誰かの忘れ…物かな?(雫)

うわ~これ高いボールペンだね、どうするの♪」

雫「どうするも……何も。

今すぐにでも先生に預けて来るよ!!」

芽亜「でもさでもさ、

なんか見た感じ大事な話っぽいよ。

転校生も来た事だからアタフタしてるみたい。

でも今、届けた方が早いと思うけど………(雫)

持ち主には悪いけど、昼休みにでも届けたら?

私達、これから体育だし着替えないとじゃん」

雫「そ、そっか…体育だもんね(汗)

……うん!じゃあお昼休みに届けて来るよ」

芽亜「そうしよ、そうしよ☆

ユキっちってそういう所は、律儀(りちぎ)だよね♪」

雫「うーん、普通だと思うけど~???」

と2人の何気ない会話を交わしながら

体育館の階段を登って行くと

その後ろの柱から何やら黒い影が雫を見つめていた。


お昼休み・・・

久しぶりの授業で疲れたのか

かなりげっそりしていた芽亜に寄ってたかる3人。

美夏「芽亜ちゃん、大丈夫?

なんか目の下にクマもあるし、何より顔色が悪いよ!!

最近、夢食べられるくらいぐっすり眠れてる???」

芽亜「うへぇ~~~(泣)

そういえば、ここんとこれんれんから貰った

ケーキの余韻とかゴロゴロゲームとか

何やら夜更かししてたから

全然、寝てないし見てない!!(涙)」

凛音「はぁ……何してるのよ(呆)

芽亜、自分の特性をちゃんと理解してるわよね?

あなたの場合は、夢を食べる頻度が多いんだから

食べないと体に悪いわよ。

分かってるもん、分かってるけど~(芽亜)

な~に?(怒りスマイル)

どうせ最後に食べた[夢の味]が、

個人的に嫌な味だったから

嫌だとか言わないわよねぇ???(ピキッ!)」

美夏・雫(じ、尋問だ………(汗)

芽亜「そ、その通りで…ございましゅ(ズタボロ)」

凛音「もう~……」

美夏「まぁまぁ、凛音ちゃん。

人によって味の好みは分かれると思うからさ(汗)」

凛音「美夏、あんまり芽亜を甘やかさないで。

芽亜が不健康まっしぐらになるのは、

あなたも嫌でしょ?」

美夏「うーーーん。

芽亜ちゃん、また夢探し手伝おうか???」

凛音「だから甘やかさないでって~はぁ………」

雫「・・・。

あっ、そういえば私…職員室に行かないとだった。

えっ?あぁ~……例の忘れ物だっけ?(芽亜)

はい♪

ですから私、行って来ようと思います!!」

という雫の返答に凛音は、ワンテンポ遅めに返す。

凛音「………1人で平気なの、雫?」

雫「えっ?

あ、確かに職員室があるのは

3階フロアですが、きっと大丈夫ですよ。

お気遣いありがとうございます、神楽さん♪」

凛音「そう、ごめんね。引き止めちゃって(汗)」

雫「いえいえ。では、行って来ますね」

と言って雫が、D組の教室を出て行ったのだ。

すると芽亜が、

イタズラっ子のようなニヤけ顔で凛音にこう口にする。

芽亜「あれあれ???

甘やかしてるのは、リンりんの方じゃない?(笑)」

凛音「違うわよ。

でも何で私、あんな事…言ったのかしら?

3年生だからじゃないですか???(美夏)

うーん、でも私達1年生と2年生と比べたら

3年生は比較的、落ち着いてる方だと

私は、思うけど。どうしてかしら?(困惑)」

ぐぅ~~~・・・

芽亜「あっ、お腹空いちゃったぁ~

これはこれは…お恥ずかしい(テヘペロ)」

2人「全然、恥ずかしそうには見えないけど(汗)」


一方・・・

雫(神楽さん………どうしてあんな事、

私に聞いてきたんだろう???

まるで一時期、過保護な時の[式神様]みたい。

うふふ♪

そうだ。早く式神様に会って

妖力操作が上手く扱えるようになった事、

伝えたいし、もし会えたら褒めて貰おう~♡)

そう思いながら1年A組の階段の方から

遠回りに見えて近い3階フロアへの階段を上り、

職員室へ入っていく。

先生「わざわざ届けてくれて、ありがとね。

えっと~……雪乃さんだっけ?」

雫「はい♪

持ち主の人、きっと探してると思って

早く渡しに行きたかったのですが、

都合が合わなくて~………でも良かったです!

それでは私は、これで。失礼しました」

と言い、職員室から見えない所で

渡り廊下をスキップしていくが、

すぐに辞めて時計を確認した。

雫「あっ、もうこんな時間っ!?

あと20分でお昼休み終わっちゃうよ(汗)」

そう思い雫は、走らない程度に急足で

廊下を歩いていると曲がり角から人が出て来たのだ。

雫「あっ!?」

ドン!!・・・・・

雫は、少し跳ね飛ばされたが

尻餅を付いたお陰で怪我はしなかった。

ぶつかった男子生徒も壁に寄り掛かっており、

何とか無事だった。

男子「おっと……すまんな、よそ見してたわぁ。

大丈夫だったか?」

雫「アタタタ…へ、平気です」

と言って男が伸ばしてきた手に掴もうとした途端、

男子生徒は少し強めに雫の手を掴んだ。

男子「いや、悪かったねぇ~………(笑)」

雫(すみません。

私もよそ見していたせいで…(汗)

男子「やっと見つけたよ。

いやぁ~君が俺のボールペン、届けてくれたの?」

雫(はい、たった今届けた所なので)

男子「助かったよ~

俺、普段ボールペンなんか使わないんだけどさ

友人から貰った高級なやつだったから焦っててよ」

雫(そうだったんですね、それなら良かったです。

……ってあれ?

どうして私が、ボールペンを持ってる事を

この人は知って???

それに私、さっきから声が出ていないような………)

男子「それでなんだけどさ、

俺のボールペンを届けてくれたお礼として……

[新條 日向]って奴を殺してくれないか?」

そう、この男子生徒は

まさかの日向と千秋の因縁のあるあの男で

雫は、まんまと彼の能力によって

言いなりとなってしまったのだ!!

善意でやった事が、まさか一瞬にして

地獄へ突き落とされる感覚だった。

雫(わ、わた…しが、新條先輩を???

えっ?あの……何かの間違えです…よね?

だって………そんな事っ!私に出来る…わけ(汗)

男「返事は???」

雫「はい……(無表情)

(嫌だ、嫌だ嫌だ…嫌だよ。

誰か…誰か……助けて………よぉぉぉ(掠れ声)」

と体が1人でに動く中、雫は必死に抵抗した。

が、低級妖怪である雫が精神系の能力者相手に

敵うことも無くただひたすらに部室へと向かって行く。

その(かん)、男は高みの見物と言わんばかりに

2年生フロアの近くの階段から

遠くにいる雫の事をじっと見つめている。

男「ふん…(笑)

(あの時、アイツをすぐに連れてボコッていれば

こんな事にはならなかったんだ。

俺らよりもよっぽどアイツらの方が殺人罪だろうに

結局、商店街の一件はあの大男だけが捕まった。

1人ノコノコと学校に来てる殺人犯を捕まえなかった

あの閻魔騎士も赤の他人に頼る必要もない。

だから、その腹いせとして

たった1人の為に犠牲となって貰おうじゃないか。

そうすれば、俺は晴れて冤罪となる)

あはは……アハッハッ………うお危なっ!?」

と男が口元を緩ませケタケタと笑っていると

死角から突然、出て来た紅桔梗の髪の子が

通り過ぎていく。

男は思わず、大きくバランスを崩し

逆に尻餅を付いてからその子が、

控え室へと入っていく所を目撃する。

それを見た雫は、こう思った。

雫(り、林堂さん!!助けてっ!

今、林堂さんが通り過ぎた人が

私を操ってぇ~……引き返…しぃ。

そ、そうだった。

私………何も喋れないんだった(涙)

どうして?私が、こんな目に

ただ落とし物を拾っただけなのにぃ!!)

そんな葛藤も構わず雫は、

部室の方へと歩いていくだけだった。

男「うっ、急に現れて思わず驚いたが

アイツが入ってったのって控え室だったよな?

(そうか。

あの一つ目が向かって行く先は~………

あそこに居るんだな、新條が……(笑)

じゃあちゃ~んと、この目で見届けないとな♪」

男はそう言って雫の後ろを歩いて行き、

控え室のスライドドアの窓から姿勢を低くし

教室の中へと入っていく雫。

男は、教室とは反対側の壁に張り付いていた。

男(これで準備、完了…だな☆

良いぜ、お前のタイミングで行きやが………

バタン!!!!!!・・・

なっ、中で一体何が起こった……???)

と思った次の瞬間、壁から男の体を

妖術が3箇所ヒットし妖力漏れを引き起こすと

同時に黒妖縄で縛られるという

男からしたらよく分からない状況が続いた。

男「はぁ?!何なんだよ、これは!?(慌)」

と1人廊下で喚いていると

スライドドアのガラガラ音と共に

日向が赤色の瞳を光らせ、冷たい目付きをしながら

出て来たのだ。

男「なっ!?

な、何で…俺に気付いた???(焦)」

日向「・・・。

協力のもとだよ、僕1人の力じゃない」


回想・・・

友理が部室に入って行く前の事だ。

日向は、蘭達が来る前にひと足先に

少しの間だけ仮眠を取っていた。

緑色のソファーをベッド代わりにして寝ている。

「スゥー……スゥー……スゥー……スゥー……」

日向が来て5分後くらいに蘭達も到着し、

寝ている姿に2人は静かに見守りながら声を発した。

蘭「あ~れ?

日向くん、教室に居ないと思ったら

早めに来てたんだね。

ていうか、本…枕にしてねぇか?(焦る誠也)

それくらい眠かったんじゃない。

始業式よりも朝の方が眠そうだったし」

誠也「誰かと同居すると

自分の生活リズムって崩れるもんな。

分かる、分かるわ~〜〜うんうん」

日向「誠也に生活リズムっていう概念あったんだね」

という言葉に目を向けると

ジト目でこちらの様子を伺っている日向に対して

ワンテンポ遅めに電撃が走った。

誠也「・・・。

お前、起きてるなら言えよな!?!!!!(驚)」

日向「うるさいな~……もう少し静かにしてよ?

ちょっとしか寝れなかったけど、十分かな。

はあ~ぁ(あくび)

大丈夫そう、保健室とか行く?(蘭)

いや、それは無い(即答)

サボりにしか聞こえないから嫌だ」

誠也「昼休みなんだし、行けや良いじゃんか。

まぁ、そもそも鬼塚なんだし~

その辺の諸々の事はやってくれるんじゃね?(笑)」

日向「だから行かないってば!」

プィッとそっぽを向いたっきり、

誠也には目もくれず黙々と本を読み続ける。


数分後・・・

部室のドアが開いて

すぐに蘭が友理に向かって挨拶してきたので

完結に済ませた。

蘭「あ、友理ちゃん?おはよう。

珍しいね、お昼休みに来るなんて♪」

友理「おはようございます!!

はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……はぁ…ゴクリ」

と息を呑みつつ友理は、

いつも通り挨拶をしない日向に後ろから耳打ちをした。

友理「先輩、雪乃さんが

誰かの能力によって操られています。

もうしばらくしたら、この教室に来ますので

先輩からでも分かるように

[マーキング]しておきましたから

雪乃さんの事は、私に任せて下さい!(小声)」

日向「・・・。

(はぁ……よりにもよって新学期早々に。

予定してた方針通りには上手くはいかない、か。

し・か・も~よく見えるし)」

と言うのも日向が後ろを振り返って

すぐ目に妖力を込め、初めて妖力と妖気の痕跡が

はっきりと見える視覚を使った。

男の背中には青いモヤが濃く付着しており、

人の形を模ったものがノコノコと近付いて来る。

死角から友理がこっそりと付けていたのだ。

ちなみにあの男への仕返しについては、

特別部隊の皆んなには既に伝達済みである。

日向「分かった(小声)」

と言って読んでいた本をパタリと閉じて

雫が来るのを待った。

ソファーを背にして友理は、ドアをじっと見つめる。

友理「・・・(汗)」

そして、2人を除いて友理と日向は警戒し

万全の状態で雫が来るのを待った。

相変わらず蘭は他愛もない挨拶を交わすも

雫は、黙って進みハイライトの無い瞳で

日向を見つけると狙いが定まったかの様子だった。

雫が手を前にする素振りすら見せず、

誠也達には見えない妖術が

日向にだけは見えており、目に妖力を込めなくても

自然とうっすら見えるものだ。


日向(僕も操られた時は、

ああいう顔を…していたのだろうか?

どこか無愛想で……何を考えているのか分からない。

それでも意図してこうなった訳じゃない

そんな自責の念に駆られるような………

どこか泣きたくなる痛みが。

何にせよ、これで雪乃さんが操られたのは

[偶然]である事には何の変わりもない。

今見て分かった事だけど、

雪乃さんのポケットの中にある

細い…何かがさっきまであった痕跡が見える。

細さ的にペンか?

物に[微量の妖気]を感じる。

妖気では肌で感知しにくい分、

証拠には残りやすいがアイツの事だ。

すぐに対象を操ってもみ消そうとするだろう。

[弱い妖怪]にだけしか

目視できないよう暗示が掛けられている

特殊な手口で。

これは……無差別であり、誰でも良かったんだ!

知ってる人でも知らない人に撃たれれば、

誰だって動揺もするし恨まれる可能性も………

自分に罪が掛からないよう変な計算をしてね?

それにこっちは、友理さんのお陰で

アイツの正確な位置がはっきりと分かる。

アイツは馬鹿にもこんなにも近くで

見物して偶然とはいえ、

僕らの仲間を駒にした事、後悔…させてやる!!」


根こそぎ妖力を勝手に使われチャージし続ける最中、

雫もずっと抵抗し続けていた。

雫(嫌だよ、嫌だ嫌だ。

私は、先輩を……新條先輩を殺したくない!

やっと…やっと2人が再会したのに

そんな事したら、例えあの人が私を操ってても

私は………一生後悔する!!

式神様……先輩…でもいい。

誰でもいいから、私を………殺してっ!(切実)

とチャージし終えた妖術が目元を暗くさせた日向、

目掛けて解き放たれようとした

その時だった!!

友理は、死角から雫に突進するかのように

勢いよく抱き付き後ろへと押し倒したのだ。

バタン!!!!!!・・・

倒されたと同時に1つの妖術が発動し、

部室の壁を少しエグッた。


蘭「何っ!?(汗)」

誠也「???」

雫「……えっ?

あ、あぁ…あっ、あぁ…あ、あぁ……ぁぁ(困惑)」

と友理が予想外の動きを見せた影響か

雫は、壊れたロボットのように

友理と日向を交互に見合わせる。

日向「(なるほど、僕を攻撃する以外の指示は

行き届いてなかったんだね。

精神系能力者、特有のデメリットを

彼は、アイツは………だから)

妖術:壁抜け、陽炎(かげろう)っ!」

と言って指先を内側に丸め込み手の平を開いた。

禍々しい黒紫色の人魂を分裂させ

威力を最小限に抑えたものを

壁にある自分の影を通じて妖術を撃ち込み、

青いモヤが撃たれると

風穴が空くようにモヤが揺れた。

日向「黒妖縄、拘束!!」

と呟いて拳をガッと握り締め、

同じくして廊下に居る男が困惑した声を聞いて

すぐ能力が切れ、雫は元に戻り涙が溢れた。

雫「林堂…さん、ありが……とう(泣)

お陰で……お陰で助かったよぉぉぉ。

はぁっ!はぁっ!……グスッ………(涙)」

友理「雪乃さん☆もう…大丈夫だよ」

そんな2人に構わず日向もドアを開け、

男の問いに答えたのだ。


回想終了・・・


ゾロゾロと部室から出て来る人を見て

かなり青ざめている顔を浮かべ、

先程まで日向の驚くような死に顔を想像していた

男は、日向を見るなりこう言った。

男「お前…一体、控え室で何してたんだよ?!

移動教室以外は使えない場所に……

こ、こんな人達が

お前みたいな低級妖怪なんかと話す理由が、

どこにあんだよ!Sクラスなんだぞ!?

この意味、分かってぇ………」

誠也「うーんっ?

用も何も……ここは俺達、特別部隊の部室だぞ?

今日の始業式で聞いてなかったのか???」

蘭「ちょっと誠也っ!?

特別部隊のメンバーまでは公表してないのよ?(焦)」

誠也「良いだろ、別に。

知らなかったのは相手の不手際なんだし、

状況がいまいち理解できねぇけど~

確かなのは、コイツが後で閻魔騎士に

引き取られるって事だけだからな」

と首を鳴らしながら腕を後ろに回す。

男「と、特別部隊?

そういや始業式にぃ~

そんな事、言ってたような気がするが

お…お前もそうなのかよ……(冷や汗)」

日向「そういう事だ。

何かの腹いせに

僕を攻撃しようとしたみたいだけど、

この()に及んでまだ口答えする気があるんだね?」

男「あっ、あぁ…当たり前だろ!!

結果的にはお前は中学の頃と

何にも変わらねぇ、ただの弱虫だって事がな?

結局、弱い奴ってのは誰かに頼らないと

行動できない駄目な奴ってな!(笑)」

と男は、平然と日向の前でケタケタと笑っていると

体から漏れ出る黒い妖力に

目もくれず日向は男のよれた襟に掴み掛かり、

男を引き寄せる。

日向「何?ヘラヘラ笑ってんの???

お前の立場は、お前が一番よく分かってんだろ。

いい加減、身の程を弁えろよ!!(キレ気味)」

と光った赤い瞳が濁り、

怒りのままに目から光が自然と消えた。

男「……っ!?(恐怖)」

誠也「お、おい…日向っ?!

それ以上は止せって!(汗)」


雄鬼「そこまでだ!!(牽制(けんせい))

ビクッ!(一同)

妖怪三輪学校[校則第4193条]、

校内で[妖力漏れ]を起こした加害者、被害者、

どちらも即座に身柄を拘束せよ」

と日向達から雄鬼がいる所まで

かなり距離が離れていたが、足を一歩出すだけで

一瞬にして全員の視界から消えた。

気が付けば、日向の肩に優しく手を乗せ

男から引き剥がし、あの男だけが

頭を床に足で押し付けられていたのだ。

誠也「うわっ!?!!!!

マジで心臓止まるってば?!(バックバック)」

男「……えっ、はぁ???」

雄鬼「・・・。

私に知らせるとはいえ、

校則には引っ掛かるし少しやり過ぎだ。

感情を誰かに向けるのは自由だ、それは構わない。

だが、怒りのままに暴走する事だけは

君にはやって欲しくない。

あっ……すみません(我に返る日向)

いや、良いんだ。それが正しい」

少し長めの前髪が片目に掛かり、

どこか優しい表情をして日向の頭を撫でていた。

[それから~]と雄鬼が、

斜め下に居る男に向けた時の目は

今すぐにでも殺すと言わんばかりな表情で

目をかっぴらいていたのだ。

雄鬼「貴様が、5年前に起こした殺人について

だが………心当たりが…あるな?(鬼の形相)

……っ!俺じゃない、俺じゃっ…(焦る男)

お前が否定した所で状況は変わらない。

冥界送りにされた被害者からは、

既に詳細を聞き出しているし届け出も出ている。

[共同正犯(きょうどうせいはん)]に[傷害罪]、[殺人罪]これ以上、

罪を重ねたくないのなら大人しく同行して貰おうか」

男「何でだよ!!

加害者と被害者も拘束するって…

取り押さえる話じゃなかったのかよ!?(焦)

何で俺だけが、こんな目にぃ」

日向「……っ!(怒)」

雄鬼「安心しろ。

お前だけじゃなく共犯者や4年前に共闘した奴らも

時期にお縄に付くことだろう。

貴様1人だけでは無い。

それから加害者側の日向にも勿論非はある…けど

それは、また別の話だ!!

お前は取り返しのつかない殺人にまで

手を付けた事には……変わりない!」

男「うっ………(汗)クッソ!…んっ?」


・・・・・


???「お前さんには……[死]を待つよりも

(わたくし)が[貴様の運命]を先通りしてやろうか?

そうだな。

貴様には、[死]すら生ぬるいかもしれんが

何より…(わたくし)の[娘]を身代わりにした罪、

ソナタは知っているか?」


・・・・・


突如として男の脳内に声が流れ始め

女性の声が音信不通になった途端、

男の声や瞬きをする暇も与えず

全身に切り込みが入り切り刻まれた。

体が一瞬にして木っ端微塵となり

黒い血溜まりだけが、廊下に残されたのだ。

全員「・・・っ!?(驚)」


一方・・・

3年Sクラスの教室にて、

仲睦まじく机を囲って昼食を取っていた天野一行。

時を同じくして大量出血を引き起こした途端に

キョトンとした顔で麻上(あさがみ) 和歌(わか)がこう口を開いた。

和歌「はにゃ?

今、誰かの妖力漏れ……いや血の音がしたな」

玲「んんっ?

私は、気付かなかったけど~

和歌がそう言うなら、そうなのね♪アチッ(猫舌)」

和歌「天野は呑気じゃな~

耳が良いとはいえ、血の音は少々気分が下がる」

香帆「では、誰なのでしょうか?

被害者を悲しむつもりは無いけれど、

やったのは神恋よね」

2人「んっ?

イネちゃん、それはど~ういう…???」

イネちゃんこと稲倉(いなくら) 香帆(かほ)がそう言うと

2人揃って神恋の顔を見るなり、

[あぁ~なるほど]と疑いもせず頷いた。

なぜなら皆んなの視線の先には

いつもは綺麗なエメラルドキャッツアイの瞳が

今では、光を失った目で

[力を使ったんだ]と理解できたのだから。

玲「ねぇ、どうしたの神恋♪

いつにもなく……そんなに怒っちゃって~」

和歌「[我が弟子]に何かあったのかえ?

[我が娘]よ、間違えないで和歌…(神恋)

おう、そうじゃったな。

ワッハッハ!!!!!!(ゲラ笑い)」

香帆「少し静かにして頂戴な、和歌。

せっかく4人揃ってでのティータイムですのに」

和歌「すまんにゃ、すまんにゃあ(笑)

昔から言い間違えには笑っちゃうもんでな♪」

香帆「はぁ~……(汗)」

玲「それで、どうかしたの?」

神恋「別に。

ただ~………愛する[娘]を

追い詰めた卑怯者の霊体を潰してやっただけよ」

そう言ってティーカップを口まで運び、

光の無い目をゆっくりと閉じてから口にする。

[冥界と現世]に行き来できる唯一の方法、

それは……妖怪1人1人に与えられた

[本体]であり、冥界にしか存在しない[霊体]。

その体を使って

後戻り可能なリスポーンのような役目を

果たしていたが、あの男の体自体を

神恋自らの手で下したのだ。

ある意味、完全犯罪だが

彼女が罪に問われる事は決してあり得ない。

玲「あらら~

そんな酷い事をする妖怪がこの世に居るだなんて

じゃあその子、もう2度と…帰って来ないわね♡

まぁ、流石の(わたくし)も我慢できませんが」

和歌「全く……あんなにも良い子ちゃんを~」

香帆「あらあら♪」

皆、ニコニコと笑って談笑していたが

笑顔の裏には恐ろしい一面を見てしまった

学校一の人気者達。

そんな会話すらも聞こえていない

同じクラスの子達と廊下で見てるだけの野次馬達は

和んでいた。


場面は戻り・・・

日向達は、先程まで目の前に存在していた

変わり果てた男の姿と裏腹に

黒い血の海を見て皆、言葉を失っていたのだ。

静寂とした空間の中で

開口一番に口を開いたのは友理だった。

友理「あの……えっと、これは…一体???(焦)

・・・(雄鬼)

私達は、何も…していませんでしたよね?!

じゃあこの目の前にあるものは、何なんですか?

・・・(3人)

そ、そういえば……冥界に行った妖怪って

確か…覚えていない筈……ですよね???

なら、私が今見ているのは夢…でしょうか?(汗)」

雄鬼「分からない。分からないが、

不測の事態が起こっているのは確かだ。

コイツの[霊体反応]が途絶えている!!

えっ!?(3人)

コイツが誰かの逆鱗にでも触れたんだろうな。

おそらく、[冥界以上]の場所まで

逝かされた可能性も………」

誠也「それ以上の場所って……どこだよ(汗)」

雄鬼「さぁ、な?憶測を言ったまでだ。

とにかくこの事を私は、一刻も早く

[閻魔大王様]にお伝えするとして

君達…特別部隊にも

どうか、この事を内密にして頂きたい。

またコイツと同じような死亡者を出さない為にも

八瀬は[四大妖怪]と戦い続ける事を()すんだ。

おいっ!?それとコレとじゃ関係ないだろ(誠也)

・・・(圧)

それと日向くんには校則を破った罰として

1週間ぐらいでいいんだが、

私の仕事をしばらく手伝って貰いたい」

日向「雄鬼さんの……手伝い???」

雄鬼「あぁ、まぁ…簡単な仕事じゃないが………

日向くんにだけは教えたい事があるんだ」

誠也「とか言っといて…あの仕事じゃないよな!?

俺が酷く(しご)かれたやつ(怒)」

雄鬼「馬鹿か、お前はっ!

アレはお前の[雑務]であって[ただの罰]だ。

どこが雑務だよ、お陰で死にかけたわ?!(誠也)

それはそれで何があった……(日向)

とにかくだ、その仕事はさせない!!

八瀬と違って日向くんの方がよっぽど軽いからな。

危険過ぎる仕事は、[貴様]だけでいい!」

誠也「その危険を俺にぶん投げんな!?

俺だって全体的に強い訳じゃないんだぞ」

雄鬼「だったら、やるな!!(怒)」

蘭「あはは…また始まっちゃった。

誠也って3年生と絡むといつもこうなのよね~(汗)

やっぱり同じ種族同士だからかな???

へ、へぇ~…そーなんですねぇ(点目な友理)

一緒にしないで貰えます?(日向)

もう……牧原くん、誠也…止まって」

ニコニコと微笑みかけながら

蘭は、2人の間に入っていき止める役目を全うする。


その場を蘭に任せ、

日向は雫の横へとさりげなく行った。

日向「大丈夫でしたか?雪乃さん。

すみません、アイツには気遣いとか他人の懐に入る

事にあまり躊躇(ためら)わない奴でして

その~…気にしないで下さい。

こんな風に罪を償わなかったのは残念ですが、

それよりも雪乃さんに

1人で……怖い思いをさせましたから。

僕の都合とはいえ、巻き込んでしまって

本当に………(汗)」

雫「そ、そんな事ありません!!

怖かったのは確かに本当ですが、

何より…私が新條先輩と佐賀先輩の………

お2人の縁を断たなくて…本当に良かったです(涙)」

日向「……っ!

・・・ふん…そっか。

ありがとう、ございます♪雪乃さん………(笑顔)」

どこか日向の中で吹っ切れたようで

無事2人の因縁は、ここで幕を閉じたのだった。

色んな出会い、別れや衝突が起こったものの

2人の仲は健在である。

後に何も知らない千秋には

最後まで見届けられなかった後悔からか、

雄鬼自ら伝えられる事となった。

千秋「ガーーーーーン(カクシ)」

羽衣「どうしたんですか?」

千秋「なっ、なぁ~んでも無いぃぃぃ(泣)」

羽衣「???」

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