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side キツネの姉の方

 ──あーあ。ここまでなのかな。私たち。ようやく中級探索者になれたばかりなのに。できたらこの子だけでも逃がしてあげたいけど。


 私は双子の弟を見ながら、大鎚を振るう。

 振り下ろされた大鎚の下でスケルトンの骨が粉砕される感触。私の大鎚はスケルトンとの相性は幸いなことに最高といってもいい。


 問題は数だ。

 重量武器は、どうしても手数が少なくなりがちで、無数にいるように見えるスケルトン達への対処が間に合わない。

 忙しく耳を動かし全方向の音を拾って周囲を取り囲むスケルトン達の挙動を把握。


 ──次は、ここっ


 くるりと身を翻し、斜め下から打ち上げるように大鎚を振るう。


 ──二体、いや、三体は行動不能にした。次はこの勢いのまま右後方へ振り下ろすっ


 踊るように大鎚を振るう私。その私を補佐するように動いてくれている双子の弟のゴンタ。問題は、弟ゴンタのメインの武器が弓矢なのだ。


 これは本当にスケルトンと相性が悪い。矢はスケルトン相手には効率が悪すぎる。仕方なくゴンタはサブで持っていたナイフを振るっているぐらいだ。


 ──ゴンタの弓の腕は、最高なんたけどね。どうしたって相性はあるよね。


「ねぇ、ゴンタ。私がスケルトンに突っ込んで道を開くから──」

「バカいってんじゃねえよ、姉貴。僕だけ逃げるわけないだろ。だいたい、いくら姉貴でもこの包囲は抜けられないって。というか抜けれたら、姉貴が逃げろや」

「だよねー」


 骨を粉砕する音の合間にそんな会話をかわしていたときだった。急に周囲に、半透明の膜が現れる。

 私は思わず悲鳴をもらしてしまう。


 周囲を取り囲むスケルトン達は驚いた様子もなく、その膜へとその粗末な刀剣を振るってくる。

 がんがんという音だけが、響く。

 堅そうには見えないその半透明の膜だが、なんと一切スケルトン達の攻撃を通さない。


 ただ、どんどん押し寄せるスケルトン達が、やがてびっしりと膜に張り付いていく様子は、内側から見ているとなかなかホラーだった。


 そんな私たちに、可愛らしい声がかけられる。

 なんとその子は宙に浮いていた。


 子供のような小さな体に、ややダボダボの大きめのローブ。そして艶やかな美しい黒髪におおわれた顔にはメガネ。全体的に幼げに見える顔立ちの中で、そのメガネの奥の瞳は理知的な輝きを放っていた。


 ──なにあれ、めっちゃ可愛い。そして浮いてるよ、すごいっ。ホウキがないけど魔女さんかな。


 ゴンタとやり取りをしていたその子はアルマちゃんと名乗っていた。

 見習い魔女といっていたが、到底信じられない。


 私たち中級探索者二人でどうにもならなかったスケルトン達が、アルマちゃんと、お供のコボルトの二人の活躍で、あっという間に倒し尽くされてしまう。


 見える範囲全てのスケルトンが倒されたところで、半透明の膜が消える。どうやらこれもアルマちゃんの魔法のようだった。


 地上に降り立ったアルマちゃんが、ゆっくりとこちらへと近づいてくる。

 ゴンタが謝意を伝えている。なぜか先程までの、てきぱきとした様子から一転、年相応の幼さを見せるアルマちゃん。


 ──近くで見ると、もっと可愛い!


 こちらを上目遣いで見てくるアルマちゃんが可愛い過ぎて、私は思わずしゃがみこみながら、ぎゅっと抱き締めてしまう。


「アルマちゃんっ! ありがとう! 私はルナ、よろしくね」

「おい、姉貴っ」


 ゴンタが私に文句を言ってくるが、アルマちゃんは急に抱きつかれても気にした風もなく、逆に私のことを抱き締めて返してくれる。


「ん。ルナ、よろしく」


 モフモフ──と呟くようなアルマちゃんの声が、聞こえたような気がした。


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