新たなるモフモフ
私とクローが駆けつけた先にいたのは、二人の迷宮探索者のようだった。
──キツネさんだ
思わず、反応してしまう。
その耳はピンと三角形に頭から飛び出していて、立派にその存在を主張している。
根本の金色から先端に向かうにつれて黒く変化していくグラデーションが、まず美しい。
そして、うっすらとその毛におおわれている耳自体は柔らかそうなのに、しっかりとした形を保っていて、手で触れたら確かな感触を与えてくるのが、容易に想像できる。
それが、二人分。
四つのキツネ耳。
それがスケルトンたちに囲まれ、苦戦しているようだった。
「──あの耳は、助けなければ」
「アルマ殿?」
「私が彼らの周囲に詠唱魔法で壁をはる。クローは周囲からスケルトンを削っていって」
「承知した」
私の漏れでた独り言に突っ込むことなく、スケルトンの方に突っ込んでいってくれたクローの優しさに感謝しつつ、私は宙に浮いたまま魔法の詠唱を始める。
「『参照』仮承認グリモワール:『アルマの手記』第二章第二節。範囲指定グリッド作成開始。有効範囲設定。対象設定:視認。対象設定。対象設定。魔力圧縮率800パーセント。円柱状設定、オートコンプリート実行、実行、実行」
グリモワールの第二章は補助的な魔法が記載してある。
そのなかでも防御の特化した詠唱魔法を、二人の迷宮探索者の周囲に、展開する。半透明の魔力の膜が、二人の周囲に展開された。
「キャッ!」「な、なんだこれ! 大丈夫か、姉貴!」
女性らしい悲鳴と、それを心配する声。
──ふむ。姉弟のようね。
私は恐る恐る詠唱魔法の膜に触れているキツネの亜人の姉弟に声をかける。
「私はアルマ。苦戦しているようだったから手を出させてもらった。手助けは不要?」
「──いや、助かる。もう、僕も姉も限界だった。アルマさんは魔女なのか」「ねえねえ、あの子、浮いてるよ! すごくない!」「姉貴は少し黙って……」
私は姉弟のパタパタ動くキツネ耳の様子を微笑ましく見ながら答える。
「見習い魔女。少し、待ってて。スケルトンを殲滅する」
クローの相変わらず素早い動きの邪魔にならないように、私は再び魔法の詠唱に入った。
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