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人界魔討伝〜三魔〜  作者: 人工サンマ
76/77

第七十一魚 デンジャラスな秋刀魚

 サンマーズレッド「あ、あなたは?」

 サンマーズブラック「俺は謎の戦士。今回は貴様らを助けたが2度はない」

 サンマーズブルー「な、何者なんだ」

 サンマーズピンク「待って!お名前だけでも!」

 サンマーズブラック「俺に名などない。俺に近寄るな」

 サンマーズレッド「一緒に戦ってください!貴方とならサンマーライオンに対抗できます」

 サンマーズブラック「……貴様らで勝手にやってろ」


 ナレーター「現れた謎の戦士。一体この人物は!?」

 ───続く


 三魔「人界魔討伝〜三魔〜このあとすぐ!チャンネルはそのままだ!」


 超合金!サンマーズ七輪!

 サンマを受け継ぎしサンマーズの力を君の手に…!!

 サンマーズ七輪でサンマを焼け!

 超合金DXサンマーズ七輪!

 〜鮮魚売り場にて〜


 サンマーズベーコン!

 サンマーレッド「俺たちのベーコンが発売だ!美味しい!新鮮!食べれるベーコンだ!!」

 サンマーブラック「必ずカードが1枚着いてくる!」

 サンマーグリーン「ゴールドカードを当て豪華景品と交換だ!」

 〜鮮魚売り場にて〜


 ~~おサンマをキメる時は、周囲を明るくしてテレビから離れてみましょう。また、精神状態を安静に保ち、夢と希望を持って見ましょう~~


【字幕】【副音声】

【サンマランド南部 PM.12:00】

 正午、太陽が一番高い時。

 往来する人々とアスファルトの地面から立ち上る熱気が喧騒とする。

 腹を空かせたサラリーマン達は、行きつけの定食屋に向かい、額に汗を浮かべる。


 それらをタクシーの中から横目で眺め、永愛(えあ)・リアルーはため息を零す。

 永愛は不慣れな日本に来た理由である、大事な会食に向かう最中で、漸く拾えたタクシーで向かう途中であるものも、お昼時の渋滞に巻き込まれてしまったのだ。


 団子状に固まった車群は一向に進む気配を見せず、心無しか、ドライバーも苛立ちを覚えているように見える。


「クランクションが煩くないだけマシかしら」

「お客さん、外国の方だよね?」

 運転席に座るくたびれた顔をした老年の男性が口を開く。

「ええ、そうですよ」

「それにしては日本語上手というか、完璧じゃない?」

「生まれも育ちも海外だけど、父親が日本人で、母は在日経験が長かったから、家ではよく日本語で話してたの」

「どうりで」


 運転手は疑問を解消出来たことに満足したのか、それきり口を結び、一向に進む気配のない前方車両を睨みつけていた。


「全く、いつになったら進むのかしら」

 視線を窓の外に戻す。

 外は喧騒としているが、道行く人々はするすると人の波を避け、洗練された集団行動のように綺麗に流れ続ける。


「いっそ、歩いた方が早いのかしら」

 悩むが、灼熱と呼ばれる日本の夏に会食用のスーツ姿で繰り出す勇気はない。

 それに、荷物は一つだけとはいえ、片手で持ち運ぶには少々重く感じるアタッシュケース。

 目的地まで3キロほどあるのだから、歩いていくのは無謀に感じた。


「はぁ……」

 時計の針を気にしながら、再びため息を零し、窓から視線を引き離そうとした刹那。

 視界を走り抜けるものに目を奪われた。


「やっべーーよ!ピンチだよーー!!なんとかするしかねーーーでしょ!!!」

 叫び声を上げながら、自転車を漕ぐ男。


 その内容から、何処かに急いで向かっていることは察しがつくが、永愛の興味を引いたのは男が担いでいる1m程積み重ねられた重箱。


 男は、振り子のように揺れ動く重ね重箱を片手で担ぎ、必死の形相で立ち漕ぎしていた。

「な、なんなのかしら……あれ」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「へいらっしゃーい」

 渋滞から何とか抜け出して、指定された定食屋『獲子味(えねみ)食堂』に着いた頃には、約束の時間を30分程超過していた。


 奥行がある分、横が狭い店内。

 お昼時を過ぎ、客がはけ始めたのか並ぶカウンター席には片手で数えられる人数しか客がおらず、待ち合わせの人物が見当たらない。

 見たところ、店員は店主だと考えられる老年の男性しかおらず、厨房でフライパンを振る背中に声をかける。


「あのー待ち合わせをしているのですが」

「待ち合わせ……あぁ、2階の座敷だね」


 フライパンを振りながら、こちらも見ずに店主が答える。

「ありがとうございます!」

 お礼を述べ、店の入口まで戻ると、狭く急な階段を登り座敷の前まで来る。


 段差の前に1足揃えられており、中に人がいることが分かる。

 待ち合わせの人物は待っていてくれたのだろうと、安堵し襖を開ける。


 果たして、そこにいたのは件の人物であり、目を合わせると同時に深く頭を下げる。

「時間に遅れてしまい申し訳ありません」


「いえいえ、お気になさらずに。遠方からはるばる来て頂き、大変でしたよね」

 立ち上がると若く落ち着いた声で返答し、鞍馬(あんば)はにこやかに笑った。


 鞍馬は線が細い体型だが、決して華奢ではなく、芯の伸びた立ち姿やスーツの上から薄らと窺える胸板の厚さより、引き締まった戦士の体をしていることが分かる。


 顔は好青年と呼んで相違ない爽やかな顔立ちで肌の色は薄く、どこか神秘性を感じる。


「お昼ご飯まだですか?ここのさんま定食、お勧めですよ」

「それではそれを」

「分かりました、注文して来ますね」

 鞍馬は立ち上がると、座敷から出て階段を下って行った。


 1分と経たないうちに戻ってきた鞍馬は、お冷を2人分持ってきた。

「今は全部セルフサービスみたいでね」

 お冷を受け取り、お礼を述べ疑問を続ける。

「店員が1人しかいなかったみたいですけど、他にいなんですか?」

「いますよ、もう1人。今は出前に行ってるみたいで」

「成程。……では、お料理が来る前に少しだけ話をさせて頂いても?」


「ええ、構いませんよ」

「それでは。ご存知の通り、今このサンマランドではサンマによる殺傷事件がかなりの数起きています」

「はい……私達も大変苦慮しています。今こうしている間にも、サンマがこの街の何処かで暗躍していると考えるといても立ってもいられません」


 鞍馬は強く拳を握りしめ、苦悶の表情を浮かべた。

「そこであなた達、日魔星に私達『E(イースト)F(ファンタズム)F(ファクトリー)』から提案があります」

「はい……?」

「私達が開発したサンマスクドッキングを使いませんか?」

「サンマスクドッキング……?」


 永愛はテーブルの上にアタッシュケースを置くと、中を見せた。

「これは……七輪?」

 中身は七輪。

 赤と青で配色されたボディに、紫色の網という派手な色合いをしているが、それを除けば一般的な七輪に見える。


「これがサンマスクドッキング。使用者のサン魔力を増幅させ、鎧と武器に変換し、圧倒的な戦闘力を発揮させる画期的なアイテムです」


「……これが物凄いアイテムであることは分かりました。ですが、EFF(あなた方)はわたし達に何を望むのですか?」

 問われた永愛は、真っ直ぐ鞍馬を見つめて答えた。

「私が願うのはサンマの殲滅です」


 静寂。

 永愛の答えを、噛み締めるように鞍馬が押し黙り、それから深く頷いた。

「あなたの願いは分かりました。私が必ずサンマを殲滅しましょう」


 永愛がアタッシュケースを閉めると、鞍馬に渡し深くお辞儀した。

 鞍馬はアタッシュケースを自分の傍らに置くと、返すようにお辞儀をした。

 再び静寂が訪れる。


 その沈黙を破ったのは階段を駆け上がる音。

「失礼しますー!」

 張りのある声が襖の先から聞こえてくると開かれ、大きなお盆に2人分のさんま定食を乗せた若い男性の店員が現れた。


「あっ!」

 永愛はその店員に見覚えがあり、声を上げてしまう。

「どうしたんですか、お客さん。僕の顔になにか着いてますか?」

 傾げられた顔は、永愛がつい先程、渋滞に巻き込まれていた時に見かけた、重箱をたくさん重ねて自転車を立ち漕ぎしていた男だった。


 男は10代後半、鞍馬より少し若く見えるが体型は同年代での平均レベルであり、特別何かに長けた体をしているように見えない。

 長い後ろ髪をポニーテールで纏めているが、前髪は自由に乱れるままで左目を覆うほどである。

 どこか神秘性的な鞍馬に対し、こちらは軽薄な野性味を感じさせる印象だ。


「ありがとーリン坊ー」

 口調を崩してして少年に絡む鞍馬。

「……ご注文のさんま定食です。お待たせしました」

 少年は鞍馬を無視すると食卓の上にお盆を2つ並べた。


 奇妙なことに食器には全て蓋をされており、メインのさんまのお皿にも蓋がされている。

「それではごゆっくりどうぞ」


 礼をして立ち去ろうとする少年、くるりと向けた背に再び鞍馬が絡む。


「リン坊、まだ治ってないの?」

「……苦手なものは苦手でいいじゃないですか」

「料理人目指してるのにそんなんで大丈夫?」

「……いつか治します」


 2人のやり取りについていけず首を傾げる永愛。

 その様子を見て、鞍馬が詳細を明かす。


「ああこの子、辺國凛夜(へんごく りんや)って名前でここの見習い。料理の腕はまぁ置いといて……」

 そこまで答えた鞍馬はさんまの皿に手を伸ばす。


「や、やめてください!」

 途端、凜夜は悲鳴に近い声を上げる。


 無視して蓋を上げ、さんまの塩焼きを顕にする鞍馬。

「う、うわぁ~~~!!」

 凛夜は大袈裟に両手で視界を遮ると、後ずさった。


「魚恐怖症でさ。魚全般無理なんだよ」

「……は、はあ」

 口を開けたまま、表情が固まる永愛。

「と、とりあえず蓋を元に戻してあげては」


 永愛の提案を受けて、さんまに蓋をする鞍馬。

 過呼吸を疑うほど息を乱した凜夜は、恨めしそうに鞍馬を睨みつけると部屋を去っていた。


「いやぁ、あの子はなんというか、弟みたいなものでね。ついついからかってしまうんだよ」

 あけっぴろげに笑いさんま定食に手をつける鞍馬。

 永愛は苦笑いをしつつも、真似てさんま定食に手をつける。


「……っ、これ、美味いです!!」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「はぁ、全く。鞍馬さんはいつも」

 大袈裟に肩を落として階段を下りる凛夜。


「おいリン坊ー」

「なんですか、おやっさん」

「今日はだいたいはけたからな。もう上がっていいぞ」

「いいんですか…?」


 戸惑いの表情を表に出しながらも、内心は早く上がりたいと思う凛夜。

「いいぞ。今日はさんまが取れなくて店仕舞いにするつもりだしな」

「ありがとうございます!」

「いいさ……。そのなんだ、真理之ちゃんによろくしな」


 小さく呟いたおやっさんの言葉は、既に玄関へと向かっていた凛夜には届かなかった。


 正午を過ぎて、なおも高い太陽。

 外に出た凛夜は目を細めて、駐輪場に向かう。

 止めてあるサンマウンテンバイクに跨ると漕ぎ出す。


 容赦なく照る太陽に目を細めながらサンマウンテンバイクで走る。

 じわりと滲み始めた汗でYシャツが濡れ、駆け抜ける風が心地よい。


 サンマランド南部の中心街、オフィス街を走り狭い路地を抜けてゆく。

 向かう先は南部中央病院。


「もうすぐだ」

 ほぼ毎日通いつめている凜夜の頭の中には、幾つかの近道ルートが出来上がっており、手馴れたように曲がりくねって路地から路地へ。


「ここを曲がればあとは……」

 直進で病院に着くはずだった。


「っ……うぉ!」

 路地を曲がった先の光景に驚き、急ブレーキを踏む。

 目線の先にあるのは巨大なさんま。


 2階建の日本家屋と同じぐらいの背をしたさんまが、アスファルトの地面を突き破って、空に向かって生えていた。


「……ここもダメになったか」

 明らかに異常な光景を目にしながらも、たまたま向かう先にあった驚き以上を見せない。


 何故ならば、もう地面から生える巨大なさんま、通称サンマングローブは日常になりつつあったからである。


 数ヶ月前にサンマランドの領主サンマザーの屋敷で火事が起きた。

 一晩中立ち上っていた黒煙は、消防隊の懸命な消火活動により、翌日の昼頃には消え去ったが、残った瓦礫の山は未だに片付けられていない。


 そして、屋敷の主であるサンマザーの行方も分からずじまいだ。


 当時はサンマランドで起きたセンセーショナルな事件として報道されていたが、すぐになりを潜めた。

 代わりに話題に上がったのがサンマングローブ。

 サンマザーの不在が起因としてか、サンマランド各地で巨大なさんまが生えてくる怪事件が起き始めたからだ。


 サンマングローブが及ぼした被害は大きい。

 その最たるものが、サンマランドの分裂だ。


 サンマランド中心地を起点に、鬱蒼と生え繁ったサンマングローブはサンマヨイノモリと呼ばれ、中に入った者は七輪なくしては帰って来れない程である。


 このサンマヨイノモリにより、サンマランドは東部、南部、西部に分割され混迷を極めていた。


「……回り道するか」

 魚恐怖症の凜夜にとっては、サンマングローブなど悪夢そのものであり、目を伏せながら来た道を引き返し、別の道から病院へ向かうことにした。

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 そこは闇よりも昏らき深淵。

 一切の光明すらも許さぬ魔の領域。

 即ちサン魔界。


「えぇ、もはや人界との境界線なぞ無いのと同然。我らサンマが全ての世界を掌握するまで時間の問題でしょう」


 己が主の元に膝まづいてサンマエストロが続ける。

「サンマエナドはよく働いてくれました。彼女がいる限り、我々は進行の一手を止むつもりはありません。このまま人界をサンマングローブ林で埋めつくしてやりましょう」


 主は答えない。

 サン魔界の底で、自らの子たるサンマ共を冷徹に愛を持って見つめるのみ。


「懸念事項ですか。残念ながら、日の強い場所ではサンマングローブを生み出すに多量のサン魔力を要します。しかし、直接植栽する必要があります」

 サンマエストロは懐からサンマングローブの苗を取り出して説明した。


「既に植栽部隊を編成し、人界に向かわせております。まずはサンマランド。あの忌々しい日魔星の街から人界を滅ぼしてあげましょう」

 残忍な笑みでサンマエストロが嗤った。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「遅れてごめん!真理乃!」

 ドタバタと走りながら、病室になだれ込む。


「お兄ちゃん、病院では静かに」

「うおっ、そうだった」

 ついつい、と頭を掻きながらベットの脇まで行く。


 辺國真理乃、たった一人の妹は弱々しく体を起こそうとする。


「いいよ、寝たままで」

 咄嗟に制して、肩と背中に手を当てて体を寝かす。

「……ごめんね」

「何が?」


 真理乃は答えず、じっと天井を見つめた。

 6年前から謎の奇病に侵され、病床に伏した真理乃はそれから1度も退院も外出も許されず、ベットの上での生活を余儀なくされている。


 全く外に出ることが無くなった弊害か、色素が落ちて肌は白ばんでいる。そこからは生気が失われており、死に近いしい気配を感じさせられる。


 それが過ぎる度に何度も否定し、見ないようにしてきたが、ここ最近は日に日に死の気配は濃くなっている。ハリの失った肌や、そげ落ちていく肉、何よりも本人が漂わせている悲愴感はどうしようもなく死の現実味を突きつけてくる。


「お兄ちゃん、今日のバイトは?」

 暫く沈黙していたが、目線だけを向けて話しかけてきた。


「おやっさんが早上がりさせてくれたよ。今日は1人で大丈夫だって」

「おじさん相変わらず、元気なんだね」

「元気すぎて困ってるけどね」

「お兄ちゃんが、困らせてるんじゃないの?」


 問いかけながら、真理乃は笑みを浮かべようとした。

 けれど、筋力の衰えた真理乃の体は思うように動かせないようで、歪んだ表情が浮かび上がる。


 本人もそのことに気づいたのか、悲しそうに目を伏せ元の無表情に戻した。


 胸を焼く痛みを悟らせないために、大袈裟な笑みを浮かべて答える。

「そんな訳ないだろ。今日だって出前の配達を10軒もやってきたんだ。エースでしょ」

「エースって……厨房には、入らないの?」

「えっと、まぁ……偶には?入るよ、空いてる時とかね」


 隣で見てくれてるおやっさんが、いつも冷や汗をかいてるということは伏せた。


「お兄ちゃん、料理まだできないの?」

「できるさ。おやっさんだって太鼓判推してくれてるよ」


 あまりの出来の悪さに、今まで見てきた中で1番下手だとお墨付きをもらっている。


「本当にー?」

「本当さ」

 胸を張って答える。


「そっか……じゃあ、いつか食べてみたいな」

「うん」

「お兄ちゃんの料理、食べてみたいな」

「いつか絶対食べさせてやる。好きなだけ、何でも作ってやるよ」

「……楽しみにしてる」


 真理乃は瞼を閉じた。

 笑えない彼女なりの、意思表示なのだろう。


 同調するように瞼を閉じる。

 そして。


「た、助けてくれぇ!!!!」


 誰かの悲鳴が聞こえた。

「ッ!?」

 目を開け、立ち上がると周囲の気配を探る。


「お、お兄ちゃん、今の」

「大丈夫だ何も心配するな」

「違うよ、今の」

 悲鳴は外から聞こえたように感じた。


 窓に近寄って、裏庭を見る。

 1階のこの病室からは目と鼻の先にある裏庭。

 そこへ視線を走らせると、何かに怯えるように尻もちを着いて震える男性がいた。


 その人物には見覚えがあり、微かな記憶をたよりに脳内を探る。

 確か、あの人は。

「今の声は、きょうちゃん、私の先生の声だよ」


 そうだ。

 あの人は恭さん。この病院の医師であり、真理乃の主治医。

 フランクな人で、真理乃もよく懐いていた覚えがある。


「そうだ、恭さんだ。なんであんな所に?」

 不審に思いながらも、尋常ではない様子に目を惹き付けられ、震えながら指さす方向へ視線を走らせる。

 その先にいたものは。

 あれは。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『~~~~♪♪♪』

 鞍馬はポケットの中で震える携帯を取り出し、永愛に一瞥すると電話に出た。

「はい、鞍馬です」

『鞍馬さん緊急事態です。今どちらに?』

「まだEFFの永愛さんと会食中です」

『なら鞍馬さんが1番近いです。南部中央病院で、サンマが出現しました。直ちに急行し、討伐してください』

「なっ!?了解!」

 電話を切ってポケットにしまう。

「どうやら、早速これの出番のようです」

 サンマスクドッキングを指して言う。

「はい」

 永愛は短く答えた。


 恭さんの視線の先にあるもの。

 それはこの世ならざるものであった。

 邪悪な笑みを浮かべ、虎のように鋭き鉤爪を地面に擦りながら迫る化け物。


 認識した瞬間、全身の細胞がその狂気的存在に恐怖した。

 じっとりと汗ばみ、体の震えが止まらない。

 焦点はあわず、視界が白ばんでいく。


 恐ろしい。

 その感情だけが心を支配する。


 刀身のように反り返った白銀の体躯と、鋭き鉤爪に筋骨隆々とした足。

 まるでサンマの姿を象った死そのものである。


「あっ……あ、っあ……」

 息が零れ、上手く喋れない。

「お兄ちゃん、どうしたの?」

「えっ……っあ」

「きょうちゃんは?きょうちゃんは無事なの?」


 真理乃に意識を引き戻される。

 改めて現実を視認する。

 恭さんは腰を抜かしているようで、異形の化け物を前に尻もちを着いてる。


「きょうちゃんは……?」

 心の底から心配しているように真理乃が繰り返す。

 自由が効かない真理乃にとって、主治医の恭さんはよい話し相手であり、所謂友達と呼べる関係であることは把握している。


 震える手を無理やり動かして、頬を叩き一喝。

 このまま何もしない訳にはいかない。


 妹の友達をむごむごと見捨てられるわけがない。

 それに、真理乃の病気を治すには……もし、それが叶うのならば、あの人は必要な人だ。


「……待ってて、真理乃」

「お兄ちゃん?」


 窓を開けて、裏庭へ飛び出す。

「恭さんから離れろーーー!!!」

 雄叫びを上げて疾走し、怪物に総身の体当たり。


「うっぐ」

 硬いものに当った鈍い衝撃が走り、弾き飛ばされる。

 投げ飛ばされる浮遊した感覚に続き、地面に叩きつけられる重い感触。

 転がりながら手をついて体勢を整え、顔を上げる。

 怪物はその場からビクともせず、残忍な目付きでこちらを見下ろしていた。


「り、凜夜くん!?」

 闖入者に驚嘆する恭さん。

 ふらつく姿勢のまま、怪物と恭さんの間に割って入る。

「逃げて恭さん」

「で、でも、君を置いていくわけには」

「俺も直ぐに逃げます。だから速く!」

 

「は、はい」

 恭さんの遠ざかっていく気配を感じ、意識を怪物に。

 怪物は獲物を弄ぶかのように、口をぱっくりと開けて涎を滴らせにじり寄ってきていた。


「なんとかするしかねーでしょ」

 拳を構え抵抗する。

 地面を右足で蹴って肉薄し、踏み込んだ左足を軸足に体重を乗せ右ストレート。


 格闘経験のない、ただの料理人見習いの不細工な右ストレートは怪物の頭部に叩き込まれる。

 返ってきた衝撃は重く、手応えはない。

 何よりも、表情一つ動かさない怪物の顔がそれをものがっていた。


「もういっちょ」

 無駄だと告げる理性を振り払い、左足を蹴りあげる。

 そこで奇跡が起きた。


 全くの素人の見よう見まねのハイキックは、怪物の顎先に叩き込まれた。

 この世のものとは思えぬ異形であるが、生物であるのには違いなく、脳みそがあるであろう頭部が急所だろう。


 人間同士の戦いであれば、例えプロの格闘家でも、素人の蹴りが顎に入れば、脳震盪を起こし黒星をあげることになる。


 これは人間以外の多くの生き物にも言えることであり、顎先に叩き込まれた蹴りはまさに起死回生の一撃であった。


 対敵が尋常の生物であれば。


 無意味な奇跡によって叩き出された一撃に、怪物は何ら反応を示さない。

 ただ、悪辣に、邪悪に笑むのみだ。


「なっ……」

 着地と同時に後ずさり、恐怖に染められた思考が麻痺していく。


 愚鈍に拳を構えて、殴打、殴打、殴打。

 どれだけ続けても怪物は微動だにせず、さながら風車に挑む遍歴の騎士のように滑稽。


 幾らかの応酬が続き、棒立ちであった怪物は飽いたように手を軽く払った。

 人が飛び回る仔虫を払うかのような一撃は、人一人の体を突き飛ばすに十分な威力。


 回る視界と大木で凪払われたような痛みで、己が地面を転がり回っていることを認識。

 燃えるような鈍痛と、地面に擦られて裂ける皮膚の鋭痛。


 体中の悲鳴で意識が無理やり鮮明にされ、眠ることもできない。

 ともかく早く逃げださなければ、と理性が告げる。


 それに全くの反論がなく、鉛のように重い体を起こそうと歯を食いじり、意識を傾ける。

「っあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 痛みに呻く声が漏らしながら、痺れる両手両足を従わせ立ち上がる。


 怪物に背を向け、足を引き摺りながら逃避に走る。

 走ろうとした。

 けれど、自分が背を向けた先、病院の裏口方向を視認して辞める。


 恭さんはまだ、自分から数歩程度の距離を這っていた。

 このまま自分が逃げ出せば、恭さんが襲われるだろう。

 それでは助けに来た意味が無い。


 そもそも第一に。

 ここで逃げたら、怪物は確実に病院の中へ行く。

 もし、そうなったら犠牲になるのは誰だ。


 恐らく誰かが裏口にいる化け物に気づき、避難を開始している頃だと信じたいが、済んでいるなどとは思えない。

 ならば、まだすぐそこに真理乃がいる。


 逃げる訳にはいかない。

 例えこの身がどうなろうとも、恭さんが……真理乃が避難する時間を稼がなければならない。


「……来いよ怪物」

 再び怪物の前に立ち塞がる。

 此奴を絶対に倒さない。

 この命がある限り、決して。


「うおおおおおおおおお」

 雄叫びを上げて殴り掛かる。


 何度も殴りつけた拳は皮膚が裂け、真っ赤に染まっている。

 激痛を無視し、殴打、殴打。

 無駄でも無為でも構わない。

 ひた繰り返す。


 怪物はやはり微動だにしない。

 それでもこの場に釘付けに出来ている。

 ならばよい。それでいいのだ。


 幸い、先程まで傷んでいた拳の感覚はもうない。

 これならば痛みを気にせず、何度だって殴り続けられる。


 身体中が熱を持ち、脳みそが茹で上がったように熱い。

 まるで、1本の映画を観ている観客のように世界が遠のき現実感がない。


 怪物に立ち向かう無謀な自分を傍観しているようだ。


 だからこそ、怪物の挙動に気づけた。

 愚鈍にも攻めかかってくる仔虫に初めて苛立ちを見せ、口を閉じた。

 それから、再び凪払おうと右手を構えた。


 動きを察し、避けるように体に命令する。

 けれど、体は上手く動かず、怪物を前に捨て身の攻撃を繰り返す。


 意識は叫ぶ。

 早く逃げ出さなれば、死が訪れると。

 その気配を、もう肌で感じている。


 駄目だ、早く後ろに退け。

 早く─早く──早く。


 怪物の右手が唸った。

 仔虫を潰すために、的確に暴力的に。


 死神の鎌は冷徹に振り下ろされ。


 俺の体を確実に捉える軌道にあり。


 到達する……直前。


 どこからともなく飛んできた銃弾により、軌道を逸らされた。


「リン坊、後は任せて」

 マグナムを構えた鞍馬が、背後に立っていた。

「よく頑張った。下がってて」

 優しく肩に手を置くと、後ろに押して前に出る。


「サンマを討つのは日魔星の仕事だからな」

 マグナムが続けざまに2発の銃弾を吐き出し、怪物……サンマが退く。


「永愛さん!任せた」

「はい!」

 と答えて、俺の体を先程鞍馬と一緒にいた女性客が引っ張った。


「無茶するわね、痛くないの?」

「よく分からないです」

「ハイになってるわね……後で怖いわよ」

 俺の惨状にため息を零しながら、永愛は離れるように誘導する。


「サンマはあの人が何とかしてくれるから、あなたはここで。私は援護に」

 永愛は数メートル離れたところで俺から離れる。


 俺は鞍馬とサンマの戦いに意識を向ける。

 鞍馬を明確に敵と認識したサンマは、鉤爪を振り回す。

 対する鞍馬は、器用にそれを躱しマグナムの弾を打ち込む。


 力強い銃声と共に、サンマの肉が削がれ体が躍る。

 が、どうやら決定力が足りないようで、サンマに空いた穴はたちどころに塞がっていく。


「ちっ、やっぱ秋刀魚銃だけじゃ足りないか……永愛さん!」

「これを!!」


 鞍馬に応え、永愛は懐から出した七輪を投げて渡した。

「早速使わせてもらう」

 見事に七輪をキャッチし、サンマから距離を取る鞍馬。


 続けざまに永愛が投げた木炭を七輪にセット。

『サンマホーラガ』

 無機質な電子音が何かの名前を読み上げ、七輪は勢いよく煙を立ち上らせる。


 鞍馬を包み込み、尚も膨張する煙は1つの形をとって収束する。

 それは、さんまと蛇を繋ぎ合わせたかのような奇妙な生物だった。


 さんまの頭部を持つ蛇と言えば、しっくりくる奇妙な生物は鞍馬の周りを這いずり周り。


 そして、そっぽを向いて一直線に俺の方へ滑ってきた。

「は?」


 その場の誰もが唖然とした。

 巨大なさんま蛇は鞍馬に呼び出されたと思えば、全く無視して俺の方へ来たのだ。


「く、食われる!!」

 身構える。

 視界を両手で覆う。

『我が主よ、我を見よ』

「へぇ?」

 頭の中に直接響く声。


 驚嘆しつつ、顔を上げるとさんま蛇が首をもたげて俺を見つめていた。


『汝に力を与える。汝ならば正しく使い、サンマ共を滅せよう』

「俺に……力?」

『そうだ汝は選ばれた。我はサンマーホラガ、サンマを滅する人の刃たり得るもの。この力、存分に振るうがよい』


「俺は……」

 返答につまる。

 断った方が良いと思う。

 選ばれた、だからサンマと戦え。

 そう、告げられているのだ。


「俺にできるのか、そんなこと」

「ええ、無茶よ。一般人にサンマスクドッキングを使えるわけがないわ!」

 永愛が割って入る。


 そうだ、正しい。

 今まで戦いに全く縁がなかった俺が、力を得たとして戦えるわけが無い。


 さっき鞍馬さんが言ってたじゃないか。

 サンマを討つのは日魔星の仕事だと。


「俺には、俺には……」

「やれよ、凜夜」

 鞍馬が俺に七輪を投げて渡した。


「守りたいものがあるんだろう?」

「鞍馬さん、駄目です!」

 永愛が鞍馬を制しする。


 俺は、七輪を腰に巻いて答えた。

「守りたいものあります」

『それでよい我が主よ』


 鞍馬を真似て七輪を操作する。

 違うのは、サンマホラーガに選ばれているかどうか。

「サリーチェンジ!」


 七輪が生み出した煙ごと俺を包み込んだサンマホーラガ。


 瞬間、俺の体は光を放った。

 強大なエネルギーが駆け回り、身体中の細胞が活気づいているのが分かる。


『行くぞ我が主』

 俺を包み込んでいたサンマーホラガの体が分割され、小さなパーツ群を生み出していく。


 それらは俺の体は中心にスペースデブリの如く漂うと、一気に引き寄せられ体に装着されていく。

 装着されたパーツは体に馴染むスーツのようにピッタリと張り付き、一つの形を作る。


 鎧武者。

 かつて日本の戦場を席巻した最強の武装者が、顕界した。


 赤を基調とした刄金の鎧に、海のように鮮やかな青色の蛇が這いド派手なカラーリング。

 兜は龍の意匠が加えられており、猛々しい。

 相対する敵にとっては威圧感のある雄々しき姿、護られる者にとっては心強きヒロイックな姿に見えるだろう。


『ダイ・ダイ・ダイフクキョウギョーウ!ダイモーウ!サンマスターマーホラガ!』

「さあ、調理の開始だ」

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「こ、これは!??」

「サンマスターフィギュアさ!」

「ほ、本物みたい!!」

「120%スケールだからね!」

「120%スケール?おっきっーい!」

「これがあれば君もサンマスター!」

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「さぁ、調理の開始だ」

 大地を蹴り飛ばしてサンマに肉薄。

 一蹴りで空気を裂いて、一直線に翔びサンマの目前まで迫る。

「はぁ!」

 勢いのまま、サンマを殴りつける。


 唸る右手から放った右ストレートはサンマの肉体にくい込み、骨を砕いた感触と共に飲み込まれていった。

 サンマの体は宙に浮き上がり、くの字に曲がる


 その隙を逃すまいと、左足を軸足に右の回し蹴り。

 豪快に回って放った一撃はまたもやサンマに叩きつけられ、その身を地面へと落とした。


 強大な威力はサンマの体だけには留まらず、叩きつけられた地面を砕き穿つ。

「やれる!これなら戦える!」


 全身の細胞と理性が活気づく。

 トドメとばかりに後ろに下がり、助走をつけて翔び上がる。


 回し蹴りのダメージでふらつくサンマは、翔び上がった俺を視認して、その場で両手をクロスさせ防御の姿勢をとる。


「くらええええええ!!」

 重力に引かれるままにドロップキック。

 つま先に象られた蛇の意匠が、対敵に食らいつくように大きく(あぎと)を研ぐ。


 一条の光のように空を駆け、サンマへ吶喊。

 地に力強く根を張って防御するサンマと衝突。

 激流、激動。


 矛と盾の衝突が生むエネルギーの余波が周囲の空間を揺らす。

「……っ、なんて力なの!」

「やってしまえ!凜夜ーー!!」


「はああああああああああ!!!!」

 爆発。

 ぶつかりあったエネルギーが一点に収束し、爆ぜる。


 俺は重力に引かれるままに着地し、背後に爆発を感じる。


 だが、まだ終わっていない。

 サンマは今の一撃を半死半生で耐え、身体中から血を滴らせながらも立っていた。


「頑丈なやつだ」

 サンマは尚もこちらに敵意を向け、飛びかかってくる。

 その一撃を躱しながら、反撃を加えていくが、サンマは瀕死になりながらも死に絶えそうにない。


「……凜夜くん!これを使って!」

 見かねた永愛が、懐から大根の形をした剣のようなものを取り出して投げた。


「これは?」

 右手で受け取り問いかける。


「それは(おろし)スラッシャー!サンマスターマーホラガの武器よ!」

「ありがとうございます!」

 受け取った剣を構える。


 剣など持つのは初めてだが、吸い付くように体にフィットする。

 刀身は大根のように白く、丸みを帯びた逆扇型で、何かのメーターのようなものがついている。


「その卸スラッシャーは敵を斬る度に、サン魔力を充電し、マックスまで溜まると必殺技が放てるの!


 永愛の説明で納得し、構えたままサンマに迫る。

 力任せに振り下ろし、躱す余裕のないサンマの肉体を斬りつける。


『Nice!』

 メーターが上昇し、刀身が淡く光る。

『Good!』

 3発目でメーターが半分を超え、刀身が伸びた。

『Excellent!』

 5発目でメーターがほぼ溜まりきり、卸スラッシャーを駆け巡るサン魔力を肌で感じた。

『Perfect☆!』

 7発目でメーターが溜まりきり、力の奔流が俺の体を駆け巡った。

「下拵えは終わりだ!」


『ダイ・ダイ・大combo!サンマスタースラッシュ!』

 上段に構えた卸スラッシャーを力の限り振り下ろし、止めを放つ。


 サン魔力の塊が巨大な大根の形を作り、サンマを押し潰す。

 その強大な威力は大地を揺るがし、旋風を起こす。


 そして、サンマをあた方も無く潰し散らした。


「調理完了!」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 サリーチェンジを解いた後は、事後処理を鞍馬さん達に任せ、一部始終を知ってる恭さんに治療を受けた。


 幸い、怪我は入院する程ではなく、暫く安静にしていれば済む程度であった。


 ボロボロの姿を真理乃に見せると心配させてしまうため、恭さんに急用ができたと伝言を任せて病院を出た。


 既に日は傾いており、夕日が淡く街を染めていた。


「もう帰れるんですか?」

 入口で待っていた永愛と鞍馬がやってくる。

「ええ、なんとか」

 ふう、とため息を着く。


「それで、これのことなんですけど」

 懐から七輪を取り出して問いかける。

「それは一度使った人をオーナーとするのでもうあなたのものです」

「……つまり、これからもこれを使って……」

「それは、リン坊の選択しだいだね」

「鞍馬さん、またリン坊って」

「リン坊はリン坊だよ。とりあえず、基地まで来てくれるかな?」

「はい」


(辺國凜夜-女末好雄 鞍馬-才子翔男)


 鞍馬の提案を承服する。

「待ってください。その前に」

 永愛が腹を擦りながら割って入った。

「ご飯にしませんか?」

「……そうですね、お腹減りました。家の食堂に来ますか?自分が作りますよ」

「えー?本当ですか。それは是非」


(永愛・リアルー -エルフェル・デバィス)


 永愛が目を輝かせる。

「……リン坊、料理できるようになったの?」

「ええ、今ならできます」

「本当に?」

「本当です」

「なら行こうか」


(真理乃-赤井弓矢 恭さん-猿巳昭)


 3人で並んで獲子味食堂までやってくる。

「おやっさん、2名!僕が作ります!」

「お、おう?……本気か?」

「はい!」

 おやっさんは永愛と鞍馬の正気を疑うように顔を見つめてから、厨房を空けた。


(おやっさん-吉岡剛三 タクシードライバー-中島周平)


「少し待っててくださいね!」

 さんまを取り出し、下拵えを終え、塩焼きにしていく。

 隠し味にサンマーマイトを足し、付け合せにサンマーマーレドのドレッシングをかけていく。


(サンマデザイン-人工サンマ)


 ものの15分程度で作りあげ、2人の元へ持っていく。

「へい、おまちどうさん!」


(企画-旭川海 制作進行-田老丸 編集-七志権兵衛)


「いっただきまーす!」

 笑顔で箸をつける永愛。

 訝しむように、永愛の様子を見る鞍馬。


(シリーズ構成-トウキョウ・ワァン音楽-オオサカ・ワァン)


 答えは、何よりも明白に永愛の表情が語った。

 一瞬にして青ざめた永愛の表情は、死人のそれに近く、焦点があわずに乱れる眼球はいっそホラーじみている。


(美術監督-瀬戸内獬 アクション監督-横須賀鮮魚丸)


「なっ……なっ……これ……まずぅうううう……」

 口元を抑えながら永愛はテーブルに突っ伏した。


(監督・脚本 人口サンマ)


 

『人界魔討伝三魔』

「俺が戦う意味」

「サンマってなんなんだ……」

「サン魔!?」

「サンマが喋った!?」

 ───続く。また見てね

 ☆このドラマはフィクションです。登場する人物は実在の人物、団体、魚類には一切関係ありません。


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