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人界魔討伝〜三魔〜  作者: 人工サンマ
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第四十八魚 真鴨

 おサンマをキメる時は周囲を明るくし、精神状態を整え、周りの目を気にしながらキメましょう。

『三魔との約束だ!』


 闇ありし所にサンマあり。

 死をもたらす災厄の化身。

 サンマの前にあるのは絶望による死のみであった。

 だが、人は希望の光を手に入れた。

 人を守り、人を導く存在。

 人は彼らを称えてこう呼んだ。

『日魔星』


 貫け!走れ!

 刃を振るえ!

 金色の夢を抱いて〜


 常闇の街に

 狂笑が鳴り響く〜

 絶望の到来

 終末の鐘が鳴り渡る〜


 誓いを込めた

 刃を胸に

 サンマを裂く刃金

 金色の夢を抱く者よ

 飛び立て〜闇黒の空に~

 闇を討ち倒すために!


 貫け!走れ!

 獅子の如く駆けろ!

 喪おうとも吼えろ!

 魔を裂く刃となれ

 三魔~~~!!


『駆けろ!三魔』

────────────────────────

今までの三魔は〜

「村正と秋刀魚は概念的に同じ」

「サンマが海を泳いだ!?」

「三魔は俺が狩る」

三魔「これからは俺のターンだ!!!」

────────────────────────

 久しぶりに日の光を浴びてやけに眩しく感じる。

 訛った体を伸ばして、空を見上げる。

 窓を挟むことなく視界に広がる空は、何倍も青く感じられた。

「三魔さーん」

 タクシーから身を乗り出してマリアンヌが手を振っている。

「迎えに来てくれたのか」

「一応病み上がりでありますからね」

 ドアを開け後部座席、マリアンヌの隣に座る。

「どちらまで?」

 屋敷の住所を伝えると、タクシーが発進する。

「俺がいない間大丈夫だったか?」

「問題なかったでありますよ」

「誰か怪我とかは…」

「それも大丈夫であります」

「そうか。ありがとう」

 重症を負い役目を人に任せるとは恥ずかしい限りだった。

 幸い代わりを務めてくれたも者が怪我を負った事はないようでホッと溜息を着く。

「聖良は…どうなった?」

 俺が重症を負った一因、俺に父親を殺されたという少女の処遇を尋ねる。

「聖良はまだ屋敷で拘束されてるであります。その、あまり話さなくて…。でも、母秋刀魚は手荒なことをするつもりがないみたいであります」

「あの人らしい。まあ俺が言うのも何だが、あまり手荒なことをして欲しくない」

「そうでありますね。聖良はいい子でありますから」

「仲良くなったのか?」

「ちょ、ちょっと二人でお出かけしただけでありますよ」

 マリアンヌが慌てながら言った。

「よく母秋刀魚が許してくれたな」

「ま、まぁ…()()()()事を許してくれたといいますか…であります」

「……?まああの人らしい…のか?」

 母秋刀魚はサンマランドの長としての任に着いているが、周りにあまり上下関係を感じさせない大らかな人だ。

 日魔星やサンマランドの住民の安全を何よりも大切にしており、自ら前線に出ることもある。

 サリーの驚異的な日魔星の才能を目にしても、最後まで戦わせることを反対していた。

 サンマランドの人々にとって母秋刀魚は、街を治める長ではなく母親のような存在だ。

 かくいう俺も、父と母を失った後は母秋刀魚の元で育てられてきた。照れくさいが、俺は母秋刀魚を本当の家族のように思っている。

 タクシーの窓からサンマランドの街中を眺めながらそんなことを考えていた。

「…三魔さん」

 流れる景色を眺め、口を噤んでいるとマリアンヌが口を開く。

「聖良をどうしたいでありますか…?」

「どうしたいか。……わからない」

 俺に憎悪を向ける少女をどうしたいか。

 その問の答えが考えつかない。

 彼女をずっと拘束し続ける訳にはいかないし、危害を加える訳にはいかない。

 彼女をどうしたいか。

 そして、俺は聖良にとってどうなりたいか。

 俺は確かに聖良の父の命を奪った。

 それを否定するつもりは無い。

 俺はサリーを殺した男を躊躇いもなく殺したのだ。

 そのために聖良に恨まれている。

 俺は…聖良に許されたいのだろうか。

 父親を殺したことを謝罪し、仕方なかったことだと納得してもらいたいのだろうか。

 心が宙ぶらりんになり、答えが出ない。

「マリアンヌはどうしたいんだ…?」

 自分の迷いを打ち払いたくてマリアンヌに問いかける。

「自分も、よく分からないでありますよ。でも…聖良と仲良くなりたいです」

 戸惑いの表情を浮かべながらマリアンヌが笑った。

「仲良くなりたいか。…俺も、聖良としっかり話し合うべきなんだろうな」

「それがいいでありますよ」


 屋敷の前で止まったタクシーにサンマネーを払うと降車する。

 久しぶりにみる我が家は一切かわっておらず、その当たり前に安堵する。

 屋敷に踏み入ると、屋敷の使用人が俺の方へよってきて体調などを聞いてくる。

 問題ないことを伝え、謝礼する。

 そのまま、屋敷内を周り使用人達に挨拶回りをした。

 達にも一応挨拶をしたいところだが、屋敷を空けていることが多く、見当たらないため母秋刀魚の元へ向かう。

「三魔、よく戻りましたね。もういいの?」

 母秋刀魚の座敷に入ると、朗らかに笑いながら母秋刀魚が言った。

「はい。長い間お休みを貰い申し訳なかった」

「いいのよ。あなたは頑張りすぎですから。怪我の一つや二つして休んでもらわなくちゃ」

「母秋刀魚、流石にそれはどうかと思うでありますよ」

 マリアンヌが顔を引きつらせながら言った。

「あら…そうね。ごめんなさい」

 口元を手で押え、恥ずかしそうに母秋刀魚が言う。

「三魔は程よく休み、怪我は負わない事ね」

「肝に命じます」

 母秋刀魚とのやり取りを終え、席を立つ。

「聖良に会いたいのだが…」

「そうね、あなた達は一度しっかり話し合うべきね」

 母秋刀魚は懐から鍵を取りだし、俺に手渡す。

「いい?話し合うだけよ?」

 母秋刀魚の念押しに頷き、聖良が拘束されている部屋へと向かう。

 一応の仲裁役としてマリアンヌが俺の後を着いてきて、聖良の部屋のドアを叩く。

「聖良ー?今いいでありますか?」

 三、四秒の沈黙の後、聖良の声が返ってくる。

「マリアンヌ?いいぞ」

「失礼するでありますよー」

 マリアンヌがドアを開け、一緒に入る。

 ベッドとデスクのみの簡素な部屋だ。

「本の続き持ってきてくれたのか?」

 手にした続きものの小説から目を離さず聖良がマリアンヌに問いかけた。

「ごめんなさいであります。別件でありますよ」

 マリアンヌが詫びると、聖良がようやく小説から目を離して顔を上げ、俺を目にすると瞠目した。

「なんで…なんでお前がいるんだよ」

 声を震わせ、顔を赤くしながら聖良が声を上げる。

「おい、なんでこいつを連れてきた」

 マリアンヌに怒声を向ける。

「俺がマリアンヌを無理やり連れてきただけだ」

 一歩、歩み寄る。

「なんの用だよ」

「少し話をしたいと思ってな」

「話すことなんざねぇよ!出てけ!」

「少しだけ、ほんの少しでいい」

「知るか!出てけ!」

 取り付け島もなく聖良に拒否される。

「…分かった。邪魔をした」

 身を翻し、出口へと向かう。

「お前は意味わかんねんだよ!!」

 聖良の罵声を浴びながら部屋を後にする。

「…残念でありますね」

「あぁ」

 肩を落として溜息を着く。

 その時。

「サンマの出現を確認!」

 サンマイクより連絡が入る。

「行くぞ」

 マリアンヌに声をかけて、駆け出した。

────────────────────────

三魔ベーコン!

三魔「俺たちのベーコンが発売だ!!ベーコンを食べて君も立派な日魔星!」

旬のさんまが着いてくる三魔ベーコン!

達「シークレットもあるぜ!」

全六種+シークレット二種

サンマーベリック「全部揃えよう!」


光るマスク!

三魔のマスクが登場!

三魔「良い子のみんな!マスクをして君も今日から日魔星だ!」

光るマスクをしてサン魔力を高めよう!

────────────────────────

 現場であるサンマランドの高台に位置するサン摩耶山に着く。

「きゃー!!!」

 登山客達が悲鳴を上げながら、サン摩耶山を降り降りてくる。

「サンマはどこに!」

 登山客達とすれ違いながら、山を登っていく。

 辺りを見回しながら登るがサンマが見当たらない。

 どこかに隠れているのか?と疑問に感じながら凝視していると、背後からマリアンヌが叫んだ。

「三魔さん…サンマが空に!」

「なんだと!?」

 マリアンヌの声に従い、空を見上げる。

 見上げた空で羽を生やしたサン魔が我が物顔で飛んでいた。

「サン魔が空を飛ぶだと…!!常識的にありえない!!」

 空に向かって吼える。

「ありえないですか。いえ、有り得るのですよ!!!サンマが空を飛べぬと誰が決めたのですか!!このサンマガモは飛びますともええ!!」

「なんてサンマだ…」

 空を自在に飛び回るサンマガモを目にして、背筋が凍る。

 村正刀魚が届かないのであれば攻撃のしようがない。

「三魔さん、ここは自分に任せてほしいであります」

 マリアンヌが歩みでる。

「そうか、秋刀魚銃ならば…!」

 人の力に頼りきる不甲斐な差を感じつつも、マリアンヌに頼む。

 マリアンヌは空を駆け回るサンマガモに狙いをつけ引き金を引く。

 銃声が轟き、鉄のさんまが宙を飛ぶ。

「当たりませんよ!」

 しかし、サンマガモが体を捻ると容易く躱されてしまう。

 マリアンヌは歯噛みしながら、狙いをつけもう二発放つがそれも当たらない。

「マリアンヌ、弾は?」

「あと三発であります…予備は…ないであります」

 弾は残り三発。

 空を飛びまわるサンマガモへの攻撃手段があと三回しかないということだ。

 どうすればいい…?

 危機的状況で逸る気持ちを抑え、考える。

 そして、思いつく。

「マリアンヌ…策がある」

「本当でありますか!?」

「あぁ…ここは登山客に人気だからな」

 その一言でマリアンヌも気づいたようでハッと顔を輝かせる。

 サン摩耶山は人気の山で多くの人が登山に訪れる。

 しかし、多くの人が訪れる以上、少なからず事故は起きる。

 遭難や崖からの転落、登山には危険もあるのだ。

 そして、それらの危険に対し勿論対策は取られる。

 その中でも、人の手が届かないような岩場に転落してしまった際に救助するための道具はどこの山に行っても備え付けられているだろう。

 多くの人の命を救うことが出来る、登山家たちの救世主。

 秋刀魚ノ手(サンマジックハンド)

 サン魔力により伸縮自在のアームを手に入れたサンマランド人気商品だ。

 山を駆け上がり、小屋に押し入ると秋刀魚ノ手を持ち出す。

「あったぞマリアンヌ!」

「やったであります!」

 空を飛ぶサンマガモは地を走る俺たちを追ってきたようで、俺たちの頭上を舞っていた。

 秋刀魚ノ手を空に構える。

 俺が構えたのを見るとマリアンヌがサンマガモへ向けて発砲する。

 迫る弾丸を再び避けるサンマガモ。

 しかし、避けた先に秋刀魚ノ手のアームが迫る。

「なっ!?」

 呆気なくアームの餌食になったサンマガモを背負い投げるように秋刀魚ノ手を振り下ろして地面に叩きつける。

「ぐっはっ!!」

 急に地面に叩きつけられたサンマガモは事態を飲み込めないようで、混乱したように辺りを見渡す。

「飛べないサンマはただのサンマだ」

 その事実をサンマガモに告げ、村正刀魚を振り下ろした。

 サンマガモのそっ首が空を飛ぶ。

「呆気なかったな」


 三魔が戦っていた場所より少し高台にある崖にサンマヌーバが立っていた。

 サンマガモが日魔星に討ち倒されたのを見て、サンマヌーバが嘆息する。

「また失敗したのですか?」

 サンマヌーバがもつ水晶から一部始終を見ていたサンマエストロが問いかける。

「はい…申し訳ありません」

「いや…まあ、あれは想定外ですし仕方ないです」

「それでも結果を出せていないのは…」

「はい、それも事実ですね。ですが、もう悲嘆することはありませんよ」

「それはどう言った意味で?」

「ええ、我らが魔王の為にサンマランドを潰すことは急務ですからねぇ。私が直々にでましょう」

「なっ…サンマエストロ様が!?」

「それには及びませんよサンマヌーバ様」

 サンマエストロとの会話に夢中になっていたサンマヌーバの背後に男が立つ。

「今、倅を送りました」

万浄(ばんじょう)くんをですか?ということはアレが完成したのですね」

「ええ、期待通りに。あの日魔星は生きてこの山を降りることができませんよ」

 男が不敵な笑みを浮かべた。

────────────────────────

ジュワァァァァァ(七輪でさんまが焼ける光景)

ナレーター「次回の三魔は!」

例え己の姿を失ってもやるべきことがある

己を形作るのは形ではなく心

心がある限り彼はそれをやりとげる

ナレーター「次回、変身。三魔、邂逅する!」

明日も絶対キメてくれよな!


この番組はご覧のスポンサーの提供で、お送りしました。


宗教法人・日魔の会

SANDAI

秋刀魚商工会

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