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人界魔討伝〜三魔〜  作者: 人工サンマ
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第二十五魚 機魚

 おサンマをキメる時は周囲を明るくして、精神状態を整えてからキメましょう。

『三魔との約束だ!』


 闇ありし所にサンマあり。

 死をもたらす災厄の化身。

 サンマの前にあるのは絶望による死のみであった。

 だが、人は希望の光を手に入れた。

 人を守り、人を導く存在。

 人は彼らを称えてこう呼んだ。

『日魔星』


 Saury in the dark!! Saury in the dark!!

 闇の中へ〜

 Saury in the dark!! Saury in the dark!!

 刃を掲げ〜

 Hope is a sword!!

(前奏)

 血に飢えしサンマ〜

 大罪の炎がその身を灼く

 夜を駆け

 奴らを狩れ

 正義の刃

 悪を切り裂け〜

 Saury in the dark!! Saury in the dark!!

 闇の中へ

 Saury in the dark!!Saury in the dark!!

 刀は掲げ〜

 サンマを断て!!

 正義の刃を執り

 運命を討ち破れ!

 Hope is a sword!!


『斬り裂け!サンマ』


 武器…ここでいう武器とは何でもよい。

 刀だろうが、さんまだろうが、拳でだろうが。

 畢竟、それらは他者を傷つける矛でしかない。

 正義だとか、愛だとか。

 綺麗なものでその醜さを覆っても本質は変わらない。

 真の意味で刃を構えるというのは、それを識り弁えることである。

 詭弁は刃を鈍らせるだけであるからだ。

 刃を研ぎ澄ますは醜さ。

 美しきものは要らぬ。

 刃にあるのは他者を他者を傷つけるのみという真実のみでよい。

 …それを。その事実をこの男は識らない。

 だが、この男の刃に敗れたこともまた事実である。

 刃を喉元に突きつけられ死を覚悟する。

 後、数センチ押し込まれれば刃は俺の皮膚を裂き、命を喰い破るだろう。

 俺はここで死ぬ。ここで終わる。

 憎悪はここで消える。

 …異端者(マーベリック)の最後としては相応のものなのだろう。

 日魔星が刃を持つ両手に力を込める。

 刃が迫り、俺の喉元を喰い破る直前。

 日魔星の背後に広がっていた工場の壁が崩れ去り、機械仕掛けのサンマ(サンマシーン)が現れた。


「敵性体補足。駆逐スル」

 電子音を上げ、銀に光る巨大サンマがこちらに腕を向けた。

 その腕は普通のサンマと違い鉤爪がなく、代わりに大口径の秋刀魚大銃が備え付けられている。

 かつての仲間が使用していたものよりも数段大きく、その威力は計り知れない。

「なんだ…アレは…?」

 異様な姿をしたサンマに呆気を取られ、サンマーベリックから目を離して呟く。

「アレはサンマシーン。サンマをサンマ工的にサン魔改造し、生物兵器とした恐るべき存在だ!!」

「なん…だと…!?」

 サンマーベリックの信じ難い説明を受けて、困惑しつつも身を翻す。

 サンマーベリックも放置できないが、サンマシーンはそれ以上に放置する訳にはいかない。

 村正刀魚を納刀し、駆け出す。

「駆逐スル」

 サンマシーンは両腕の秋刀魚大銃を構え俺に向かって発射する。空を裂くさんまの弾丸が俺に向かって襲いかかる。

 いくら音速の弾丸とて、俺を目掛けて一直線に飛んでくるのだから、射線を読めれば弾くことは出来る。

 それが一発や二発の話であるならば。

 飛来する弾丸はそれを優に越える数であり、例え一発、二発弾けたところで続く弾丸で肉塊に変えられてしまう。

 取りうる選択は回避のみである。

 サンマシーンの左に方向に、背面に回るように駆け出す。

 大型の秋刀魚大銃を両腕に取り付け、同時に発射しているのである。

 いくらサンマといえど、反動を抑えるために踏ん張って自重を使う他あるまい。

 で、あるならは側面から背面にかけてサンマシーンの死角が出来るはずだ。

 すぐ背後を通り過ぎる弾丸から、迫る気配を感じつつも走り抜き、側面を過ぎると一瞬銃撃が止む。

「ビンゴだ」

 その隙を突いて一気にサンマシーンと距離を詰める。

 村正刀魚を抜き放ち、左腕へ刃を走らせる。

 サンマシーンの左腕が俺を捉え、火を拭こうと構えられる。

 が、俺の刃が届く方が早く、刃が左腕に食い込む。

「魚オオオオオオ!!」

 雄たけびと共に振りぬこうと力を込める。

 しかし、村正刀魚はサンマシーンの分厚い金属肌の切りきれず、勢いを殺されてしまう。

「なんて硬さだ…!!」

 直径一メートルはあろうかという丸太のような腕。

 このまま力で押し込むのは難しいと判断して無理やり引き抜くと、距離をとるために背後へ跳ねる。

 超至近距離からの射撃などかわせるはずもない。

 俺を捉えた銃口から火花が散り、銃弾が飛び出す。

 間一髪でかわしながら、再び背面に回るように駆ける。

 サンマシーンの体は一太刀で斬り捨てられるものではなく、隙を窺いつつも何度も同じ部分に攻撃をするしかないだろう。

 散魔ノ太刀であれば、一刀にて斬り捨てられるだろうが、サンマシーンがサン魔力を貯める時間を与えてくれるとは思えなかった。

 一撃離脱(ヒット&アウェイ)。それが勝ち筋だろう。

 戦法を決め、走り込み背面に回る。

 先程同様、弾幕が途絶える…ことはなかった。

 サンマシーンの顔だけが反転し、俺を捉え口からさんまを飛ばしていた。

 飛来する弾丸を斬り捨て、距離を詰めようと地面を蹴るのだが、その瞬間にはもうサンマシーンの体は俺の方を向いており、両腕から銃弾が走る。

 間一髪で踏みとどまり、方向転換して距離をとる。

 秋刀魚大銃の射線から外れ、再び隙を窺う…と、秋刀魚大銃に気を取られたのが不味かった。

 射線から外れた先、俺の体を目掛けて一直線にさんまが飛んできた。

 サンマシーンは俺が避けることを折り込みずみで、その瞬間、その場所を狙って口からさんまを撃ちだしたのだ。

 サンマシーンの目論見があたり、迫るさんまをかわすことは叶わず、肩の肉か抉れる。

「うぐっ…!!」

 衝撃で揺れ、足がもつれる。

 その隙を見逃さず、秋刀魚大銃の銃口が火を噴く。

 ──不味い!

 一直線に飛来するさんまの弾丸は正確に俺を捉えていた。

 何とかかわそうと身を屈める。

 …だが。

 さんまの弾丸は俺に到達しなかった。

「日魔星。今宵、この場だけは手を貸してやる」

 サンマーベリックが射線上に現れ、数発の弾丸を弾く同時に、俺を掴み距離をとる。

「一撃離脱の策は愚策だ。あれを見ろ」

 サンマーベリックが地に足をつけて、俺を離すとサンマシーンの腕をさして言う。

 そこにあったはずの俺が与えた傷は修復していた。

「サンマイナスイオンの力だ」

「サンマイナスイオンだと!?なんてデタラメな力だ」

「奴を討つには一撃で斬り捨てるより他ない。お前はその手の技を持っていないのか?」

「…一つだけある。だが、時間が必要だ」

「であれば、俺が時間を稼ぐのが打倒だろうな」

 サンマーベリックが刀を抜き放ち、構える。

「俺もろともというのは御免こうむる」

 そう言い残すと、サンマーベリックがサンマシーンへ向かう。

 そして。

 サンマーベリックが唱える。

秋刀魚ノ款詰(ふういん)

「開封」

 その一言で、サンマーベリックの刀が輝き鋼が剥離していく。

「…!?」

 一見すれば刀が自壊していくように見えるのだが、崩れゆく刀より、何か膨大な力を持つものが顕れようとしているのが感じられた。

「…秋刀正宗(さんまさむね)

 サンマーベリックは確かに顕れた秋刀魚をそう呼んだ。

「どういうことだ!?」

「日魔星よ。お前はお前の務めを果たせ」

 飛来する弾丸を弾きながらサンマーベリックが指摘する。

 その指摘を呑み込み、村正刀魚へサン魔力を走らせる。

零刀・散魔(れいとう・さんま)

 村正刀魚へ走るサン魔力が荒れ狂う暴風となり、周囲一体の空気を凍りつかせる。

「…戒刀(かいとう)

 荒れ狂う暴風が村正刀魚一点に収束する。

 散魔ノ太刀が完成する。後は放つだけである。

「日魔星よ!俺に合わせろ!」

 サンマーベリックが射線から外れ、秋刀正宗を手にかけたまま納刀する。居合の型である。

光刀・日魔(れいとう・さんま)

 閃光が走り、鞘に収めらてた秋刀正宗を包み込む。

開灯(かいとう)

 閃光が一点に収束し、太陽が如き輝きを放つ。

日魔ノ絶堕亞華(さんまのたつたあげ)

 刃が光とかし、目にも止まらぬ速さでサンマシーンの体を断つ。

「異常!異常!」

 サンマシーンが悲鳴をあげサンマイナスイオンを分泌し始める。

 だが。

秋刀魚ノ開闢(さんまのひらき)

 その隙を逃すはずもなく、散魔ノ太刀を走らせる。

 絶対零度の刃でサンマシーンは凍りつき、霧散するように砕け散っていった。

「中々よい技ではないか」

 サンマーベリックが俺を見すえて言い放つ。

「…その刀、それにあの技。お前は何者だ?」

「言ったはずだ。俺はサンマーベリック。それ以上でもそれ以下でもない」

「…お前が誰であろうとも逃すわけにはいかない」

 村正刀魚を向けて、歩みよる。

「第二ラウンド…というところか?」

「ああ」

 刃を構えたまま、詰め寄る。

 だが、

「くっ…」

 視界が歪む。

 サン魔力が欠乏しかけているのだ。

 連戦であった以上、その消費力は計り知れない。

「…どうやら、まともに戦えるようではなさそうだな」

「ほざけ…!!」

 刃を強く握りこみ、答える。

「ふん、今宵の勝負は預けた」

 サンマーベリックは黒衣を翻し、宙へ躍り出る。

「待て!!」

 俺の慟哭を背に、サンマーベリックは闇夜へと消えていった。


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