第四話 北方遺跡探索
## 第四話 北方遺跡探索
ついにその日が来た。
情報局。
王城。
宰相府。
軍務省。
全員が慎太郎へ大量の書類を持ち込んでいた。
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「隊長、こちらに決裁を」
「隊長、この予算案を」
「隊長、鳩便網の増設計画が」
「隊長、隣国の情報が」
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慎太郎は机に突っ伏した。
「俺は遺跡へ行く」
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全員が沈黙した。
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「行く」
「しかし」
「行く」
「ですが」
「行く」
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数秒後。
国王の署名入り命令書が届いた。
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**智慎太郎に一か月の遺跡調査休暇を与える。**
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局員たち。
「陛下ァ!」
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国王は苦笑した。
「たまには休ませてやれ」
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こうして。
王国最強の情報屋は久しぶりに本来の夢へ向かうことになった。
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北方山脈。
古代遺跡「アルグラード」。
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雪山の谷間に存在する巨大遺跡だった。
発見されたのは数か月前。
各国が調査隊を送り込んでいる。
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到着した慎太郎は驚いた。
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巨大な石門。
崩れた神殿。
地下へ続く階段。
長さ数百メートルの回廊。
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「おお……」
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少年のような笑顔になる。
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「本物だ……」
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初めてだった。
国家機密でも陰謀でもない。
純粋な冒険。
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その日は各国の探索者たちと合同で野営した。
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剣士。
魔法使い。
考古学者。
商人。
冒険者。
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焚火を囲む。
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慎太郎は思った。
「これだよ」
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酒を飲みながら雑談。
遺跡の噂。
宝物の話。
失敗談。
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国家機密会議の百倍楽しかった。
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翌日。
探索開始。
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第一層。
石造りの回廊。
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罠発見。
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慎太郎。
「床が怪しい」
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槍で突く。
床が落下。
下には大量の槍。
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冒険者たち。
「助かった!」
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考古学者。
「よく気付いたな」
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慎太郎。
「なんとなく」
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実際は情報局時代に暗殺罠を大量に見ていた。
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さらに進む。
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第二層。
古代文字。
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考古学者たちが首を傾げる。
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慎太郎。
「これ地図じゃないか?」
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「え?」
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壁画を読む。
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地下施設。
水路。
保管庫。
研究区画。
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完全な案内図だった。
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「なんで分かるんだ」
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「前世知識かな」
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誰も意味が分からなかった。
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探索は順調に進む。
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そして第四層。
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巨大な扉。
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全員で開く。
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重い音。
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ゴゴゴゴゴ……
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そこにあったもの。
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山のような金銀財宝。
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冒険者たち。
「おおおおおお!」
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歓声が響く。
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だが。
慎太郎は宝に興味を示さなかった。
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視線の先。
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部屋の奥。
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埃を被った巨大な球体。
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金属製。
直径三メートル。
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古代装置だった。
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「こっちの方が面白そうだ」
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考古学者たちも集まる。
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調査開始。
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数日後。
判明した。
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それは宝物庫ではなかった。
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古代文明の記録庫。
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地図。
技術。
農業記録。
気候記録。
都市設計。
行政制度。
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数千年前の知識が保存されていた。
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慎太郎は震えた。
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「これは宝石より価値がある」
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考古学者たちも同意した。
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「歴史が変わる」
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「文明の教科書だ」
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「国宝どころじゃない」
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こうしてアルグラード遺跡は、
単なる財宝の遺跡ではなく、
古代文明の巨大知識庫として歴史に名を残すことになる。
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そして慎太郎はその夜、
焚火の前で静かに笑っていた。
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「ようやく冒険者になれた気がする」
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その言葉を聞いた仲間たちは笑った。
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誰も知らない。
この男が一国の諜報組織を率いる隊長であり、
隣国が恐れる情報戦の怪物であることを。
今この場所ではただ一人の冒険者、
智慎太郎として遺跡の夜を楽しんでいた。




