表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/79

第69話

(さて、どうしたモノかしら・・・想定していたよりも二段は早い行動ね。こうなると襲撃を掛けて来たのは・・・幾つか候補が上げられるけど)


 「朝比奈美千代」協会長は車を新宿支部に走らせながら思考する。


(ウチを傘下に入れたい政府の御偉い様か。反協会を謳っている裏組織か。・・・一番可能性が高いのはあの狂人ね。頭の回転が早くて優秀。しかしこうしてトラブルが起きれば長官の椅子を狙って即座に、大胆に動き出す、副長官。ああもう、勘弁して)


 協会長は一人の人物を思い出す。


 それは普段から野心を隠しもせずに、しかし平時は仕事をバリバリと熟してダンジョン庁長官の補佐を務める頭のオカシイ「高杉」と言う人物だった。


(あんなのを仕事ができるからって懐に入れている長官の精神が分からないわ。アイツはいつも「いつでもその椅子、狙ってますからね」なんて、周囲の目も憚らずに口にする様な奴なのに)


 これまでにも何度もその高杉が動いて大騒動に発展しかけた事件が存在した。


 ソレを思い出して苦い顔へと変える協会長。その問題に当時は協会長も巻き込まれていた。


 副長官と言う立場の高杉はそんな騒動を起こす度にその責任を長官に押し付けて辞任をさせようと目論んでの言動をして来ているのだ実際に。


 しかもその責任の押し付けも自然に、かつ、副長官の仕業と言う証拠が無いやり方で。


(証拠を残さないやり方も消すやり方も、誘導の仕方も根回しも上手い。一番厄介なヤツ。頭が痛いわ)


 証拠不十分、確実に高杉がやった事であるはずなのに、ソレを最後までキッチリと追及できない、そんな歯がゆく思わされる結末。


 のらりくらりと「良い訳」を並べられて幾ら追い詰めても躱される。


 今回の襲撃のやり方がそのこれまでの手口と似ている部分がある事に気付いて協会長の中には確信が立つ。


 襲撃して来た者たちはきっとロクな情報は持っちゃいない。協会長はそう予想していた。


(他の庁の大臣やら官僚であればこれ程のスピードでは動かない、動け無いハズ。会議だ何だと踊り続けて結論を出すのに時間を無駄に浪費する奴等の集まりだし。反協会を掲げる裏組織であった場合、長官が直接に動いた案件だからと言って警戒をして様子見に徹するでしょうね。アイツら臆病だから。ソレにどっちの組織も街中でいきなり発砲なんて真似はしないわね)


 この襲撃を仕掛けて来た黒幕は誰か?上げた候補を順番に消去法に掛ければおのずと出て来る犯人は高杉しか残らない。


 協会長はそれで出た答えに「最悪だ」と心の中だけで溢していた。


 黒騎士、この存在に関わる問題は今後とも終わりが見えない程に増え、そして膨らんで行く未来が確定した事に協会長は頭痛を覚えたのだ。


(何で穏便に済ませ様と考えないの?拳銃持ち出して襲って来るなんて、どうしてそんな大馬鹿してくるのよ・・・コレじゃあ海外からの目が一斉に向けられるじゃないの。うーん、ソレが先ず第一の目的なのかしら?あの狂人がやりそうと言えば、やりそうな事なのよね。でも、その次が分からない。最終的な目標が何なのか予想が出来ないわ・・・)


 一体何がしたいのか?黒騎士を切っ掛けにして他国からの介入がされかねない状態にこの国を追い込む心算なのか?


 協会長は悩みつつも運転は続けている。そしてその答えの出ぬままに車は新宿支部に到着してしまう。


 ここで協会長は思考を切り替えた。今は目の前の事を片付けてからだと。


「さあ、貴方たち、取り合えずさっさとダンジョンの中に入ってしまってちょうだい。それでハイ、コレ。その後の指示はこのタブレットに入れてあるから後で読んで。これは協会長としての命令ね。」


「アンちゃん、ここでお手柄立てれば文句を言ってくる奴らを黙らせられるよ!そしたら私と結婚!」


「また馬鹿な事を言い出して・・・ヒジリ、それマジで言ってる?・・・はぁ~、言ってるよねぇ・・・ああもう、あんたの頭の中のネジ、今幾つブッ飛んでる?前はもっと「マトモ」だったはずだろうに。」


 ヒジリの常識を疑う発言、ソレにイチカがツッコミを入れている光景を見て協会長は肩から力が抜ける。


(危険な橋を渡った甲斐はあったのかしら?後は長官に丸投げで良いわよね?長官は最後の最後、どんな風にこの件を収める心算なの?)


 協会長一人で迎えに行った事は長官との「話し合い」で決めた事であった。


 密会、協会長と長官の間だけで交わされた密約、作戦。


 今回の事はその一環であり、しかしコレに協会長は思っていた。


 初手でいきなりここまでの大事になる何て、と。聞いて無い、と。


 だがもうサイは振られ、その目は出てしまった。


 次にサイが振られた時、どんな目が出るか等は神のみぞ知る事であり、協会長は知る由も無いのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ