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第54話

 動く絵での説明で相手側が何を私に要求して来ているのかが良く理解できた。


 そしてちゃんとその見返りに利益をこちらに出すと言う事も。


 なのでそこで私は了承した事を伝える為に頷く。


「はははは。ちゃんとお互いに交流が出来たと見做して良いねコレは。黒騎士殿には自我、意思、意識がある、人としての。安心したよ。もう問題の半分以上が解決したと言っても良い。ああ、すまないね。それじゃあ続きで頼みたい事の話をしよう。コレを見てくれ。」


 どうやら相手の男は上機嫌になっている様だが、ソレが何故なのかの理由などは私には分からない。


 ソレでも私が青い輝く石を相手に引き渡す契約はこれで結ばれたと見て良い。


(さて、今度は何を向こうは伝えようとしてくる?・・・何だ?どうしてこんな?)


 それはあのホッコリした絵柄の「四人娘」が描かれており、私と同行してダンジョンへと入って行く様子だった。


 そして魔物を倒し、青い石を得て、ダンジョンを出て受付でソレを引き渡す。ソレが繰り返し流されている。


「彼女らを同行させて欲しい。毎回、そう、毎回だ。君への監視、と言う訳では無い心算なのだが、誤解されてしまってもしょうがないと理解している。だが、これは他の冒険者を守る為、それと、君を守る為と言う点を分かって欲しい。」


 男が何と言っているのかが「動く絵」のおかげで分かる。


 どうにもイキリ立っている男三名が私へと向かって攻撃をしようと動く絵が流れたのだ。


 しかしそこで四人娘が割り込んで来てソレを抑え込んでいる。


 ソレが終われば今度は私へと嫌悪を込めた視線を向けて来る者たちが出て来て、その視線を遮る様にして四人娘が立ち塞がると言った形に。


 その後は厭らしい顔をした背の低い揉み手の男が私に近づいて来る絵が流される。


 次には男が口を開いて何かを喋ろうとした矢先に四人娘がそいつの尻を蹴っ飛ばしている。


 この流れから察すると、どうやら色々と「人の感情」とか「大人の事情」とか「国の事情」やら「組織のシガラミ」とか「詐欺」などと言った、そう言ったモノを防ぐ為にどうにも四人娘を連れて行けと言う事の様で。


「どうやら彼女らとは随分と仲が深まっているみたいだからね。ほら、君たちにも庁から正式な、はい、これ。」


 男が四人娘たちの方に一枚の紙を差し出している。ソレを見てそれぞれが驚きの顔をしているのが視界に入る。


(契約書か何かか?ふむ、私に彼女らが同行する事に対しての条件などでも書かれているのだろうか?)


 先程の動く絵の後に出された紙だ。どうにもこの国の文字がびっしりと書かれているのが私の目にチラリと入った事でそう予想してみたが。


「ほ?ふーむふむ?もしかしてコレ、正式に私たちがアンちゃんと一緒に居て良いって事?やった!長官のお墨付きって事っしょ!?これで誰にも文句言われ無くて済むじゃん!」

「あらら、これで私たち、政府の監視下って事になるわね?あんまり干渉して欲しくは無いんだけど。でもここまで来たらしょうがないか。こんなの簡単に事前に予測出来て良いはずだったんだけど。切り上げ時を失したかしら?国家権力コワ。断るってのが出来ないわねこれじゃ。」

「えぇ~?別に良くない?お金一杯くれるって書いてあるしー?別に何処にも悪い事、書いて無くね?悲観し過ぎっしょエミコってば。」


「・・・」


 どうやら一人だけ絶望の表情になってるが、他三人はこれに納得してる様子。契約内容の詳細が分からないので私にはどうしようもない。


 コレに慰めの言葉を掛けようにも私は言葉を喋れない。呻くだけしかできない。


(彼女らを同行させるのは、うーん、残酷だが、足手纏い、御荷物と言う他に無いのだがなぁ)


 連れて行く事の利と、連れて行った時の不利と、同行させた場合の保険としてのアレコレなど、他にも予想できる事などを一つ一つ頭の中で整理しながら私は天秤に掛けて行く。


(悪くは無い。しかし、私がしようとしていた事はダンジョン内で危機に陥っている者がいれば、ソレを助けると言った事だ。ソレにこのダンジョンを攻略すると言うのも考えていた所だからなぁ)


 魔物を倒し、手に入った青い石は引き渡しても良い。それは「ついで」だ。だから了承はした。


 しかしそこに当初考えていた方針を諸々に天秤に加味すると四人娘を連れて行く意味が特に無い。


 彼女らを連れ歩くには何かと多角面で面倒がある。


 そう、私はアンデッド。生理現象が無いのだ。


 しかし彼女らは違う。食事を必要とし、睡眠を必要とし、排泄を必要とする。それと休息も。


(ダンジョンの中に長く籠もり続ける事が彼女らにはできない。それらに合わせて行動しろと?私に?それは、無理だ)


 生者とアンデッドの間に在る絶対に越えられない壁、或いは谷。断崖絶壁。


 私はそこまで考えて首を左右に振った。

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