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第47話

 警戒度を保ちつつ我々は進んだ。今の所で問題は無い。


 連携が取れない、などと言った事も無く順調に進めている。


 魔物が現れた時には一気に先ず私が突撃して一薙ぎし、数を減らす。


 漏れ出た一体、或いは二体。多くて三体を四人娘たちが対応。


 そこに私が加勢に入って一気にコレを殲滅、完了だ。


「いや、だから、お前一人で良いんじゃね?」


 これまで出て来た魔物は獣人モドキの五体組が一回。

 姿を晦まし隠れる魔物の三体が一度に出て来た回が一度。

 鼻潰れの顔をした獣人モドキの三体組が一回。

 これらの混合組が現れたのが三度。


 中々の戦闘回数だが、疲れは無い。


「だから、お前が、全部、殆ど、倒してるからじゃんよ!」


 何だか知らないが一番後方を守る、私への警戒を未だに持ち突けている娘がこちらを非難している様に感じるが、コレを私は無視しておく。


(今は緊急的状況から脱する事が出来ていないのだ。構っている時間は無いしな。とは言え)


 彼女の憤懣にもしも私がちゃんと向き合えば、もしかすると上手く交流へと昇華出来るかもしれないとは考えてしまう。


 私が口を開いても呻く事しか出来ないとは言え、この国の言葉を学んで受け入れる事が出来れば交流はもっと深く取れる事が予想できる。


 相手の言葉が理解できれば、コチラの意思を伝えられ無くとも、敵意が無い事を示し易くする事が出来る。


 彼女は怒っているのだ。分り易く。感情の中で一番理解し易い物は怒りだと思う。


 何を怒っているのかがその言動、態度、表情から読み取り易い。


 ソレと照らし合わせて彼女らの発する言語を学んで行けば、もしかすれば言語理解が思っているよりも早く出来るかもしれない。


 そんな事を思っている間に目の前には階段が見えた。しかし。


「あー、これ下層に向かうヤツ~。私たちは上に戻りたいのにー。」

「遠目から見ても解るわね、はっきり。こういうの、中々にガッカリするわねこんな時って。」

「戻る~?マップ埋めはイチカがやってんでしょ?戻れなくも無く無く無い?」


「そうね、ここは戻った方が良いわ。下層に向かうのが目的じゃ無いモノ。・・・あ、でも、階段の左右にも通路繋がってるし、そっちをそのまま探索するのもアリかな。」


 階段の前は少々広めな面積が取られており、その左右へと通路が伸びている。


 選択肢として下層に進むのは無し。その後は来た道を戻ると言う手もあるが、その左右に通路がある。


 このまま素直に来た道を戻るだけでは無い選択肢が目の前に示されている。これらが上に昇る階段へと繋がっている通路なら有難いのだが。


「これってもしかして、この階層って階段に向かうルートが複数になってるって事なのかな?」

「あー、そうかもしれないわね?いや、ちょっと待って。もっと別の何か、って可能性も無くは無いわ。」

「えー?でもー?その別ってなーにー?・・・あー、進んだら罠とか?行き止まりで只の嫌がらせになっているとか?」


「・・・もしかすると下層に続く別の階段とかが行った先にあったりとかも、あるのかも?」


 どうやらこれに四人は相談に入ってしまったらしく魔道具を囲んであれやこれやと意見を出し始めてしまった。


(一気にここへと多くの魔物が入って来たら危機に陥るのだがな。数で押されて囲まれたら厳しい所が有るんだが)


 呑気な事をしていられない。立ち止まるのは危険なのだ。しかもこの様に道が分散して存在する小広場などは。


 それぞれの道から何処からともなく一斉に魔物がこの場へと押し寄せて来れば、下層への階段へと押し込まれかねない。


 戻る、左へ、右へ、そのどれでも良いので選んで直ぐに行動に移すべき場面だ。下へ進む選択肢を取らないのであるのだから。


 私たちが置かれているのは悩んでも仕方が無い状況だと言う事を忘れてはならない。今の場合は三つの内のどれを選んでも変わりはしない。


 なので私は勝手に動く。その点を彼女らに気付かせる為に。休息を取るのならばもっと安全と思われる場でするべきだと促す為に。


 私は少々派手目に剣を地面へと突いて音を立ててこちらに注意を促してから歩み始める。


「あれ?アンちゃん何処行くのー?・・・ちょっと待ってよー。」

「え?勝手に行くのかしら?黒騎士が居ないと私たち、ヤバイわ。付いて行くしかないみたい。まあ四の五の言ってられないわね。」

「ふえ?え?アタシらの事を守ってくれるんじゃ無かったの?あ、ちょ、皆置いてかないでよー。」


「そもそもヤバいのは、アンデッドナイトそれ、そのものがヤバいって事を皆、気付いて・・・厄ネタでしかないんよ、それ以外の何物でも無いんよ、そいつ・・・」


 左の道へと向かう私の後方にちゃんと付いて来てくれた事に安堵しながら小さく溜息を吐いて進む。


(先程の居た場所が少々危険であった事は分かっていないのか。私が動いたからついて来た、と言った具合だなこれでは)


 親鳥の後ろを付いて回る子供、と言った感覚を覚えそうになったのを私は頭の隅に追いやって目の前の通路の先へと意識を集中させた。

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